こんにちは、田舎センセイです!
マダガスカルに自生する「オペルクリカリア/Operculicarya」は、ウルシ科のコーデックスで、ゴツゴツした幹に山椒のような小さな葉が特徴的です。
中でもコーデックスの王様とも呼ばれる「パキプス(pachypus)」はコーデックス好きなら一度は育ててみたいと思う品種で、発根済みの現地球株は高値で取引されていますね。
私はいつかはパキプスを育ててみたいのですが、今回は日本でも比較的流通量の多い「オペルクリカリア・デカリー/Operculicarya decary」の種子を購入したので、種から実生株を育てる過程を定期的に更新しながらご紹介していこうと思います。
Contents
オペルクリカリア・デカリー(Operculicarya decary)とは
- 和名:オペルクリカリア・デカリー
- 英名:Operculicarya decary
- 階級:ウルシ科オペルクリカリア属
- 原産:マダガスカル トゥリアーラ州
- 形態:ゴツゴツとした幹が特徴的、塊根はうねっている
- 特徴:パキプスに比べて枝がまっすぐ伸びる
フランス人博物学者のレイモンド・デカリー博士の名前から付けられたと言われている「オペルクリカリア・デカリー」ですが、オペルクリカリアの品種の中でも最も日本に流通している品種です。
ゴツゴツした幹は多肉植物というよりは、複雑に交差する枝とそこから伸びる小さい葉がまるで「盆栽」のようです。
※基本情報は下の本を参考にしています。コーデックス栽培の第一人者であるisla del pescadoさんが編集協力しているのでおすすめですよ!
種はドイツの多肉・サボテン種子通販サイト「Koehres」で購入
オペルクリカリア・デカリーの種子は比較的購入しやすく、メルカリや多肉植物ワールドでも時期によっては取り扱いがあるようです。
私は今回はドイツの多肉・サボテン種子販売サイト「ケーレス(Koehres)」さんから20粒購入しました。
私が購入した請求書を見ると、ケーレスではオペルクリカリア・デカリーの種子は10粒で2.2ユーロ(約278円:2019年3月15日現在)でした。私は2パック購入したので、500円ちょっとで20粒を購入した感じですね。安い! (※検疫手数料やら送料があるので実際はもう少しかかってます)
パキプスの種子もあったらよかったのですが、流石にケーレスでも取り扱いが無かったので、機会があれば実生チャレンジしてみたいですね。
オペルクリカリア・デカリーの実生挑戦記録
オペルクリカリア・デカリーの種子の準備
オペルクリカリア・デカリーの種子は、これまで私が扱ったことのある種子の中で最も大きく、レーズン位のサイズはありました。
用意していたプレステラ90だとせいぜい9個が限界な気もしましたが、無理やりつめて10個ずつ2つの鉢に植えることにしました。
種子の周囲についた「果肉」は取り除くべきか?
オペルクリカリア・デカリーの種子は、コーデックスの種子にしては珍しく種の周囲に「果肉」のようなものがついています。
デカリーの種子の播種方法を調べてみると「果肉を取り除いてから植えた方がいい」という意見と、「特に気にせずそのまま植えている」という人の意見の両方がありました。
自然環境とか生物の生存戦略を考えると、「果肉が付いている」という事は自生地に棲む動物や鳥に種ごと食べてもらい、糞として消化しきれなかった種が遠方に散らばって生息範囲を拡大するという類の種子だと推測します。
であれば、やはり果肉を取った方が本来の発芽前の種子の状態に近いはず!(自生地の種子の果肉は消化されてキレイさっぱり無くなっているはずだから)
また、これから腰水に浸けて高温&多湿環境で発芽をさせることを考えると、果肉が付いていると間違いなくカビやすいはずです。実際に「果肉がカビた」という体験談も見つけました。
※各種子の浸水殺菌中(オペルクリカリア・デカリーは一番手前のひと際大きい種子)
そこで私は、メネデール&ダコニール1000倍希釈液に12時間ほど種子を浸した後、ブヨブヨにふやけた果肉をティッシュで拭い取りました。
※果肉をすべて取り除いた後
ティッシュで拭い取った後に水の中で指の腹で丁寧にこすり洗いをし、最後はティッシュよりも少し硬めのウェットタオルで残った果肉を全て採り除きます。
種の外殻はかなり固いので多少力を入れても割れることはなさそうでした。
これで播種前の準備完了です!
オペルクリカリア・デカリーの種子は覆土をするべき?
パキポディウムの種なんかは好光性種子とされていて、土の中に種を全て埋めてしまうと発芽しにくくなってしまうので土の上に並べるだけにする(せめて半分埋めるくらいに留める)必要がありますが、オペルクリカリアはどうやら逆の嫌光性種子のようなのです。
種はある程度しっかり植えて1㎝程覆土していますが、それだけだと我が家の温室の設計上光が入りこんでしまいそうなのでもう一工夫。
デカリーの種子を植えたプレステラ鉢は、水を張ったプラケースの中にチレコドン(好光性種子)と一緒に入れてしまったので、デカリーの上部分だけ黒い画用紙で光が通らないように細工をしました。
写真のプラケースから透けて見える左4つのポットがチレコドン、黒い画用紙で覆った部分に入っているのがオペルクリカリア・デカリー。
デカリー以外の種子は、ほぼ好光性種子(またはどちらでもない)なので、種苗ケースの上には植物育成用LEDライトを設置するため、この黒画用紙でなんとか光を遮ることができれば芽が出てくれる、、はず!
シルバーラックに4つDaisoのプラケースを並べてヒーターと白熱灯で加温し、上からは植物育成用ヒーターで光をあてていますのでかなり明るいです。
ヒーターの真下にデカリーが来るように設置して、できるだけ光が当たらないように工夫してみました。(※普段は毛布でくるんで温度変化が少なくなるように注意しています)
これはあくまで寒い時期に播種したための方法ですので、適期に種をまいた場合はここまでせずに、しっかりと覆土しさえすればOKだとおもいます。
オペルクリカリア・デカリーの実生株育成経過
播種直後(2019.3.15)
自作の簡易温室の温度を30℃に設定し、プラケース内にチレコドンと一緒に腰水管理。
プラケースは蓋をして完全に密封しているので、カビないようにプラケース&用土は熱湯消毒をして、腰水の中にもダコニールを入れて1000倍~2000倍希釈液になるようにしています。
10粒ずつ2つのプレステラ鉢に分けて入れているので、1つは果肉を完全に取り去った方、もう一つは軽く拭ってふやけた果肉をある程度とり除いた方と分けてみた。
デカリーは発芽率が悪く、発芽まで3~4週間ほどかかったという人が多かったので、この環境で播種からどのくらいで発芽するのか、はたまたカビなどによって発芽せずなんてこともあるのか、経過を観察します。
播種から5日目:発芽確認(2019.3.20)
種まきから5日目で、1つ発芽確認しました。想定よりも早かったです。
種子が大きかった分、最初の双葉が豆のような分厚差がありました。その割には茎はひょろいんですね。
最初に発芽した1つは遮光度合いの一番強い所の種だったので、しっかりと遮光した方がいいのかもしれません。
播種から約1ヶ月目:茎が木質化&腰水終了(2019.4.13)
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播種から丸1か月経過し、最終的には3/20というとても低い発芽率になってしまいました。
種のコンディションや発芽環境にもよりますが、Instagramでコメントをくれた方も3割くらいの発芽率だったようなので、デカリーは念のためある程度多めにまいた方がいいかもしれませんね。
発芽した株たちは1か月でしっかりと茎が木質化していて、しっかりとしたたたずまいになりました。
上の写真の段階では、本葉も複数枚出ていますので腰水はやめています。腰水にしていた期間は約2~3週間ってところですね。
播種から約7週間目:鉢上げ(2019.5.2)
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播種から7週間でプレステラ90に植えていた3つのデカリーは、やや葉も濃く黒ずんできたような気がしたので、それぞれ個別の鉢に鉢上げすることにしました。
育てた実生株を掘り出すと、小さな塊根ができているのが確認できました。
腰水をやめてからは、室内(20℃~26℃)の環境で植物育成用のLEDライトを照射して育てていましたが、何のトラブルもなくしっかりと育ってくれたと思います。
発芽さえしてくれればかなり育てやすい印象のデカリー。
ここからはどんどん塊根を太らせるように育てていきます!
まとめ
本記事ではオペルクリカリア・デカリーの基本情報と種から実生株を育てる経過についてご紹介しました。
あくまでも私個人の方法ですので、これをやれば必ず発芽するというわけではありません。地域差や播種の時期によっても条件は変わってくるので、あくまで参考程度にとどめていただければと思います。
実生株育成の経過については定期的に更新するつもりですので、興味のある方は是非たまに訪れて経過を確認していただければと思います。