土壌改良資材のメリット&デメリットを比較解説|特徴と使い方を教えます

土壌改良資材

「野菜作り」に「ガーデニング」に「観葉植物」と、自宅のベランダや家庭菜園などで作物や植物を育てるために欠かせないのが「土づくり」です。

植物や作物を元気に育てることは勿論ですが、こちらのガーデニング初心者によくある失敗例から見る土作りのポイントとは?の記事で、その土を使うのが「室内」なのか「ベランダ」なのか「庭」なのかで気を付けるポイントは変わって来ることをお伝えしました。

また、どんな土がいいのかというのは、育てたい植物や作物によって異なるだけでなく、ハンギング用のプランターなのか室内の観葉植物なのかによっても違いますし、もともと自宅の庭などに土がある方でも、雨ざらしになっていたせいで土壌のpH(酸性度)が極度に酸性に傾いていて作物を作るのに適さない場合があります。

これらの様々な条件に合わせた土づくりをするために、土壌改良資材という物を使って土の状態を整えるという事を行います。

よくホームセンターなどで売っている「観葉植物の土」や「ハーブの土」は、様々な土にこれらの土壌改良資材が混ぜ込まれてあってその植物に適した状態に調整済みの土なんですね。(※ただし、どの環境で使うかについては自分で気をつけないと、配合済みの土には堆肥が入っているものなどがあり虫が湧きやすいので、上記リンクの初心者が陥りやすい失敗の記事をお読みください)

今回は土壌改良資材の種類と特徴を比較&まとめてご紹介します。


「土壌改良資材」っていっぱいあるよね

今回は今までご紹介してきた各土壌改良資材をまとめてわかりやすく紹介するぞい!

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています

土壌改良資材の種類と特徴

今回この記事でご紹介する土壌改良資材は下記の7つです。

  1. 苦土石灰
  2. 籾殻くん炭
  3. ピートモス
  4. バーク堆肥
  5. パーライト
  6. バーミキュライト
  7. 草木灰

いずれもホームセンターや100均の園芸用品コーナーに行くと見かけるものばかりですが、その違いや使い方についてはわからないことが多いですよね!

まずはそれぞれについて簡単に特徴をご紹介します。

【苦土石灰】の特徴と使い方

苦土石灰

苦土石灰(くどせっかい)は、マグネシウムが含まれた石灰です。

多くの日本の土壌は雨の影響もあって酸性に傾いていることが多く、その改善に使われることが多いのがこの苦土石灰です。

苦土石灰の成分上の特徴は「カルシウム・マグネシウム・アルカリ成分」です。

苦土石灰を使うメリット

  • 土壌の酸性度を改善しつつ、カルシウムとマグネシウムの栄養成分を補給できる
  • 効果が緩やかで家庭菜園向け

苦土石灰のデメリット

  • 撒きすぎるとアルカリ性に傾きすぎる
  • ヨウ素欠乏症になる可能性がある
  • 使用後1週間程度は種や化学肥料をまけない

土壌をアルカリ性に傾ける資材には、苦土石灰の他に似ているものとして「消石灰」「有機石灰」などがありますが、それらとの違いなど苦土石灰の詳細については下記の関連記事を併せてご覧ください。

【籾殻くん炭】の特徴と使い方

籾殻くん炭

籾殻くん炭(もみがらくんたん)は、お米を精米する時に取れるもみ殻を低温でじっくり燻して炭化させた物です。

籾殻くん炭は、タールを含まないので安全に使うことが出来、保水性、保肥性、通気性などを向上させ土壌をふかふかにしてくれる効果があります。

また、アブラムシやアザミウマ等の農業における強害害虫を忌避してくれる効果があるのも特徴です。

籾殻くん炭の成分上の特徴は、「ケイ酸・炭素」です。

籾殻くん炭を使うメリット

  • 土壌の酸性度をアルカリ性に傾ける
  • 土壌の保水性・排水性・保肥性・通気性を向上させる
  • 雑菌・消臭効果がある
  • 植物の根張りを良くしてくれる
  • 微生物が活発になる
  • 害虫忌避効果がある

籾殻くん炭のデメリット

  • 撒きすぎるとアルカリ性に傾きすぎる
  • 撒きすぎると土壌が軽くなり過ぎて植物が倒れてしまう

籾殻くん炭は、籾殻が手に入る場所であればくんたん器を使う事で自分で作ることが出来ます。籾殻くん炭の使い方や作り方については下記をご覧ください。

【ピートモス】の特徴と使い方

ピートモス

ピートモスは、ミズゴケ(産地によっては、ヨシ・スゲ・ヤナギの場合も)が堆積して腐食し、何年もかけて泥炭化したものを乾燥させて砕いたものです。

ピートモスは酸性度無調整のものは強酸性を示し、アルカリ性に傾き過ぎた土壌を酸性に傾ける効果があります。

また、保水力・保肥力が高く、湿った土壌を好む植物に使われることが多いです。

ピートモスを使うメリット

  • 土壌の酸性度を酸性に傾ける
  • 保水力・保肥力を向上させる
  • 土壌がふかふかになる

ピートモスのデメリット

  • 撒きすぎると酸性に傾きすぎる
  • 水はけのよい土を好む植物に多量に使うと根腐れを起こす可能性がある
  • 使用前の適切な管理と下準備が必要

ピートモスは使用前の管理や下準備を怠ると、撥水性をもって水をはじくようになってしまったり、水を吸わなくなって土の表面に浮いてきたりしてしまい、扱いに若干注意をする必要があります。

ピートモスの使用上の注意や、アクアリウムへの使用法などの詳細については、柿をご覧ください。

【バーク堆肥】の特徴と使い方

バーク堆肥

バーク堆肥は、樹皮を発酵させたものです。

肥料取締法に定められる「特殊肥料」に指定され、一般的に出回っているバーク堆肥の品質にはバラつきがあることも多く、品質の見極めが必要になってくる資材です。

葉を腐熟させた腐葉土とは違い、バーク堆肥は窒素分などの栄養をほとんど含みません。一方で、リグニンという分解されにくい有機物を含み、それを分解しようと様々な微生物が集まり土壌を活性化させてくれます。

バーク堆肥を使うメリット

  • 土壌の微生物が活性化する
  • 保肥力が高まり、長時間持続する
  • 保水力が高まる
  • 土壌改良効果が安定して長時間続く

バーク堆肥のデメリット

  • 使いすぎると窒素飢餓(ちっそきが)が起きる
  • 低品質(発酵が未熟な商品)が稀にある

バーク堆肥は、分解しにくいからこそ長期間かけて土壌に微生物が集まりじっくりと土壌を育ててくれます。そのため、撒きすぎてしまったりするとバーク堆肥を分解しようと窒素が消費されてしまい、植物に窒素が行き渡らなくなってしまうことがあるので注意が必要です。

バーク堆肥の品質の見極めのコツを下の関連記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

【パーライト】の特徴と使い方

パーライト

パーライトは、火山岩や珪藻土、真珠岩などを原料として、高温で熱処理してできる発泡体です。

発泡体なので土壌の軽量化ができ、通気性が良く保温性や断熱性に優れる資材です。

注意点は、黒曜石パーライト真珠岩パーライトの2種類があり、黒曜石パーライトは排水性が高まるのに対し、真珠岩パーライトは保水性が高まるという逆の特徴がある点です。

いずれもpHは中性で、化学的にも成分が安定しているので使い過ぎによる土壌酸性度への影響はありません。また、耐火性や耐薬品性にも優れているので、工業分野でも使われる事が多いのも特徴です。

黒曜石パーライトを使うメリット

  • 土壌の通気性が高まり、根張りが良くなる
  • 土の保温性・断熱性を高める
  • 土壌の軽量化ができる
  • 排水性を高める

真珠岩パーライトを使うメリット

  • 土壌の通気性が高まり、根張りが良くなる
  • 土の保温性・断熱性を高める
  • 土壌の軽量化ができる
  • 保水性を高める

黒曜石パーライト/真珠岩パーライトのデメリット

  • 使いすぎると土壌が軽くなり過ぎて植物が倒れる可能性がある

パーライトのさらに詳しい説明は、下記の関連記事をご覧ください。

※パーライトの商品名で「ビーナスライト」という名前のものがあれば、それは「黒曜石パーライト」の商品名です。

【黒曜石パーライトのおすすめ】

【真珠岩パーライトのおすすめ】

【バーミキュライト】の特徴と使い方

バーミキュライト

バーミキュライトは、蛭石という鉱物を高温で焼成し膨張させたものを言います。

バーミキュライトの特徴は、前述のパーライトに似ていて比較されることが多いのですが、パーライトに比べ保水性が高く、水耕栽培などにも使えます。

また、用途も多彩で、保水性と耐火性にすぐれているので使い捨てカイロに使われたり、釣り餌の保管や軽量コンクリートの材料になったりもします。

主成分は、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムです。

バーミキュライトを使うメリット

  • 土壌の通気性が高まり、根張りが良くなる
  • 土の保温性・断熱性を高める
  • 土壌の軽量化ができる
  • 保水性・保肥性を高める
  • 高温焼成のため、無菌
  • pHは中性
  • 水耕栽培にも利用できる

バーミキュライトのデメリット

  • 使いすぎると土壌が軽くなり過ぎて植物が倒れる可能性がある
  • アスベストとの関連性で問題になったことがある(※1)

バーミキュライトは、保水性が高く軽量であるため、湿った環境を好む植物のハンギングなどで多めに使うなどすると効果を発揮しやすい資材です。

また、無菌で耐火性・通気性に優れるなどの特徴から、工業分野や化学分野で使われることも多いのも特徴です。

アスベストとの関連性(※1)については、下記の関連記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

【草木灰】の特徴と使い方

草木灰

草木灰は、その名の通りワラや枝等を燃やしてできた灰の事を指します。

前述した苦土石灰の代用品として使えるかどうかを疑問に思う方が多いのですが、両者の違いは、苦土石灰はマグネシウムを含み緩やかな効果で土壌をアルカリ性に傾ける効果があるのに対し、草木灰は主成分がカリで即効性が高いという点です。

草木灰を使うメリット

  • 酸性土壌をアルカリ性に傾ける効果がある
  • 水溶性のカリウムが多いので即効性が高い
  • 栄養分(リン酸・カリウム)の追肥効果がある
  • 病害虫の忌避効果がある
  • 石灰に比べて、土壌を固めてしまわない

草木灰を使うデメリット

  • 過剰散布は土壌がアルカリ性に傾きすぎてしまう
  • 過剰散布はカリが過剰になり、マグネシウムやカルシウムなどの吸収を阻害してしまう
  • 窒素成分は焼却しているのでゼロに近く、単肥としては不十分
  • 化成肥料や配合肥料、堆肥との同時利用は避けた方が良い
  • 灰に含まれるカリは水溶性なので、雨などで溶けだしてしまいやすい

石灰分が多いので土壌の酸性度を中和する目的で使う事も可能ですが、その場合はカリが過剰になってしまう恐れがあるので、あくまで草木灰は「土壌への栄養分(カリ)の補給」をメインにし、酸性度の中和は苦土石灰を併用して行うことが望ましいでしょう。

また、施肥の際は、苦土石灰同様にアンモニアガスを発生してしまう可能性があるので、化成肥料などとの同時利用は避けるようにしましょう。

草木灰は条件さえそろえばご自身で作ることも可能です。

詳しい作り方や使用方法については下記関連記事をご参照ください。

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目的別に土壌改良資材を使い分けよう!

土壌改良資材

ここまで7つの土壌改良資材をご紹介してきましたが、各資材ごとの説明を見ても、今現在欲しい特性をどの資材が持っているのかが分かりにくいので、各土壌改良資材の特徴別にまとめますと下記のようになります。

資材の効果該当する土壌改良資材
土壌のpHを上げる
(アルカリ性に傾かせる)資材
  • 籾殻くん炭
  • 苦土石灰
  • 草木灰
土壌のpHを下げる
(酸性に傾かせる)資材
  • ピートモス
栄養補給効果のある資材
  • 苦土石灰
  • 草木灰
土の保水力を高める資材
  • 籾殻くん炭
  • バーミキュライト
  • 真珠岩パーライト
  • バーク堆肥
土の排水性を高める資材
  • 黒曜石パーライト
土の保肥力を高める資材
  • 籾殻くん炭
  • バーク堆肥
  • ピートモス
  • バーミキュライト
土壌を軽量化する資材
  • 籾殻くん炭
  • ピートモス
  • パーライト(黒曜石・真珠岩)
  • バーミキュライト
土をふかふかにする資材
  • 籾殻くん炭
  • ピートモス
土の保温・断熱性を高める資材
  • 籾殻くん炭
  • パーライト(黒曜石・真珠岩)
  • バーミキュライト
土壌の微生物を活性化させる資材
  • 籾殻くん炭
  • バーク堆肥
害虫を忌避する効果がある資材
  • 籾殻くん炭
  • 草木灰


様々な特性があるこれらの土壌改良資材ですが、多くが現在ある土や腐葉土・赤玉土などの土に混ぜ合わせて使う事が多く、単体で使うケースはあまりありません(水耕栽培などではバーミキュライトのみを使う事もあります)。

それぞれの特徴を生かして上手くブレンドし、育てたい植物にとって好ましい環境に土を作り上げることが出来ます。

土壌改良資材のデメリット

土壌改良資材

土壌改良資材のデメリットは、そのほとんどが「使い過ぎ」によるものです。

土壌酸性度を変化させる「籾殻くん炭」「苦土石灰」「ピートモス」「草木灰」を過剰に使うと、pHが変化しすぎてしまい植物を枯れさせてしまう恐れがあります。

また、土壌軽量化の効果がある「籾殻くん炭」「パーライト」「バーミキュライト」「ピートモス」等の使い過ぎは、土壌が柔らかくなりすぎて土が植物を支えられなくなってしまいます

それぞれの資材の適正使用量は、各資材の個別記事でご紹介していますが、土に対して1割程度の使用量が目安になることが多いです。

また、これから育てようとする植物の特徴や適性環境、現在の土壌の酸性度(pH)などを調べずに土壌改良資材を使用してしまうのも失敗しやすいポイントになります。

水はけの良い環境を好む植物にピートモスと大量に使用したり、酸性土壌を好む植物を育てるのに苦土石灰を撒きすぎたりしてしまっては逆効果ですよね。

土壌改良資材を選ぶ前に、元の土壌のpHはどの程度なのか調べ、これから育てる植物の好む生育環境についても調べることが大切になります。

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まとめ

様々な土壌改良資材についてご紹介しましたが、それぞれ異なった特徴を持ち、上手く使うことが出来れば植物や作物を元気に育てる助けになってくれるものばかりです。

気を付けるのは「使い過ぎ」という点と、使う前に土壌の状態と育てたい植物の特徴を調べること」の2つです。

100均の土でも構いませんが、購入する前にどのような配合になっているのか成分表示をしっかり見て購入するようにしてくださいね!

室内の観葉植物に使う土を探している方は、今回ご紹介した土壌改良資材+赤玉土で虫の湧かない観葉植物用の土を作る配合を、こちらの「100均の土は大丈夫?室内の観葉植物におすすめの虫が湧かない土」でご紹介しているので是非参考にしてみてください。