春の七草のうちの1つである「せり(芹)」は、独特の香りを持った美味しい山菜としても知られています。
私の住む宮城県ではセリの旬の時期になるとセリ鍋をよく食べますし、秋田県の郷土料理きりたんぽ鍋にも欠かせない食材なので、東北地方ではよく食べられている食材でもあります。
実は、せりは日本全国の山野に自生していて、我が家の周囲にもたくさん生えています。
郊外に出てセリを採取するのが難しい方でも、市販のセリを使ってご自宅で簡単に栽培することができるので、本記事ではせり(芹)の一般的な特徴とおすすめの食べ方、自宅での栽培方法などについてご紹介します。
Contents
春の七草のひとつ「せり(芹)」とはどんな山菜?
- 和名:セリ 別名:ネジログサ(根白草)、カワナグサ
- 学名:Oenanthe javanica
- 英名:Japanese parsley、Water dropwort
- 階級:セリ科セリ属
- 分類:多年草
- 分布:北海道・本州・四国・九州
- 花期:7~8月
- 形態:草丈は30~40㎝になり、白い花を咲かせる
- 特徴:ドクゼリとの誤食に注意が必要
セリは、セリ科の多年草で根が白いので別名「根白草(ネジログサ)/または白根草(シロネグサ)」とも呼びます。
地下茎が伸びて横に這うように伸びていくのが特徴です。
せり(芹)の花言葉
せり(芹)の旬の時期
野草としてのセリの旬の時期は2月~4月です。
セリは1月7日に七草がゆの材料に使われるので、12月くらいから栽培物をスーパーで見かけることもありますし、比較的年中手に入れることができます。
セリの栄養と効能
セリは乾燥させたもの(水芹)を煎じて飲むことで、古くから漢方・生薬としても使われてきました。
セリに含まれる特筆すべき栄養価は下記の通りです。
胃腸の調子を整えたり、貧血予防、風邪予防に効果がある栄養素が多く含まれています。
また、セリに含まれる香りは精油成分の「オイゲノール」などのフェノール類は、抗菌・殺菌作用とともに、鎮静作用を持つとされています。
せり(芹)が生えていることが多い場所と採り方
セリは水の多い土壌を好むので、水田や畦道等に群生していることが多いです。
上の写真は我が家の水田なのですが、写真の右側の木々が生い茂っている辺りに春先になると毎年セリが生えます。
暑さに弱いので半日陰になっている場所で、特に水際を探すと見つけやすいですよ!
晩春のセリの採取は控えた方がいい理由とは?
自生しているセリを採取する時期は、春先(2~3月位)が適していると言われています。
4~5月になるとセリが自生する湿地帯はヒルが出てきて産卵し始める時期であることや、ドクゼリ(※後述)が出始める時期であることが大きな理由です。
山菜採りをしたい場合は、セリの採取時期にも注意しましょう!
せり(芹)と間違いやすい毒草「ドクゼリ」との見分け方
和名(別名) | ドクゼリ (オオゼリ、イヌゼリ) |
階級 | セリ科ドクゼリ属 |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | ポリイン化合物(シクトキシン、シクチン) |
症状 | 痙攣、呼吸困難、嘔吐、下痢、腹痛、眩暈、意識障害、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | セリ、わさび |
セリと間違いやすい植物に「ドクゼリ」があります。
ドクゼリはその名の通り全株有毒で、日本三大有毒植物のひとつに数えられているほど強力な毒を持っています。
ドクゼリ | セリ |
---|---|
・セリに比べて葉柄が長い ・セリ特有の臭いがしない ・草丈が60~80cmとセリより高い ・根茎が筍状に中空で節がある | ・葉柄が短い ・葉をもむとセリ特有のにおいがする ・草丈はせいぜい30~40cm ・白く細い根のみで根茎は無い |
ドクゼリとセリの違いは上記の通りですが、一番の見分けるときのポイントは「セリ特有のニオイがあるかどうか」です。
臭い以外の鑑別ポイントについては、ドクゼリも幼株の時には背丈も低く根茎も小さいので、セリと見分けがつきにくいです。
自生しているセリを採取する場合は必ず臭いを確認するようにしましょう。
せり(芹)の栽培方法|庭うえ・プランター・水耕栽培で育てる方法
・種の発芽率が悪いので、根付きで売ってるスーパーのセリを使えば簡単
・土植え&水耕栽培のどちらでもOK
・屋外管理の場合は、植え付けの時期は春(3~5月)か秋(9~10月)が適期
・水が一番重要!水切れを起こさないように注意する
・暑さに弱いので日陰や半日陰で管理する
セリは比較的寒さに強く、日陰でも生育することから初心者にも育てやすい植物です。
しかも、特定の病害虫による育てにくさも無いので、生育環境さえ整えばだれでも簡単に育てることができるのでとてもおすすめです。
セリ栽培の基本的なポイントは上記の通りですが、いくつかもう少し詳しく解説を加えていきますね!
根っこが付いたままのセリをスーパーで購入して植えればOK!
セリは私の住む宮城県ではセリ鍋にする時に根ごと調理に使うので、スーパーでも根が付いたまま売られていることが多いです。
ポット苗も販売されていますが、もしスーパーで根が付いたままセリが売られていたらそれでOK!
根付きのセリを購入したら、根の付け根から5㎝位の所でカットしてしまえば栽培に必要な部位は十分です。
そのままペットボトルを切ったものや使っていない容器に水を張って水耕栽培も可能ですし、用土を用意すればプランターや庭植えも可能です。
穴の開いていない容器に根だけが浸かるようにしておくと次第に芽が生えて収穫できるようになります。しかし、温度の高い室内では水が悪くなりやすく、水替えをひんぱんに行わないと細菌発生によって容器がぬるぬるしたり不衛生になりやすいです。
根を張り巡らせて横に這うように増えるので、プランターなどに土を入れて栽培した方が管理もしやすくなるのでおすすめです。
土は基本的に水持ちがいいものであれば何でもOKで、室内やベランダで育てる場合は油粕や堆肥などが含まれていない衛生的な土を選ぶようにしましょう!
プランターが無い場合でも、セリの場合は底穴が無くても水持ちが良くなってかえって良いくらいですので、水切れが起きて乾燥しすぎないように注意すれば大丈夫です。
自宅で作物を栽培する時の土選びに関しては、以下の関連記事も参考にしてみてくださいね。
まとめ
セリはとても剛健で育てやすく、長期間にわたって収穫ができるとても初心者向けの野菜であることがわかりましたね!
育て方も細かいことを書けばキリがないのですが、正直あまり気にしなくてもちゃんと育ってくれるので、まずはセリ鍋でも作った残りを育ててみてください。
上手く育てばスーパーなどで買う必要が無くなるほど増えるかもしれませんよ!?