ピートモスとはどんな土?使い方と注意点・phの調整方法まとめ

ピートモス

園芸用品店やホームセンター、100均などで売られている「ピートモス」は、土壌の状態を変化させる「改良用土」という種類の土です。

ピートモスは有機酸を含むために酸性を示し、土壌のphをアルカリ性から酸性に傾ける効果があるので、単体での利用よりもそのほかの土と混ぜて使う事が多いのが特徴です。

今回はそんなピートモスの特徴と使い方について解説をします!


ちょうどアルカリ性に傾き過ぎた畑を改善したかったんだ!

それでは特徴や使い方を詳しく説明するぞい!

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ピートモスの原材料とは?

ミズゴケ

ピートモスの主原料は、主に「ミズゴケ」であることが多いですが、産地によってはヨシ、スゲ、ヤナギなどが含まれていることもあります。

これらの植物が堆積して腐植し、何年もかけて泥炭化したものを乾燥させて砕いたものがピートモスになります。

日本(北海道)、ロシア、北欧、カナダなどが主な産地ですが、特にカナダ産のピートモスは高品質で有名です。

産地によって含まれる植物が違うので、繊維の長さや酸性度に違いが生まれるため、利用用途によって使い分けたり、購入する産地を選ぶことも大切です。

一般的には、海外産のピートモスは国産に比べて酸性度が強いと言われています。

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ピートモスの種類と特徴は?

1.ピートモスの特徴

ピートモスは、その特性から改良用土として用いられますが、土壌に混ぜる目的として下記の3つが挙げられます。

  1. 土壌のph(酸性度)をアルカリ性→酸性に変化させる
  2. 保水力・保肥力を向上させる
  3. 土壌を柔らかくする

有機酸を含み、酸性のピートモスは土壌のphを変化させる目的で使われることが多いですが、それ以外にも原材料であるシダやコケなど水辺の植物の特性を生かして、土壌の保水力や保肥力を向上させる目的でも利用されます。

2.ピートモスの種類

ピートモスは、大きく分けて「酸性度調節済み」「無調整」の2種類があります。

一般的に無調整のピートモスの酸性度はph3.8~4.8程度と強酸性を示しますが、なかには石灰をブレンドして酸性度をph6.0程度に調節してある調整済みのものもあります。

アルカリ性に傾いた土壌の酸性度を改善したい場合は無調整のものを選ぶ必要がありますし、土壌の保水力や保肥力の向上が主目的で酸性度を変化させたくない場合は調整済みのピートモスを選ぶようにしましょう。

ピートモスの使用量は?

ピートモスを土壌の酸性度を下げる(酸性に近づける)目的で使う場合は、土の容量に対して3割程度の量を加えることで、酸性度が0.2-1.0程度酸性に傾くとされています。(関東土壌肥料専技会、1996より)

酸性度の変化が不十分である場合は、ピートモスを加えすぎることによるデメリットも出てくるため、ピートモスを過剰に加えるのではなく、硫安などの酸性肥料を使うことをおすすめします。

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ピートモスを使う際の注意点やデメリットは?

ピートモス

1.使用前にしっかりと水を含ませてから使う

ピートモスは、保水力の向上目的で使われる資材ですが、実は購入直後のピートモスは水がしみ込みにくくそのまま土に混ぜ込んでしまうと土壌が水を吸ってくれなくなるので逆効果になります。

水を吸わせる前に土に混ぜ込んでしまうと、ピートモスは土壌に馴染まず表層に浮いて流れてしまうので、事前にピートモスを長時間水につけてしっかりと水を吸わせてから使うようにしましょう。

2.過乾燥をさせないように気を付ける

ピートモスは、過度に乾燥すると撥水性を持ってしまい水を吸わなくなってしまうという特徴があります。

一度、撥水性をもってしまうと、吸水させて使おうとしても水を十分に吸わず、ピートモス本来の保水性を失ってしまいますので、過度の乾燥には十分注意して保管するようにしましょう。

3.水はけの良い土を好む植物への使用に注意する

ピートモスを土に加えることで土壌の保水力が格段に上がります。

そのため、湿った環境や豊富な水分を必要とする植物にとっては、ピートモスは効果的な土壌改良資材となります。

しかし、水はけのよい土を好む植物にとっては、過度の保水性は過灌水(水のやり過ぎ)と同様に根腐れの原因になってしまいます。

これから植えようとしている植物が好む環境は、水持ちの良さなのか水はけの良さなのかをしっかりと把握してから使うようにしましょう。

4.ph(酸性度)が過度に酸性に傾かないように注意する

土壌の酸性度を変化させる資材でもあるピートモスは、過剰に土に加えるとその土壌は当然ですが酸性に傾きます。

ピートモスの使用量と酸性度の変化については前述しましたが、そもそも植えようとしている植物自体がどのような酸性度の土壌を好むのかを把握しておく必要があります。

ブルーベリーのように酸性土壌を好む植物の場合は、ピートモスが主体の土壌でも良いですが、そうでない植物の場合は酸性度が低すぎる(酸性に傾き過ぎている)ことによって枯れてしまう恐れもあります。

多くの植物・作物は弱酸性(ph6.5程度)を好むので、しっかりと土壌のph(酸性度)を測りながら、適した値になるようにピートモスを使用しましょう。

※土壌の酸性度の測定方法は「土壌のphを測定する方法とおすすめのph測定器」の記事をご覧ください。

酸性度を変えたくない場合は、酸性度調整済みのピートモスを利用するのでも良いでしょう。

5.購入時に商品の容量に注意する

ピートモスを購入する際に、海外産の圧縮されて売られているタイプの商品を選ぶ場合は、容量に注意が必要です。

圧縮されているピートモスは、使用前準備として浸水して水を吸わせたときに元の容量の倍程度まで膨らむため、必要量以上にピートモスが増えてしまって使い切れないことがありますので、圧縮されているタイプのものはしっかりと用量を確認するようにしましょう。

園芸用のピートモスを水槽で使う場合の注意点は?

水槽

改良用土としてのピートモスの用途は土に混ぜるだけでなく、水槽の酸性度のコントロール資材としても使われることがあります。

水槽で使う場合のピートモスは、熱帯魚などを売っているアクアショップにも取り扱いがあることが多いのですが、アクアショップのピートモスは比較的高価であるため、園芸用の安いピートモスを使おうと考える方も少なくありません。

しかし、園芸用のピートモスを水槽で使う場合にはいくつか注意点があります。

1.酸性度調整済みのピートモスは使わない

水槽で利用する場合は、当然そこで飼う魚などへの影響を考えなくてはなりません。

アクアショップで売られているような「水槽での利用」をあらかじめ想定したピートモスとは違い、園芸用のピートモスには前述の通り「酸性度調整済み」と「無調整」の2種類があります。

その中でも、酸性度調整済みのピートモスは「石灰」を混ぜることによってphを中性よりに調節しており、この石灰は魚にとっては毒になるので避けなくてはなりません。

2.園芸用は繊維が短い・バラバラであることが多いので、フィルターの目詰まり注意する

ピートモスは産地によって含まれている植物が異なることは前述したとおりですが、園芸用のピートモスは繊維が短く、バラバラであることが多いです。

水槽内での利用の際は、そのまま使うと短い植物繊維がフィルターに吸い込まれて目詰まりを起こす可能性があるので、紅茶を入れるときに使うようなフィルターパックなどに入れて使うなどの工夫が必要です。

また、細かくちぎれた繊維や粒子が水質を悪化させてしまう事もあるので、使用前に熱湯で消毒しておくなどの手間をかける必要があるでしょう。

繊維が長いタイプの水槽用ピートモスを購入すれば目詰まりの心配はありませんが、やはり園芸用に比べると高いですね。

まとめ

改良用土の1つ「ピートモス」の特徴と使い方をご紹介しました。

事前に水を含ませないと逆効果になるなど、意外と予備知識を持っていないと使用の際に困ってしまう事の多い資材であることが分かります。

酸性度を下げる資材の中では、硫安や硫化カリなどの化成肥料に比べて、変化も穏やかで土に馴染みやすいという特性から用いられることも多いので、しっかりと特性を把握しておくようにしましょう。

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