栄養価が高く、眼にも良いとされるブルーベリー。
好きな方は多いと思いますが、スーパーなどで購入すると高いですよね。
いっそのことなら自分で育ててしまえば沢山収穫して食べられるのではないかと考える方もいらっしゃると思います。
地植えに比べて成長は制限されますが、ブルーベリーは鉢植えやプランターでも育てることは可能なんです。
我が家にもブルーベリーの木がありますが、毎年沢山の実をつけてくれるので食べきれないほど収穫できます。
本記事では、これから初めてブルーベリー栽培を始めようと考えている方に向けて、凄く基本的なブルーベリーの育て方について解説いたします。
Contents
ブルーベリーの基本情報
- 和名:ブルーベリー、アメリカスノキ
- 英名:BlueBerry
- 学名:Vaccinium spp.
- 階級:ツツジ科スノキ属
- 分類:落葉低木
- 原産:北アメリカ
- 形態:高さは1~3mほど
- 開花期:4~5月
- 収穫期:6~9月
初心者がブルーベリーを簡単に育てるためのポイント
初めてブルーベリー栽培に着手する方でも簡単に育てることができるようにするためには、大事なポイントを4つ覚えていただければと思います。
2.同系統の別品種を1つ以上そばに置く
3.酸性土壌(pH4.5~pH5.2程度)で育てる
4.住んでいる地域の環境にあった種を選ぶ
ポイント1「3年目以降の苗」をつかう
一般的にブルーベリーが収穫できるようになるのは3年目以降の苗木からになります。
というのも、ブルーベリーは1~2年目でも果実をつけますが、幼木の頃は樹木の方に栄養をいきわたらせるために、あえて花芽を全て剪定して実をつけないようにします。
そのため、3年目以降の苗木を購入すれば、難しいことを気にせず収穫に臨むことができます。
ただし、3年目以降の苗木でも剪定した方がいい場合もあり、基本は「弱々しい枝は切ってしまう」という風に覚えておけば大丈夫。
剪定の時期は、休眠明けで花芽をつけ始める2~3月頃が好ましいでしょう。
ポイント2「同系統の別品種」を1つ以上そばに置く
美味しい果実を実らせるためには「受粉」させる必要がありますが、ブルーベリーを育てる際に気を付けなくてはいけないのがブルーベリーには(※品種によって)「自家不和合性」という性質があり、単体1品種では受粉できないのです。
この特徴は後述する品種の中の「ラビットアイ」で特に顕著で、同系統の別品種をそばに置いておかないと受粉できず、実をつけてくれません。
単独でも実をつける品種もありますが、やはり別品種をそばに置いた方が身が大きくなりやすかったり、結実する数も圧倒的に増えます。
我が家でも畑に地植えしている木は2本あり、同系統別品種を隣同士で育てています。
鑑賞用だけでなく果実を収穫したい場合は、このブルーベリーの性質は覚えておきましょう。
ポイント3「酸性土壌」で育てる
初心者がブルーベリーを育てるときにしがちな失敗が「土作り」です。
他の植物と違ってブルーベリーが特徴的なのが「酸性土壌を好む」という性質です。
多くの植物が弱アルカリ性を好むので、雨などの影響から酸性に傾きがちな土壌に石灰などをまいてアルカリ性に近づけますが、ブルーベリーはその逆。
地植えする場合は土壌の酸性度を測ってブルーベリー栽培に適した酸性度になるように調整する必要がありますし、プランターや鉢植えで育てる場合は「ブルーベリー専用の土」を購入するか「ピートモス主体の土」を自ら配合する必要があります。
ブルーベリー専用の土はホームセンターなどでも購入可能ですが、ピートモスを使って配合するよりも割高になってしまうので注意しましょう。
土壌のpHが上がると葉が白っぽくなる「クロロシス(白化現象)」が起きる
※画像:wikimedia 葉全体が白っぽくなり葉脈が浮き出て見える「クロロシス」現象
ブルーベリーを植えた後に葉の状態を見ることで土壌酸性度(pH)が適していないという兆候を知ることもできます。
土壌酸性度が高くなる(アルカリ性に傾く)と、ブルーベリーにとって必要なマグネシウムやマンガンなどの重金属が土壌内に溶解しにくくなり、クロロシス(白化現象)と呼ばれる「葉が白くなる症状」が出ます。
この現象が続くと光合成ができなくなってしまい、株自体が徐々に弱ってしまいます。
根本的な原因は「ブルーベリーの根に十分な重金属が行き渡ってない」ということなので、土壌pH以外にも、根詰まりや、日光不足、水分不足などの理由も考えられます。
対策としてはまず土壌酸性度を測ってアルカリ性に傾いているようであれば適性pHまで下げ、水切れや根詰まりなどその他の要因も確認することが大切です。
初期症状であれば1か月ほどで症状は改善に向かいますので、対策を取ったらしばらく様子を見てみましょう。
また、直接的に金属類(特に鉄イオン)を「メネデール」などで補給する方法もあります。
根本的な原因が土壌酸性度の場合はそちらの改善が必要ですが、補助的にメネデール希釈液を使って鉄を誤球することでクロロシスの症状改善につながります。
ポイント4「住んでいる地域に合わせた品種」を選ぶ
ブルーベリーといっても様々な品種があり、中には寒さに強いが夏の厚さには弱いものから、その逆の性質を持つ品種もあります。
お住まいの地域が雪の降るような北部の地域では、寒さに弱い品種の場合はどんなにいい土を作ろうが冬越しできずに枯れてしまうで、まずはご自身のお住まいの地域の環境にあった品種を選ぶことが大切です。
ブルーベリーの品種と特徴
ブルーベリーの品種には、大きく分けて以下の4品種があります。
2.サザンハイブッシュ系
3.ラピッドアイ系
4.ローブッシュ系
それぞれの系統ごとに特徴が違うのと、ポイントに挙げた「同系統別品種を1つ以上そばに置く」という点からも大切なので具体的に解説していきます。
北関東・東北以北の寒冷地では「ハイブッシュ系」がおすすめ
ハイブッシュ系は、果実の味も良く樹勢が強いため栽培しやすいことから世界的にもポピュラーな品種です。
夏の暑さに弱く、北関東~東北以北の涼しい環境に向いています。
・寒さに強く、暑さと乾燥に弱い
・樹勢が強く、樹高は1.5m~2.0mほどになる
・自家受粉は可能だが、2品種以上あった方が果実は大きくなりやすい
主なハイブッシュ系の品種一覧
比較的寒さに強く、暖かい地域に向いている「サザンハイブッシュ系」がおすすめ
サザンハイブッシュ系は、ハイブッシュ系の品種を改良して温暖な地域でも育てられるようにしたもので、樹高もさほど高くならないので一般家庭での栽培にも向いている品種です。
どちらかといえば温暖な地域での栽培に向いていますが、少し育てにくい品種が多いようです。
・暑さに強く、寒さと乾燥にやや弱い
・樹勢はさほど強くなく、樹高は1.0m~1.5mほどになる
・自家受粉は行われにくいので、2品種以上ないと果実が付きにくい
主なサザンハイブッシュ系の品種一覧
関東以南の蒸し暑い地域には「ラビットアイ系」がおすすめ
ラビットアイ系は、関東以南の暑い地域に適していて、樹勢も強く果実が甘いことで人気がある品種です。
大きく育つことから一般家庭で育てるにはある程度の広さが必要ですが、酸性土壌を好むブルーベリーの中でも比較的中性に近い土壌でも育つので、土壌を選ばず地植えで育てやすいというのは特徴のひとつです。
・暑さと乾燥に強く、寒さに弱い
・樹勢が強く、樹高は2.0m~3.0mほどになる
・自家受粉は行われにくいので、2品種以上ないと果実が付きにくい
主なラビットアイ系の品種一覧
ブルーベリーへの肥料のあげ方(元肥・追肥)
本来であれば有機肥料(油かすや骨粉)等を元肥に使っていきたいところですが、初心者にはハードルが高く、せっかくの苗木を枯らしてしまう原因にもなるので難しい所です。
有機肥料と化成肥料の違いや、有機肥料を利用する時の難しさなどについては下の関連記事もあわせてご覧ください。
初心者にとって一番失敗する可能性が低いのは市販のブルーベリー専用の肥料を与えること。
鉢植えで育てる場合はさほど量もいらないので十分だと思います。
使用するタイミングは、春先(2~3月)に元肥として与えるときに使いましょう。
追肥は5月中旬くらいに、化成肥料のマグァンプKなどを株元にまけば十分だと思います。
ブルーベリーを受粉させる方法
我が家のように畑に地植えしている場合は、ハチなどがやってきて受粉を手伝ってくれますが、住宅街の鉢植えではなかなかそうもいかないので人間が受粉の手助けをする必要があります。
ブルーベリー栽培の4つのポイントに挙げたうちの1つに「自家不和合性」があるので、同系統別品種の花粉をめん棒などの先につけて、もう一方のめしべにつけてあげるようにしましょう。
ブルーベリーにつく虫と対策
私がブルーベリーを収穫していて感じるのは、ブルーベリーはかなり虫がつきやすい種類の果樹であるという事です。
毎年のように被害にあうのが「イラガ」などの毛虫類です。
イラガは毒針毛を持っているので誤って触れると激痛なうえ、収穫時期に大発生するので予防するに越したことはありません。
また、コガネムシの幼虫が根を噛み切って株をダメにしてしまうこともあるので、マルチングをして地表面を乾燥とコガネムシの産卵から守るという対策を取るとよいでしょう。
ブルーべリーを鉢植えで育てるときの注意点
ブルーベリー栽培のポイントとして「日当たりの良さ」と「水切れへの注意」が挙げられます。
日当たりの良さは言うまでもないですが、鉢植えで育てるときには地植えする時よりもすぐに土が乾くので、水を好むブルーベリー栽培ではよりいっそう水切れに注意しなくてはいけません。
ブルーベリーの主要用土として使われるピートモスは保水性が高いのですが、地表面をバークチップなどでマルチングして地表面からの蒸散を押さえる工夫なども効果的です。
ピートモスやバークチップの特徴については下記もあわせてご覧ください。
難しいことは全てプロに任せてしまいたい人にピッタリの方法
比較的重要なポイントのみまとめたつもりですが、やはり自分で苗木や土を選ぶのは難しいという人もいらっしゃいます。
そんな方は「プロが苗木から土や肥料まで全てあなたのお住まいの地域に合わせて選んでくれる」というセットがオススメです。
ちゃんと同系統別品種で2つの苗木を選んでくれますし、ベランダ栽培に適したサイズの2~3年生苗木なので、送られてきたものをそのまま鉢に植えて育てれば翌シーズンには収穫ができます。
手間や時間を最小限にして失敗したくない人にはこちらのセットが一番良いと思います。
まとめ
果樹の中でも鉢植えでも育てることのできるブルーベリーは、比較的育てやすいのですがいくつかのポイントがあることがわかっていただけたと思います。
すぐに果実を収穫したい場合はとにかく「3年目以降の苗木を同系統別品種2つ以上そろえて育てる」ことが一番大事なポイントになります。
剪定や受粉など樹木の生長過程で必要になってくる作業についてはあまりにも煩雑になるため今回は詳しくは書きませんでしたが、ひとまずは今シーズン中の収穫を目指している人が最低限注意すべき点についてまとめました。
我が家の畑のブルーベリーの木は植えてから15年以上経っていますが、毎年沢山の実をつけてくれます。
じっくり育てることで注意すべき点や知識も増えますし、手をかけた分だけ収穫した時の喜びは格段に増えます。
是非あなたのご家庭でも沢山収穫できるように大切に育ててみてくださいね!