春先から秋にかけて、里山で沢山の山菜や果実などの自然の恵みを収穫できるようになります。
特に山菜のシーズンになると気をつけなくてはいけないのが、食べられると思って収穫した山菜が実は有毒植物で、誤って食べてしまった人が中毒症状を起こして入院、または最悪死亡するというケースです。
この記事では、比較的身近に存在する有毒植物について、特に危険度が高いものをまとめてご紹介いたします。
※この記事で紹介する有毒植物の種類が多いので、探している植物がある場合は下記の目次より該当部分へ飛べるのでご利用ください。
Contents
トリカブト
和名(別名) | トリカブト (アコニツム、カブトギク) |
階級 | キンポウゲ科トリカブト属 |
分布 | 本州中部以北 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | アコニチン |
症状 | 食後20分以内に、口唇や舌のしびれに始まり,次第に手足のしびれ,嘔吐,腹痛,下痢,不整脈,血圧低下などをおこし,けいれん,呼吸不全(呼吸中枢麻痺)に至って死亡 |
間違いやすい植物 | ニリンソウ、ヨモギ、モミジガサ(シドケ) |
言わずと知れた有毒植物「トリカブト」は、ドクゼリとドクウツギに並ぶ日本三大有毒植物の1つです。
トリカブトが話題になるのは、ミステリーやサスペンスドラマの殺人トリックに使われる以外にも、山菜シーズンに「ニリンソウ」や「ヨモギ」「モミジガサ」の新芽とトリカブトの新芽がよく似ていて、誤食による中毒を起こすケースが比較的頻繁に起きるためです。
その毒性は最強クラスで、数年に1度のケースで死亡例も出るほどです。
(※H18-H27の10年間で、誤食事件12件、患者25名、死者2名 – 厚生労働省)
上記の似ている山菜を収穫しに行こうと考えている人は、下記の関連記事でトリカブトとの見分け方について一度よく読んでおくことをおすすめします。
【関連記事】>>>トリカブトの毒の強さと致死量は?似ている植物と見分ける方法
イチイ
和名(別名) | イチイ (アララギ、オンコ) |
階級 | イチイ科イチイ属 |
分布 | 北海道~九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 完熟の果実以外全て有毒 |
有毒成分 | タキシン |
症状 | 嘔吐、悪心、めまい、腹痛、呼吸困難、筋力低下、痙攣、最悪の場合は死亡 |
間違いやすい植物 | 特になし |
イチイは寒さに強く北海道や東北では家の生け垣に使われることも多い植物です。
イチイは、別名「オンコ」とも呼ばれ、完熟した赤い実は食べるとほのかに甘いので、私も含め北海道で育った子供は誰しも一度は口にしたことがある植物です。
しかし、その果実以外は全て有毒で、特に種が最も毒性が強く、4~5粒ほど噛み砕いて飲み込んでしまうと最悪死に至る危険性があります。
イチイについては、下記の関連記事でより詳しく解説しています。
【関連記事】>>>いちいの木は有毒!?「オンコの実」は丸ごと食べると危険!
クサノオウ
和名(別名) | クサノオウ (イボクサ、タムシグサ、ヒゼングサ) |
階級 | ケシ科クサノオウ属 |
分布 | 沖縄以外の日本全土 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 有毒アルカロイド21種(ケリドリン、プロトピン、ケレリトリンなど) |
症状 | しみ出す乳液を触ると皮膚がかぶれ、誤って食べると内臓がただれて最悪死に至る |
間違いやすい植物 | ヨモギ |
クサノオウは、葉をちぎると染み出てくる黄色い乳液成分を触ると皮膚がただれます。
若芽はヨモギに似ているので誤って食べてしまうケースがあり、食べてしまうと皮膚同様に内臓や消化器がただれて最悪死に至ります。
なんと21種類もの有毒成分を持っていて、そのほとんどが人間にとって強い毒性を示すので注意が必要です。
ハシリドコロ
和名(別名) | ハシリドコロ (キチガイイモ、キチガイナスビ) |
階級 | ナス科ハシリドコロ属 |
分布 | 本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に根、根茎の毒性が強い) |
有毒成分 | トロパンアルカロイド |
症状 | 嘔吐、下痢、血便、瞳孔散大、めまい、幻覚、異常興奮などを起こし、最悪の場合には死に至る |
間違いやすい植物 | フキノトウ、ギボウシ |
ハシリドコロは、画像を見てわかる通り新芽がフキノトウそっくりで、誤食してしまうケースが多いのが特徴です。
誤って食べると気が狂ったように走り回ることから「キチガイイモ」などの名前がついています。根や根茎を大量に食べると死に至りますが、ここ10年(H18-H27)では、死亡例は出ていません。(誤食事件3件、患者8名、死亡例0名 – 厚生労働省)
フキノトウとの見分け方については、下記関連記事をご覧ください。
イヌサフラン
和名(別名) | イヌサフラン (コルチカム) |
階級 | イヌサフラン科イヌサフラン属 |
分布 | 日本全土 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に種子、球根の毒性が強い) |
有毒成分 | コルヒチン |
症状 | 嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | ギボウシ、行者にんにく(アイヌネギ)、玉ねぎ、にんにく |
イヌサフランは、コルチカムという名前で園芸用の植物として一般的に売られていますが、その見た目が山菜の「ギボウシ」や「行者にんにく(アイヌネギ)」、野菜の「玉ねぎ」や「にんにく」と似ていることから誤食によって中毒を起こすケースが後を絶ちません。
前述したトリカブトは過去10年間で患者25名のうち死者2名なのに対し、イヌサフランは患者16名のうち死者4名と、平成18年から平成27年の間に最も多くの日本人を殺している毒草です。
葉の形や球根をよく見ても、その他の似ている植物と見分けがつきにくいので、コルチカムを観賞用として購入した場合は、自分も含め他の人やペットが誤って食べてしまわないように十分配慮する必要があります。
また、まれに野山に自生していることがありますので、山菜採りに入る場合にも十分注意するようにしましょう。
キョウチクトウ
和名(別名) | キョウチクトウ |
階級 | キョウチクトウ科キョウチクトウ属 |
分布 | 本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(周辺の土壌、燃やした煙、腐葉土も有毒) |
有毒成分 | 強心配糖体(オレアンドリン) |
症状 | 嘔吐、四肢脱力、下痢、めまい、腹痛、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | 特になし |
キョウチクトウの毒性はすさまじく、過去にはキョウチクトウの枝を使ってバーべキューをして死者が出た例や、キョウチクトウの葉が飼料に混じって9頭もの牛が死亡した例もあります。
その毒性は直接食べた時にとどまらず、キョウチクトウの周辺の土壌や、燃やした時に出る煙なども有毒になります。
有毒成分のオレアンドリンの致死量は、毒物で有名な青酸カリをも上回る(致死量0.30mg/kg)とされていることからその毒性の強さがうかがえます。
丈夫で枯れにくいことから街路樹などに使われることも多いので、全く目にしない植物という訳ではありません。学校の校庭などに植えられていて問題になってケース*¹もあるので知っておいて損はない植物でしょう。
(*¹:2017年に香川県高松市内の小学校の校庭に生えていたキョウチクトウの葉を数枚食べた児童2名が入院)
スズラン
和名(別名) | スズラン (キミカゲソウ、タニマノヒメユリ) |
階級 | スズラン亜科スズラン属 |
分布 | 日本全土 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 強心配糖体(コンバラトキシン、コンバラマリンなど全38種の毒) |
症状 | 嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至る |
間違いやすい植物 | 行者にんにく(アイヌネギ) |
スズランはその可愛らしい見た目とは裏腹に、少量でも人を死に至らしめるほどの毒を持った植物です。
最も多いのが山菜の行者にんにくと間違えて食べてしまうケースですが、スズランが入った水差しの水を誤って飲んで死亡したケースなどもあり、家庭で栽培したり花瓶に生けたりしたスズランの扱いにも注意が必要です。
致死量は前述のキョウチクトウ同様の0.30mg/kgと、青酸カリを遥かに上回る強毒性です。
口に入りさえしなければ問題は無いですが、スズランを触って手に花粉がついていたりすると口に入る可能性がある(花粉も毒)ので、必ずスズランを触った後は手を洗うようにしましょう。
スイセン
和名(別名) | スイセン |
階級 | ヒガンバナ科スイセン属 |
分布 | 本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(鱗茎に特に毒成分が多い) |
有毒成分 | リコリン、シュウ酸カルシウム |
症状 | 初期の強い嘔吐症状で吐き出すので重篤化しにくいが、死亡例がある。 |
間違いやすい植物 | ニラ、ノビル、アサツキ、玉ねぎ |
スイセンは、ピンと伸びた葉がニラやアサツキによく似ていることから誤食が多い植物です。
過去10年間(H18-H27)での死亡例は無いものの、誤食の件数は37件と他の有毒植物を大きく引き離して最も多いのが特徴です。(誤食件数の2位は「バイケイソウ」で21件)
誤食中毒が重篤化しない理由としては、食後に強烈な吐き気に襲われ全て戻してしまうからと言われています。(※シュウ酸カルシウムの結晶が針状で激痛が走るため)
過去にあった死亡例に、特に毒性が多い鱗茎をあさつきと間違えて食べてしまったケースがあったので、家庭でスイセンを植える場合は作物(特にニラや玉ねぎ)からは離すようにしましょう。
ドクゼリ
和名(別名) | ドクゼリ (オオゼリ、イヌゼリ) |
階級 | セリ科ドクゼリ属 |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | ポリイン化合物(シクトキシン、シクチン) |
症状 | 痙攣、呼吸困難、嘔吐、下痢、腹痛、眩暈、意識障害、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | セリ、わさび |
日本三大有毒植物の1つ。
山菜のセリと全く同じ環境下で混在して生えているため、頻繁に誤食による中毒者が出ています。
セリ特有の香りがしないことと、葉柄の形状が違う(ドクゼリは葉柄が長い)のが特徴ですが、比較してみないと初心者には見分けがつきにくいかもしれません。
有毒成分は皮膚からも浸透するので、安易に触らないようにしましょう。
ドクニンジン
和名(別名) | ドクニンジン (毒パセリ) |
階級 | セリ科ドクニンジン属 |
分布 | 北海道、本州の一部 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | コニイン |
症状 | 悪心や嘔吐に始まり瞳孔散大、手足の末端から痺れはじめ、痙攣後呼吸困難をおこす。最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | シャク(ヤマニンジン)、パセリ、フェンネル |
ドクニンジンは、元々ヨーロッパに自生していた毒草で、古くはソクラテスの処刑に用いられたことで有名な有毒植物です。
1950年代に外部から持ち込まれたのを確認し、北海道や本州の一部で野生化したドクニンジンが、山菜のシャクやパセリと間違えて誤食して中毒を起こしたケースが報告されています。(※現在ドクニンジンは外来生物法で要注意外来生物に指定されています。)
有毒成分のコニインは、消化管からの吸収が早いために摂食後1時間以内に死に至るとされています。(人の致死量は約70~150mg)
また、家畜による催奇形性(妊娠中に摂取することによる胎児への奇形への影響)が認められたので、妊娠中は特に要注意。
ドクニンジンの見た目はシャクととても良く似ていますが、ドクニンジンは独特のかび臭い臭いと、赤紫色の斑点があるのでよく見ると違いが分かります。
ジギタリス
和名(別名) | ジギタリス (キツネノテブクロ) |
階級 | ゴマハグサ科ジギタリス属 |
分布 | 日本各地で野生化 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 強心配糖体(ジギトキシン、ギトキシン) |
症状 | 胃腸障害、嘔吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい、重症になると心臓機能が停止して死亡 |
間違いやすい植物 | コンフリー |
ジギタリスは観賞用として庭や公園で栽培されるようになり、その一部が野生化して日本各地に自生するようになっています。
スズランやキョウチクトウと同じ強心配糖体の猛毒を持ち、重度の中毒症状の場合は死に至ります。
これまでは、食用とされていたコンフリーと間違えて食べてしまうというケースが多かったのですが、このコンフリー自体もピロリジジンアルカロイドという肝障害を引き起こすとされる有毒アルカロイドが含まれることがわかり、厚生労働省がコーンフリーを食べないよう注意喚起を行うようになったため、ジギタリスの誤食も減少しています。
ただし、観賞用として庭に植えたジギタリスを誤って食べてしまったという中毒例もあるので、自宅で栽培する場合は作物から離して植えるようにしましょう。
タケニグサ
和名(別名) | タケニグサ (チャンパギク、ササヤキグサ) |
階級 | ケシ科タケニグサ属 |
分布 | 本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 有毒アルカロイド(サングイナリン、ケレリスリンなど) |
症状 | 嘔吐、体温効果、呼吸麻痺や心臓麻痺を起こす |
間違いやすい植物 | 特になし |
タケニグサは、空き地や野原に自生する雑草で特別な扱いをすることはあまりありませんが、海外では観賞用の植物として楽しまれています。
タケニグサの茎や葉を折ると、黄色い乳液が出てきて触れると皮膚炎やアレルギーを引き起こします。
触らない限り害を及ぼす心配はありませんが、稀に山菜と間違えて採取し、食べて中毒症状を引き起こした例があるので注意しましょう。
アセビ
和名(別名) | アセビ (馬酔木、あしび、あせぼ) |
階級 | ツツジ科アセビ属 |
分布 | 本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | グラヤノトキシンⅠ、アセボプルプリン、アンドロメドトキシンなど |
症状 | 血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺 |
間違いやすい植物 | 特になし |
アセビは、一般的に庭木としても親しまれ、各地に自生していることから見たことがある人も多い植物と思われますが、全株が有毒で、誤って多量に食べると呼吸神経系に麻痺をきたします。
漢字で書くと「馬酔木」となるように、馬がアセビを食べて毒にあたり、酔ったようにふらつくことからその名がつきました。
特に間違える山菜や野草は無いので、危険度は低いでしょう。
キダチチョウセンアサガオ
和名(別名) | キダチチョウセンアサガオ (エンジェルストランペット) |
階級 | ナス科ブルグマンシア属 |
分布 | 日本各地 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | スコポラミン、ヒヨスチアミン |
症状 | おう吐、瞳孔散大、呼吸の乱れ、けいれん、呼吸困難 |
間違いやすい植物 | オクラ |
キダチチョウセンアサガオは、元々園芸用の品種として広く植えられてきましたが、つぼみや果実がオクラに似ていることから誤って食べてしまうケースが報告されています。
ここ数年の誤食による中毒事例はありません。
ドクウツギ
※画像引用(長野県HP – 食べると危険!有毒植物に注意しましょう!)
和名(別名) | ドクウツギ (ネズコロシ、イチロベコロシ、イボノキ) |
階級 | ドクウツギ科ドクウツギ属 |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に果実が有毒) |
有毒成分 | コリアミルチン、ツチン、ピクロトキシン |
症状 | 摂取後すぐに流涎、痙攣発作を起こした後に内臓出血と呼吸困難により死に至る |
間違いやすい植物 | 特になし |
ドクウツギは、トリカブトとドクゼリと並んで日本三大有毒植物のひとつです。
ドクウツギは、その毒性の強さとおいしそうな実の外見から子供の誤食が多く、一斉に伐採がすすめられたこともある植物です。
日本にはドクウツギ科の植物はこのドクウツギのみで、生態は謎が多いのです。
ドクウツギの摂取による中毒症状は即効性があり、接種後10~20分ほどで症状が出始め、最悪死に至ります。
果実は一見美味しそうですが、猛毒なので注意しましょう。
ヒヨドリジョウゴ
和名(別名) | ヒヨドリジョウゴ (ツヅラゴ、チャラコ) |
階級 | ナス科ナス属 |
分布 | 日本全国 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | ソラニン、アトロピン |
症状 | 嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛、溶血作用、呼吸中枢麻痺、呼吸困難、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | 特になし |
ヒヨドリジョウゴは、日本全国に自生する植物で、果実にはジャガイモの毒と同じ「ソラニン」が含まれており、多量に摂取すると死に至ることがあります。
真っ赤で美味しそうな見た目ですが、毒性が強いので注意しましょう。
フクジュソウ
和名(別名) | フクジュソウ (ガンジツソウ、ツイタチソウ) |
階級 | キンポウゲ科フクジュソウ属 |
分布 | 北海道・本州(東北・関東) |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 強心配糖体(アドニトキシン、シマリン) |
症状 | 嘔吐、下痢、呼吸困難、心臓麻痺、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | フキノトウ |
フクジュソウは、雪解けとともに芽を出し春を告げる花として縁起物とされ、ガンジツソウやツイタチソウの名前の通り「1月1日」の誕生花でもあります。
しかし、フクジュソウは全草が猛毒で、若芽がフキノトウと似ていることから誤食してしまうケースがあるので注意が必要です。
ヨウシュヤマゴボウ
和名(別名) | ヨウシュヤマゴボウ (アメリカヤマゴボウ) |
階級 | ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属 |
分布 | 日本全土 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に根と種子の毒性が強い) |
有毒成分 | フィトラッカトキシン、フィトラッカサポニン、フィトラッキゲニン |
症状 | 嘔吐、下痢、中神経麻痺、痙攣、呼吸障害、心臓麻痺、昏睡、死亡 |
間違いやすい植物 | ブルーベリー、ヤマゴボウ |
ヨウシュヤマゴボウは、果実をブルーベリーと間違えて子供が誤食してしまうケースや、根をヤマゴボウと間違えてしまうケースが頻繁に報告されています。
ヨウシュヤマゴボウとヤマゴボウ(モリアザミ)は、花を咲かせる前の状態がとても似ていて間違いやすいので特に注意が必要です。
また、中毒症状に即効性が無いため、摂取後1~2時間経過してから症状が現れることも多く、原因が分かりにくくなってしまうことがある点にも注意しましょう。
ヒガンバナ
和名(別名) | ヒガンバナ (曼殊沙華、リコリス) |
階級 | ヒガンバナ科ヒガンバナ属 |
分布 | 日本全土 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に鱗茎の毒性が強い) |
有毒成分 | アルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリン等) |
症状 | 嘔吐、下痢、中枢神経の麻痺、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | ノビル、アサツキ |
ヒガンバナは、全草が有毒の植物で、その毒性と特徴から不吉な花というイメージが強い植物でもあります。
日本では古くからその毒性を認知し活用するために、お墓や田んぼ・畦道にヒガンバナを植え、ネズミやモグラなどの小動物を忌避しようとしてきました。
ヒガンバナは葉よりも先に花が出て散ります。
その花が散った後の葉だけが残った様子が、ノビルやアサツキに似ていることから誤食されるケースもあるので注意しましょう。
ヒョウタンボク
和名(別名) | ヒョウタンボク (金銀木) |
階級 | スイカズラ科スイカズラ属 |
分布 | 北海道~関東北部 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に果実は猛毒) |
有毒成分 | 不明 |
症状 | 嘔吐、下痢、昏睡、最悪の場合死亡 |
間違いやすい植物 | 特になし |
ヒョウタンボクは、トリカブトと同程度の強い毒性を持っていると言われ、その有毒成分は不明という不思議な植物です。
登山などをすると稀に登山道などで見かけることがあり、低木のため子供も手を伸ばせば手が届く高さに果実があるので注意が必要です。
バイケイソウ
和名(別名) | バイケイソウ (ズックイ、ハエドクソウ、ユリバ、ドスなど) |
階級 | ユリ科シュロソウ属 |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に根茎の毒性が強い) |
有毒成分 | 有毒アルカロイド(ジェルビン、ベラトリン、プロトベラトミン) |
症状 | 摂食後30分~1時間で、吐き気、嘔吐、手足のしびれ、呼吸困難、脱力感、めまい、痙攣、血圧低下など。重症の場合は意識不明となり、死亡する。 |
間違いやすい植物 | ウルイ(オオバギボウシ)、行者にんにく(アイヌネギ) |
バイケイソウは、山菜との誤食が特に多い有毒植物で、新芽の頃がウルイ(オオバギボウシ)に似ているのが一番の理由です。
バイケイソウの危険性は、毒の強さよりもウルイとの見分けにくさで誤食事故が多発している点です。芽が成長して少し葉が開くと見分けやすいのですが、芽吹いたばかりだと鑑別が困難です。
食べると血管が拡張し、血圧が下がって意識を失い、最悪そのまま死に至ります。
ウルイを採る場合は、しっかりとバイケイソウではないことを確認し、他の人にあげたり貰ったりしないで、自己責任で収穫・処理を行うようにした方が安全でしょう。
コバイケイソウ
和名(別名) | コバイケイソウ(別名はバイケイソウと同じ) |
階級 | ユリ科シュロソウ属 |
分布 | 中部地方以北の高山地帯 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に根茎の毒性が強い) |
有毒成分 | 有毒アルカロイド(ジェルビン、ベラトリン、プロトベラトミン) |
症状 | 摂食後30分~1時間で、吐き気、嘔吐、手足のしびれ、呼吸困難、脱力感、めまい、痙攣、血圧低下など。重症の場合は意識不明となり、死亡する。 |
間違いやすい植物 | ウルイ(オオバギボウシ)、行者にんにく(アイヌネギ) |
コバイケイソウについては、バイケイソウとほぼ同じです。
生えている場所が、バイケイソウに比べて寒い地域の標高の高い場所であることが多く、群生しているのが特徴です。
誤食のケースもバイケイソウ同様に多いので注意が必要です。
シキミ
和名(別名) | シキミ (ハナノキ、ハナシバ) |
階級 | マツブサ科シキミ属 |
分布 | 本州(東北以南)~九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に果実と種子の毒性が強い) |
有毒成分 | アニサチン |
症状 | 採食後数時間で、嘔吐、下痢などの消化器症状、四肢の痙攣、意識障害を伴う痙攣、最悪の場合死に至る |
間違いやすい植物 | トウシキミ(八角) |
シキミは、昔から仏前や墓前に供える花として使われることから、お寺や墓地で見かける事の多い植物です。
毒性が強い果実や種を子供が遊んで口に入れてしまうという事例がありますが、最も多いのは中華料理で使われる「トウシキミ(八角)」と間違えて食べてしまうというケースです。
左(最初)の画像がシキミ(有毒)で、右の画像が中華料理でよく使われる無毒のトウシキミです。
シキミの方がやや小ぶりで尖っていること以外は、香りも似ていて間違いやすいので注意が必要です。
過去に日本産の八角として海外に輸出し、死亡事故が起きたこともあるほどで、誤って食べると死亡することがあるほど毒性は強いです。
ピラカンサ
和名(別名) | ピラカンサ (トキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリ) |
階級 | バラ科トキワサンザシ属 |
分布 | 関東以西の本州、四国、九州 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒 |
有毒成分 | 青酸配糖体(アミグダリン) |
症状 | 嘔吐、呼吸促進、口腔内の痒み・灼熱感、ふらつき歩行、痙攣、麻痺、死亡 |
間違いやすい植物 | 特になし |
ピラカンサは、生態系に影響を及ぼす外来種リストに載っている植物で、鳥によって種が運ばれて生育エリアを広げている植物です。
鳥が食べるのだから毒性はさほど強くないかと思いきや、鳥が実を食べるのは1月~2月以降の果実が熟して毒性が弱まった頃の為、食べるタイミングを間違えると鳥も死にます。
有毒成分は、シアン系(青酸)の毒で、毒性が強い時期の未熟な果実を多量に摂取すると最悪の場合死に至ります。
クワズイモ
和名(別名) | クワズイモ (アロカシア、アローカシア) |
階級 | サトイモ科クワズイモ属 |
分布 | 四国・九州・沖縄 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 塊茎(切断面から出る液体) |
有毒成分 | シュウ酸カルシウム |
症状 | 悪心、嘔吐、下痢、麻痺、皮膚炎 |
間違いやすい植物 | サトイモ |
クワズイモは里芋との誤食が多い植物で、毎年1~2件の誤食事故のケースが報告されています。
クワズイモの有毒成分はシュウ酸カルシウムで、顕微鏡で見ると結晶が両端がとがった針のようになっているため、口に入れた瞬間に激痛が走り吐き出します。そのため、重篤化を免れることが多いようです。
シュウ酸カルシウムは、健康な皮膚に付いても皮膚炎を発症してしまう程なので、クワズイモかどうか怪しい場合は、必ずゴム手袋をするなどして触るようにしましょう。
グロリオサ
和名(別名) | グロリオサ (ユリグルマ、キツネユリ) |
階級 | ユリ科グロリオサ属 |
分布 | 園芸用品主として一般化 |
危険度(毒の強さ) | |
有毒部位 | 全株有毒(特に塊茎・球根の毒性が強い) |
有毒成分 | コルヒチン、グロリオシン |
症状 | 口腔・咽頭灼熱感,発熱,嘔吐,下痢,臓器の機能不全などにより最悪死に至る |
間違いやすい植物 | ヤマイモ |
グロリオサは、とてもきれいで特徴的な花を咲かせることから園芸用品主として広く一般的に栽培されている種類の植物です。
問題は、根(球根)の部分がヤマイモにとても良く似ていて誤食してしまうケースが後を絶たない点で、厚生労働省でも注意喚起をしています。(※実際に、過去に静岡県と高知県で2年連続で死亡例が出ています。)
有毒成分は、最も多くの日本人を犠牲にしているイヌサフランと同じ「コルヒチン」で、人の致死量は0.8mg/Kgと言われています。
地上部をみれば鮮やかな花があるので見間違えないように思うかもしれませんが、花が枯れた後に土の中から顔を出している球根だけを見ると、ヤマイモと間違えてしまうのも無理は無いと思えるほど似ています。
グロリオサの根をすりおろしても、すりおろしリンゴのようにしかならず粘り気も無いので、よく観察をすれば違いに気づけると思います。
【まとめ】
誤って口に入れることで時には死に至ったり、重篤な中毒症状をきたす植物についてまとめました。
野山に生えている植物を、あえて口に運んでしまうというのは「子供」か「食用にできる植物と勘違いした」のいずれかであることが多いです。
イチイやアセビ、キョウチクトウなど、市街地でも比較的見かける植物や、スズランのように一般的によく知られていて、花壇などで栽培されている有毒植物もありました。
日ごろから有毒植物に関する知識を持っておくことで、子供の不用意な誤食事故や、山菜と間違えて食べてしまうなどのケースを避けることができますので、十分注意するようにしましょう。
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