観葉植物は、今では100均でも手軽に購入できて、インテリアとしてお部屋を彩ってくれるありがたい存在です。
しかし、室内で観葉植物の栽培をする時に「虫が湧かないかどうか」「不衛生にならないか」など、室内で土を使って植物を育てることに抵抗がある方もいるかもしれません。
そんな方におすすめなのが「ハイドロカルチャー」という土を使わない栽培方法なのですが、意外とコツが必要で、ハイドロカルチャーの仕組みを知らないと何度やっても観葉植物が上手く育たず枯らしてしまいやすいのです。
そこで今回は、室内で土を使わずに衛生的に観葉植物を育てたい方におすすめのハイドロカルチャーのやり方と、枯らさずに育てるためにコツをご紹介したいと思います。
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ハイドロカルチャーとは?
ハイドロカルチャー(Hydroculture)とは、簡単に言うと「水(耕)栽培」の事です。
水耕栽培の事をハイドロカルチャーと呼ぶことが多いのですが、土以外の土壌用土と肥料を使って育てる方法全般を指すこともあるため、球根を水に浸して栽培するヒヤシンスやアボカドのようなものは「水栽培」として区別することが多いです。
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるメリット
室内で観葉植物を育てるときに、土ではなくハイドロカルチャーで栽培するメリットは下記の通り沢山あります。
- 無菌・清潔で無臭
- ハイドロボール(ハイドロコーン)は洗えば何度でも使えるので経済的
- 容器を選ばない(ガラス・底穴の無い器、缶、空き瓶等も可)
- 水やりの頻度が少なくて済む
- インテリア性が高い
- 虫が湧きにくい
室内で植物を育てるときにどうしても気になってしまうのが「清潔かどうか」ですよね?
土の場合だと、管理状態が悪いと虫が湧いたり、土や水が腐って異臭を発することもありますが、無菌のハイドロコーンは清潔で無臭、且つ洗えば何度でも使えることからとても安心できます。
容器を選ばないので、ガラス容器を鉢の代わりに使えばインテリア性も高く、水がどの程度残っているのかも一目瞭然で機能性にも長けています。
後述しますが、ハイドロコーンの他に根腐れ防止剤を使うので、水分量が多くてもすくすくと成長してくれるので、水やりの頻度も土に比べて少なくて済むのも嬉しい所。
底穴の開いた鉢で育てていると、水やりの後に受け皿に水が溜まり、そこで蚊が発生してしまうようなこともあったのですが、ハイドロカルチャーの場合はその心配もありません。
清潔で水やりも簡単で虫もわきにくいなんてとても嬉しいメリットばかりですよね。
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるデメリット
メリットばかりのように思えるハイドロカルチャーですが、デメリットもあります。
その主なものは下記の点です。
- 観葉植物が大きく育ちにくい
- 半年~2年に1度位の頻度で根腐れ防止剤の洗浄や交換が必要
- 栄養剤やイオン交換樹脂材が必要
- 初心者向けのようですが、実は仕組みを理解していないと枯らしてしまう
- 土に比べてハイドロカルチャーに関する情報が少ない
観葉植物が大きく育ちにくいのは、人によってメリットともデメリットとも考えられますが、土での栽培に比べて植物の成長は抑制されるため大きく育ちにくいです。
土栽培とハイドロカルチャーの決定的な違いは、土の場合は植物の根から出る老廃物を土壌内の微生物や細菌が分解してくれますが、ハイドロカルチャーは化学的にそれを分解しないといけません。
菌がいなくて清潔な分、人工的に分解しないと老廃物が鉢の中にどんどん蓄積していって、最終的には根を枯らしてしまうのです。
この老廃物を化学的に分解するのが「イオン交換樹脂材」と呼ばれるものなのですが、これを使う事によって鉢の中の栄養バランスも崩れてしまうので、また別途栄養剤を補ってあげる必要があります。(※イオン交換樹脂材には、栄養成分も含んだ「イオン交換樹脂栄養剤」もあります)
土の場合は、微生物が植物から出る老廃物を分解するサイクルが循環するのですが、人工的に加えるイオン交換樹脂材などは、一定期間が過ぎると効果が薄れるために追加する必要があります。
この定期的なメンテナンスができるかどうかが、ハイドロカルチャーで植物を枯らさずに育てられるかどうかの境目になるでしょう。
100均で購入できる!ハイドロカルチャーで育てられる観葉植物の種類一覧
植物によってハイドロカルチャー向きのものとそうでないものがあります。
当然、大きい植物はハイドロコーンでは固定できず倒れてしまうので向きませんが、水はけが良い環境を好む植物にもあまり向きません。
100均で購入することのできる観葉植物の中で、ハイドロカルチャー向きの品種を下記にまとめます。
- モンステラ
- アイビー
- ポトス
- ガジュマル
- パキラ
- カポック
- ワイヤープランツ
- サンセベリア
- テーブルヤシ
- コーヒーの木
- クワズイモ
- プミラ
- トラディスカンティア
- フィロディンドロン
- ミリオンバンブー
- オリヅルラン
これらの商品の特徴は、こちらの「人気の観葉植物の種類一覧|100均で買えるおすすめの観葉植物30種まとめ」で解説しています。
ハイドロカルチャーを始めるために必要なものは?
1.ハイドロコーン(ハイドロボール)
ハイドロカルチャーで観葉植物を栽培するには、ハイドロコーンやカラーサンドなど「土の代わりになる物」が必要です。
ハイドロコーンは100均でも売っている場合があるので、観葉植物を探すのと同時に探してみると良いでしょう。
2.容器
ハイドロカルチャーの特徴は、底穴が開いていない容器なら何でもよいという点です。
水がどの程度残っているのかを見やすくするというために、ガラスのカップなどを使うと水やりのタイミングがわかりやすいのでお勧めです。
3.根腐れ防止剤(ゼオライトやミリオンA)
ハイドロカルチャーを行うには、鉢底に敷き詰めるゼオライトやミリオンAなどの「根腐れ防止剤」が必要になります。
ゼオライトなどの根腐れ防止剤は、植物の根から出た老廃物を吸着する効果があります。
この効果は永久的に続くわけではないので、半年~2年位に1度は洗浄・交換が必要になるので注意しましょう。
ミリオンAもゼオライトと同様の効果を持つモノで、大きな違いは無いので好きな方を選ぶと良いでしょう。
4.イオン交換樹脂材
イオン交換樹脂材は、自然分解されない鉢の中の老廃物を分解するために必要です。
イオン交換樹脂材には、単純に水の浄化作用だけを持つ物と、栄養補給も兼ねた物(下記商品)の2種類があります。根腐れも防止してくれるのでハイドロカルチャーを行う場合は用意しておくようにしましょう。
5.水溶性栄養剤
ハイドロカルチャーでは、鉢の中の栄養分も不足してしまう事が多くなった結果観葉植物を枯らせてしまうケースも多いです。
上で紹介した、イオン交換樹脂栄養剤の場合は別途栄養剤を購入する必要はありませんが、イオン交換樹脂材のみの場合はこちらの水溶性の栄養剤を用意しておくと良いでしょう。
ハイドロカルチャーの植え替えの方法と注意点
100均や園芸店で観葉植物の苗や鉢植えを購入してきたら、ハイドロカルチャーへの植え替えが必要です。
前述した「ハイドロカルチャーに必要なもの」をしっかり揃えたら植え替えをしてみましょう!
植え替え手順は以下の通りです。
- 穴の開いていない容器を用意する
- 購入した観葉植物をポットから外し、根の周囲の土を水で洗い流す
- 「イオン交換樹脂(栄養)材」と「根腐れ防止剤(ゼオライト等)」を一緒に入れる
(※目安は、イオン交換樹脂材は鉢底の1/3~2/3、ゼオライトは鉢底が隠れる位) - 一度水洗いしたハイドロボールを鉢の1/4~1/3くらい入れる。
- 土を落とした観葉植物を入れ、周囲にハイドロボールを足して安定させる
- 容器の1/4程度まで水をそそぐ
イオン交換樹脂栄養剤を使う場合は液肥は不要ですが、浄化作用のみをもつイオン交換樹脂材を使う場合は、植え替えから1~2週間後に液肥で栄養補給をしてあげるようにしましょう。
ハイドロカルチャーでカビが生えてしまった時の原因と対処法
水耕栽培の場合は、季節によっては「カビ」が発生してしまうことがあります。
ハイドロボールの表面にふわふわとした白いものが付着していたらカビの可能性が高いので早急に対処するようにしましょう!
ハイドロカルチャーでカビが生える原因は2つ
- 水のあげ過ぎ
- 風通しの悪さ
カビが生えてしまう主な原因は上記の2点です。
水をあげる量の目安は前述した通り「鉢の1/4程度」にして、中身が見えない場合は水位計などを使って適量を保つようにしましょう。
鉢を置く場所によっては風通しが悪く、水の量を適切に保ってもカビが出てしまう事があります。水の量を気を付けているのにカビが発生してしまう場合は、置き場所を工夫するようにしましょう!
ハイドロカルチャーにカビが発生してしまったらどうしたらいい?
ハイドロカルチャーにカビが発生してしまった場合の対処法は「カビを洗い流して清潔にし、植え付けなおす」ことが一番確実です。
カビが発生している範囲によっては、表面のカビに付いた部分だけをすくい取って水洗いをすることで対処することが可能な場合もありますが、できることなら一度植物をはずして、鉢とハイドロボールを水洗いして植え付けなおすと安心です。
また、土の表面に落ちた枯れ葉にカビが発生して広がってしまう事も多いので、水やりの際に表面に落ちた枯れ葉を取り除くことでカビの予防をすることができます。
何事も日ごろからのメンテナンスと、カビが発生する前にケアをすることが大切です。
まとめ
土を使わずに植物を育てることができるハイドロカルチャーは、衛生的で安心である反面、水質の管理を怠ると植物を枯らしてしまう事もあるため、意外と初心者にとっては難しいという事がわかりました。
もし、今回の記事を読んで「ハイドロカルチャーは難しそうだから、やっぱり土で育てることにする!でも、できるだけ虫の湧かない清潔な土が良いな」と思った方は、こちらの「100均の土は大丈夫?室内の観葉植物におすすめの虫が湧かない土」の記事で、虫の湧きにくい土をご紹介しているのであわせてご覧ください。
しかし、ハイドロカルチャーの仕組みをわかっていれば、定期的に鉢の中で老廃物を分解できるように必要な成分を補ってあげればいいという事なので、難しく考えすぎる必要はありません。
室内を衛生的に保ちつつ植物を育てたい人にはとてもおすすめできる方法ですので、今回の記事を参考に、ハイドロカルチャーを始めてみてはいかがでしょうか?
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