こんにちは、田舎センセイです。
我が家は宮城県北部の田舎にありますが、暖かい時期に田植えをしていたり家の玄関先でよく「黒くて頭がシュモクザメのように扇形をしたヒルの様な生き物」を見かけます。
ここに来た当初は田植え中に自分の体に張り付いているのを見て、ヤマビルに血を吸われているものだと勘違いしてとても驚きましたが、これは「コウガイビル」という生物で、ヒルと名前についていますがプラナリアの仲間だそうです。
住宅地でも普通に見かけることと、いつの間にか体や衣類にくっついて侵入してくるので、そのグロテスクな風貌と得体の知れなさにしばしば問題になります。
そこで本記事では、コウガイビルの害の有無と駆除方法について詳しく解説したいと思います。
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コウガイビルとはどんな虫?
※画像:wikipedia (画像上:クロイロコウガイビル、画像下:オオミスジコウガイビル)
・学名 :クロイロコウガイビル(Bipalium fuscatum)、オオミスジコウガイビル(Bipalium Nobile)
・階級 :ウズムシ目コウガイビル科コウガイビル属
・分布 :本州以南
・時期 :冬以外(3月~11月)
・餌 :ミミズ、ナメクジ、カタツムリ
・見た目 :コウガイビル科は、頭が扇形をしている。ミスジはその名の通り体に3本の線が入っている
・大きさ :10cmから場合によっては1mを超えるものもいる
コウガイビル科の生物で日本でもよく見ることができるのが上記の「クロイロコウガイビル」と「オオミスジコウガイビル」です。
基本的には夜行性で、芝生とコンクリートの隙間や朽ちた樹木や落ち葉の下など暗くジメジメした場所に潜んでいます。
我が家でもよく見かけるのは「クロイロコウガイビル」で、玄関先のコンクリートの上に這いずり回っているものや、土の中に戻れなくなって既に干からびていることが多いです。土の中というよりは芝生とコンクリとの間のわずかな隙間に潜んでいるようです。
肉食性でナメクジやミミズを捕食するので、我が家のように芝生があって地面の中にミミズが多くいるような場所では自然とコウガイビルも増えます。
コウガイビルの名前の由来
コウガイビルの「コウガイ(笄)」とは「髪結い道具」のことで、かんざしと同じようなものとして認識している方も多いようですが、元々は紙に飾るかんざしとは違って、髪を結い留める道具という役割が強いものでした。
両端が幅広くなっていて中央部分が細くなっている形をしていて、この形に似ているということでコウガイビルと名付けられたそうですよ。
コウガイビルに害はある?吸血はするの?
コウガイビルにありがちな誤解としては「吸血する」というものですが、名前に「ヒル」とついていますが吸血はしません
冒頭でも書きましたがヒルというよりは「プラナリア」の仲間です。
ただ、吸血をしないとはいえ、単純に無害とは言えないのがこのコウガイビルなんです。
フグ毒の「テトロドトキシン」を持つ個体が発見された
コウガイビルには100種類以上いると言われていますが、その中にはフグ毒と同じテトロドトキシンを持つ個体が発見されたそうです。(※参考:ナショナルジオグラフィック)
人間の場合は意図的にじゃないと口に入ることは万に一つもないと思いますが、専門家は直接長時間素手で触ることは避けた方がいいと言っていますので、用心することに越したことはなさそうです。
コウガイビルは人畜に寄生症例がある
園芸をやっていれば見る機会も多いコウガイビルですが、植物(主にラン)の根について侵入&移動することが多いと言われていて、人の生活圏に潜んでいるので偶発的にペットや人間に遭遇する可能性も高いです。
そのせいか、過去をさかのぼると「犬」「猫」「鶏」に加え、人の体からもコウガイビルが検出された症例があります。(※参考文献:面白い寄生虫の臨床(Ⅰ) 偽寄生虫コウガイビル 日本獣医臨床寄生虫学研究会編 早崎)
偶発的に体内に入る可能性はゼロではなく、洗浄不十分の生野菜から体内に入ったたと想定される例もあるので十分に注意が必要な事は間違いありません。
また、参考文献に挙げた論文では、コウガイビルが捕食するナメクジやカタツムリは広東住血線虫の中間宿主であることから、それを捕食したコウガイビルが間接的に待機宿主や伝播宿主として働く可能性があるとも指摘しています。
感染経路は皮膚感染ではなく経口感染のみなので、誤って触ってしまった場合は十分に石鹸で洗い流す方がいいでしょう。
吸血はしないコウガイビルですが、誤って口に入らないように気を付ける必要はありそうです。
コウガイビルの駆除方法とは?
インターネットには「コウガイビルはナメクジを食べてくれるので益虫」と書いているものも少なくないですが、見た目に不快なのと奇生症例の話を聞くとやはり生活圏内からは出て行って欲しいものです。
ただ、コウガイビルはナメクジやカタツムリ、ミミズなどの餌になる虫を追ってくるので、これらの餌になる生き物がいる限り根絶するのは難しいでしょう。
「ナメクジの駆除」が間接的にコウガイビルの駆除につながりますので、ナメクジの駆除剤をつかうか、ナメクジ&コウガイビルの好むジメジメした環境を減らすというのが得策です。
犬や猫にも安全なナメクジ誘引駆除剤「ナメトール」
ナメトールは粒状のナメクジ駆除剤で、土壌中に存在する「リン酸第二鉄」が有効成分なので、犬や猫などペットを飼っているご家庭でも安心して使えるのがポイントです。
この商品は殺虫剤ではなく「農薬」なので、農作物周辺や花壇、植木鉢などのそばでも使うことができます。
散布後に雨が降っても効果が持続するので、ナメクジ駆除効果は撒いた後1~3ヵ月持続するのもおすすめのポイント。商品によっては雨が降ると効果が流れてしまうものも少なくない中でこのナメトールは水や湿気に強いんです。
ペットや小さい子供がいないなら「カダン ナメクジ駆除剤」も可
上で紹介したナメトールは安全性が高い分値段もやや高めです。
もしご家庭に小さいお子さんやペットがいないのであれば、こちらのカダン ナメクジ駆除剤でもナメクジ駆除効果はしっかりありますし、何よりも安価です。
ただし、大量にペットが食べた場合は死ぬ恐れもあるので、野良猫が侵入してくることがあるような場所だったり、小さなお子さんがいるようなご家庭ではおすすめできません。
目の前にいるナメクジやカタツムリを駆除したい場合は「カダン ナメクジスプレー」
ナメクジ駆除といっても、目の前にナメクジがいる場合は誘引駆除剤では速効性がありません。
そんな時に「カダン ナメクジスプレー」があれば、すぐに目の前のナメクジを駆除することができるのでおすすめです。
速効性はあるのですが、忌避性や誘因性は無いので吹きかけた以外のナメクジの駆除効果はあまりありません。
個人的にはナメトールとナメクジスプレーを併用することで敷地内のナメクジを減らすことができ、最終的にはコウガイビルの数を減らすことにもつながると思います。
まとめ
本記事ではコウガイビルの害や駆除方法についてお伝えしましたが、駆除するためにはナメクジを駆除する必要があるので、後半はナメクジの駆除方法に終始してしまいましたね。
ナメクジを食べてくれる=益虫というのは、農家目線での意見に近かったりするので、普通にコウガイビルが家の周りにいたらほとんどの人が嫌だと思います。
素手で触ったり食べたりしなければ特に問題はありませんが、見た目の不快さから駆除をしたい場合は今回ご紹介したように、まずはナメクジなどの餌になる虫を駆除して、ジメジメした環境を減らすなどすればいいと思います。
テトロドトキシンや広東住血線虫などの恐ろしいワードが出てきましたが、過剰に心配する必要はなく、見た目に深いと感じる人がいれば駆除をしましょうくらいのスタンスで大丈夫ですよ。