皆さんはお風呂場で小さいコバエを見かけたことはありませんか?
ご家庭のお風呂場やキッチン、トイレなどの水回りの場所でよく見かけるコバエの多くは「チョウバエ」と呼ばれるハエです。
一匹二匹ならあまり気にならないチョウバエですが、常時お風呂場にいたりするとさすがに気になります。
このチョウバエが一気に大繁殖してしまい、焦って対策を取ろうと調べてみると、同じように大繁殖してしまって駆除方法を求める人たちの声を沢山見かけます。
不衛生なところで繁殖するチョウバエは菌の媒介者になることもあるので、しっかりと駆除してしまいましょう!
Contents
チョウバエの画像と生態
※画像は「オオチョウバエ」
- 和名:チョウバエ(蝶蝿)俗名:便所バエ
- 学名:Psychodidae (チョウバエ科の総称)
- 階級:ハエ目チョウバエ科
- 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
- 家の中の生息場所:お風呂場、洗面所、台所、トイレなど水回り
- 活動時期:年中(特に6月~10月)
- 体長:2.0mm~3.0mm
- 寿命:卵から成虫まで約20日かかり、成虫の寿命は2週間
- 特徴①:一匹のメスが200個以上の卵を産む。
- 特徴②:基本、水回りの所の壁や窓ガラスにとまっている
- 特徴③:日本には毒をもつ種や吸血種はいないが、海外には吸血する種類もいる
- 好物:石鹸カス、人の皮脂、髪の毛、汚泥(スカム)、ヘドロ
- 弱点:昆虫成長制御剤(IGR剤)が幼虫に効く、ライトトラップが有効
- 厄介な点①:幼虫によって「ハエ症」になる危険性がある
日本に生息しているチョウバエの仲間はおよそ60種類と言われていますが、その中で家の中で繁殖してよく見かけるのは「オオチョウバエ」と「ホシチョウバエ」の2種類です。
いずれも駆除方法に大きな違いは無いので、今回はまとめて「チョウバエ」として駆除方法などをご紹介していきます。
チョウバエの幼虫が原因でなる「ハエ症」とは!?
「ハエ症」とは、生きたままのチョウバエの幼虫が、泌尿器、生殖器、鼻や口、目などから体内に入りこむことで起きる病気です。
胃や腸の中にチョウバエの幼虫が入り込むと、腹痛や下痢の症状を引き起こします。
胃壁や腸壁を食い破ることは無いので命に別状はなく、数日痛みに苦しみますが、次第に便として排泄されることで症状が治まります。
一刻も早く駆除方法を教えて下さい!!!
チョウバエの駆除方法と手順
1.チョウバエの幼虫の発生源を清掃する
チョウバエは、お風呂場の壁にとまっている成虫をいくら駆除しても、全て駆逐することは不可能です。
大切なのは「幼虫が繁殖している場所の清掃」です。
ご家庭内でチョウバエの幼虫が繁殖している場所は、主に
- 排水溝の中のヌメリ
- 浴槽の下のスペース
- トイレの貯蔵タンクの中
等です。
これらの場所にこびりついた「スカム」という汚泥や汚水の浮遊有機物が幼虫の餌になっているので、それを取り除かなくては駆除ができません。
特に、普段なかなか掃除することのない、浴槽の下のスペースがチョウバエの幼虫の温床になっていることが多いので、発生源が見つからない場合は浴槽の下のスペースを疑ってみてください。
2.チョウバエに効く専用殺虫剤・駆除剤を使う
幼虫の発生源の汚泥を取り除いたら、次は薬剤を使った幼虫の駆除です。
チョウバエの生態にも書きましたが、チョウバエの幼虫には昆虫成長制御剤(IGR剤)が効果的です。
チョウバエの幼虫の発生源を特定したら、まずは汚泥の清掃をしてIGR成分のあるチョウバエ専用の殺虫剤を使用しましょう。
チョウバエの幼虫駆除に使われる「昆虫成長制御剤(IGR剤)」とは?
従来のピレスロイド系などの殺虫剤は、昆虫の神経に作用して殺虫効果を発揮するのに対し、このIGR剤は「昆虫の成長・休眠・産卵などの昆虫特有の働き」に対して働きかけます。
そのため、人やペットに対する毒性は低く、産卵や孵化などの次世代の発生に効果的であるというとても嬉しい特徴があります。
有効成分も長く効くので、IGR剤を使う事で根本的な駆除につながります。
そのほかにもIGR剤がチョウバエの駆除におすすめの理由を別記事でより詳しくまとめてありますので、是非こちらも併せてお読みください。
参考:殺 虫 剤 の 特 徴 と 使 用 上 の 注 意 事 項
浄化槽・側溝・排水溝におすすめのIGR剤:デミリン発泡錠
おすすめ度:
チョウバエの発生源が、流れの少ない「浄化槽」「側溝」「排水溝」などの場合は、デミリン発泡錠がおすすめです。
チョウバエの幼虫が脱皮するのを防ぎ、脱皮できなくなったチョウバエの幼虫は死に至ります。
発泡成分が水に溶けながら広がっていくので、水が多く溜まっている場所に効果的です。
また、水が少ない場所に使用する場合は、バケツなどに適当量を溶かして使用することも可能ですが、基本的には水が溜まっている場所の使用に向いています。
※チョウバエの発生源(幼虫の生息場所)が分かっていない場合は効果が出せないので注意が必要です。まずは、使用前に発生源を特定しましょう。
※使用場所が一般家庭よりもどちらかと言えば工場や家の外にある場合に有効なので、家庭のお風呂場でのチョウバエ対策としては強力過ぎる、または使用シーンが限られるという事から星4つにしていますが、効果は絶大です。
【効果のある虫(の幼虫)】
- チョウバエ
- ショウジョウバエ
- ノミバエ
- ユスリカ
- ニセケバエ
【効果が出にくい場所】
- 水の流れが速い場所
- 水が無く、汚泥だけの場所
- 幼虫の発生個所が壁面の場合
- 薬剤が届きにくい場所
台所・洗面所・ゴミ置き場などにおすすめのIGR剤:コバエ用ムース BIG
おすすめ度:
薬剤の散布しにくい「台所」「トイレの排水溝」「洗面所」「厨房の排水溝」「ゴミ置き場」「下水溝」「汚泥の付いた浴槽下のスペース」などへは、コバエ用ムースBIGがおすすめです。
コバエ用ムースBIGは、その名の通りムース上の薬剤で薬剤の届きにくいところに立体的に進んでいき渡ります。
成分は「ピレスロイド系殺虫剤」と「IGR剤」の混合で、壁に留まっている成虫に対しては薬剤で窒息させ、配管などの空間にはムース状の薬剤を充満させることで、奥まで薬剤成分が浸透して駆除していきます。
専用のチューブでムース上の薬剤を配管の奥に充満させ、3時間ほど置いておけば中にいる幼虫や卵はきれいさっぱり駆除されます。
注意点は、可燃性のガスを使用しているので、使用後しばらくは換気を良くしておく必要があることです。
前述のデミリンのような発泡性の薬剤を投下しにくい水の少ない場所には、このコバエ用ムースBIGで全て駆除できます。業務用なので比較的高価ですが、一般家庭でのチョウバエの幼虫対策としては、このコバエ用ムースBIGがあれば駆逐することが可能でしょう。
【効果のある虫(の幼虫)】
- チョウバエ
- ショウジョウバエ
- ニセケバエ
- ハヤトビバエ
- クロコバエ
- トビムシ
- ハネカクシ
【注意点】
- 可燃性のガスを使用しているので火気厳禁・換気が必要
- 処理後3時間ほど放置が必要
(※IGR剤以外)ドラッグストアで買えるスプレータイプ:チョウバエコナーズ
おすすめ度:
また、比較的安価なスプレータイプの場合はこちらもあります。
安価でそれなりに効果があるのですが、構成成分が「抗菌剤」「界面活性剤」「香料」とあり、IGR剤のような幼虫の孵化抑制成分などは期待できないでしょう。
目に見える範囲のチョウバエの駆除や、狭い範囲での短期間の駆除効果はあるかもしれませんが、前の2薬剤(デミリン/コバエムース)のような効果は見込めません。
「ひとまず目に見える範囲での駆除をしたい!」という方には良いかもしれません。
3.室内にいる成虫を捕獲する
発生源の特定をして清掃をし、IGR剤で現在いる幼虫の駆除を行ったら、次は室内にいる成虫の駆除です。
方法としては「バルサンなどの燻煙剤」「全量噴霧型のエアゾール剤」「ライトトラップ」が考えられます。
全量噴霧型のエアゾール剤:マイクロアトミック 200ml
おすすめ度:
燻煙剤:バルサン いや~な虫 不快害虫用 6~10畳用 20g
おすすめ度:
※上記の、室内に発生したチョウバエ(成虫)の駆除剤については、別記事「ノシメマダラメイガの駆除法」にて詳細の説明をしています。
各商品の詳細な解説については、「おすすめの殺虫剤・防虫剤・忌避剤」の記事でご紹介していますので併せてご参照ください。
ライトトラップ捕虫器:ムシポンポケット2
おすすめ度:
こちらのライトトラップは、光におびき寄せられる虫を捕獲するものです。
チョウバエも光に集まる習性があるため、このライトトラップで成虫を捕獲することが出来るでしょう。
デメリットとしては、値段が高いという点が挙げられます。
ライトトラップは、一般家庭よりも完全に密閉することが難しい倉庫や工場向けの防除方法でしょう。
上記のムシポンポケット2は、小型で一般家庭でも使用は可能ですが、コスパの点でなかなか選択肢には入りにくいかもしれません。
4.忌避剤で外からくるチョウバエを寄せ付けない
室内のチョウバエの幼虫を駆除した後は、外から侵入してくるチョウバエに対しても対策をすると万全です。
お風呂場の窓ガラスなど、外から侵入されないように忌避剤を用意して侵入を防ぎましょう。
PGガードは、窓ガラスに吹きかけることで効果を発揮する忌避剤です。
お風呂場や洗面所、トイレなど入り込まれたくない場所の窓ガラスに吹きかけると、約1か月ほど効果が持続し、チョウバエなどを寄せ付けません。
【効果のある虫(の幼虫)】
- ユスリカ
- 羽アリ
- カメムシ
- チョウバエ
- ショウジョウバエ
- カゲロウ
- コバエ
- ヨコバイ
- ガ
- ガガンボ
【注意点】
- 大雨が降ると再度吹きかける必要がある
- 塗布量を誤ると、窓ガラスが少し曇ってしまう恐れがある
まとめ
お風呂場やキッチンなどでチョウバエが大量発生した時の駆除方法についてご紹介いたしました。
ポイントとなるのは、
- 幼虫の発生源を確定し、温床となる汚泥、汚水、ヌメリなどを綺麗に清掃する
- IGR剤で、幼虫の孵化を抑制し次世代のチョウバエ発生を食い止める
- 既に室内にいる成虫を駆除する
- 外からチョウバエが入ってこないように忌避剤を使う
という順番で対策・駆除を行えばチョウバエは駆除できるでしょう。
①と②をしっかり行えば、既に成虫になっているチョウバエが産卵する場所がなくなり、寿命を終えて次第に数が減っていくはずです。
IGR剤については、記事内でご紹介した商品を使えばまず間違いなく幼虫は駆除できますので、是非お試しください。