カテゴリー: 農作物・果樹・植物の病気

  • 石灰硫黄合剤の散布方法と注意点|梅や松などの庭木の殺菌消毒を行いました

    石灰硫黄合剤の散布方法と注意点|梅や松などの庭木の殺菌消毒を行いました

    こんにちは、田舎センセイです!

    我が家では1月後半になると庭木の殺菌消毒を業者に依頼して、石灰硫黄合剤を散布してもらっています。

    自給的農家ではありますが田んぼや畑以外にも果樹を多数栽培しているので、その病害虫対策として年1回のこの作業はほぼ恒例行事となっています。

    本記事では石灰硫黄合剤の散布に関する注意事項やよくある質問などについてまとめます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]普通の農薬とちょっと違う所が多いんだよね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]その特殊性もあって注意点も多いので是非使用する前に見ておくと良いぞい![/chat]

    石灰硫黄合剤とはどんな農薬?

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    多硫化カルシウム(CaSxを主成分とした殺菌・殺虫効果を持つ農薬で、とても古くから使われているのですが、強アルカリ性の性質を持つことや硫黄の臭いが強烈であるなど他の農薬とはかなり異なる特徴を持っています。

    冬季に散布することで、冬の間に植物にくっついて越冬するような害虫に特に効果的で、防除の難しいカイガラムシハダニなどに効果があります。

    石灰硫黄合剤の特徴

    1.古くからある薬剤で、使用方法を守れば安全性は高い(毒性は普通物)
    2.強アルカリ性の性質を持つ
    3.果樹の越冬病害虫防除に高い効果を示す
    4.有機農産物の日本農林規格(有機JAS)に適合する農薬
    5.酸性物との混用不可薬害など注意すべき点が多い

    石灰硫黄合剤の500mlや1ℓなどの少量タイプは悪用などが原因で生産・販売中止

    石灰硫黄合剤の難点として「少量タイプが無いので一般家庭では使いにくい」というものがあります。

    2000年代には500mlや1ℓのタイプが販売されていたのですが、自殺や犯罪などに悪用されることがあったために現在では生産・販売自体が中止になっています。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]大容量の石灰硫黄合剤は一般家庭では使いきれる量じゃないから困るよ~[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]酸性の物質と混ぜ合わせると有毒な硫化水素を発生させるので、それが悪用される原因だったんじゃ[/chat]

    現在では10ℓや18ℓの商品が一般的でネットで注文が可能ですが、やはり一般家庭ではここまでの量は不要なので扱いに困る所です。

    石灰硫黄合剤とイオウフロアブルの違いとは?

    一般家庭でも使いきれる少量タイプの石灰硫黄合剤の販売が中止になってから、500mlや1ℓの商品を探す人が石灰硫黄合剤と間違えて「イオウフロアブル」を購入するケースがあるようです。

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    共に「イオウ」とあるので間違いやすいですが、両者は全く異なる薬品なので石灰硫黄合剤をお求めの方は間違えないように注意しましょう。

    イオウフロアブルは微粒子の硫黄を水に溶けやすい状態にしたもので、主成分は硫黄が52%。

    同じくイオウとありますが石灰硫黄合剤との混用は基本的に不可(※かんきつでは衣装直前の混用は可能)で、果樹のうどん粉病やさび病、ハダニなどに効果がある薬品です。

    詳しくはイオウフロアブルの製品情報をご覧ください。

    石灰硫黄合剤の散布時期とタイミングについて

    石灰硫黄合剤の散布の時期は、一般的には植物の休眠期である冬季(1月・2月)に行うことが多いです。

    落葉果樹などの発芽後の散布では薬害を生じやすいので我が家では1月に散布することが多いのですが、植物によっては夏季に散布可能なものもあるので使用タイミングは説明書の通りに行えば問題ありません。

    冬季の散布に比べて、日中の気温が高くなる夏季では希釈倍率を高めて濃度を薄くして使うなど使用法が異なることにも注意しましょう。

    ※石灰硫黄合剤の適応と使用上の注意について

    石灰硫黄合剤を使用する際の注意点

    石灰硫黄合剤 車
    石灰硫黄合剤はその特性から結構な数の注意点があります。

    基本的には商品パッケージに記載されている注意点や、上でご紹介した「石灰硫黄合剤の適応と使用上の注意について」を各自でご確認いただいて使っていただくようにしてください。

    ①有害な硫化水素が発生するので酸性物質との混用は避ける
    ②金属に付着すると錆びるので、自動車などにかからないように注意する
    ③皮膚や目についたら直ちに洗い流す
    使用後の噴霧器を放置すると腐食して使えなくなるので、すぐに水洗いする
    ⑤腐った卵のような悪臭を発するので散布の時間帯と近隣に注意を払う
    ⑥必ず0℃以下にならない場所に保管する

    付着による健康上の問題や、家の壁面や自動車への腐食、使用した散布機(噴霧器)の洗浄、悪臭などが主な注意点です。

    上の写真は、以前散布した時に車の移動を忘れてしまい、私の車にかかってしまった時のもので、展着剤を使用していたこともあり水で流すくらいでは落ちませんでした。(※展着剤については後述)

    誤ってかかってしまった場合はできるだけ早く洗い流さないと錆びの原因になります。

    また、悪臭がするというのはこの農薬の使いにくい点の1つで、我が家のように隣家までの距離が数百mくらい離れている場合は風向きなどに注意すればさほど問題はありませんが、都市部などで隣家との距離が近い場合には注意が必要です。

    散布後数時間は臭いが漂っていますが、半日もすれば落ち着きます。翌日になれば散布した植物に近づくとにおいがする程度になります。

    ただ散布時は窓ガラスを締め切っていても家の仲間で臭いが入ってくるほどの強烈な臭いなので、使用時は近隣住民に予め声をかけておくなどの配慮は必須でしょう。

    石灰硫黄合剤が皮膚についてしまった場合の対処法

    石灰硫黄合剤は農薬中毒の中でも比較的発生件数の多い薬剤(2001~2003年の3年間で発生した農薬中毒のうち約1割を占める)で、発生した8件の農薬障害のうち7件は皮膚についたことによる化学熱傷で、1件は眼障害だったそうです。

    強アルカリ性の性質を持つので、皮膚についた時に火傷と同じような化学熱傷を引き起こすことがあるので、症状がなくても付着した箇所があれば適切に対処する必要があります。

    その対処法は以下のサイトでとても詳しく書かれていました。

    石灰イオウ合剤はアルカリ性で,やけどに類似した症状(化学熱傷)を起こしやすい。低濃度のアルカリでは麻酔作用が生じて,気づきにくいことが多い。しかし,石灰イオウ合剤が付着したら直ちに石けんと水で15分以上洗浄することが必要であり,付着してから1時間以上経過してから洗浄しても効果がない。報告書は石灰イオウ合剤が付着したら,自覚症状がなくても,直ちに洗浄すべきであることを農業者に周知して,治るのに時間を要する化学熱傷を減らすことが望まれることを強調している。

    ※西尾道徳の環境保全型農業レポート「No.127 意外に事故の多い石灰イオウ合剤」より引用

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]それにしても先日我が家に散布に来た業者のおじいさん、、ゴーグルはおろかマスクすらしてなかったんだけど・・・[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]・・・絶対に真似するんじゃないぞい![/chat]

    雨による流亡を軽減するために「展着剤」の加用が推奨

    この石灰硫黄合剤という薬品は、植物に散布されると葉の上で酸化する過程で微粒子のイオウが生じて殺菌・殺虫効果を発揮すると言われているので、散布直後に雨が降ってしまうと効果が減弱してしまいます。

    そのため「展着剤(てんちゃくざい)」を加えて使用することが推奨されています。

    展着剤にはいくつか種類があるのですが、ホームセンターなどでも売られているもので言えば「ダイン」などがポピュラーです。

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    石灰硫黄合剤によるウメノキゴケの除去効果

    ウメノキゴケ
    以前当サイトでもご紹介したメノキゴケなどの樹木に着生する地衣類の除去に石灰硫黄合剤を使うことがあります。

    https://inakasensei.com/umenokigoke

    ウメノキゴケ自体は植物を弱らせる存在ではなく、植物自体の樹勢が弱まっている時に付着しやすいと考えられているので、必ずしも農薬散布による除去が必要かと言われれば時と場合によります。

    ただ、ウメノキゴケがつきすぎて枝が折れてしまったり、枝が覆われてしまうことで新芽が出ずにさらに樹勢を弱めてしまう事につながることもあるので、必要な場合は冬季の石灰硫黄合剤の散布も効果的です。

    まとめ

    我が家では毎年1回は必ず冬季に石灰硫黄合剤の散布を行いますが、そのおかげもあってか庭木や果樹の病害虫の発生はさほど多くないと思います。

    個人で散布するにはややハードルの高い薬剤ですが、冬季の病害虫防除にとても効果的なので、使用方法や注意点などをしっかりと確認して使ってみてください。

  • ジャガイモの病気「そうか病」の芋は食べられる?|米ぬかの効果や原因と対策について

    ジャガイモの病気「そうか病」の芋は食べられる?|米ぬかの効果や原因と対策について

    こんにちは!田舎センセイです!

    自給的農家の我が家が毎年必ず栽培する作物のひとつに「じゃがいも」がありますが、じゃがいも栽培の過程で注意しなくてはならないのが「そうか病」です。

    ジャガイモに現れる病変の中でも最もポピュラーで防除しにくい土壌病害として知られています。

    本記事では、毎年ジャガイモ栽培を行っている当事者として、我が家で行っているそうか病対策と防除のために必要な知識についてまとめます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]ジャガイモ栽培をする場合に避けて通れないのが「そうか病」だよね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]そうか病を発症させない、または土壌汚染させないために必要なポイントがいくつかあるのでまとめてみたぞい![/chat]

    ジャガイモのかかる「そうか病」とはどんな病気?

    そうか病
    画像:wikipedia

    そうか病は、カサブタ(コルク)状の病変がイモの表面に現れることで発見されます。

    多発するとイモの表面を埋め尽くすほどに病変部位が広がることもありますし、病変部位が盛り上がる「隆起型」や、凹む「陥没型」の病変もあります。

    対策をする上で、病状がよく似たものに「粉状そうか病」や「亀の甲症」があり、そうか病とは発症する原因や条件が違うので区別が必要です。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]それぞれの病変の違いについては、下のリンクがわかりやすいぞい![/chat]

    馬鈴しょそうか病総合防除法開発研究班 そうか病の見分け方と調査基準

    そうか病になったジャガイモは食べられる?

    結論から言うと食べられます

    ただし、そうか病が発病している所の皮は厚く剥く必要があり、可食部が少なくなってしまいます。

    ジャガイモ農家にとってそうか病は、食用野菜としての価値を著しく損なう厄介な病気ですが、収穫自体には大きな影響はなく、発症部位をしっかりと取り除けば食べることはできます。

    万が一、病変部威を食べてしまってもすぐに体調に異変をきたすようなことはありませんが、できるだけ病変部威は食べないように(そして剥いた皮も確実に廃棄)しましょう。

    そうか病の原因菌

    ストレプトマイセス属菌(Streptomyces)

    そうか病の原因菌は「ストレプトマイセス属菌」と言う細菌の仲間で、土壌中に長期間生息していることが可能なため、ジャガイモなどの根菜類があると塊茎形成時に発症する。

    ストレプトマイセス属菌には種類があって、一般的にはそうか病が発症しにくいと言われている酸性土壌でも発症するものもあり、地域ごとに存在する菌の種類によって対策が変わってくることも防除がとても難しい理由の一つとなっています。

    そうか病の多発要因とは?

    そうか病が起きやすい条件

    1.塊茎形成期の地温の高さ(20℃以上)と乾燥
    2.pH5.2以上で発生、6.5以上のアルカリ土壌で多発
    3.根菜類の連作・過作、短期の輪作
    4.未熟堆肥などの粗大有機物の施用
    5.市販の無病種イモ以外の使用

    そうか病は原因菌の種類によっては若干条件が異なる場合がありますが、基本的にはそうか病が起きやすい条件は上記の通りです。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]上に挙げられた要因を避けるというのが大切ってことだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]要因のいくつかについて具体的に解説するぞい![/chat]

    土壌のアルカリ化に注意する

    通常土壌は酸性に傾いていることが多いのですが、土壌改良資材として石灰などをまいて中和する際に、まき過ぎによる土壌のアルカリ化が起こることでそうか病が起こりやすくなるという危険性も高まります。

    土壌がアルカリ性に傾きすぎている場合などは、硫安などを散布することで土壌酸性度をコントロ―ルし、そうか病の発症を抑制する効果が期待できます。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]土壌酸性度については下記の記事がおすすめじゃぞい![/chat]

    https://inakasensei.com/ph-control

    根菜類の連作・過作を避ける

    そうか病はジャガイモなどの根菜類を連作することによっても感染の可能性が高まることが知られています。

    じゃがいものそうか病発生圃場に、ヘアリーベッチ(マメ科ソラマメ属の一年草)とレタスを2年間作付けして輪作した結果、そうか病の発病が抑制されたというデータ(*1)もあります。

    そうか病予防のために計画的な作付けをすることもとても効果的なんですね。

    (*1:輪作を主としたジャガイモそうか病の発病抑制)

    スーパーで売られているジャガイモや収穫した芋は植えない

    スーパーで売られている食用ジャガイモを植えても芽が出て収穫することは出来ますが、そうか病の兆候が無くても保菌していることがあるため、安易に植えることでそうか病の原因菌が畑に持ち込まれる原因になることがあります。

    そうか病菌はとても生存力が強いので、保菌種芋によって菌が持ち込まれて畑の根菜類が全て感染してしまうなんてこともあるので注意が必要なんです。

    種イモ用に販売されているイモは、いずれも国の検査を通過した無病種イモなので安心して売れることができるので、必ず種イモ用に用意されたものを植えるようにしましょう。

    そうか病の対策①【米ぬかの効果】

    米ぬか
    土壌消毒以外のそうか病対策として民間で行われている方法に「米ぬかを使う」という方法があります。

    この方法はこれまでは科学的根拠に乏しく、本当に効果があるのか解明されていなかったのですが、農研機構によると2013年~2016年の3年間の調査(*²)によってどうやら科学的にも効果がありそうだという事がわかったようなのです。

    その調査によると、方法としては「種イモ(ニシユタカ)の播種直前に生米ぬかを黒ボク土壌に散布しロータリー混和する」というもので、その結果そうか病の原因菌に対して拮抗的な効果を持つ放線菌群を増加させるとのことでした。

    他の菌が増えることで塊茎形成期のそうか病原因菌の菌密度が薄まる」というのがポイントのようですね。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]注意すべきは、まだ特定の一品種と特定の環境(鹿児島県の黒ボク土圃場)での結果にすぎず、他の環境条件でも同様に効果が出るのかはわかっていないという点じゃ[/chat]

    https://inakasensei.com/komenuka

    (*²:米ぬか施用によるジャガイモそうか病の抑制機構の微生物学的解明)

    そうか病の対策②【土壌殺菌剤の効果】

    ネビジン
    我が家でも行っている方法として、ネビジンなどの土壌殺菌剤を種イモの播種前に散布して、ロータリーなどで混和するという方法です。

    https://inakasensei.com/nebijin

    これまでにご紹介した、連作を避けたり土壌pHをコントロールするなどの、いわゆる「耕種的防除方法」を行ったうえで、土壌殺菌剤を使用するというのは現在考えられるうえで最も効果的な方法と言えると思います。

    防除薬剤については、ネビジン以外にも「オラクル粉剤」「フロンサイド粉剤」「バスアミド微粒剤」などがあり、状況にあった薬剤を使うようにしましょう。

    まとめ

    ジャガイモ栽培においてとても重要になってくる「そうか病対策」ですが、多発要因とされる要素を知ることで、耕種的防除を行うことができるようになります。

    土壌内に長期間生存するそうか病の原因菌は、他所から持ち込まないことも大切ですが他所に広げないこともまた大切です。

    ネビジンなどの土壌殺菌剤は、そうか病原因菌を駆逐するものではなく、あくまで休眠胞子を発芽させないという薬剤であるために万能ではありません。

    そうか病がどのようにして発症し、また土壌汚染が広がるのかをしっかりと知ることで、美味しく健康なジャガイモを作ることができるようになります。

    是非、今一度しっかりとそうか病の多発要因などに目を通して、理解を深めるようにしてください!

    参考:病害虫・雑草の情報基地「そうか病」

  • ネビジン粉剤の使い方|ジャガイモのそうか病対策に土壌殺菌剤を散布しました

    ネビジン粉剤の使い方|ジャガイモのそうか病対策に土壌殺菌剤を散布しました

    こんにちは、田舎センセイです!

    我が家では自分たちが食べる分の野菜を育てていますが、白菜やキャベツ、そしてジャガイモを植える前に土壌に「ネビジン」という殺菌剤を散布しています。

    主に野菜を育てている祖母に聞くと、昔に白菜を育てるときに「根こぶ病」が蔓延してしまい一つも収穫できずご近所に分けてもらったことがあると教えてくれました。

    このネビジンは白菜の根こぶ病以外にも、ジャガイモの「そうか病」にも効果があるので、今回の春の種イモを植える前の作業としてネビジンを散布したので、その時の様子とともにネビジンの特徴と使い方などについて解説いたします。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]根こぶ病やそうか病はめちゃくちゃ厄介な病気なんだよね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]これから初めて白菜やブロッコリーなどのアブラナ科の作物や、ジャガイモを育ててみようと考えている人は是非参考にするんじゃよ![/chat]

    土壌殺菌剤「ネビジン」とはどんな農薬?

    ネビジン

    有効成分フルスルファミド 0.3%
    性状淡黄色粉末 45μm以下
    毒性普通物
    有効期限5年

    ネビジンは粉末状の土壌殺菌剤で、適切な濃度になるように土壌に散布して、ホーやトラクターなどで土壌と混ぜ込むことで長く効果を発揮します。

    ネビジンが効果を発揮する病気・ウイルス

    根こぶ病・そうか病・菌核病

    根こぶ病

    根こぶ病
    ※画像(カリフラワーに発症した根こぶ病):wikimedia commons

    根こぶ病は「アブラナ科の野菜の根にコブができる病気」で、ネコブカビというカビ(病原菌)が土の中で「休眠胞子」の状態で待ち構えていて、そこにアブラナ科の作物が根を出すと一斉に感染を始めます。

    このネコブカビは土壌で10年も20年も休眠状態で待ち構えていたりするので、対策としてはアブラナ科の作物を植える前に殺菌剤で殺菌しなくてはいけません。

    そうか病

    そうか病
    ※画像(ジャガイモのそうか病):wikipedia

    そうか病は、ジャガイモや大根、カブ、ゴボウなどの根菜類に多くみられる病気で、特にジャガイモで多い病気です。

    皮の表面がカサブタ状になってしまうことで、その部分が腐敗してしまいます

    根こぶ病同様に病原細菌が土壌中に潜んでいるので、その土壌に種イモを植えると土壌感染してしまうため殺菌が必要になります。

    https://inakasensei.com/soukabyou

    ネビジン粉剤を散布する

    ネビジン散布のタイミングは?

    ネビジン
    根こぶ病やそうか病などの被害が大きくなるのは、苗や種イモの段階で土壌の中にいる病原菌にさらされることによる感染が原因です。

    ネビジンの使用は植え付けの直前で大丈夫なので、雨の予報があまりない日に散布して土壌内に混ぜ込み、翌日にでも種イモや苗を植えて大丈夫です。

    我が家でもジャガイモを植える前にネビジンを散布しました

    ネビジン散布
    農薬の散布は長年この畑でジャガイモを育てている我が家のおばあちゃん。

    薬量は全面混和の場合で10aあたり30kgですが、おばあちゃん「完全目分量」です!また、あげ過ぎていないのは間違いないので、問題ありませんがゴム手袋はめてササッと撒いています。

    トラクター
    ネビジンをまいた土壌をトラクターで耕うんして混ぜ込んでいきます。トラクターが無い場合はもちろん鍬やホーで混ぜ込んでも大丈夫です。

    根こぶ病やそうか病などの病原菌は土壌の表面に多くいるようなので、混ぜ込む深さは10~15cm程度でOK!

    これで土壌中の休眠胞子が発芽するのをネビジンが抑制してくれる(※ネコブカビなどの菌が死滅するわけではない)ので、数日後に定植作業を行います。

    まとめ

    アブラナ科の作物を植える場合や、ジャガイモや大根などの根菜類は、根こぶ病やそうか病などの厄介な病原菌の対策をする必要があり、我が家では「ネビジン」という土壌殺菌剤を使って対応をしています。

    土壌殺菌剤を使わずに土壌のpHをコントロールしたり、おとり植物(作物)を使う事で土壌内の休眠胞子の密度を減らすという方法もありますが、今回は一番シンプルな方法としてネビジンの使用方法と特徴についてご紹介しました。

    ジャガイモ栽培の一連の工程に関しては、下記の記事でご紹介していますので是非あわせてご覧ください!

    https://inakasensei.com/potato-saibai

  • うどん粉病の原因と対策|効果的な薬剤と重曹スプレーを使うときの注意点

    うどん粉病の原因と対策|効果的な薬剤と重曹スプレーを使うときの注意点

    メロンやキュウリ、カボチャなどのウリ科の作物や、バラ、ぶどうなどを育てていると起きやすい病気に「うどん粉病」があります。

    葉の表面が白くなるために気づきやすく、早期に対処を行えば比較的容易に防除することが可能な病気ですが、対処が遅れると圃場全体に広がってしまう可能性もあるため注意が必要です。

    この記事では、うどん粉病の原因と対策についてと、効果的な薬剤について解説していきたいと思います。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]気を付けててもどうしてもカボチャやキュウリの葉が白くなっちゃうんだよねぇ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]春や秋になるとよーく葉の表面を観察しておいて、異変を察知したら早めに対処するんじゃよ[/chat]

    うどん粉病とはどんな病気?

    うどん粉病

    うどん粉病は、カビが発生することによって葉の表面や茎が粉をふったように白くなる病気です。

    上の方に新たに出た若い葉よりも、地面に近い古い葉に発生しやすいのが特徴です。

    うどん粉病が発生してもすぐに腐ったり枯れたりするわけではありませんが、放っておくと乾燥した風の強い日に胞子が飛散して周囲の葉にも被害が及び、真っ白くカビで覆われた葉は光合成ができなくなり、黄色く変色・奇形・生育不良が起きて枯れてしまいます。

    作物の場合は「味の低下」または「結実しない」こともありますし、草花の場合は「花が咲かなくなる」などの被害が出てしまいます。

    カビが葉の全体に広がってしまうと防除しにくくなるので、比較的被害が小さい時に対策を講じるようにしましょう。

    うどん粉病になりやすい作物

    かぼちゃ

    ウリ科の作物(キュウリ・メロン・スイカ・カボチャ、ズッキーニ)、バラぶどうトマトイチゴナスオクラ 等

    うどん粉病はほぼ全ての作物や果樹、草花に発生する可能性のある病気ですが、上記のウリ科の作物やバラ、ぶどうなどが特に発生しやすいとされています。

    うどん粉病とひと口に言っても種類は様々で、バラに発生するうどん粉病のカビ菌はバラ以外の植物には寄生しません。

    また、うどん粉病のカビ菌は「絶対寄生菌(または純寄生菌)」と言い、生きている植物体の組織からしか栄養補給ができず人工培養が不可能な菌です。

    うどん粉病になった作物・野菜は食べても大丈夫?

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]あと一歩で収穫ってところまできたキュウリがうどん粉病にやられちゃったよう!
    うどん粉病がついたお野菜は捨てるしかないのかなぁ?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]捨てるのは待つんじゃ!うどん粉病の菌自体は人体には無害なので、過食部位が腐ってでもいない限りは食べても何の問題もないぞい![/chat]

    キュウリやカボチャなどに発症することが多いうどん粉病ですが、白い粉のようなものが「カビ」だと知ると、

    「せっかく育ったお野菜も食べられないのではないか?」
    「食べたらお腹をこわしてしまうのではないか?」

    なんて心配になりますよね?

    基本的に、葉や茎などにうどん粉病が広がっている程度でしたら野菜は食べても全く問題ありません。

    ただし、可食部位が腐ってしまっているなどしている場合は、うどん粉病以前に食べられないのでアウトですが、うどん粉病を起こす菌自体は人体には無害です。

    ただし、収穫し終わった株に発生しているうどん粉病は、再度発生しやすく周囲の草花や作物にも影響を及ぼしかねないので廃棄するのが望ましいでしょう。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]廃棄する際は地面などに放置せず、しっかりとビニール袋などで密閉して可燃ごみで出すようにしよう![/chat]

    うどん粉病の原因と発生しやすい条件とは?

    堆肥

    うどん粉病が発生しやすい時期

    うどん粉病はカビが原因ですが、一般的な高湿度を好むカビとは違い、乾燥した環境でも関係なく発生します。

    真夏の高温期や雨が続く梅雨の時期はあまり発生しませんが、乾燥気味~そこそこの湿度で、雨の日や晴れの日が繰り返すような時期(春先~初夏:5~7月、晩夏~初秋:9~10月)等によく発生します。

    最もうどん粉病のカビ菌が発生しやすいのが25℃付近で、10℃~34℃の範囲で活動するので、極端に暑い時期や真冬を除いたすべての時期で発生の可能性があります。

    乾燥した時期に風に乗ってカビ菌が飛散し、短期間で大発生することも少なくないので注意しましょう。

    うどん粉病が発生してしまう原因

    ・土壌の窒素肥料分が多すぎる
    ・夜間の涼しい時間帯の水やりによる高湿度
    ・うどん粉病が発生しやすい種(在来種)である
    ・葉が茂りすぎて日当たり・通気性が悪い
    同じ種類の作物を続けて育てている
    ・土壌の水はけが悪い

    うどん粉病が発生しやすい条件には上記の項目があります。

    特に土壌の窒素分が多く、作物が軟弱徒長してしまっている場合はうどん粉病が発病しやすく、葉が茂りすぎて通気性や日当たりが悪い場合でも起きやすいです。

    前述の通り、作物によって発病するうどん粉病の種類が違うので、同じ種類の作物を育て続けている場合も頻繁にうどん粉病が発症する原因となります。

    薬剤を使って防除している場合でも同じ薬剤ばかり使っていると耐性菌ができやすいので、ローテーションで使う薬剤を替えることで対策を講じることができます。

    うどん粉病の予防・防除方法

    うどん粉病

    うどん粉病の発病を予防するためには、前述の「うどん粉病の発症原因」を元に発生条件を避けることが一番効果的です。

    土壌の窒素成分が多い場合はカリを増やすなどしてバランスを取り栄養過多になりすぎないように調整し、葉が茂りすぎて通気性が悪い場合は間引き・剪定を行って日光が当たるようにしましょう。

    乾燥している時期には風に乗って胞子が飛散するので、定期的に散水することでも多少の防除効果があります。

    しかし、どうしてもうどん粉病が発生してしまう場合は、薬剤や殺菌効果のある液体の散布などによって防除する必要があるでしょう。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]薬剤かぁ、あまり薬は散布したくないんだけどなぁ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]では最初に「重曹」「お酢」を使った方法を紹介するぞい![/chat]

    うどん粉病対策に重曹スプレーや食酢スプレーは有効?

    うどん粉病が発症してしまった後の対策として、薬剤をどうしても使いたくない方におすすめなのが「重曹」「食酢」を使ったスプレーを自作するという方法です。

    うどん粉病のカビ菌に対する殺菌効果を持つ水溶液を作ることで退治することができるのですが、注意点と合わせて作り方を解説していきましょう。

    重曹スプレーの作り方

    重曹

    作り方は簡単で「重曹と水を1:1000の割合で溶かす」だけ!

    水1リットルに1グラムの重曹を溶かすだけでできるのでとても簡単です。

    あとは霧吹きや噴霧器で水溶液を散布しましょう。

    重曹スプレーを使うときの注意点

    自作の重曹スプレーの使用上の注意点としては以下の2点です。

    1.効果を高めるために希釈倍率を上げると葉に薬害が出ることがある
    2.市販の薬剤に比べて効果が乏しい

    重曹スプレーを作る方法として、希釈倍率を500倍~1000倍としているところもありますが、500倍の濃度(水500mlに対して重曹1g)では、吹きかけた葉が黒ずむなどの薬害が出ることもあります。

    1000倍の濃度でしたらさほど問題がないのですが、効果が乏しい場合は複数回に分けて塗布するなどの工夫が必要でしょう。

    食酢スプレーの作り方

    食酢

    食酢スプレーの場合は、約20倍希釈(お酢2~3mlに対して水は40~60mlの量)で作成します。

    お酢の場合も、重曹同様に倍率を上げ過ぎたりせずに、複数回にわたって塗布するようにしましょう。

    うどん粉病対策に有効な薬剤・農薬

    うどん粉病は、発生初期段階であれば安全で効果的な薬剤・抗菌剤が数多くあるので駆除にはあまり困らないことが多いです。

    ここでは主なものを紹介しますが、被害を受けた作物・果樹・草花によっては適応が無い場合もあるので、詳しくは各薬剤の適応表などを確認してから使用するようにしましょう。

    1.カリグリーン

    カリグリーンは、炭酸水素カリウムが主成分の抗菌剤・殺菌剤で、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能なので、カリグリーンを使用してもオーガニック野菜として扱えます。

    ミツバチなどの有益昆虫には害はなく散布翌日に野菜を収穫することができるほど安全性は高いです。

    初期のうどん粉病への殺菌効果は強いですが、病気が蔓延している場合の効果は薄いのと予防効果は無いので発症後できるだけ早く散布することで安全かつ効果的にうどん粉病の駆除ができます。

    うどん粉病への適応がある作物は下記の通りです。

    野菜類、ブルーベリー、リンゴ、麦類、花・観葉植物

    カリグリーンの適応表などを確認する

    2.ダコニール

    うどん粉病への殺菌効果が高い薬剤としておすすめなのがダコニールです。

    主成分のTPN(クロロタロニル)は有機塩素系・日浸透性の殺菌剤で、初回登録(1965年)から50年以上も国内外で使用されているにも関わらず、耐性菌がほとんど出てこないことから長年にわたって抗菌剤として使われています。

    うどん粉病以外にも、もち病炭そ病斑点病などの葉の色が変色する病気に広く効果があるので、ゴルフ場の芝などに大量に使われることで知られている薬剤でもあります。

    水生生物を除いて大きな環境的な問題は無いとされていますが、使用回数や適応植物などについては使用前にしっかり確認するようにしましょう。

    バラ・キク・観葉植物・野菜類・たばこ 等

    ダコニールの適応表などを確認する

    3.サンクリスタル乳剤

    サンクリスタル乳剤は、ヤシ油より精製した「脂肪酸グリセリド」を主成分とする殺菌剤で、脂肪酸グリセリドは食用の油なので人畜毒性が極めて低いのが特徴です。

    うどん粉病の菌糸を速効的に死滅させるだけでなく、ハダニやアブラムシなどの害虫の気門を塞いで窒息死させる効果が高いので、うどん粉病駆除と合わせて害虫防除を行いたい場合におすすめです。

    作物は散布翌日から収穫が可能です。

    野菜類、花・観葉植物・イチゴ 等

    サンクリスタル乳剤の適応表などを確認する

    4.カダンD

    カダンDは、スプレータイプの家庭用殺菌殺虫剤です。

    主成分はアレスリンTPNで、草花専用の薬剤なので野菜への使用はできません。

    うどん粉病の被害が草花(特にバラ)に起きているときに、簡易的に利用するのにおすすめですが、かぶれやすい体質の人や体調が悪い場合は使用を避けた方が良く、安全性の面での使用上の注意点が多いです。

    水で薄めたりする必要が無く、すぐ使えるという点がメリットと言えるでしょう。

    バラ

    カダンDの適応表などを確認する

    5.ベニカXスプレー

    ベニカXファインスプレーは、クロチアニジン・フェンプロパリトン・メパニピリムを有効成分とした殺菌・殺虫剤です。

    害虫に対して速効性があり、うどん粉病にも効果があるので簡易的なスプレーを求めている方におすすめです。

    花や庭木以外にも、ナスやキュウリのうどん粉病にも適用があり、収穫前日まで使用が可能です。

    殺虫成分が強く、カイコやミツバチにも害があるので使用時には注意しましょう。

    バラ、花・観葉植物、ツツジ類、ヒイラギ、マサキ、樹木類、ナス、キュウリ 等

    ベニカXファインスプレーの適応表などを確認する

    まとめ

    うどん粉病は、ほぼすべての植物に発生する可能性のある病気で、早期に対処すれば駆除はさほど難しくないことがお分かりいただけたかと思います。

    最後にもう一度簡単にまとめましょう。

    ・うどん粉病は、カビが原因で葉や茎が白くなる病気
    ・うどん粉病に侵された作物でも、可食部分の被害が大きくなければ食べられる
    土壌の窒素分が多かったり、日当たり・通気性が悪いと発生しやすい
    ・高湿度時よりも乾燥しているときに発生し、風に乗って胞子が飛散して短期間に広まる
    ・重曹や酢で自作スプレーをしても良いが、効果は限定的で濃く作りすぎると薬害を生じる
    ・花なら市販のスプレー剤でもいいが、作物や果樹にはカリグリーンダコニールが良い

    多種多様なうどん粉病を退治するには、しっかりと適応のある薬剤を使用することが大切です。

    初期段階での駆除はさほど難しくないので、しっかりと管理を行って葉の表面が白くなったのを見つけたら早急に対処するようにしましょう!

  • すす病|おすすめの殺菌剤・薬剤・無農薬でできる対策まとめ

    すす病|おすすめの殺菌剤・薬剤・無農薬でできる対策まとめ

    庭木、観葉植物、野菜や果樹など、様々な植物に発症することがある「すす病」は、その名の通りすすをかぶったように枝葉が真っ黒になってしまう病気です。

    対策方法がわからず放置してしまう人も少なくありませんが、そのままにすると光合成が阻害されてやがて枯れてしまいます。

    この記事では、すす病の原因となる害虫の駆除方法と、すす病を改善するための対策をご紹介いたします。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]葉っぱが真っ黒になっているのも驚いたけど、そのそばにびっしりと虫がついていたんですけど![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]すす病の原因のほとんどは、茎葉から吸汁する害虫なんじゃ!詳しく解説していくぞい![/chat]

    すす病とはどんな病気?

    すす病

    すす病は「すす病菌」というカビが原因で起こる病気です。

    植物がすす病になる原因としては、害虫が原因で起きる「腐生性のカビ」直接植物に寄生して繁殖する「寄生性のカビ」の2パターンがあります。

    腐生性のカビ:アブラムシ・カイガラムシ・ハダニ等の排泄物が原因で繁殖
    寄生性のカビ:樹木に直接寄生して養分を吸い取り繁殖

    この2つの原因のうちどちらがすす病菌を繁殖させているのかによって、取るべき対策が多少変わってきます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]えっ、同じすす病でも対策が変わってくるの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]害虫が原因で起きるすす病の場合は、原因となる虫を駆除しないと根本的な解決にならないんじゃよ[/chat]

    すす病が発症すると、すすをかぶったように真っ黒になってしまうため、美観が損なわれるだけでなく、茎葉が黒くなることで光合成ができなくなり、最終的には樹勢が衰えていき枯れる原因となってしまいます。

    腐生性のカビと寄生性のカビの見分け方

    適切な対策を取るためにはすす病菌が腐生性と寄生性のどちらかわかっていると対策がとりやすいでしょう。

    すす病が起きている葉の周りにアブラムシやカイガラムシが付着していれば間違いなく「腐生性」とわかりますが、もし周囲に見つからない場合でも葉の表面だけにすす病が集中していれば害虫が原因であることが多いです。

    寄生性のカビの場合は、葉の裏表両方にすす病が広がっています。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]なんで腐生性のカビは葉の表面だけにしか付着しないの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type2″]腐生性のカビは、害虫の排泄物に含まれる糖分が原因で間接的に菌を増殖させる役目を果たしてしまうので、排泄物が付着しやすい葉の表面に菌が広がることが多いんじゃよ[/chat]

    すす病が発生しやすい時期は?

    すす病の発生時期は、春~秋の暖かい時期になります。

    冬はカイガラムシやアブラムシなどの害虫の活動も停滞することから、病気の進行も収まるように見えますが暖かくなると再発生するので注意が必要です。

    12月~2月は植物も休眠期間に入るため、カイガラムシやアブラムシ防除の薬剤による薬害が出にくい時期になりますので、この期間中に薬剤散布を行う事が多いです。(※詳しくは後述するカイガラムシの防除法のリンク先をご参照ください)

    すす病は人体への影響はあるの?洗えば果実は食べられる?

    すす病の果実

    すす病はカイガラムシが原因になることも多いため果樹が被害に遭うケースが多く、柑橘系(みかん等)、リンゴ、ナシなどに特に多い病気です。

    すす病が発生した果実は人体に影響はありません。

    洗えばすす病で真っ黒になった部分は取り除くことができるため、食べても問題はありませんが、スーパーなどで購入する商品にはすす病のものが紛れていることはあまりないでしょう。

    もしご自身で育てられている果樹がすす病の被害に遭ってしまった場合は、よほどひどくない限り洗って食べることができます。

    すす病の原因となる虫|カイガラムシとアブラムシ

    カイガラムシ

    すす病の原因になる害虫には、口吻を植物に突き刺して吸汁する「アブラムシ」「カイガラムシ」などがいます。

    これらの害虫の排泄物には糖分が多量に含まれているため、それを栄養分としてすす病菌が繁殖してしまうため、害虫が原因で起きるすす病は害虫の駆除が根本的な対処法となります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]アブラムシやカイガラムシの駆除方法については、下の記事で解説しているよ![/chat]

    すす病の対策①|無農薬で行うすす病対策

    無農薬ですす病を退治するには、「ふき取る・加害された葉を摘み取る・剪定する」などの物理的な方法のほかに、竹酢液を散布するという方法があります。

    農薬成分は無く、抗菌・殺菌作用をもってすす病菌を駆除する効果がありますが、薬剤に比べて効果は乏しく、特にカイガラムシなどの害虫が原因である場合は根本的な対策にならないことが多いでしょう。

    混みあった葉や枝を剪定することは、通気性と日光の通りを良くするので暗く湿った場所を好むカイガラムシの予防にもつながるのでお勧めです。

    鉢植えなど被害の範囲があまり広くない場合であれば、カイガラムシを全て採り除き、葉を一枚一枚ふき取って竹酢液を散布するなどの方法も有効かもしれません。

    すす病の対策②|薬剤・殺菌剤・農薬を使う方法

    すす病の対策として最も効果的なのは、カビ(糸状菌)に対して効果がある薬剤(殺菌剤など)を使う方法です。

    すす病の原因のほとんどが害虫(カイガラムシ・アブラムシ)によるものなので、これらの対処法としてもどうしても強い薬剤が必要になるので、害虫の駆除とカビの駆除に薬剤を使う事になります。

    アブラムシに関しては無農薬でも比較的効果のある方法がいくつかあるのですが、カイガラムシは薬剤が効きにくく防除が難しいので、本気で対策をする場合はしっかりと薬剤を使う必要があります。(※詳しくは前述のカイガラムシの防除法のリンク先をご覧ください)

    すす病の原因となる害虫を駆除した後のすす病の対策としては、「トップジンMゾル」「ベンレート水和剤」などの薬剤が効果的です。

    トップジンMゾル

    家庭園芸用トップジンMゾルは、すす病菌などのカビ類(糸状菌)が原因で起きる広範囲の病気に効果があります

    特徴としては、既に発症済みの病原菌を退治する効果だけでなく病原菌の侵入を防ぐ予防効果も兼ね備えている殺菌剤ですので、予防目的で予め散布することも可能です。

    水で薄めて散布するタイプの商品で植物に対する薬害も少ないので使いやすく、毒性も「普通物」であるので安心して使用できます。

    注意点としては、使用時に手袋とマスクをつけて皮膚への付着を予防するなどの基本的なことを守れば問題はないでしょう。

    トップジンMに関しては、以下の関連記事でペーストの殺菌剤について詳しく解説しています。高価や機序などは同様なので参考にしてみてください。

    https://inakasensei.com/topjin

    ベンレート水和剤

    ベンレート水和剤もすす病に効果がある殺菌剤のひとつで、治療と予防の両方の効果を持ち合わせています。

    茎葉に現れている病害以外にも、種子伝染性病害土壌病害などの多方面にわたって効果があるのが特徴で、低濃度でも使用ができるので薬害や作物の汚れが少なくて済むというのも特徴のひとつです。

    毒性は「普通物」です。

    ベンレートと比較されることの多い「ダコニール1000」に関して、下記の記事でベンレートとの違いを解説しています。

    殺菌剤の種類についてご存知ない方は是非あわせてご覧ください。

    https://inakasensei.com/daconil1000

    まとめ

    枝葉が黒ずんでしまうすす病は、カイガラムシやアブラムシによって間接的に発生してしまう(ことが多い)病気であるため、基本的にはこれらの害虫の駆除が先決です。

    害虫を駆除した後の対処法は、無農薬と殺菌剤を使った方法のいずれもありますが、一番のポイントはいかにカイガラムシやアブラムシを発生させないかという点に尽きるので、まずは害虫の駆除をしっかり行うようにしましょう。

    ちなみに私は(カイガラムシが原因のすす病が発症した時は)、冬季のアプロード水和剤(5月)とマシン油乳剤(12月)、石灰硫黄合剤(2月)の散布でカイガラムシを徹底防除した後に、すす病被害のある葉をトップジンの散布で殺菌しています。
    (※ただし、石灰硫黄合剤は近隣に住宅がない我が家のような田舎だからできる方法なので注意しましょう)