室内で観葉植物を育てる場合に「どんな土を使えばいいの?」という疑問が出てきます。
観葉植物と言えども、間違った土や方法で育てようとすると、虫が湧いてしまう危険性もあるので土選びはとても重要なポイントになってきます。
園芸用の土や観葉植物専用の土は、ホームセンターや100均の園芸用品売り場で購入することが可能ですが、ネットの評判を見ると「100均の土は虫がわきやすい」「キノコが生えてきた」等の書き込みを見かけることも多いので心配になる方もいると思います。
ご家庭で虫の心配もなく、衛生的に観葉植物や室内菜園を楽しむための土選びの方法について解説いたします。
【100均で購入できるおすすめの観葉植物一覧はこちら】
Contents
100均の土は虫やキノコがわきやすいって本当?
一番手ごろに土を購入できるのがダイソーやキャンドゥなどの「100均」の園芸用品売り場です。
しかし、色々調べてみると100均の土は虫が湧きやすいとか、キノコが生えてきたなんていうレビューも見かけるので心配になる方もいると思います。
100均で売られている土の中には、粗悪なものがあることは否めず、予め虫の卵やキノコの胞子が付いていて、購入後の管理状況によっては虫やキノコが発生する可能性も多少はあるでしょう。
ただし、これは「どの種類の土を購入して」「どのような形で使用したか」にもよってくるので、ひとくくりに「100均の土はダメ」という訳ではありません!
虫の発生の原因の多くは外部からの侵入であり、虫の発生しやすい土の種類というのがあるのです。
値段の高さは虫が発生しない判断基準にならない
中には「100均の土は安すぎてダメ」「高い土なら虫が発生しない」などと言う人もいますが、必ずしも高価な土を買えば虫が発生しないという訳ではありません。
ホームセンターなどで販売されている土には、予め熱処理による殺菌を施してある比較的高価な土もありますが、熱処理済みでも100均の土よりも安い価格帯で販売しているものもあります。
逆に、グラム単位での価格は100均の土の方が高いことも多く、もし虫を発生させたくない場合は、ホームセンターで殺菌処理済みの観葉植物用の土を買うと安心でしょう。
室内園芸用の土は必ずしも殺菌消毒済みとは限らない
100均やホームセンターで売られている土には「室内用」などの表記がある商品がありますが、この「室内用」は必ずしも「虫がわきにくい」とは同意ではないという事に注意が必要です。
室内での扱いやすさの点では、「生ごみで廃棄処分が可能かどうか」や「軽さ」なども焦点になるので、何をもって室内用としているかは商品によって異なります。
そのため、室内用と書かれていても、しっかりと土の種類や消毒処理の有無を見るようにしましょう。(※虫のわきにくい土の種類は後半で紹介します)
100均の土についてまとめ
- 100均の土だからダメという事はない
- 室内用と書かれていても、土の種類や殺菌処理の有無を確認する
室内の観葉植物へ虫が湧かないための対策
1.殺菌消毒済みの土を選ぶ
室内用と書かれていても殺菌消毒済みとは限らないので注意が必要なのですが、商品によっては「殺菌消毒済み」とか「熱処理済み」と書かれているものがあります。
通常の培養土や観葉植物用の土などでも、殺菌処理済みの記載があると土自体に虫がいる可能性はぐっと低くなります。
2.虫の湧きやすい「腐葉土」「堆肥」「有機肥料」が含まれている土は避ける
パッケージに「観葉植物の土」などと書かれている場合でも、土の成分をよく見ると「堆肥」や「腐葉土」などが含まれていることがあります。
「腐葉土」や「堆肥」「有機肥料」が含まれている土は、外部から虫が寄ってきて繁殖してしまいやすいので、室内で使用するのは避けるのが賢明でしょう。
特に、記載が不明な場合でも「土の色が黒っぽい場合」は、腐葉土やピートモスなどを原料にしていることも多く、虫が繁殖しやすい種類の土である可能性もあるので表示を注意してみるようにしましょう。
また「鶏ふん」や「油かす」などの有機肥料は、外部からコバエなどが入ってきたときに大繁殖する原因になるので避けましょう。特に油かすは、土の表面に撒いたりするとナメクジやコバエをよせつけてしまうので、室内での使用はおすすめしません。
肥料は量・使用時期を守って化成肥料を使いましょう!
肥料はあげなくてもすぐに枯れることはありませんが、あげ過ぎると枯れてしまいますので注意しましょう。
3.受け皿の水は頻繁に捨てる
土に虫がわく要因の一つに、土の管理状況の悪さが挙げられます。
水のあげ過ぎだったり、特に受け皿にたまった水を捨てずに放置すると、鉢の湿度があがり土の表面にカビが生えたり虫をわかせてしまうことがあります。受け皿にたまった水は定期的に捨てるようにしましょう。
虫を発生させたくない場合は、極力「室内の日当たり&換気のいい場所」に鉢を置き、外に出したりせずに管理することで虫が鉢についてしまう事を防げます。
ベランダなどの屋外で育てる場合は、湿度管理に注意をして育てることで虫の発生を多少は予防することが出来るでしょう。
室内で観葉植物を育てるときに虫が湧きにくい土
※画像引用:Amazon
1.ハイドロコーン
ハイドロコーン(発泡煉石)は人工的に作った土で、このハイドロコーン(ハイドロボール)を使って作物を育てることを「ハイドロカルチャー」と言います。
ハイドロコーンのメリットは、
- 無菌・無臭で清潔
- 虫が寄り付かない
- 劣化しないので何度も洗って使える
- 水やりが楽
- ガラス瓶などに入れるとインテリアとしても映える
等が挙げられます。
高温で焼き固められて作られたハイドロコーンは、部屋が汚れる心配もありませんし長く使い続けることが可能です。
また、底穴が開いていない容器を鉢として使うので、水やりが楽という面も嬉しいです。
デメリットとしては、大型の観葉植物の飼育には向いていない点と、根腐れに注意する必要がある点でしょう。
虫の点で言えば、最も安価に安心して使うことが出来る土でしょう。
【ハイドロカルチャー初心者必見!!】
2.セラミス・グラニュー
セラミス・グラニューは、ドイツ産の粘土を高温で焼き固めたレンガのような土です。
ほぼ100%と言われる吸水性・保水性のおかげで水やりは少なくて済みます。
セラミスの吸水力を遥かに超えて水やりをすると、鉢底に水が溜まって根腐れすることもあるので、根腐れ防止剤を鉢底に入れて水やりの量には注意する必要があります。
メリットは、
- 無臭・無菌で清潔
- 虫が寄り付かない
- 多孔質なので保水力がすごい
- 鉢底に水が溜まらないので衛生的
- 通気性も良いので植物がすくすく育つ
3.ゴールデン培養土
コバエが発生しにくいことで有名なのが「ゴールデン粒状培養土」です。
コバエが大好きな有機肥料が含まれておらず、栄養分・保水力いずれも豊富で植物が元気に育つおすすめの土です。
パッケージの表記にもありますが加熱処理済みですので、土自体に虫や菌がついていることはなく安心して使うことが出来ます。
ハイドロボールやセラミスのような人工用土ではなく、ちゃんとした土で観葉植物を育てたい方は、こちらのゴールデン培養土が最もおすすめです。
アイリスオーヤマ 培養土 ゴールデン粒状培養土 観葉植物用 14L
4.クリスタルグレイン
土のイメージとはかけ離れた白い土「クリスタルグレイン」は、有機物を全く含まず、珪藻土から生まれた天然鉱物と無機物肥料でできた土です。
殺菌成分は入っておらず、無臭で手も汚れないので、食卓でも野菜の栽培ができてしまうという土です。基本は水やりだけでOKというのだから驚きです。
もちろん虫は寄り付かないので、全く心配はいりません。
観葉植物よりも、ハーブや野菜を室内で育てたい人向けの土です。
唯一値段が高価なのがネックですが、白い色の土はとてもオシャレなので、インテリアとしても楽しみたい方にはお勧めです。
5.カルセラ
カルセラは、ベランダでのガーデニングや菜園用に開発されたセラミック製栽培土です。
特徴は、ベランダで野菜を育てても虫がほとんど付かない事、そして何度でも洗って繰り返し使えるという点です。
カルセラに直接種まきをするだけで葉物野菜などが収穫できてしまいます。
虫が苦手な方、ベランダなど虫がつく可能性のある屋外で野菜などを育てたい方は、カルセラを使うと便利でしょう。
6.【番外】自分で土を配合する
ホームセンターや100均の土を自分で配合して、虫が湧きにくい室内用の土を用意することも可能です。
- バーミキュライト
- パーライト
- ピートモス
- 赤玉土
上記4種類を用意して、
ピートモス:赤玉土:バーミキュライト:パーライト=1:2:2:2
の割合で配合すると良いでしょう。
いずれも人工用土だったり、火山由来の深層土だったりと、虫が湧く心配のない土なので、これが虫に関しては比較的安価に、かつ安心して使える土と言えるでしょう。
また、この配合土はとても軽いという点でも室内での利用に向いています。
それぞれの土についての詳しい情報はこちら
◆ピートモス:「ピートモスとはどんな土?使い方と注意点・phの調整方法まとめ」
◆パーライト:「パーライトとはどんな土?土壌改良効果と使い方を徹底解説!」
◆バーミキュライト:「バーミキュライトとはどんな土?アスベストとの関連性と安全性について」
観葉植物の土に虫が発生してしまった場合の対処法
気を付けていたつもりでも知らないうちに観葉植物に虫が湧いてしまっていたということもあるでしょう。
観葉植物の土につきやすい虫は「コバエ」や「トビムシ」などです。
トビムシはミミズなどのように土を耕してくれる益虫の類ですが、見た目が気持ち悪いのは間違いないですし、室内に虫が発生しているのは流石に嫌ですよね。
管理状態の悪化によって、万が一鉢に虫が湧いてしまった場合は、室内の観葉植物にも使える殺虫剤や薬を使いましょう。
また、コバエは土の表層1~2センチに産卵するので、鉢植えにコバエが湧いているのを発見した場合は、上から2センチ以上すくい取って廃棄することで最低限の処理は可能です。
それ以上の被害の場合は、下記にご紹介する薬剤の利用を検討しましょう。
1.ダントツ水溶剤
ダントツ水溶剤は、薬剤特有の臭いが無く効果も強いのでとてもおすすめです。
特に観葉植物に湧いたコバエに絶大な効果を発揮するので、うすめた液を規定回数を発生源となっている鉢にまくと、コバエは全滅してくれます。
室内の鉢植えのコバエに悩んでいる方はこれを使えば悩みは解消されるでしょう。
2.コバエジェット
コバエジェットは殺虫成分とIGR成分が含まれているので、速効性だけでなく卵や幼虫にも効果があるので、まだ見ぬ次世代のコバエたちもせん滅してくれます。
IGR成分については、別記事「IGR剤がチョウバエ・ボウフラ・ユスリカ駆除におすすめの理由」で作用機序など詳しく解説しています。
このコバエジェットは、成虫に直接吹きかけるだけでなく、発生源となっている土や鉢の表面に吹きかけることでIGR成分が「卵や幼虫が成虫になるのを阻害」してくれます。
そのため、成虫を見つけては噴射という駆除だけではなく、コバエを見なくて済むようになるスプレー剤なのです。
注意点としては、コバエの発生源(幼虫や卵がある場所)が特定できていることが重要なのですが、これは前述のオルトラン粒剤やダントツ水溶剤の2剤も同様です。
また、このコバエジェットの噴射液をペットボトルに入れた水に噴射して鉢植えに撒くことでも、ダントツ水溶剤と同様の効果が期待できますし、鉢植えのコバエ以外にもゴミ置き場などハエが発生する場所に噴射しておくことで成虫の発生を予防する効果があるので、使用用途は広いです。
総合的に見ても使い勝手が良いのがコバエジェットの特徴といえます。
まとめ
今回は観葉植物を育てるときに使う土について解説いたしました。
室内で植物や作物を育てるときに使う土によっては、虫が発生してしまう事もあります。虫の発生を予防したい人は、正しい土の選び方、管理の仕方、虫の駆除の方法や薬剤を知って対処できるようにしましょう。
ガーデニング初心者にとっては土選びは最初の案間ともいえるポイントです。虫が湧いてしまうこと以外にも初心者が陥りやすい失敗が沢山あります。これから初めて家で植物を育ててみようと思っている方は、是非こちらの記事もお読みいただけると良いでしょう。
【関連記事】>>ガーデニング初心者によくある失敗例から見る土作りのポイントとは?
また、土を使わずに室内で「水耕栽培」で作物を育てるキットなどもありますので、室内に土を持ち込むことがどうしても嫌な方は、是非検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめの水耕栽培キットは「おすすめの室内用水耕栽培キット4選!家でオシャレに野菜を育てよう」でご紹介していますので、是非ご覧ください。
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