こんにちは、田舎センセイです。
私は若い頃にニュージーランドに1年間住んでいたことがあるのですが、その当時は主にブドウ畑で仕事をしていました。
ランチを持参して仕事仲間と食べる昼食は美味しかったのですが、おそらく私が一番多く作った昼食が「ボイズンベリーのパン」。
私はジャムパンはまったく食べないのですが、NZに住んでいた時に見つけたボイズンベリージャムは毎日食べたくなるほど美味しかったんです。
日本ではほとんど見かけることのないボイズンベリー(日本ではボイセンベリーと呼ぶことが多い)ですが、ネットで苗が流通していることを知り、自分で果実を収穫してあのジャムを再現したいと思い立ちました。
まだまだ日本ではなじみのない食材ですが、とても栄養価が高く美味しい果実なので本記事で育て方とともにご紹介していきたいと思います。
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ボイセンベリー(ボイズンベリー)とはどんな植物?
- 和名:ボイセンベリー/ボイズンベリー 別名:アドベリー(滋賀県高島市安曇川)
- 学名:Rubus idaeus × R. ursinus
- 英名:Boysenberry
- 階級:バラ科キイチゴ属
- 分類:つる性多年生植物
- 原産:アメリカ・カリフォルニア州
- 花期:4~5月
- 特徴:寒さに強い、育てやすい
ボイセンベリーの原産はアメリカのカリフォルニア州で、元々ボイセンベリーがなっていた農場の持ち主であるルドルフ・ボイズン(Rudolph Boysen)の名前から付けられました。
ニュージーランドでは、私も数ヶ月住んでいた南島北部のネルソン近郊で沢山栽培されていて、NZ国内のスーパーには必ずボイセンベリーのジャムやデザートが並んでいます。
ボイセンベリーはブラックベリーとラズベリーの交配種と言われているけど・・・
ボイセンベリーは「ブラックベリーとラズベリーの交配種」と言い切っているサイトもあります。しかし、これは有力な説の1つではありますが実はまだどのようにして誕生したのか確かなことはわかっていません。
ブラックベリーとラズベリーを交配させてもボイセンベリーになったのは確認されていないんですね。
一説によると「ローガンベリーも混ざっている」とか「突然変異で生まれた」などとも言われていますが、よくわかっていないんです。
学名が「Rubus idaeus (ヨーロッパキイチゴ)× R. ursinus(カリフォルニアブラックベリー)」となっているので、ヨーロッパキイチゴも交配種の中に入っているのかもしれません。
なんにせよ、このような美味しいキイチゴが廃れることなく見いだされ、重要な栽培植物になっていったのは興味深いですよね!
ボイセンベリー(ボイズンベリー)の味は美味しい?まずい?
味というのは好き嫌いが分かれるものだと思いますが、私はニュージーランドに住んでいる時に食べたボイズンベリージャムの味に感激して栽培を望みました。
この味に思い入れがあるからこそ栽培をしたので、個人的には美味しいと思います。
特に酸味が爽やかなので生食も良いですが、ジャムやデザートのトッピング、パンやシリアルに加えるなどの食べ方もおすすめです。
ニュージーランドでは、ボイズンベリーパイやアイスクリームのフレーバーとしても人気がありました。
キイチゴ特有の酸味と、小さな種が沢山あるので後味が気になる人もいると思います。
交配元になったと言われているブラックベリーよりは、口の中に残る雑味感は少ないと思いますが、やはり私はジャムに加工した時が一番美味しい気がしますね。
ボイセンベリー(ボイズンベリー)の栄養価・効果・効能
ボイセンベリーは「ベリーの宝石」とか「ミラクルベリー」などと呼ばれることもあり、その豊富な栄養素と効能が近年注目を集めています。
欧米では健康果実の1つとしての認識が一般化していて、健康志向の人に愛される果実として定着しています。
ボイセンベリーの主な効果・効能
上記の効能については、ボイセンベリーに含まれるアントシアニンなどのポリフェノールや、エラグ酸と呼ばれるフェノール類による抗酸化作用がもたらすとされるものがメインです。
シミ・ソバカスの原因になるメラニンを作り出すチロシナーゼという酵素を、ボイセンベリーが持つエラグ酸が働きを抑制してくれるので美肌効果があると言われています。
国連食糧農業機関(FAO)によるとボイセンベリーに含まれるポリフェノールの量がベリー類の中でも特に多く、ブルーベリーの6倍も含まれていることが老化の抑制に効果があると言われる理由です。
また、日本栄養・食糧学会誌(第64巻 2011年)に掲載された論文によると、ボイセンベリー果汁を添加した高脂肪食をラットに摂取させたところ、体重増加量・体脂肪蓄積・肝臓脂質中の中性脂肪量・総コレステロール量を優位に低下させたとあります。
このことから、ボイセンベリーは肥満やメタボリックシンドロームの改善にも有用である可能性が示唆されています。
肥満抑制効果についての個人的な意見(余談)
あくまでも個人的な感想ですが、世界最大のボイズンベリー生産国であるNZですが、世界の肥満率ランキング(*WHO版)では比較的上位に位置していることを考えると、ボイセンベリーだけを食べててもダメってことですよね。
サモアやトンガのようなポリネシアに属する国々の肥満率が高いことからもわかるように、NZ先住民のマオリの人たちもふくよかな人が多かったので、遺伝子的な要因もあるとは思います。
NZは世界最大のアイスクリーム消費国でもあり、ボイセンベリーフレーバーはNZで大人気。そりゃアイスクリームのカロリーとボイセンベリーの肥満抑制効果を比べると、アイスクリームが勝ちますよねw
ボイセンベリーの栄養価(100g中)
エネルギー | 50 kcal |
たんぱく質 | 1.10 g |
脂質 | 0.26 g |
炭水化物 | 12.19 g |
食物繊維 | 5.3 g |
葉酸 | 63 ㎍ |
ビタミンC | 3.1 mg |
カリウム | 139 mg |
カルシウム | 27 mg |
マグネシウム | 16 mg |
ボイセンベリーの苗を通販で購入しよう!
ボイセンベリーの苗は、地域差もあるとは思いますがホームセンターの苗木コーナーなどにはおいていません。
日本のごく一部のベリー農家さんで栽培・販売をしている程度で、日本国内での認知度も低いので見つけるのは困難です。ネット通販で購入するのが一番手軽です。
・ブラックベリーをボイセンベリーとして販売しているものがある
・ソーンフリー(棘無し)と棘アリ品種のどちらを購入するか
・12月から5月くらいまでの間に購入しよう
苗木の購入の際に注意したいのが「品種が本当にボイセンベリーかどうか」「棘アリ品種か棘無し品種か」「購入の時期は12月から5月の間か」という3点です。
見た目がよく似たブラックベリーを(知ってか知らずか)ボイセンベリーとして販売しているところもあるようなので注意が必要です。
ボイセンベリー | ブラックベリー |
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画像:wikimedia commons | 画像:wikimedia commons |
また、バラ科キイチゴ属なので本来は枝に棘がある品種です。
ブラックベリーの棘無し品種がボイセンベリーと言われているかのような販売の仕方をしている店舗もありますが、ボイセンベリーには棘アリ品種も棘無し品種も両方あります。
私がNZに住んでいた時に見かけたボイセンベリー果樹園では、棘アリと棘無しの両方の品種を栽培していました。原種に近い方はおそらく棘アリのものだと思いますが、収穫のしやすさを考えるとソーンフリー(棘無し)品種で問題ないでしょう。
植え付けの適期は5月くらいまでなので、苗木の購入の時期にも注意しましょう。
おすすめのボイセンベリー苗の販売店舗
瀬戸内ベリーファーム
私が苗木を購入したのが「瀬戸内ベリーファーム」さん。
栽培用のマニュアルなどもつけていただけるので、初めて栽培する人でも安心です。
3株購入しましたが、いずれも青々とした葉をつけた元気な苗でした(※購入時期によって葉の量や苗の状態は変わります。私が購入したのは5月初旬)
楽天市場ならこちら
ボイセンベリー(ボイズンベリー)の育て方・栽培方法
ボイセンベリーの育て方としては「鉢植え栽培」か「露地栽培」の2パターンがあります。
育てやすいのは「露地栽培」の方ですが、全ての方が露地栽培をできるわけではないのでそれぞれのパターンについて栽培のポイントをまとめます。
まずは鉢植え、露地植えに関わらず共通する栽培のポイントについて。
ボイセンベリー栽培の基本事項(露地・鉢植え栽培共通)
1.摘果・受粉作業は不要。1株あれば収穫まで可能
2.収穫時期は6月
3.毛虫などバラ科の植物につきやすい虫がつくので見つけ次第補殺する
4.施肥は3月(実肥)、7月(お礼肥)、11月(休眠前)に化成肥料などをしっかり与える
5.夏の剪定:果実をつけ終わって夏に枯れた枝を根元から剪定して取り除く。春に株元から新たに生えてきた枝は3本程度に間引いて伸ばす。
6.冬の剪定:秋までに伸びた枝の中で、弱く細い枝、長すぎる枝を剪定する
上記項目は、鉢植え・露地植えに関わらず共通の栽培ポイントです。
栽培しやすいポイントとしては受粉作業が不要なので1株でもあれば収穫が可能な点。
逆に注意すべき点としては「肥料をしっかり与えること」と「剪定(特に夏)を行う必要があること」です。
6月の収穫を終えると夏に枝が枯れるので株元から取り除きますが、4月頃に株元から新たな枝が出てきているのでそちらは数本に間引いて秋に向けて伸ばしていく必要があります。
冬の間には葉が落ちますが、枯れているわけではないのでその枝を切り落とさないように注意しましょう。冬の剪定はあくまで弱々しい枝を間引く程度に留めます。
ボイセンベリーを鉢植えで栽培する場合
1.植え付けは12月~5月の間に行う
2.用土は一般の培養土でOK
3.日当たり&風通しを好むが真夏は半日陰の場所へ
4.室内栽培は不可
5.水やりはほぼ毎日
6.蔓が伸びるので支柱などで誘引する
7.鉢の大きさに比例して成長するので、10号以上のできるだけ大きい鉢を選ぶ
8.耐寒性が高いので冬季はしっかり寒さにあてた方がいい
鉢植えで栽培する場合は、置き場所・水やり・鉢の大きさに注意を払う必要があります。
鉢が大きい方がよく育つので10号以上のものを選ぶようにし、露地栽培のように根が深く潜らないので頻繁に水やりを行う必要があります。鉢の置き場所も風通し&日当たりがいい場所を選ぶようにしますが、真夏はやや日陰があった方がいいです。
届いたポット苗はしっかり根がはっていました。根の成長はかなり早そうで、小さい鉢ではすぐに根詰まりを起こしてしまうことが容易に想像できますね。
私は10号の鉢に植えつけ、午前中いっぱいしっかりと日が当たる納屋の軒下に起きました。
用土は、赤玉土:腐葉土=6:4程度に混ぜたものを使っていますが、購入元の瀬戸内ベリーファームさんのマニュアルでは、腐葉土を3程度にして、砂を1加えた比率をおすすめしています。
何種類も用土を用意するのが大変な場合は、市販の培養土でOKなので下の商品のようなものを使えば大丈夫です。
ボイセンベリーを露地植えで栽培する場合
1.植え付けは12月~5月の間に行う
2.土は粘土質で無い場所であれば問題なし。堆肥を入れるとベター
3.日当たりを好むが半日陰でもOK
4.晴天続きで土壌が極度に乾燥していれば水やりを行う
5.蔓はフェンスやアーチ状にした支柱に誘引する
ボイセンベリーは鉢植えで栽培するよりも地植えにしてしまった方が栽培は楽です。
地中深くに根が伸びるので水やりの頻度は夏場の乾燥続きの時だけで良いですし、植えた土地が広ければ広い程ツルも伸びて収穫量も増えます。
私は畑の一画、柿の木の下の日中は半日陰になる場所に穴を掘り、完熟牛糞堆肥を混ぜ込んだ後に植えつけました。
やや粘土質の土壌ですが、上手く成長してくれたら奥に見えるコンポスト容器の方に誘引していく予定です。
まとめ
私が若かりし日に暮らしていたニュージーランドの思い出の味「ボイセンベリー」は、日本ではまだまだなじみがないですが本当に美味しく香り高い果実なのでオススメです。
耐寒性もあって栽培はさほど難しくなく、初心者でも籠一杯に収穫できる位には育てられるので、是非苗木を購入して栽培をしてみてくださいね!