巷はゴールデンウィークで連休を楽しんでいる方がほとんどの5月初旬。
私達のように田舎で暮らす農家さんは「田植え」のシーズンが到来し、一番気合をいれて田んぼに繰り出す大切な時期でもあります。
自給的農家である我が家の田んぼの広さは4面(※約2反3畝)なので、田植え機一台を使って家族総出で田植えをすれば半日で終わる位の面積なのですが、やはり田植えをすると一仕事したという気持ちになります。
以前まで都会に住んでいたので、よく「田植え体験」としてイベントが開催されているのを目にしていましたが、いざ実際に自分で田植えをやってみると知らなかったことや気を付けることなどが見えてきました。
そこでこの記事では、田植えを初めてやってみようと考えている方に向けて、田植えの時期、適した服装と道具、気を付けるポイントなどを分かりやすく解説いたします。
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田植えの季節はいつ頃?
現在では全国的にゴールデンウィーク前後が田植えの時期と重なることが多いとされていますが、早い所では4月初旬から、遅い所では6月頃に田植えを始める地域もあります。
稲が生長するには「気温が15℃以上が適温」とされ、枯れないためには「最低でも10℃必要」と言われています。
私が住む宮城県北部では、やはり5月に入らないと安定して10℃以上の気温にはならないので、必然的にこの時期に田植えをすることが多いのです。
このように、稲は気温や日照時間に生育が大きく左右されるのですが、必ずしも田植えの時期は暖かい南から順に北上していくという事は無く、その地方の気候やお米の品種などによって異なります。
日本全国で最も田植えが早いのは沖縄県(3月下旬)ですが、次いで早いのが千葉県や三重県の4月下旬となっており、以外にも寒い北海道は5月下旬なのに対し、温暖な九州地方ではそれより遅い6月中旬が田植えの最盛期となっています(※出典:農水省「グラフと絵で見る食料・農業」)
夏の気温が上がったタイミングで出穂する特徴のある「早生系」の品種は、日照時間よりも温度変化が重要なので、北海道や東北地方などの寒い地域に向いています。
一方で、九州などの温暖な地域では高温になる時期が早く、お米の粒が十分に栄養を蓄える前に出穂してしまうといけないので、高い温度で成長が進みにくい「中生・晩生系」の品種を植える傾向があります。
このような品種の違いによって、各地域の田植えの時期の違いが生まれるわけですね。
田植えの体験をしてみたい人は、希望する地域の田植えの時期に注意しよう!
身近に水田が無いような都会でも、少し足を延ばせば農業体験として親子で田植えができるイベントも沢山開催されています。
ただし、それらのイベントはいずれも定員制の先着順であることが多いので、希望する地域の田植えの時期よりも早めに予約をすることを忘れないようにしてください。
・田植えの時期は、気温と植える品種によって異なる
・田植え体験をしたい場合は、早めに予約をする
田植えの準備段階(田起こし~代かき~田植え)
田植えをすると聞いて、上の写真のように田んぼに水がはってある状態をイメージする人が多いかもしれませんが、これは既に「代かき(しろかき)」といって田植えをするために田んぼを平らにならして水をはった状態です。
この代かきをしないと、水位の調節が上手くいかなかったり、田植え直後に雑草が伸びてしまったりするのでとても大切な作業なのです。
田植えをする前の田んぼは水は無く乾燥している状態ですが、トラクターで耕うん(田起こし)をして土壌をふかふかにして雑草などをすき込んでから、水路から水をひいて田んぼに水を入れます。
下の写真は我が家の田んぼで、水路が左下に見えますね!
我が家はここの水路から水を引いています。
通常田植えをする1か月ほど前に肥料を散布してトラクターで耕うんすることが多いのですが、最近ではトラクターで苗を植えていく段階で一緒に肥料もまくことができる田植え機もあります。
田植え用の機械「田植え機」が大活躍!
我が家には中古で譲り受けた田植え機があるので、ほとんどの面を田植え機で植えていきます。
田植え機にはこの「苗箱」と呼ばれる塊になった苗を箱から外してセットします。
後は自動的に田植え機が必要な株数ごとに田んぼに植えつけてくれるので簡単!
この苗箱は1つで800円だったそうです。
今回は確か40枚ほど使ったようで、ウチの田んぼの面積でもこれだけの枚数を使うのですから、広大な水田を持つ農家さんでは苗の価格だけで相当しそうですね。
田植え機が入れない場所は「手植え」!
田植え機が上手く苗を植えこめなかった田んぼの隅や、土が柔らかくて倒れてしまっている苗などを手作業で植えていきます。
手植えをする時は、苗の束を抱えて5~6本を手でとり分けて植え込んでいきます。
苗と苗の間隔は大体15センチほどでOKです。
この間隔を詰めすぎると、ぶんけつ(株の枝分かれ)が進まず収穫量が落ちてしまうという話もあるので、間隔が窮屈になりすぎないようにしましょう!
田植えをする時の服装は?どんな格好をすればいい?
※上の画像で手植えしているのは私
田植えを初めてする場合によくわからないのが「田植えをする時に着る服装」です。
田植えをする時期と天候にもよりますが、基本的には下記を参考にすると良いでしょう。
・田植え専用の長靴(田靴)
・日よけの帽子
・ゴム手袋
・汗拭きタオル
炎天下での作業になることも多いので、日よけの帽子やタオルなどは持参し、日焼けや虫刺され防止のために長そで&長ズボンが好ましいです。
極端な事を言えば、熱中症対策ができていて、汚れてもいい服装であれば特に問題は無いと思います。
当然泥だらけになるので、着替えは用意しておきましょう!
田植え専用長靴「田靴」と普通の長靴の違いとは?
田植えをする時に、裸足で田んぼに入るのももちろん可能ですが、前年の稲刈り後の茎が残っていて危なかったり、ヒルやヘビがいる場合もあるのであまりお勧めしません。
安全上長靴を履くことをお勧めしますが、田植えの際は「田靴」と呼ばれる田植え専用の長靴があると大変便利です。
今回の私の田植えでの一番の失敗は「田靴を履かなかったこと」
上の画像の左側が私が普段使いで履いている長靴で、右側が田植え用の長靴(田靴)です。
普通の長靴を履いて田んぼに入るとどうなるかというと、まず足が抜けなくなり、最悪転んで泥だらけになります。
また、足首に力を入れて持ち上げないと長靴ごと埋まってしまって移動がしにくいので、動作が遅くなりますし、めちゃくちゃ足の筋力を使うので疲れます。
田靴があるだけで田植えが何倍も楽になりますよ♪
田靴と長靴の違いはフィット感と柔らかさ
普通の長靴を上から見ると、ラバーがしっかりしているので底までしっかり見えますね。
簡単に着脱できる反面、田んぼでは泥に足を取られて脱げやすくなります。
一方で田靴はというと、足首部分より上がペラペラと柔らかい素材でできていて、細身でできているので内部が狭く密着感が強いです。
田んぼで泥に埋まってもスムーズに移動できますが、その反面脱いだり履いたりが少し大変です。
田靴は柔らかいという特徴があるので、クルクルっとコンパクトに丸めて持ち運ぶことができるのも特徴です。
この持ち運びのしやすさから、アウトドアキャンプや野外フェス、釣りなどに田靴を愛用している方も少なくありません。
田植え以外にも使い勝手のいい長靴なので、田植えをする機会に購入しておいても良いでしょう。
おすすめの田植え用長靴「田靴」
田靴と言えば「ATOM(アトム)」の大地とみのる君(※後述)ですが、大地は何と言っても29センチまでサイズがあるのがポイントです。
重量は430gとやや重めですが、厚底になっているので畑の土の上やアスファルトの上を歩いても全く問題なく使えます。
丈夫で破れにくい素材でできているので長持ちしますし、履き口付近にオレンジ色のジャージ素材がついているので泥や水が中に入りにくくなっています。
※備考:2008年のグッドデザイン受賞商品
ATOMのみのる君は、大地に比べてかなり安価ですが、サイズが最大25センチまでしかなく、素材も薄い軽量タイプなのでアスファルトの上を歩くのにはあまり向きません。
価格は大地の半額程度なので、今後田植え以外にそこまで使用機会がなさそうであれば、みのる君はコスパが良いのでお勧めです。
まとめ
私たち日本人が日ごろから食べているお米がどのようにしてできているのかという事を知る上で、田植えを経験するというのはとても大切な事のように思います。
日本であればどこにいても田植えの体験をさせてくれるところがあると思いますので、服装をしっかり整えて、各地域の田植えが始まる前に体験ができる所を探してみはいかがでしょうか。