農業や家庭菜園で使う事の出来る「肉骨粉」は、古くからある有機肥料のひとつです。
近年は流通量が減少してきていますが、有機肥料としてリン酸を補給することのできる肥料が多くないので重宝されています。
今回は肉骨粉の成分や効果、基本的な使い方について解説いたします。
肉骨粉とはどんな肥料?
一般的に「骨粉」と言われている肥料の成分は、ニワトリやブタの骨を粉砕して高温で長時間加圧しながら蒸製した「蒸製骨粉」の事を指しますが、その他にも「生骨粉」「肉骨粉」などがあります。
生骨粉は、生の乾燥させた骨を砕いたものを言い、肉骨粉は内臓やくず肉、血液なども混ぜて粉砕後、乾燥させて肥料としたものを言います。
いずれもリン酸の割合が多く、効果の効き目が遅い(緩効性肥料)のが特徴です。
骨粉(蒸製骨粉)の成分
成分 | 蒸製骨粉 | 肉骨粉 |
P(リン酸) | 18~22% | 8~15% |
N(窒素) | 約4% | 6~8% |
K(カリ) | 1%未満 | 1%未満 |
骨粉の成分の特徴は、何と言ってもリン酸が豊富である点で、他には当然ながらカルシウムも豊富に含まれています。
基本的には、カリはほとんど含まれておらず、原料によってリン酸や窒素の値が多少前後します。
骨粉の原料は、現在ではブタやニワトリが主流になっていますが、BSE(牛海綿状脳症)が話題になる前は牛の骨が主な原料であったため、主原料がどの動物かによって成分に違いがあるようです。(※牛が主原料の時はもう少しリン酸の値が高かった)
また、肉骨粉については、肉(内臓や屑肉)と骨の割合によっても成分が変化するので、各商品の成分表を確認するようにしましょう。
骨粉の効果と使い方
骨粉に含まれるリン酸はカルシウムと結合しているため土壌では安定しにくく、効果を発揮するまでに約1ヶ月と長い時間がかかる「緩効性肥料」です。
効果が出るのが遅いので追肥には向かず、ほとんどの場合で基肥として播種の1か月以上前に土壌に混ぜ込むという使い方をします。
播種までに時間がなく、少しでも効果の発現を早くしたい場合は下記の2つの方法があります。
・分解を早めるために堆肥などを一緒に混ぜ込む
肉骨粉は安全性に問題はない?BSE(牛海綿状脳症)との関係は?
肉骨粉は、2000年(平成12年)に「BSE(牛海綿状脳症)」が問題となったのをきっかけに、飼料としても使われていた牛由来の肉骨粉は製造・販売が中止となり、国内で流通する肉骨粉のほとんどが「豚」か「鶏」由来のものに代わりました。
平成26年1月4日から、管理措置を新たに導入し、牛由来の肉骨粉を(家畜の飼料ではなく)肥料としての製造販売が許可されるようになりました。
まとめ
肉骨粉は有機肥料の中でも特に効果の効き始めが遅い肥料ですが、効果的に使う事で作物や果実を大きく実らせてくれる肥料です。
早めに施肥する必要がある以外は特に注意する点は無いので、初心者でも安心して使うことができますが、近年は流通量の減少に伴ってやや高価になってきているのが難点でしょう。
有機肥料を使う前に知っておこう!