こんにちは、田舎センセイです。
当サイトではスギナやカヤツリグサなどの厄介な雑草の除草方法をいくつかご紹介してきましたが、その中でも多くの方からお問い合わせをいただく質問に「苔(コケ)を枯らさずにスギナだけを除草したい」というものがあります。
スギ苔やハイ苔等を育てている方が多くいらっしゃり、隙間にスギナが生えてきてしまって困っている方が多いようなのです。
そこで本記事では、苔類に影響がほとんどなく使える除草剤について解説したいと思います。
苔(コケ)を枯らさずに使える除草剤は「プリグロックスL」
数ある雑草の中でも特に強固で根絶が難しいのが「スギナ」ですが、苔の間などにも生えてきてしまうことが多いのです。
周囲に何もないのであれば非選択移行性のグリホサート系の除草剤であるラウンドアップが根まで枯らしてくれるので最も効果的なのですが、作物や苔など枯らしたくないものの周囲にスギナ等の雑草が生えてしまっていると、どうしても雑草だけに効く除草剤を選ばなくてはなりません。
一般的に「パラコート剤」と呼ばれる種類の除草剤は、ビピリジニウム系とされる除草剤で、「パラコート」と「ジクワット」、「パラコートとジクワットの両材を含有するもの(ジクワット・パラコート剤)」の3種類があります。
その中でも、今回の「苔を枯らさずに使える除草剤」としてジクワット・パラコート液剤の「プリグロックスL」(もしくはマイゼット)をおすすめします。
※マイゼットはプリグロックスLと同一成分剤
プリグロックスLとはどんな除草剤?【特徴】
プリグロックスLは、非選択性接触型の除草剤で触れた部分に反応して茎葉を枯らす除草剤です。
苔の販売店など、苔を専門に扱う所では苔に対する影響が少ない除草剤としてプリグロックスLを勧めていることが多いですね。
・散布後1~3日で効果が出るので速効性が高く、持続性に乏しい
・付着した茎葉だけ枯らすので、根までは枯れない
・光エネルギーで枯らすので気温が低くても効果がある
・土壌に触れると素早く不活性化する
・毒物指定されているので、購入には手続きが必要
効果面では、速効性が高くすぐに効果が表れるため、散布直後に雨が降っても効果が流れることなく枯れてくれます。
根を枯らすことが無いので、土砂崩れなどの危険のある斜面での除草作業に使われることが多く、(希釈倍率に注意する必要がありますが)数ある除草剤の中でも苔に影響が少なく、スギナなどの強害雑草にも効果がある除草剤です。
ただし、スギナは根茎で増えるので根まで枯らさないと根絶はできず、茎葉しか枯死させることができないプリグロックスLでは完全な除草はできませんが、翌年の発生を抑える効果があるので使用前後を比べるとスギナの数はまばらになると思います。
プリグロックスLの使用上の注意点
1.あまり日光が強いく気温の高い時に散布しない
日光が強く気温の高い日中は効果がまばらになりやすいので、気温の落ち着いた夕方に散布するのが好ましいです。ただし、気温が20℃を下回るくらいなら日中でも構いません。
2.医薬外毒物指定されているので購入には農協などで署名・押印が必要
プリグロックスLに含まれる「パラコート(塩)」は毒物指定されていて、過去に誤飲事故による中毒死者を多数出し何度も問題になっています。
かつて販売されていたパラコートが24%や38%も含まれていた高濃度の除草剤の生産は中止され、現在では中毒性の低い濃度にしたプリグロックスL(パラコート5%、ジクワット7%)が使われるようになっています。
当然使用方法に注意すれば全く問題ないのですが、毒物指定されている商品であるため一般のホームセンターやAmazonなどの通販サイトでは取り扱いが無く、購入には本人確認の他、署名・押印が必要になることがほとんどで、18歳未満は購入すらできません。
皮膚に付着するとかぶれることがあるので、長袖長ズボンは必須で、農薬の取り扱いになれていない人は十分注意する必要があります。
薬剤散布には蓄圧式散布機などを使ってむらなく薬剤がかかるように道具もそろえておくようにしましょう。
3.苔に使用する場合は希釈倍率に注意
プリグロックスLの販売元ではスギナの駆除には50倍液散布を推奨していますが、その倍率だと苔にも大きなダメージが出てしまうので、基本は100倍希釈までにしておいた方が良いでしょう。
スギナ以外の雑草であれば200倍希釈液で問題ありません。
まとめ
今回は、かねてから質問の多かったスギナの駆除方法の中から、特に苔栽培などを行っている方でも使える除草剤として「プリグロックスL」をご紹介しました。
購入しにくいのが難点ですが、使用上の注意点をしっかり守ってご利用くださいね。