ご家庭で植物を育てたいと考えた時に、ホームセンターの園芸コーナーで様々な土を目の前にして、どれを購入したらいいのか分からなくなったことはありませんか?
特にガーデニングの初心者は「土作りの段階」で失敗をしてしまい、室内に虫を大量発生させてしまったり、土を腐らせてしまったりすることが多いのです。
今回はガーデニング初心者によくある失敗例から見る土づくりのポイントを解説したいと思います。
Contents
ガーデニング初心者によくある失敗例
何事も始めるときは全員が初心者です。完璧な園芸やガーデニングを行っているプロの方もはじめは初心者で、みな様々な失敗をしてきているはずです。
初心者が陥りがちなガーデニングや園芸の失敗例には下記のようなものがあります。
- 水のあげ過ぎ・水やり不足で植物を枯らせてしまう
- 肥料のあげ過ぎで植物を枯らせてしまう
- 室内の観葉植物やベランダのプランターで虫が大発生
- 土が腐って異臭を発してしまう
- 土が軽すぎて植物が倒れてしまう
- 土が重すぎて室内での鉢の移動が大変になってしまう
植物を育てたい!と考えるからには、植物の生育に関連する水やりや肥料に目がいきがちですが、それ以上に「土が腐る」「虫が大量発生する」という点についてまで考えが及ばないのが初心者にありがちなポイントです。
植物を枯らしてしまうのも悲しいですが、室内やベランダで虫が発生してしまうとトラウマものでめげてしまいそうになります。
では、なぜこのような失敗が起きるのでしょうか?
そしてこのような失敗を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか?
ガーデニング初心者が失敗しないための土作りの方法
まず、私が一番大切なのは「土を使うシチュエーションから考える」という点だと思っています。
それはなぜか?
例えば「ハーブを育ててみたいなぁ」なんて思ったとします。
そしてその次に考えることが「ハーブをたくさん育てて、ハーブティーとかつくれたら最高だなぁ。沢山収穫するにはどんな栄養がある土にしたらいいんだろう?」というポイントだったとして、栄養価の高い堆肥入りの土を購入してベランダや家の窓際でハーブを育て始めると、ハーブも育ちますが虫も湧きます。
これは、目的が「ハーブが良く育つ=栄養価が高い」という点で土を選んでいて、「土を使う場所」を想定していないために「虫が湧く」という大惨事を引き起こす可能性を予見できていません。
また、食物を大きく育てたいと考えて「有機肥料をあげ過ぎる」というのもよくある失敗です。虫が湧くだけでなく、植物も過栄養化で枯れてしまうことがあります。
これから育てようとする作物が元気に育ってほしいのはどのシチュエーションでも変わらないのですが、環境によって土を選ばないと虫が湧いたり、鉢が倒れやすくなったり、植物が枯れてしまったりしてしまうのです。
では、土を使うシチュエーションからどんなことに注意して土を選べばいいかご紹介しましょう!
今回想定する環境は下記の4つにします。
- 室内の観葉植物やプランターでの菜園
- ベランダ(鉢・プランター)
- ベランダ(ハンギング)
- 庭の家庭菜園
土を使いたいシチュエーションから考えよう!
室内の観葉植物
【室内の観葉植物やプランターの土のポイント】
>>> 虫が湧かない・部屋が汚れない・適度な重さ・清潔
室内の観葉植物に使う土は、「虫が湧かない」というのがとても重要なポイントになります。
例えば、「腐葉土」「堆肥」「有機肥料(油かすなど)」が入っている土は虫が湧きやすく、外部から入ってきたコバエなどが土に産卵し、知らないうちに大発生してしまう事もあるので注意が必要です。
部屋が汚れない清潔な土として「ハイドロコーン」「セラミスグラニュー」「カルセラ」「クリスタルグレイン」などの室内の観葉植物に適した土もたくさんありますので、部屋を汚さず虫も湧かせずに室内で植物を楽しみたい方は検討してみると良いでしょう。
これらの虫の湧かない土は、こちらの「100均の土は大丈夫?室内の観葉植物におすすめの虫が湧かない土」で詳しくご紹介していますので併せてご覧ください。
また、室内に鉢植えを置く場合に注意しておきたいのが「土の重さ」です。
土があまりにも軽すぎると、ぶつかった時に倒れてきてしまい下敷きになってケガをしたり、せっかくの植物が折れてしまったりする可能性がありますし、逆に重すぎると掃除のときなどにちょっと移動させるにも一苦労です。
安定性と移動させやすさは相反する面もありますが、頭の片隅に入れておくと良いポイントでしょう。
ベランダ(鉢・プランター)
【ベランダの鉢やプランターの土のポイント】
>>> 虫が湧かない・風で倒れにくい重さがある・断熱性/保温性がある
ベランダの鉢植えやプランターに使う土は、室内同様に虫が湧かないという点も大切ですが、場所によっては風が吹き込んできて倒れてしまったりする危険性があるので「適度な重さ」があることが大切になります。
気温や天候によって室内にしまうことを想定されているのであれば、移動しやすいように重くし過ぎない方が好ましいですし、ずっとベランダに置きっぱなしにするのであれば1年を通して気候の変化に負けないように「断熱性・保温性」のある土になっていると植物は外にあってもすくすく育ってくれるでしょう。
土に断熱性や保温性を持たせてくれる土壌改良資材としては、「バーミキュライト」という多孔質で空気をたくさん含むものがあります。
バーミキュライトについては上記の記事で詳しくご紹介していますが、高温で完全殺菌されていて無菌ですし、酸性度は中性、保水性・断熱性・通気性に優れていて、根に酸素が行き渡りやすいのが特徴です。
一方で、バーミキュライトを入れすぎると土が軽くなり過ぎてしまうので注意が必要です。
鉢を置くベランダが、年中通して温暖なのか雪が降るほど寒いのか、風が吹き込む可能性がある場所なのかなどを注意すると大きな失敗はないでしょう。
ベランダ(ハンギング)
【ベランダのハンギングの土のポイント】
>>> 虫が湧かない・ハンギングに耐えられる軽さ
同じベランダでも、鉢植えとハンギングではまた違います。
ハンギングの場合は「軽さ」が大切になりますので、重い土だけを使うのではなく土壌の軽量化を図ることが出来る資材を使って土を軽くするとハンギングに適した土になります。
土壌の改良を図るのに適した資材には、先ほど紹介したバーミキュライトの他に「ピートモス」「パーライト」「バーク堆肥」「籾殻くん炭」などがあります。
これらの土壌改良資材については、こちらの「土壌改良資材のメリット&デメリットを比較解説|特徴と使い方を教えます」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
家庭菜園
【庭の家庭菜園の土のポイント】
>>> 栄養がある、元々ある土に手を加えて改良する、害虫予防効果
お庭にスペースがあり家庭菜園をする場合では、室内やベランダで使う土のような「虫の発生」や「土の重さ」はほとんど気にする必要が無く、元々ある土の状態を把握して作物が育ちやすい状態の土に改良することや栄養のある土にするための工夫が必要になるでしょう。
育てる作物によって適した土壌酸性度(pH)が違うため、一概にどの土がいいとは言えないのですが、「土壌が酸性&アルカリ性だと何が悪い?phを下げる方法&上げる方法」の記事で書いたように、土壌の酸性度によって使う土壌改良資材が変わってきます。
元々酸性に傾いていることが多い日本の土壌では、アルカリ性に傾ける効果のある「苦土石灰」を土に混ぜて土壌の酸性度をコントロールすることが多いです。
もし、そもそも土壌の酸性度が分からないという人は「土壌のphを測定する方法とおすすめのph測定器」をご覧いただくと良いでしょう。
家庭菜園では、作物の成長目的で有機肥料を使う事が多いのですが、コバエなどよりもアブラムシやアザミウマ等の作物を食べてしまう有害害虫の対策も必要になってきます。
各害虫の駆除方法などについてはここでは触れませんが、害虫を寄せ付けない効果を持つ土壌改良資材として「籾殻くん炭」があり、土壌の軽量化や保水性の良さ、土壌pHをアルカリ性に近づける効果と合わせて使われることが多いです。
室内やベランダとは違って、庭の家庭菜園で使う土は「生育環境」や「土壌酸性度」「作物を食べる害虫対策」を念頭に置いた土選びが大事になってくることが分かります。
まとめ
今回は、ガーデニング初心者が陥りやすい失敗を防ぐ方法をまとめました。
途中様々な土壌改良資材についての解説も入りましたが、それぞれのシチュエーションでどのような失敗が想定されるのかを把握して土を選ぶことが大切であることが分かると思います。
室内やベランダでは「虫の発生予防」や「土の重量」が大事になってきますし、屋外の家庭菜園では「土の酸性度を調べて資材でコントロールをする」ことが大事になってくるなど、注意点が違う事が分かりました。
植物を枯らせてしまわずにすくすく育てられるかどうかということは、その植物の特性(好む土壌酸性度、水はけの良さや水持ちの良さ、生育可能温度)等によってことなりますので、しっかりその植物について調べることも重要になります。
しかし、初心者が失敗しやすいのはそれ以前の「土選び」の段階にあることが多いので、是非土を使うシチュエーションにあった土を選んで植物のある暮らしを楽しみましょう。
【室内で土を使わずに観葉植物を楽しむ方法はこちら】