こんにちは、田舎センセイです!
我が家では野菜以外にも果樹や米、観葉植物に塊根・多肉植物等様々なものを育てていますが、病気の原因になるカビや細菌にはいつも頭を悩ませています。
特に私が趣味で育てている塊根植物(コーデックス)は、種を発芽させるために高湿度&高温状態で数日腰水状態で容器を密閉させなくてはいけないのでどうしても種がカビやすい。
これらに対抗する手段に「殺菌剤」があるのですが、生育段階や病気の状況などによって使うべき殺菌剤が違う事を知らない人も少なくないようです。
そこで本記事では、最もよく使われる殺菌剤「STダコニール1000」について、効果的な使い方と特徴を具体的に解説いたします。
Contents
STダコニール1000とはどんな殺菌剤?
商品名 | ダコニール1000 |
種類名 | TPN水和剤 |
有効成分 | TPN(40%) |
性状 | 類白色水和性粘稠懸濁液隊 |
作用特製 | 多作用点接触活性(FRAC_M5) |
安全性 | 普通物 |
有効年限 | 5年 |
殺菌剤の系統としては「有機塩素系」の殺菌剤で、同系統のその他の殺菌剤には「オーソサイド」があります。
安全性は普通物ですが、眼・皮膚に刺激性があり、魚(水産動植物)に毒性があるので散布時には十分注意が必要です。
果樹や農作物、花きなどに発生することの多い様々な病気(うどん粉病、炭疽病、斑点病など)に対する殺菌効果を持ち、発生前に散布することで病原菌の発生を抑制します。
私のように種子の発芽段階でカビが発生しやすいような状況で、前もって希釈液に種子を浸水させて殺菌するなどの方法でも使われることがあります。
ダコニールの特徴|ベンレートの違いは?
殺菌剤には予防的殺菌剤と治療的殺菌剤の2種類がある
一般的に殺菌剤は「予防殺菌剤」と「治療殺菌剤」の2種類があります。
少々ややこしいのが、ほとんどの殺菌剤は「予防効果」を持つので、予防効果しか持たない殺菌剤を「予防殺菌剤」、予防効果に加えて植物体内に入りこんだ病原体にも効果を発揮する殺菌剤を「治療殺菌剤」としています。
ダコニール1000は「予防的殺菌剤」です。
そのため、既に植物体内に入ってしまった病原体には効果がないんですね。
一方で、画像でダコニール1000の横に並んでいる「ベンレート水和剤」は、治療殺菌剤ですので植物体内に浸透して殺菌効果を発揮します。(※ベンレートについては下の記事をご覧ください)
私の場合は、植物の種を発芽させるために高湿度の密閉容器に入れておくと、予め種子の内部や周囲に付着した菌から糸状カビが発生してしまうので、予めダコニールを1000倍に希釈した水溶液に種子を数時間浸してから播種しています。
そうすることで病原体の酵素に作用して、病原菌の胞子発芽や胞子形成を阻害するのでカビが発生しなくなります。
しかし、繰り返しになりますが、直接菌を殺すのではなく病原菌の生育を阻害する機序のため、既にカビが発生してしまった場合にはダコニールの希釈液を何度散布しても殺菌することはできません。
ダコニール1000の特徴
・耐性菌の発生事例がない
ダコニール1000が殺菌剤の中でも使用されることが多い理由に、「登録内容が幅広い」ことと「耐性菌ができにくい」という2つが挙げられます。
農薬利用の難しい所は、治療効果があるからといって同じ薬剤を繰り返し使っていると耐性菌が出てきて、薬剤が全く効かなくなりさらに被害を増やしてしまう可能性があるんですね。
薬剤利用に関しては地域差や環境要因、土壌の違いなど様々な要素が絡み合うので、必ずこの殺菌剤を使えば大丈夫といえないのが難しい所でもあります。
基本的には、治療殺菌剤はローテーションを組んで耐性菌ができないように注意しながら散布をするのですが、それでも耐性菌ができてしまうことがあります。
その点、予防殺菌剤であるダコニール1000は「耐性菌ができにくい」というメリットがあるので、病原菌が発生してしまう前に予防的に散布をすることで、被害拡大の防止と耐性菌の出現阻止の効果があるわけです。
下の記事で紹介した「トップジンM」はベンレートと同じベンゾイミダゾール系の殺菌剤なので、同じローテーションで続けて使うと意味がなくなってしまいます。
殺菌剤の系統をしっかり理解して、そのローテーションの中にダコニールを入れることで、耐性菌を出現させにくくする効果が得られると思います。
ダコニール1000の使用上の注意点と薬害について
基本的には薬害の出にくい殺菌剤ですが、日中の気温が高温になる時間帯の散布は薬害が出やすくなってしまうので注意が必要です。
使用後に容器を洗うときにうっかり原液を指で触ってしまったのですが、少し刺すようなピリピリとした刺激を感じました。
皮膚刺激性と魚毒性があるので、使用時の服装と使用後の液体・空き容器の処理は使用方法にのっとって行うようにしてください。
個人的な使用感について
私が実際にダコニールを使うシーンで一番多いのが、塊根植物や多肉植物を種から育てるときです。
一番の問題は「カビ」なのですが、果樹や農作物に散布するほど大量には使わないので、30mlのダコニールが最も使い勝手がいいと感じています。
ベンレート水和剤も持っていますが、粉末を水に溶かすのが少しめんどくさいので、種を希釈液に浸して予防的な殺菌を行う場合はダコニールを使います。
ただし、解説してきたようにカビが発生してしまった場合はダコニールでは効果がありませんので、ベンレートを散布、もしくは希釈液を腰水に加えて吸水させるようにしています。
まとめ
殺菌剤には「治療殺菌剤」と「予防殺菌剤」の2種類があり、ダコニール1000は予防薬剤であることが分かっていただけたと思います。
既に作物や果樹、観葉植物、花きに病気が発生してしまっている場合は、ダコニールではなく治療殺菌剤である他の殺菌剤を使わなくてはいけません。
ただし、その場合は耐性菌が出現しにくいように散布する必要があります。
しっかりと散布スケジュールを組み、適応内で適切に使用する必要があるので、散布前に十分に用法を確認するようにしましょう!