カテゴリー: 薬剤・薬品

  • ラウンドアップに毒性・発がん性?各国・各研究機関の見解まとめ

    ラウンドアップに毒性・発がん性?各国・各研究機関の見解まとめ

    とても強力で多くの雑草に効果のあるラウンドアップですが、その安全性については様々な議論がされています。

    ラウンドアップの主成分である「グリホサート」については、2015年にWHO外部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、毒性や発ガン性の懸念があるとの発表しています。

    そして最近では、2017年6月26日に米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)が、同州で定める通称プロポジション65の物質リストに、発ガン性物質としてグリホサートを加えると声明を出しました。

    既に世界中で多くの人が使っているラウンドアップなどのグリホサート系薬剤への警鐘という事で心配になっている方も多くいらっしゃることと思います。

    今回は、ラウンドアップの安全性に関するこれまでの各国・各研究機関の見解をまとめてみましょう。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕もスギナの除草にはラウンドアップが効果的と聞いてから使っちゃってるよ~[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]今回はラウンドアップの安全性に関する様々な発表や意見をまとめてみるぞい![/chat]

    ※世界中で使われているラウンドアップ、またはグリホサート系の薬剤の安全性については、当サイトが「安全」かどうかの断定をすることは不可能ですので、各国・各研究機関がどのような見解を示しているのかまとめるに留めます。

    ラウンドアップの安全性についての各方面の見解

    世界のデータ

    1.日産化学(ラウンドアップの日本での販売元)

    日産化学によると、ラウンドアップ(グリホサート)の安全性については下記の様に述べられています。

    • 土に落ちた成分は短時間で土壌粒子に吸着され除草剤としての効果を失う
    • 土壌粒子に吸着された成分は土中に浸透しないので、根から吸収されることもない
    • 薬効を失った成分は、微生物によって水や炭酸ガスに分解される
    • 植物独自のアミノ酸を合成する代謝経路(シキミ酸経路)を特異的に阻害するため、人や動物には影響が少ない
    • グリシンから成るアミノ酸系除草剤であり、毒劇物に該当しない普通物である

    薬剤の作用機序や主要成分からみる安全性に関して説明がされています。

    2000年に、日本農薬学会誌にのせられている「グリホサートの毒性試験の概要」によると、ウサギ・イヌ・ラットなどを用いて、

    • 薬剤を点眼し目への影響を調査
    • 皮膚への刺激性を調査
    • 12カ月間口から飲ませる
    • 催奇形性(子に与える奇形などの影響)の調査

    等を行ったところ、眼に対する刺激は軽度~中等度であったものの、その反応は可逆性で次第に回復し、催奇形性や繁殖能力への影響も見られず、皮膚刺激も軽度でした。

    これらの結果から、毒物ではなく「普通物」に相当すると結論付けられました。

    2.IARC(国際がん研究機関)の見解

    2015年3月20日に、WHOの外部機関であるIARCが、グリホサートを含む5つの有機リン系農薬について評価の結論を発表しました。

    その結果というのが、グリホサートはグループ2A「probably carcinogenic to humans(おそらく、人に発がん性がある)」という評価だったので、世界中に衝撃が走りました。

    その時点ですでにラウンドアップをはじめとするグリホサート系の薬剤が世界中で使われていたからです。この発表からすぐに、日産化学が発ガン性の心配はないとする声明を出しています。

    一点注意が必要なのは、グループ2Aの「おそらく発ガン性がある」というのは、その物質の発ガン性の強さからの分類ではなく、発ガン性があると言える根拠がどれだけあるかという「証拠の重み(the wight-of-evidence)」で分類している点です。

    一番重い評価のグループ1は「発ガン性がある」という断定ですが、グループ2Aはグループ1の物質の次に発ガン性が強いという訳ではないという事です。

    IARCが出したグリホサートに関する結論は下記のようなものでした。

    人の非ホジキンリンパ腫に対して限られた根拠があり、さらに動物実験では発がん性の明白な根拠がある

    しかし、その「人の非ホジキンリンパ腫に対する限られた根拠」とする内容を見てみると、職業や生活習慣などの質問と同様にグリホサートの年間使用日数に関する質問があり、それらの回答から疾患に関する関連性を見るという手法を取っていました。その結果、非ホジキンリンパ腫とグリホサートの年間使用日数に「相関関係」が見られたという物でした。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]因果関係ではなく、相関関係という所がポイントじゃよ[/chat]

    つまりは、ケースコントロールスタディとして、非ホジキンリンパ腫の人に生活習慣等を質問し、その結果グリホサートの使用回数が多かったというもので、「グリホサート=非ホジキンリンパ腫の原因」が分かったわけではないのです。

    世界的にもこのIARCの結論には異論が続出し、ドイツのリスク評価研究所(BfR)やカナダ、オーストラリアなどの研究機関も、発ガン性があると結論付けるにはあまりにも根拠が不十分だとして非難の声をあげています。

    3.FAO/WHO(JMPR:合同残留農薬専門家会議)での声明

    2016年5月16日に、FAO(国連食糧農業機関)/WHO(世界保健機構)はJMPR(合同残留農薬専門家会議)において、グリホサートは

    予想される接触による暴露量で遺伝毒性を示す可能性は低く、食事を介した暴露によるヒト発がんリスクの可能性は低い

    と結論付けられました。

    前述のIARCはWHOの外部機関ですが、意見が分かれていることが分かります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]「予想される接触による暴露量」ってことは、普通に使ってれば毒性には問題ないってことかな?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]みんなが普段食べている食塩も量を間違えれば毒になるし、ラウンドアップの経口毒性は食塩より低いと言われているのう[/chat]

    4.日本政府の見解

    これらの流れを受けて、2016年7月12日に、日本の内閣府食品安全委員会は、グリホサートにおける発ガン性や遺伝毒性はないと結論付けています。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]日本政府の現在の見解は「問題なし」という事なんだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]今のところはそういう事じゃな[/chat]

    5.アメリカ カリフォルニア州の見解

    冒頭でもご紹介しましたが、2017年6月26日、米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)が、同州で定める通称プロポジション65の物質リストにグリホサートが発ガン性物質として登録されました。

    このニュースはSNSなどでも拡散され、大きな話題を呼びました。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]あれ、カリフォルニア州だと発ガン性物質登録されてるよ!?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]アメリカでリスク管理を取り上げる場合は、カリフォルニア州の「プロポジション65」が例に上がることが多いのでよく耳にするかもしれんのう[/chat]

    このプロポジション65は、アメリカカリフォルニア州独自で定めた州法で、発がん性物質と生殖毒性物質が飲料水源に排出されるのを禁止し、かつそれらの物質が人に暴露される可能性がる場合は事前に警告を行う事を義務付けています。

    今回のOEHHAの発表は、前述のIARCの報告(2015年)をもとにされており、その後2016年に日本の内閣府食品安全委員会が「発ガン性や遺伝毒性はない」と結論付けています。

    6.アメリカ連邦政府当局の見解

    カリフォルニア州のOEHHAの発表からさかのぼること3か月、アメリカ連邦政府の最新の見解では、

    2017年3月に連邦政府当局からグリホサートは「ヒトに対して発がん性があるとは考えにくい“not likely to be carcinogenic to humans”」

    と発表されています。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]アメリカ連邦政府当局とカリフォルニア州でも見解が分かれているんだね。[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]「カリフォルニア州で発がん性物質に登録!」というニュースの見出しに驚いてしまった人もいるじゃろうが、ここまで見て現在のラウンドアップ(グリホサート)の置かれている状況、その他の研究機関の見解が整理できたかのう[/chat]

    7.モンサント社がラウンドアップが原因で癌になったと訴えられた裁判で敗訴【※2018/8/11追記】

    米国カリフォルニア州在住の男性が癌になったのはラウンドアップのせいだとして、販売元のモンサントを提訴した裁判で、モンサントに約2億9000万ドルを支払うように命じた判決が下されました。(モンサントは上訴する意向を示しています)

    ラウンドアップをめぐる毒性・発ガン性への見解【時系列】

    医学論文

    ラウンドアップをはじめとするグリホサート系除草剤の毒性・発ガン性についての様々な見解を時系列でまとめてみましょう。

    2000年5月20日:日本農薬学会「グリホサートの毒性試験の概要」

    → 毒物ではなく普通物

    2015年3月20日:IARC(国際がん研究機関)

    → グループ2A(人に対しておそらく発ガン性)に分類

    2016年5月16日:FAOとWHOの合同会議(JMPR:合同残留農薬専門家会議

    → 遺伝毒性・人の発ガン毒性の可能性は低い

    2016年7月12日:日本内閣府食品安全委員会

    → 遺伝毒性・発ガン性はない

    2017年3月:アメリカ連邦政府当局

    → グリホサートが人に対して発ガン性があるとは考えにくい

    【その他諸外国・研究機関の反応】

    ◆カナダ: 用法を守れば健康に害を及ぼすものではないProposed Re-evaluation Decision PRVD2015-01, Glyphosate”. Health Canada (2015年6月17日).

    ◆ニュージーランド:グリホサートの発ガン性に関しては証拠が十分であるとは言えないReview of the Evidence Relating to Glyphosate and Carcinogenicity”. Environmental Protection Authority Te Mana Rauhī Taiao (2016年8月)

    ◆オーストラリア:グリホサートの暴露は、人に発ガン性・遺伝毒性のリスクをもたらすものではないRegulatory position:consideration of the evidence for a formal reconsideration of glyphosato”. Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority (2016年9月)

    ◆ECHA(欧州化学機関):人におけるグリホサート暴露による任意の癌形(非ホジキンリンパ腫)との間の関連性は、示された疫学データが農薬の発ガン性の可能性を検出するために限定されたもので説得力がない“同上-Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority

    ◆EFSA(欧州食品安全機関):the weight-of-evidence(証拠の重み)は、グリホサートの使用に関連したヒトへの発ガン性のリスクはない “同上-Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority

    2017年6月26日:米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)

    → 同州が定めるプロポジション65にグリホサートを発ガン性物質として追加

    2018年8月11日:アメリカ裁判所

    → ラウンドアップの業務用製品「レンジャープロ」のジェネリック製品を仕事で使用していた男性が、癌を発症したとして2016年にモンサントを提訴。米裁判所はモンサント社に約2億9000万ドルの支払いを命じた。

    まとめ

    現在に至るまでのラウンドアップなどのグリホサート系除草剤の遺伝毒性・発ガン性についての各国・各研究機関の見解をまとめました。

    最後にもう一度整理すると、

    【発ガン性 or 遺伝毒性の可能性は低いと言っているグループ】

    • 日本農薬学会
    • FAO/WHOのJMPR(合同残留農薬専門家会議)
    • 日本内閣府食品安全委員会
    • アメリカ連邦政府当局
    • ドイツ
    • カナダ
    • オーストラリア
    • ニュージーランド
    • ECHA(欧州化学機関)
    • EFSA(欧州食品安全機関)

    【発ガン性があると言っているグループ】

    • IARC(国際がん研究機関)
    • OEHHA(カリフォルニア州環境保健有害性評価局)

    ※これら以外にも見解を示している国・機関があると思いますが、各国の声明や論文に示されていたものを中心に抜粋しています。

    上記のようにまとめると、発がん性・遺伝毒性の可能性は少ないとしているところが多いのが分かります。

    しかし、結論に至るまでの検証は様々(例えば、「動物実験において膨大な量の暴露によって一部腫瘍が増大するラットが見られたが、許容量を超えなければ発がん性があるとは言えない」など)なので、原則として通常使用による毒性の有無、発がん性などの危険性を評価していると考えなくてはなりません。

    カリフォルニア州の発がん性物質として追加のニュースは、インパクトもありラウンドアップを市場から追放しようと考える人もいるかもしれませんが、その前に様々な研究機関の見解などを合わせてみて判断するようにしましょう。

    ※追記:

    米裁判所の判決でモンサントが敗訴したことから、同様の裁判が続々と起こっていくことが予想されるようで、この流れでラウンドアップの発がん性に関する問題は大きく動き出す可能性があります。

    モンサント社は上訴するとのことなので、今後の動向にも注目する必要がありそうです。

    【参考】

  • IGR剤がチョウバエ・ボウフラ・ユスリカ駆除におすすめの理由

    IGR剤がチョウバエ・ボウフラ・ユスリカ駆除におすすめの理由

    殺虫剤を選ぶ時に、皆さんが願うのは「もう虫は見たくない!」という事ですよね。

    お風呂やトイレなど、水回りで見かけることの多い「チョウバエ」なんかは、視界に数匹いれば、その幼虫や卵が見えないところに成虫の何倍もの数がいることを想定しなくてはいけません。

    以前、チョウバエの生態をご紹介しましたが、目に見えている成虫をいくら駆除しても、次から次へと卵がかえり、幼虫が羽化するので、残念ながら「あなたの悩みは一向に解決しない」のです。

    そのことを知っていると、成虫を数匹でも見つけると「そいつらを駆除してもまだどこかに潜んでいるのではないか?」と考えてしまって、夜眠れないこともあるでしょう。

    このIGR剤をおすすめする一番の理由は、安全性でも即効性でもありません。(即効性はむしろ無い)

    通常の殺虫剤は効果が成虫限定であることが多いのですが、このIGR剤は見えないところに潜んでいる「幼虫や卵にも効果がある」というのが私がおすすめする一番の理由なのです。

    当サイトで「ノシメマダラメイガ」や「チョウバエ」の駆除剤として何度もおすすめをしているIGR剤ですが、では具体的にいったいどのような薬なのでしょうか?

    • IGR剤は普通の殺虫剤と何が違うのか?
    • 安全と言われるけど、なぜ安全と言えるのか?
    • どのような点が害虫駆除に効果的なのか?

    多くの疑問があると思いますので、ここで少し詳しくIGR剤についてご説明したいと思います。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕は虫が嫌いだから、一度使ったらもう二度と虫を見なくなる薬があると良いなぁ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それではワシがIGR剤を勧める理由を説明するぞい![/chat]

    IGR剤とはどんな薬剤?

    IGR剤 スプレー

    IGR剤とは、Insect Growth Regulator (昆虫成長抑制剤)の頭文字を取ったもので、昆虫に特有の性質を抑制することで害虫を駆除する製剤です。

    IGR剤には、大きく分けて2パターンの作用機構があります。

    1. 昆虫の表皮(キチン)の形成を妨げる:キチン合成阻害剤
    2. 脱皮や変態などを行う昆虫ホルモンを乱す:昆虫ホルモン剤

    1.キチン合成阻害剤

    昆虫の皮膚は、たんぱく質と「キチン」という成分が主成分として成り立っています。

    キチン合成阻害効果のあるIGR剤は、この「キチン」が作られないようにしてしまうのです。

    昆虫は、卵>幼虫>成虫と変態をしていくうえで、何度も脱皮などを繰り返しますが、キチンが作られないと、表皮が柔らかいままなので、脱皮の途中で皮膚が破れて体液が漏れるなどして死んでしまいます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]確かにちゃんとした皮膚が作られないと、生きていけないよね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]もしすでに卵や幼虫があったとしても、この成分が効くために成虫になれずに死んでしまうのじゃよ[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]という事は、卵や幼虫にも効果がある薬剤なんだね![/chat]

    当然のことながら、この「キチン」という成分は人間や動物は持っていないので、この薬剤が人畜に対して安全であるという事はお分かりいただけると思います。

    ※口から直接体内に入ると有毒ですので飲んだりしないでくださいね。

    2.昆虫ホルモン剤

    ホルモンに関する製剤は、昆虫が脱皮や変態をする際に必要とする「脱皮ホルモン」「幼若ホルモン」を乱して殺虫効果を発揮する薬剤です。

    この薬剤でホルモンを乱された虫は、サナギから羽化する段階が上手くいかず死んでしまったり、過剰に脱皮を繰り返して成虫になれずに死んでしまったりします。

    この製剤の効果は長く効くので、次世代の産卵率・孵化率の低下にも効果があります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]もちろん人間は脱皮しないので、この薬剤の安全性も高いってことだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″](君はブタだけどね・・・。)[/chat]

    IGR剤がおすすめの理由

    1.安全性が高い

    従来の殺虫剤は、合成ピレスロイド剤や有機リン剤など「昆虫の神経系」に作用して殺虫効果を発揮しますが、このIGR剤は昆虫に特有の性質に働きかけるタイプの薬剤なのです。

    合成ピレスロイド剤などは、人畜に対する毒性はとても弱く、人体に入っても途中で分解・代謝されるので安全性はとても優れているのですが、このIGR剤はそもそも人体にはない虫特有の仕組みに効果を発揮するという点で安全なのです。

    前述した通り、「キチン」という昆虫の皮膚を形成する成分にのみ働きかけるものと、昆虫の「脱皮や変態に関わるホルモン」に作用するものがあり、どちらも人間には無い働きなので安全性が高いのです。

    2.幼虫や卵にも効果がある

    従来の殺虫剤では、卵や幼虫には効果が無いものが多かったため、目の前にいる成虫を駆除しても、排水溝内などで卵が孵化し、また数日後には成虫が現れるという繰り返しでした。

    しかし、IGR剤は幼虫や卵にも効果があるため、幼虫や卵のある場所(害虫の発生源)が特定できていれば、駆除することが可能です。

    3.効果が長く、次世代の発生抑制ができる

    IGR剤の特徴として、「長く効く」という利点があります。

    IGR剤によってホルモン異常をきたした成虫は、産卵数に減少がみられ、その卵の孵化率も減少します。

    そのため、日に日に見かける成虫の数が減っていき、知らないうちに見えないところにいた卵がかえって大発生!などという事が起きる心配はなくなります。

    ただ、キチン合成阻害剤は「脱皮時に死ぬ」という特性のため、即効性はありません

    予防的に使用することで、成虫を見かけなくなりますので、発生源を特定しておく必要性があるでしょう。

    私がおすすめするチョウバエ・ユスリカ・ボウフラ駆除に最適なIGR剤はコレだ!

    お風呂やトイレのチョウバエには「コバエ用ムース BIG」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • ショウジョウバエ
    • ニセケバエ
    • ハヤトビバエ
    • クロコバエ
    • トビムシ
    • ハネカクシ

    お風呂やトイレなど水回りでよく見かける「チョウバエ」(別名:便所バエ)は、薬剤の散布しにくい配管の中、排水溝、下水溝、浴槽下のスペースなどで発生することが多い虫です。

    このコバエ用ムースBIGは、即効性の無いIGR剤に加えてピレスロイド系殺虫剤も混合してあるため、成虫を見かけたら通常のスプレー剤と同様に使用することが可能です。

    また、薬剤の届きにくい配管や排水溝の中には、ムース状の薬剤を充満させることで気化した薬剤が奥まで浸透して幼虫や卵に行き渡ります

    注意点としては、可燃性のガスを使用しているので、使用中は窓を開けるなどして換気に十分注意する必要があります。3時間もすれば、充満させた薬剤が全ていきわたるでしょう。

    チョウバエの発生しやすい時期に定期的に使用することで、お風呂場などで見かけることは無くなるでしょう。

    【高評価のポイント】

    これ一本で、家庭内のチョウバエ・コバエの駆除・予防の全てに対応できる!!

    貯水槽や浄化槽、側溝のチョウバエやユスリカには「デミリン発泡錠」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • ショウジョウバエ
    • ノミバエ
    • ユスリカ
    • ニセケバエ

    貯水槽や側溝などの、水が沢山溜まっている場所には「デミリン発泡錠」がおすすめです。

    紹介しているものは低毒性の脱皮抑制に効果を発揮するIGR剤なので、水が溜まっていて流れの少ない場所に錠剤を入れるだけで効果を発揮します。

    目安としては、水量が30~60Lの場所で1錠投入します。

    水が少ない場所には、同量の水に溶かして使用することもできます。

    河川のボウフラやユスリカには「スミラブ粒剤「SES」」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • 蚊(ボウフラ)
    • ユスリカ
    • ウジ(ハエ)

    スミラブ発泡錠剤SESは、ウジやボウフラの羽化を防止するIGR剤です。

    哺乳動物や魚類に対する毒性が極めて低いため、沼や池、河川へも使用可能で、ユスリカなどが大量に発生している場所に有効です。

    水量1トンに対して10グラムの使用でよく、臭いや色も無いので浄化槽にも使いやすいです。

    徐放性粒剤のため1~3カ月の残効性があり、長く効くという特徴があります。

    ゴミ溜めのウジ虫や、雨水升のボウフラは「スミラブS粒剤「SES」」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • 蚊(ボウフラ)
    • ユスリカ
    • ウジ(ハエ)

    ひとつ前のスミラブ粒剤「SES」とは成分は全く同じですが、溶け方が違います。

    このスミラブS粒剤は水に溶けやすいため、スミラブS粒剤を水に溶かした溶剤を、噴霧器などで蚊の発生源に噴霧することでも防除効果が発揮できるのが特徴です。

    ※別記事で「家庭でも使えるおすすめの噴霧器」をご紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

    ゴミ溜めや堆肥にわいたウジ虫や、雨水升のボウフラ駆除なども簡単に行えますし、噴霧器に希釈液を入れて、蚊の発生源となる藪に散布することで蚊の発生も抑えることが出来ます。

    スミラブ(S)粒剤「SES」は、成虫のハエや蚊には効果が無い点に注意が必要です。

    まとめ

    水ガメ

    今回は、IGR剤がチョウバエやユスリカ、ボウフラの駆除におすすめな理由をまとめました。

    IGR剤は、チョウバエやユスリカのみならず、家の中で発生し、お米につくノシメマダラメイガという害虫にも効果があります。

    昆虫特有の性質を利用した殺虫作用機構による安全面はもとより、幼虫や卵にまで効く点や次世代の虫の発生を予防する点などがおすすめの理由としてご紹介しました。

    目に見える範囲での殺虫効果だけでは、毎回嫌な虫を見なくてはいけませんが、IGR剤なら、予防的に使用することで見えないところで成虫になれずに駆除されていきます。

    これは虫嫌いな人にとっては、とても大きなメリットではないでしょうか。

    コバエや蚊などを見ずに済むように駆除したいという人は、IGR剤を試してみることをおすすめします。

    関連記事>>>家の中の虫はこいつかも?あまり知られていない室内の害虫10選

  • 防虫剤のおすすめと選び方|服の虫食いに効果的な防虫剤はどれ?

    防虫剤のおすすめと選び方|服の虫食いに効果的な防虫剤はどれ?

    皆さんは衣類用防虫剤にはどのような種類があって、どのような違いがあるのか知っていますか?

    衣類用害虫に効果のある防虫剤は、防虫成分の違いによって大きく4つに分けられます。

    それらの防虫剤にはそれぞれ特徴があり、成分によっては使用方法を間違えると健康被害が出たり、衣類をダメにしてしまう恐れもあるのです。

    この記事では、衣類を食害する「衣類害虫」に効果を発揮する「防虫剤の種類とおすすめ」をご紹介いたします。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]防虫剤って「においがする」か「においがしない」の2種類じゃないの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]うむ。その「においがする」という防虫剤が、実は3種類あるんじゃよ。[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕はスーツ用の防虫剤が欲しいなぁ!
    そういう用途別の防虫剤の選び方もあるの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]もちろんじゃ!
    (ブタなのにスーツなんか着るのか・・・。)[/chat]

    防虫剤の4種類の防虫成分とは?

    防虫剤イラスト

    冒頭で「防虫剤には4種類ある」とお伝えしましたが、その4種類とはどのようなものなのかというと、

    1. ピレスロイド系(エムペントリン製剤)
    2. パラジクロロベンゼン製剤
    3. しょうのう製剤
    4. ナフタリン製剤

    上記の4種類に分類されます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]早速難しそうな名前が出てきましたけど、何が違うんですか?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]大きな違いは、
    ①ピレスロイド系は【無臭】[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]②パラジクロロベンゼン製剤
    ③しょうのう製剤
    ④ナフタリン製剤
    【有臭】という点じゃな![/chat]

    これら4種類の成分で分けた場合に、①のピレスロイド系の防虫剤は無臭で、それ以外(②③④)は有臭というのが大きな違いです。

    そして、一番注意をしなくてはならないのが
    「②③④の臭いのある防虫剤は、2成分以上での併用をしてはいけない」
    という点です。

    異なる成分の防虫剤を併用してしまうと、収納ケース内でお互いの防虫成分が反応しあってしまい、ガスが発生して衣類に油性のシミがついてしまう危険性があります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]衣類を守るために入れる防虫剤が、かえって衣類を汚してしまう可能性があるんだね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]有効期限が切れた防虫剤をタンスに入れたまま、別成分の防虫剤を追加したりする場合は注意が必要じゃよ![/chat]

    成分別の特徴と使用上の注意点

    1.ピレスロイド系防虫剤(エンペントリン)

    除虫菊から抽出された殺虫成分の効能を化学的に強めたもの(化合物)の総称

    蚊取り線香やエアゾール系の薬剤などもピレスロイド系の殺虫剤が主流です。

    蚊取り線香は火をつけて殺虫成分を空気中に蒸散しますが、防虫剤のエンペントリンは常温でも揮発して衣装ケース内に広がって、害虫を駆除します。

    特徴は、

    • 無臭
    • 安全性が高い
    • 他種薬剤と併用してもOK
    • 効果が高い
    • 常温揮発で隅々まで効果が届く
    • 高濃度になると、銅や真鍮と反応して変性させてしまう可能性がある

    ※効果の強さについては、衣類害虫の代表である「ヒメカツオブシムシ」の食害防止効果が、パラジクロロベンゼン系の1000倍とのデータもあるそうです。(※引用:防虫剤について – テクノスナカタ)

    一方で、安全性はとても高く、昆虫には即効性を示すが人畜には低毒性で、アレルギー毒性も無いとされています。歴史の長い防虫剤の安全性研究の結果、化審法の審査を通過して発売された近年で最も安全性の高い防虫剤と言えます。

    口に入れたと仮定した場合の毒性は、普段口にしている「食塩」よりも毒性が低いという研究結果が出ているので、どれだけ安全なのかが分かりやすいですね。※急性経口毒性試験(LD-50)より

    注意点としては、「銅や真鍮を含む金属のついた服(ボタンなど)には使えない」点です。殺虫成分が化学反応を起こし、金属が変色する恐れがあります。

    5月人形の兜などは銅が使われていることもあるので、使用の際には十分注意しましょう。

    2.パラジクロロベンゼン製剤

    4つの防虫剤成分のなかで「最も臭いが強い」のがパラジクロロベンゼン製剤です。

    害虫に対して即効性がある一方で、昇華性が高いので効果が長続きしないという側面を持っています。

    融点が53℃ととても低いので、夏場の保存場所によっては溶けてしまう可能性があるのが注意点。

    また、ラスチックや塩ビ、樹脂などには使えません。

    通常利用では安全性には問題が無いとされていますが、肌に直接薬剤が触れたり、保管場所が高濃度になった場合に健康被害を訴える例もあるので、用法用量をしっかり守るようにしましょう。

    特徴をまとめると、

    • 臭いが強い
    • 即効性があるが、効果持続時間が短い
    • 融点が低いので保管場所によっては溶けてしまう危険性がある
    • プラスチックや塩ビ、樹脂などを変性させてしまう可能性がある
    • 高濃度になると健康被害の危険性がある

    3.しょうのう(樟脳)

    防虫剤の成分としては最も古くからある「しょうのう(樟脳)」は、クスノキ由来の防虫成分です。

    クスノキの葉や枝を蒸留し、抽出したものを冷却して結晶化させて作ります。

    植物由来のハッカのような匂いが特徴で、着物の防虫剤として使われることが多いです。

    注意点としては、しょうのう自体は有毒で、万が一飲み込んだ場合はすぐに病院へ行く必要があります。飲み込んだ場合は、精神錯乱や神経、筋肉系への異常をきたします。
    ※樟脳は脂溶性のため、乳脂肪分が含まれる牛乳を解毒として飲ませるのは逆効果

    天然由来成分という事で、ピレスロイド系などの防虫剤に比べて安心とうたっているような情報を見かけますが、「天然植物由来=無害」ではないので、しっかりとした情報をもとに使用するようにしてください。

    特に、子供の誤飲の事例が多いので「天然由来成分だから子供服の保存には樟脳」という理由だけで選ぶと危険ですよ。

    また、プラスチックや塩ビに反応することもあるので注意が必要です。

    特徴をまとめると

    • 植物由来のハッカのようなスッとした香りがある
    • 着物の防虫剤に多い
    • 飲み込んだ場合は有毒なので病院へ(油分のある物(牛乳など)は飲ませない)
    • プラスチック、塩ビに反応して変性させてしまう可能性がある

    4.ナフタレン

    コールタールの蒸留によって作り出された成分で、強い臭いがあります。

    防虫効果はさほど強くはありませんが、ゆっくりと効きはじめ効果が長く続きます。

    金属や金箔、銀糸など人形によく使われる素材へのダメージが少ないので、五月人形やお雛様の防虫用などに使われることが多いです。

    しかし、直接触れるとただれてしまったり、誤飲してしまったら健康被害が出るので安全面ではピレスロイド系に劣ります。

    特徴をまとめると、

    • 臭いが強い
    • 即効性は無いが、効果が長く効く
    • 直接肌に触れると炎症を起こす
    • 金属や金箔などへの影響がないので、人形の防虫剤としてよく使われる

    各防虫成分の比較表

    種類ピレスロイド系
    (エンペントリン)
    パラジクロロ
    ベンゼン系
    しょうのうナフタレン
    におい
    有効期間6か月~1年 3か月~6か月
     6か月程度6か月~1年  
    効果の持続性 長期間持続 即効性・短期間 平均的長く効く
    効果の強さ◎ (サナギ化した幼虫にも効果あり)


    安全性 ×~△×
    他種との併用×××
    用途 毎日着るような服害虫被害が
    多い場所
     着物など和服の保存に多い 人形・鎧兜
    長期間保存するもの
    使用不可例銅、真鍮など金属が付いているもの プラスチックや 塩ビや樹脂の素材 プラスチックに反応する可能性がある。金箔などは直接触れないように特になし
    特徴①商品の種類が豊富  肌に直接触れると炎症を起こす危険性がある 有毒 肌に直接触れると炎症を起こす危険性がある 

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]この比較を見ると断然ピレスロイド系の「エンペントリン」が良いなぁ。[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]防虫剤の長い歴史の中で、健康被害など様々な問題があって改良されてきた最後の砦みたいな防虫剤じゃからのう。とにかく扱いやすいから、ドラッグストアなどで見かける防虫剤の多くはピレスロイド系になってきておる[/chat]

    【防虫成分別】おすすめの防虫剤

    1.エンペントリン(ピレスロイド系)の防虫剤

    かおりムシューダ 1年間有効タイプ

    定番の「ムシューダ」の香りがあるタイプの防虫剤「かおりムシューダ」です。

    ピレスロイド系の中では最も効果の長い「1年間有効」のタイプで、効果が長く続きます。

    香りには下記の4種類があります

    ムシューダ 1年間有効 無香タイプ

    ムシューダの臭いのしない「無香」タイプです。

    防虫剤に香り成分は不要!という方におすすめです。

    ムシューダは、使用場所によって下記のタイプがあります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]あっ!スーツ用の防虫剤があった!カバータイプなんてあるんだね![/chat]

    2.パラジクロロベンゼン製剤の防虫剤

    ネオパラエース

    ネオパラエースは、特殊加工の包装によって薬剤が直接衣類につかないのが安心の商品です。

    洋タンス用の商品はこちら

    3.しょうのう(樟脳)の防虫剤

    藤沢樟脳

    天然樟脳

    樟脳には、マツの精油からとれるα-ピネンから合成されるものもありますが、天然由来の樟脳をご希望の方は、上記の「藤沢樟脳」もしくは「天然樟脳」がおすすめです。

    4.ナフタレンの防虫剤

    ネオパース

    まとめ

    今回は衣類の防虫剤として使われている成分別に4種類ご紹介いたしました。

    どんな防虫剤でも100%安全なものはありません。

    記事中で例に出した食塩のように、普段口に入れているものでも度を過ぎると毒になります。

    そう考えると、防虫剤の中では(用法用量をしっかり守れば)ピレスロイド系のエンペントリンは4種類の中で最も安全な防虫剤と言えるでしょう。

    小さなお子さんがいるからと言って、天然由来成分の樟脳が必ずしも安全であるとは言い切れず、天然か化学薬品かのみの判断で商品を選ぶのではなく、しっかりと各防虫成分の特徴を把握して、自分に合ったものを選びましょう。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]記事中で出てきた「ヒメマルカツオブシムシ」などの衣類害虫についてももっと知りたいな。[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]うむ、大切な服などの繊維を食べてしまう衣類害虫についてもまとめてあるから、そちらの記事を参考にしてくだされ[/chat]

    衣類を食害する害虫の代表格「カツオブシムシの駆除方法と対策」と「イガ・コイガの駆除方法と対策」については、別記事でご紹介していますので、そちらを参照ください。

  • スギナの駆除方法と効果のある除草剤を教えます!

    スギナの駆除方法と効果のある除草剤を教えます!

    プロの農家すら悩ます最強最悪の雑草「スギナ」は、簡単に防除することが出来ない難防除雑草とされています。かつて原子爆弾を落とされた広島で、一番最初に地上に顔を出した植物がこのスギナだといわれており、どれだけ駆除するのが難しいかを物語っています。

    この記事では、そんな駆除するのが難しい「スギナの駆除方法」についてご紹介します。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]庭に生える土筆(つくし)を見ると春を感じるなぁ~!収穫して後で食べよう![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]おっ!「つくし」じゃないか!どこで見つけたんじゃ?[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕の家の庭に沢山生えてるんですよ~[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]なぬっ!??家の庭じゃと!??それはイカン!!
    ちなみに、つくしの周りに「緑色の「杉」に似た棒状の葉」の植物が生えていなかったかの?[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]はい、いっぱいありましたよ![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それは「スギナ」と言って「地獄草」の異名を持つ超厄介な雑草なんじゃよ![/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]えええぇえ~~~~っ![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]すぐに除去した方がいいから、今日は「スギナの駆除方法」について説明するぞい![/chat]

    最強雑草「スギナ」と春の風物詩「土筆(つくし)」の意外な関係

    つくし

    【スギナ】

    1. 和名:スギナ(杉菜) ※別名:地獄草
    2. 学名:Equisetum arvense
    3. 階級:シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属
    4. 分類:多年生難防除雑草
    5. 分布:北海道から沖縄にかけて生息する在来種。比較的涼しい地域に多く発生する
    6. 形態:栄養茎を「スギナ」と呼び、胞子茎を「つくし」と呼ぶ。
    7. 繁殖方法:胞子と地下茎(根茎と塊茎)
    8. 特徴:酸性土壌への適応性がある

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]別名が「地獄草」って凄いね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]スギナの地下茎のあまりの成長力に、「地獄のエンマ様のところまで届きそうだ」という所からその異名が付いているようじゃな[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]あの可愛いつくしはスギナの胞子茎だったんだね!
    という事は、つくしが飛ばす胞子が厄介な雑草を増やしてたのか~[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]なぜスギナが駆除しにくい雑草なのかは、スギナの繁殖方法にあるんじゃ[/chat]

    山菜としてのつくしの栄養と毒性については、下の関連記事も是非ご覧ください

    https://inakasensei.com/tsukushi

    なぜスギナは駆除しにくいのか

    スギナ

    スギナがこれほどまでに駆除しにくいのには、スギナの特性と繁殖方法が関係しています。

    スギナの繁殖方法の特徴を知ると、駆除しにくい理由がわかるのでまとめてみました。

    1.繁殖方法が3つあるという点

    スギナは「胞子」/「根茎」/「塊茎」の3つの方法で繁殖します。

    その為、地上部に見えている胞子茎(つくし)や栄養茎(スギナ)を刈り取って除草をしたつもりになっていても、地下茎の「根茎と塊茎」は残っているので防除方法としては不十分です。

    2.多年草で寒さに強い点

    スギナは多年草で寒さに強く、地下茎は5~10℃の寒さでも地中で伸びます。

    冬は地下茎だけが生き残り、越冬して暖かくなると地上に顔を出します。このことから、駆除には地下茎の根絶が必要であることが分かります。

    3.地下茎(根茎)は切断されると分裂して増える

    スギナが特に厄介なのがこの「分裂して増える」という点です。

    地面を掘り起こして地下茎の駆除をしようとして、トラクターなどのロータリーで耕したり、手で地面を掘って引きちぎったりしても、切断された根茎の「節」から芽吹くのでかえってスギナを増やしてしまう結果になります。

    かえってスギナが広範囲に増えてしまうので、根を掘り起こしたり引きちぎって駆除するのは絶対にやめましょう。

    スギナの地下茎は地下30~40cmに多いですが、時には1mの深さを越すものもあるので、人力での根絶は難しいでしょう。

    ロータリ耕をすることで分裂する強害雑草にカヤツリグサ科のハマスゲがありますが、こちらもスギナ同様にとても厄介な雑草として世界各地に君臨しています。

    4.胞子には除草剤の効果が薄い

    厄介なのは地下茎だけではなく、シダ植物特有の「胞子で増える」という性質もあります。

    失敗例で多いのが、地上部分のスギナを刈り取る際に胞子が飛散してしまい、かえって遠方にまでスギナを蔓延させてしまうという点です。

    胞子にはほとんどの除草剤はなす術がありません。
    (※安全性を考えるのであれば、植物特有の特性に作用する除草剤がおすすめなのですが、胞子にはそれらの作用機序は効果がありません)

    被害を拡大させないためには、胞子を飛ばさないよう地上部分もしっかりと除草剤などで科学的に駆除してから、刈り取るようにしなくてはなりません。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]刈り取ったら胞子が飛ぶし、根っこはちぎれたら分裂するし、スギナって生命力強すぎ![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]次は、スギナの特性についての誤解から生まれた、間違った対策を一つ紹介しよう[/chat]

    スギナ駆除に石灰を使うのは効果が無いどころか逆効果!

    石灰

    ネットで調べると出てくる「スギナの駆除に石灰を使う」という方法ですが、

    これは「全く意味がありません!」

    意味がないどころが逆効果になってしまう事さえあります。

    スギナの防除方法として一つ有効なのは、他の作物の雑草抑制力を使うという方法があります。

    例えば、大豆のように他の作物に負けまいとする競合力の強い作物があると、大豆の方がスギナよりも大きく育っていくので、スギナの成長を抑制してくれる効果があります。

    しかし、土壌が酸性に近いと、酸性土壌への適応能力の高いスギナの成長の方が勝ってしまい、他の作物の雑草抑制力が効かなくなってしまうのです。

    この「スギナは酸性土壌への適応能力が高い」という事を「スギナは酸性土壌を好む」と誤解されたために、「石灰をまいてpHを中性~アルカリ性に近づければスギナ駆除に効果的である」というような間違った対処法が伝わったのでしょう。

    スギナは実際は「中性」の土壌を好みます。

    酸性土壌を中性やアルカリ性に近づけることは、他の作物の雑草抑制力を使う場合において効果的ですが、スギナ自体への駆除効果は全くありませんので、スギナが茂っているお庭に石灰をまいても意味がないのです。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]スギナの駆除方法で「石灰」ってよく見かけたけど、石灰自体にスギナへの駆除効果は無かったんだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]身の回りにあるもので安全に駆除しようという気持ちはわからないでもないが、ちゃんと駆除方法を理解しないと「無駄足」どころか他の作物に影響を与えかねない事態を招くことになるからのう[/chat]

    スギナの効果的な駆除方法とおすすめの除草剤

    農薬散布

    スギナの特徴から、スギナを駆除するには「胞子を飛ばさず、地下茎を掘り起こさずに、全てを枯死させなくてはならない」という事が分かりましたね。

    では、そのような駆除方法を取ることが出来る除草剤はどのようなものがあるのでしょうか?

    グリホサート系の除草剤を使う

    グリホサート系の除草剤は、茎や葉から植物体内を移行し、根まで枯れさせる除草剤です。

    市販のものには、ラウンドアップサンフーロンがあります。

    例として、ラウンドアップの特徴を表にまとめます。

    【ラウンドアップの特徴】

    系統アミノ酸系
    有効成分グリホサート
    殺草作用アミノ酸の生合成阻害
    適用草種一年生雑草(イネ科)
    一年生雑草(広葉)
    多年生雑草(イネ科)
    多年生雑草(広葉)
    処理方法茎葉処理剤
    接触型 or 移行型移行型
    効果発現の速さ遅効性(7~10日以上)
    効果の持続性無し
    土壌中の移動性/残留性小 / 小
    選択性の有無非選択性
    人畜毒性普通物
    特記事項多年生雑草の根まで枯殺でき、持続性・残効性がほとんどないので、使用後すぐに作物の作付けができる

    このラウンドアップとサンフーロンの違いは、サンフーロンがラウンドアップのジェネリック品であるという点です。

    その為、基本成分には違いはほとんどなく、サンフーロンの方が安価に購入ができます。

    ただ、これらのグリホサート系の除草剤は「移行型」の除草剤のため、散布をしてから除草効果が完成するまでに数週間から1か月ほどかかることがあります。

    その間に雨が降ると効果が減弱しやすく、雨が降っても大丈夫な時間はラウンドアップの方がやや優れているので、雨の降りやすい季節や地域での散布を検討している方はラウンドアップマックスロードの方が良いかもしれません。

    ラウンドアップやサンフーロンなどのグリホサート系薬剤の安全性については、こちらの「毒性や発がん性に関する各国・各研究機関の見解まとめ」の記事をご覧ください。
    ※注 バスタ液剤を勧める記事もありますが、バスタ液剤は根を枯らす力は弱いので、上記の2剤の方がより効果的です。

    また、上記の表に記載されている内容や、有効成分、安全性などについては、以前ご紹介した「除草剤の種類とおすすめの選び方」についての記事で詳しくまとめてありますので、購入前にご一読をお勧めいたします。

    ラウンドアップやサンフーロンを使う事によって、有効成分が浸透していき、時間はかかりますがスギナの根まで枯らすことができます。

    これらの除草剤は、土壌で安全に分解されることがメリットなのですが、その反面効果の持続性は無いため、除草後の土地にスギナの胞子が飛んできたり、地中に残ったスギナの根があるとすぐに再発生してしまいます。

    徹底的にスギナの発生を防ぎたい方は、除草剤使用後に防草シートを使った防除方法をお勧めいたします。

    芝生の中にスギナが生えてきた場合は「MCPP液剤」を使おう!

    (※2018/5/22追記)

    スギナへ効果的な除草剤としてラウンドアップなどのグリホサート系の除草剤をご紹介してきたところ、コメントで「芝生の中に生えてきたスギナの駆除はどうしたらいいのか」というご質問をいただきました。

    我が家でも芝生の中にスギナが生えてきており、「MCPP液剤」という芝生のようなイネ科の植物に影響の出ない除草剤を使って駆除しております。

    MCPP液剤は、スギナ以外にも「カラスノエンドウ」「スベリヒユ」「クローバー」等に効果があり、イネ科の芝生に対する安全性が高いので、ゴルフ場などでの雑草防除によく使われている除草剤です。

    ご自宅の芝生に対しての安全性はメーカーサイトをご確認いただくと確実ですので、必ず適用があることを確認してから使用するようにしましょう。

    メーカーサイトでMCPPの適用を確認する

    苔の中にスギナが生えてきた場合は「プリグロックスL」を使おう!

    プリグロックスLは「最も苔に影響の少ない除草剤」として使われていますが、医薬外毒物指定されているので一般のホームセンターやネット通信販売では購入ができません。

    最寄りのJAなどで置いてある場合があるので、署名・押印と身分証明書の提示をして購入することができます(※18歳未満購入不可)。

    詳しくは下記記事にてプリグロックスの特徴と使い方について解説していますので、あわせてご覧ください。

    https://inakasensei.com/koke-sugina

    まとめ

    スギナ駆除に悩む多くの方が、様々な対策を探していることと思います。

    その中で、ラウンドアップやサンフーロンに行きつくも、除草剤ということで敬遠してしまう人もいるかもしれません。

    しかし、スギナの特徴や繁殖方法を知ると、とても一筋縄ではいかないことがご理解いただけると思います。除草剤も、その特性を知ることで安全に使うことが出来るので、スギナの駆除にお困りの場合は今回ご紹介した、ラウンドアップやサンフーロンの使用を検討してみてください。

    もし個人では対応しきれず草刈りの専門家に依頼したい場合は、別記事でオススメの草刈り業者をご紹介していますのでこちらも併せてご覧ください。

    https://inakasensei.com/kusakari110

    また、身近な雑草を知ることで雑草に対する考え方が変わるかもしれません。こちらの本は特におすすめです。

  • 除草剤にはどんな種類がある?おすすめの選び方をご紹介します!

    除草剤にはどんな種類がある?おすすめの選び方をご紹介します!

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]今日は除草剤の種類と選び方について説明をするぞい![/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]「根まで枯らすタイプ/根は残すタイプ」、「液体/顆粒」、「遅行性/即効性」など色々なタイプがあって、どれを買ったらいいか全然わかりません!![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]うむ、今回はそこをできるだけわかりやすく解説してみるから、しっかり聞くんじゃよ[/chat]

     

    雑草の駆除方法として真っ先に思い浮かぶのが「除草剤」の存在でしょう。

    庭の雑草を駆除しようと除草剤を調べてみるも、「種類が沢山ありすぎてどれを選んだらいいかよくわからない!」なんてことがありますよね!

    特に、自宅の庭など子供やペットがいる環境だったり、作物を育てている農耕地であったり、除草剤を使用する場所によっては効果だけでなく安全性も気にしたい

    そんなときに、自分が選んだ除草剤がどのような種類のもので、どのような効果がどれだけ続いて、土壌や作物、さらにはそこに住む人にどのような影響があるのかを知っておきたいと思うのは私だけではないはずです。

    この記事では、除草剤の事を良く知ってもらって、どのような除草剤が自分には必要なのかをご自身で判断できるように、除草剤の種類と選び方をご説明いたします。

    除草剤の種類にはどのようなものがあるの?

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]でも、「除草剤について知る」って専門的で難しそうなんだけど、やっぱり必要なの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]例えば、ブタスケ君の家に小さなお子さんがいるとして、「この除草剤はお子さんがいる家庭でも安全ですよ~」って言われて、そのまま信じて庭に撒けるかの?[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]うーーん、確かにそれだけじゃ本当に安全か100%は信じられないなぁ。[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]皆がネットで調べてもどれを買っていいか迷うのは、どういう理由で安全なのか、なぜその薬が効果的なのかを理解しないまま購入しようとしてるからなんじゃよ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]自分で納得して必要な除草剤を選べるように、できるだけ簡単にかみくだいて説明するから、是非最後まで読んで欲しいのう[/chat]

     

    あなたがこのページを見に来ているということは、除草剤の選び方について悩んでいて、少しでも自分が必要としている除草剤はどのようなものなのかを知りたいと思っているはずです。

    この記事で、除草剤の特徴を知ることによって、あなたが購入を迷っている除草剤が、どの分類に位置づけされている商品なのかを知ることが出来るようになります。

    そうすれば、その除草剤が自分に必要なものなのかの判断が簡単にできるようになるでしょう。

    それでは、まず除草剤の分類についてご説明します。

    除草剤を選ぶ時に知っておくと便利な除草剤の原理と特性

    1.「茎葉処理剤」か 「土壌処理剤」かどうか

    まず除草剤は「茎葉処理剤」か「土壌処理剤」の2種類に大きく分けることが出来ます。

    まず、茎葉処理剤ですが、

    すでに生えている雑草に散布して、茎や葉から薬剤を吸収させて枯れさせる薬剤の種類です。お庭に雑草がボーボーと茂っていて除草剤を探している方はこの「茎葉処理剤」を選びましょう。

    次に、土壌処理剤ですが、

    作物を育てる前の耕したばかりの畑や水稲の移植前後の水田など、雑草が生える前の土壌に散布して、隠れている雑草の芽や根を枯れさせる除草剤です。これから作物の種や苗を植えるので、あらかじめ雑草を生えないようにさせておきたい場合などに、この「土壌処理剤」を使います。

    【まとめ】

    1. 茎葉処理剤:すでに生えている雑草にまいて、枯れさせる除草剤
    2. 土壌処理剤:まだ雑草が生えていない土にまいて、雑草の発芽を抑制する除草剤

    2.「接触型」か「移行型」かどうか

    次に、除草剤の効果範囲の分類で「接触型」と「移行型」の2種類があります。

    まず、接触型の除草剤ですが、

    薬剤がかかった部分にのみ留まり、その部分にのみ効果を発揮するタイプの除草剤です。

    メリットは、効果が表れるのが早い
    デメリットは、薬剤のかけむらがあると、その部分は枯れないので効果に差が出やすい

    ことが挙げられます。

    表面に見える雑草をできるだけ早く枯れさせたい場合は、接触型の除草剤を使用しましょう。

    次いで、移行型の除草剤ですが、

    薬剤がかかった茎葉や根から成分が吸収され、雑草内全体を移行して枯れさせるタイプの除草剤です。

    メリットは、かけむらがあっても問題なく、雑草全体に巡り根まで枯れさせる
    デメリットは、効果が表れるまで時間がかかる

    塊茎で増えるため根まで枯れさせる必要があるため、以前「スギナの駆除方法」や「ハマスゲの駆除方法」で紹介した除草剤の種類も、この移行型の薬剤でした。

    【まとめ】

    1. 接触型除草剤:効果が出るのが早いが、かけむらに注意する必要がある
    2. 移行型除草剤:効果が出るのが遅いが、多少のかけむらがあっても問題はない

    3.「即効的」か「遅効的」かどうか

    薬剤の効果発現までの時間によって「即効的」か「遅効的」の薬剤に分かれます。

    これは、前述の「接触型」と「移行型」とも関係があるのですが、

    前述した接触型」の除草剤の多くは、効果が出るのが早い「即効型」の薬剤です。
    同様に、「移行型」の除草剤の多くは、効果が出るのが遅い「遅効型」の薬剤です。

    例えば、ラウンドアップのように茎葉から根まで薬剤が移行して徹底的に枯殺する除草剤は、効果が最大限発揮されるまで10日ほどかかる「遅効型」の除草剤となります。

    「即効型」のメリットは、効果が表れるのが早いので雨の影響を受けにくい点ですが、デメリットとしてかけむらがあると効果が薄くなる点です。

    「遅効型」のメリットは、雑草の根絶が期待できる点ですが、デメリットは効果が表れるのが遅いので、雨の影響を受けやすいという点です。

    ラウンドアップのような遅効型の除草剤は、効果完成まで少なくとも1週間はかかります。しかし、そのことを知らずに効果が出ていないと思い込んで再散布をしてしまうという失敗がとても多いので、焦らずじっくり待つようにしてくださいね。

    【まとめ】

    1. 即効型除草剤:多くが接触型除草剤
    2. 遅効型除草剤:多くが移行型除草剤で、効果が表れるのが遅いので雨の影響を受ける

    4.「残効性」と「残留性」の強さについて

    散布される除草剤は、植物に吸収された後、雨風た太陽光によって、飛散・分解されて成分は弱まります。土壌に流れた薬剤成分も、その多くが菌や微生物によって分解されますが、それでもなお除草剤の有効成分が土壌中にとどまっていることを「残留」と言います。

    その除草剤の効果の減弱期間の長さによって、残留性の強弱が判断されます。

    一方で、残効性は、土壌に残っている除草効果の持続期間のことを言います。

    一般的に、茎葉処理剤の残効性は短く土壌処理剤の残効性は長いものが多いです。

    ですので、茎葉処理剤で除草した後の土壌に残る有効成分は、あとから出てくる雑草にはほとんど効果が無いので、除草後すぐに雑草が再発生しやすいのです。

    それは、残効性の短い茎葉処理剤で除草した後の土壌は、比較的早い段階で次の作物を作りやすいという利点でもあります。

    【まとめ】

    1. 茎葉処理剤は残効性が短く、すぐに次の雑草が生えてきやすい。
    2. 土壌処理剤は残効性が長く、一般的には10日~30日効果が持続し雑草が生えない。

    5.剤型はどうか

    除草剤には以下のような剤型のものがあります。

    粒剤水に溶かして調剤する必要が無い、水田用除草剤はほぼ全て粒剤
    水和剤水に溶かして使用する。多くが粉末か錠剤
    乳剤水に溶けにくい有効成分を有機溶媒で溶かし、乳化剤を加えて製剤化したもの
    フロアブル剤固形の薬剤を粉にして液体に混ぜ、分散させたもの
    水溶剤・液剤水溶性の有効成分を粉末にしたもの、既に溶けているものは液剤
    くん蒸剤常温で気化する薬剤

    6.「選択性」か「非選択性」かどうか

    除草剤の中には、

    触れたもの全てを無差別に枯れさせてしまう「非選択性」の薬剤と、
    作物に対して安全性が高く、雑草のみに対して効果的に働く「選択性」のある薬剤

    があります。

    選択性による防除の違いについては今回は割愛しますが、農耕地に散布するのでなければ、非選択性の除草剤を防除したいところのみに散布すれば良いでしょう。

    7.除草の原理と作用機序からみる安全性

    最後に、除草剤はどのような原理で「草を枯らせる」のかという点です。

    除草原理は大きく分けて下記の2通りがあります。

    1. 植物エネルギー供給系に作用するもの(光合成阻害、過酸化物生成、呼吸系阻害など)
    2. 成長・発達系に作用するもの(細胞分裂阻害、アミノ酸合成阻害、植物ホルモンの撹乱など)

    この中で、「光合成阻害」「アミノ酸合成阻害」「植物ホルモンの撹乱」の3つの作用機序は、植物だけが持つ働きに対する作用なので、人や動物には安全性が高いとされています。

    【まとめ】

    除草剤の安全性を気にする人は、「光合成阻害」「アミノ酸合成阻害」「植物ホルモンの撹乱」のいずれかの作用機序で除草効果を得ている薬剤を選ぶようにしましょう!

    各種除草剤の特性比較表

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]これまで大まかにじゃが、除草剤の種類についてまとめてみたが、わかったかの?[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]な、、長かった…[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それではよく目にする除草剤をまとめてみるぞい![/chat]

    A. ラウンドアップ

    系統アミノ酸系
    有効成分グリホサート
    殺草作用アミノ酸の生合成阻害
    適用草種一年生雑草(イネ科)
    一年生雑草(広葉)
    多年生雑草(イネ科)
    多年生雑草(広葉)
    処理方法茎葉処理剤
    接触型 or 移行型移行型
    効果発現の速さ遅効性(7~10日以上)
    効果の持続性無し
    土壌中の移動性/残留性小 / 小
    選択性の有無非選択性
    人畜毒性普通物
    特記事項多年生雑草の根まで枯殺でき、持続性・残効性がほとんどないので、使用後すぐに作物の作付けができる

    ※関連記事>>>ラウンドアップの毒性などについての専門機関の意見・見解について

    下記の薬剤もラウンドアップと同系統の薬剤

    B. バスタ液剤

    系統アミノ酸系
    有効成分グルホシネート
    殺草作用グルタミン合成酵素の作用を阻害し、細胞損傷、光合成などの生理代謝を阻害する
    適用草種一年生雑草(イネ科)
    一年生雑草(広葉)
    多年生雑草(イネ科)〇~△
    多年生雑草(広葉)〇~△
    処理方法茎葉処理剤
    接触型 or 移行型移行型
    効果発現の速さ速い
    効果の持続性無し
    土壌中の移動性/残留性ー/ ー
    選択性の有無非選択性
    人畜毒性普通物
    特記事項生育中の雑草を速やかに枯れさせるが、多年生雑草の根は残るのですぐに再生する。処理後すぐに作物の作付けができる。

    C. 芝生用除草剤 MCPP液剤

    系統フェノキシ系
    有効成分MCPP
    殺草作用植物体内を移行し、生長点などに作用して奇形を生じたり、ホルモンバランスを崩して枯らす
    適用草種一年生雑草(イネ科)×
    一年生雑草(広葉)
    多年生雑草(イネ科)×
    多年生雑草(広葉)
    処理方法茎葉処理剤
    接触型 or 移行型移行型
    効果発現の速さ速~中
    効果の持続性中~長
    土壌中の移動性/残留性大 / 小
    選択性の有無選択性
    人畜毒性普通物
    特記事項選択性薬剤なので、クローバーなどの広葉雑草に選択的に効く。

    まとめ

    除草剤の種類を、特徴別で考えるとぼんやりとその薬剤の特徴が見えてくるように思います。

    1つ、ブタスケ君の除草目的を例にして、どのような除草剤が向いているのか考えてみましょう。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕の除草目的は「家の裏庭の防草シートを敷く前の整地をするため」だよ![/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]現状と今後の予定は下記の通りだよ![/chat]

    1. すでに雑草がボーボーと生えている ⇒ 茎葉処理剤
    2. 完全に根まで枯れさせたい                  ⇒ 移行型
    3. 特に除草を急いでいない        ⇒ 遅効性(移行型)で問題ない
    4. 出来れば安全性も留意したい                ⇒ 光合成阻害やアミノ酸合成阻害などの機序
    5. 農耕地ではないので全て除草したい ⇒ 非選択性の薬剤
    6. 生えている雑草はススキなどのイネ科 ⇒ イネ科に効果のある除草剤

    結果 ⇒ 「ラウンドアップ」 or「サンフーロン」などの強力な移行型の除草剤

    このように、現状と照らし合わせるとどのような特徴を持った除草剤が必要なのかわかりますね!

    防草シートについての詳しい説明はこちら

    必要な除草剤のタイプが分かれば、同系統の除草剤で値段が安いものだったり、ネットの口コミを見たりして、気に入ったものを選べば大きな失敗をすることは無いでしょう。

    是非、除草剤の特性を理解して、あなたの必要としている除草剤を見つけてくださいね。