ジャガイモの病気「そうか病」の芋は食べられる?|米ぬかの効果や原因と対策について

種芋

こんにちは!田舎センセイです!

自給的農家の我が家が毎年必ず栽培する作物のひとつに「じゃがいも」がありますが、じゃがいも栽培の過程で注意しなくてはならないのが「そうか病」です。

ジャガイモに現れる病変の中でも最もポピュラーで防除しにくい土壌病害として知られています。

本記事では、毎年ジャガイモ栽培を行っている当事者として、我が家で行っているそうか病対策と防除のために必要な知識についてまとめます。


ジャガイモ栽培をする場合に避けて通れないのが「そうか病」だよね!

そうか病を発症させない、または土壌汚染させないために必要なポイントがいくつかあるのでまとめてみたぞい!

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ジャガイモのかかる「そうか病」とはどんな病気?

そうか病
画像:wikipedia

そうか病は、カサブタ(コルク)状の病変がイモの表面に現れることで発見されます。

多発するとイモの表面を埋め尽くすほどに病変部位が広がることもありますし、病変部位が盛り上がる「隆起型」や、凹む「陥没型」の病変もあります。

対策をする上で、病状がよく似たものに「粉状そうか病」や「亀の甲症」があり、そうか病とは発症する原因や条件が違うので区別が必要です。


それぞれの病変の違いについては、下のリンクがわかりやすいぞい!

馬鈴しょそうか病総合防除法開発研究班 そうか病の見分け方と調査基準

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そうか病になったジャガイモは食べられる?

結論から言うと食べられます

ただし、そうか病が発病している所の皮は厚く剥く必要があり、可食部が少なくなってしまいます。

ジャガイモ農家にとってそうか病は、食用野菜としての価値を著しく損なう厄介な病気ですが、収穫自体には大きな影響はなく、発症部位をしっかりと取り除けば食べることはできます。

万が一、病変部威を食べてしまってもすぐに体調に異変をきたすようなことはありませんが、できるだけ病変部威は食べないように(そして剥いた皮も確実に廃棄)しましょう。

そうか病の原因菌

ストレプトマイセス属菌(Streptomyces)

そうか病の原因菌は「ストレプトマイセス属菌」と言う細菌の仲間で、土壌中に長期間生息していることが可能なため、ジャガイモなどの根菜類があると塊茎形成時に発症する。

ストレプトマイセス属菌には種類があって、一般的にはそうか病が発症しにくいと言われている酸性土壌でも発症するものもあり、地域ごとに存在する菌の種類によって対策が変わってくることも防除がとても難しい理由の一つとなっています。

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そうか病の多発要因とは?

そうか病が起きやすい条件

1.塊茎形成期の地温の高さ(20℃以上)と乾燥
2.pH5.2以上で発生、6.5以上のアルカリ土壌で多発
3.根菜類の連作・過作、短期の輪作
4.未熟堆肥などの粗大有機物の施用
5.市販の無病種イモ以外の使用

そうか病は原因菌の種類によっては若干条件が異なる場合がありますが、基本的にはそうか病が起きやすい条件は上記の通りです。


上に挙げられた要因を避けるというのが大切ってことだね!

要因のいくつかについて具体的に解説するぞい!

土壌のアルカリ化に注意する

通常土壌は酸性に傾いていることが多いのですが、土壌改良資材として石灰などをまいて中和する際に、まき過ぎによる土壌のアルカリ化が起こることでそうか病が起こりやすくなるという危険性も高まります。

土壌がアルカリ性に傾きすぎている場合などは、硫安などを散布することで土壌酸性度をコントロ―ルし、そうか病の発症を抑制する効果が期待できます。


土壌酸性度については下記の記事がおすすめじゃぞい!
土
作物を育てるときによく聞くのが「土壌が酸性に傾いている」とか「アルカリ土壌だ」というワード。 栄養の有無とは違い、酸性 or アルカリ性だ...

根菜類の連作・過作を避ける

そうか病はジャガイモなどの根菜類を連作することによっても感染の可能性が高まることが知られています。

じゃがいものそうか病発生圃場に、ヘアリーベッチ(マメ科ソラマメ属の一年草)とレタスを2年間作付けして輪作した結果、そうか病の発病が抑制されたというデータ(*1)もあります。

そうか病予防のために計画的な作付けをすることもとても効果的なんですね。

(*1:輪作を主としたジャガイモそうか病の発病抑制)

スーパーで売られているジャガイモや収穫した芋は植えない

スーパーで売られている食用ジャガイモを植えても芽が出て収穫することは出来ますが、そうか病の兆候が無くても保菌していることがあるため、安易に植えることでそうか病の原因菌が畑に持ち込まれる原因になることがあります。

そうか病菌はとても生存力が強いので、保菌種芋によって菌が持ち込まれて畑の根菜類が全て感染してしまうなんてこともあるので注意が必要なんです。

種イモ用に販売されているイモは、いずれも国の検査を通過した無病種イモなので安心して売れることができるので、必ず種イモ用に用意されたものを植えるようにしましょう。

そうか病の対策①【米ぬかの効果】

米ぬか
土壌消毒以外のそうか病対策として民間で行われている方法に「米ぬかを使う」という方法があります。

この方法はこれまでは科学的根拠に乏しく、本当に効果があるのか解明されていなかったのですが、農研機構によると2013年~2016年の3年間の調査(*²)によってどうやら科学的にも効果がありそうだという事がわかったようなのです。

その調査によると、方法としては「種イモ(ニシユタカ)の播種直前に生米ぬかを黒ボク土壌に散布しロータリー混和する」というもので、その結果そうか病の原因菌に対して拮抗的な効果を持つ放線菌群を増加させるとのことでした。

他の菌が増えることで塊茎形成期のそうか病原因菌の菌密度が薄まる」というのがポイントのようですね。


注意すべきは、まだ特定の一品種と特定の環境(鹿児島県の黒ボク土圃場)での結果にすぎず、他の環境条件でも同様に効果が出るのかはわかっていないという点じゃ
米ぬか
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(*²:米ぬか施用によるジャガイモそうか病の抑制機構の微生物学的解明)

そうか病の対策②【土壌殺菌剤の効果】

ネビジン
我が家でも行っている方法として、ネビジンなどの土壌殺菌剤を種イモの播種前に散布して、ロータリーなどで混和するという方法です。

ネビジン
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これまでにご紹介した、連作を避けたり土壌pHをコントロールするなどの、いわゆる「耕種的防除方法」を行ったうえで、土壌殺菌剤を使用するというのは現在考えられるうえで最も効果的な方法と言えると思います。

防除薬剤については、ネビジン以外にも「オラクル粉剤」「フロンサイド粉剤」「バスアミド微粒剤」などがあり、状況にあった薬剤を使うようにしましょう。

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まとめ

ジャガイモ栽培においてとても重要になってくる「そうか病対策」ですが、多発要因とされる要素を知ることで、耕種的防除を行うことができるようになります。

土壌内に長期間生存するそうか病の原因菌は、他所から持ち込まないことも大切ですが他所に広げないこともまた大切です。

ネビジンなどの土壌殺菌剤は、そうか病原因菌を駆逐するものではなく、あくまで休眠胞子を発芽させないという薬剤であるために万能ではありません。

そうか病がどのようにして発症し、また土壌汚染が広がるのかをしっかりと知ることで、美味しく健康なジャガイモを作ることができるようになります。

是非、今一度しっかりとそうか病の多発要因などに目を通して、理解を深めるようにしてください!

参考:病害虫・雑草の情報基地「そうか病」