つい先日一羽の鳥が我が家の窓ガラスに衝突して死んでしまいました。
去年もキジとウグイスが窓ガラスに衝突してしまい、幸いすぐに飛び立っていきましたが何度か窓ガラスに激突してくる事故が起きています。
我が家のように野鳥の多い田舎の家のみならず、都会でも同様に窓ガラスに鳥が衝突して死んでしまう事故が後を絶ちません。
アメリカのとある高層ビルでは、年間1500羽も窓ガラスに激突しているという極端な例もあり、鳥の生態系にも影響を及ぼしかねない問題となっています。
なぜ鳥たちは明るい日中にも関わらず窓ガラスに激突してしまうのでしょうか?
今回は、鳥が窓ガラスに激突してしまう理由と、激突を防止する方法についてご紹介いたします。
Contents
鳥が窓ガラスにぶつかる理由とは?
晴れていて見通しの良い日中にもかかわらず、鳥が窓ガラスに激突してしまう理由は
窓ガラスの鏡面効果(ミラーリング)が主な原因です。
窓ガラスが鏡のように周りの風景を写し込み、鳥にとっては空が続いてるかのように見えてしまい激突してしまうのです。
特に、都会では隣家との距離が近かったり、家の目の前に人通りの多い道や公園、商店などがあって、中を覗きにくいように「ミラーガラス」を使っている場合があります。この場合は、外からのぞき込む角度に関わらず鏡面効果を発揮するので、鳥にとってはほとんど見分けが付かずに激突してしまいます。
一方で、通常のガラスでも、天敵に追われたり人が近づいて驚いて飛び立ったりしてパニックになった鳥が激突する例や、窓ガラスのすぐそばに葉の生い茂った高い木があり、間をすり抜けた際にぶつかってしまうなどの原因も考えられます。
年に数回など、頻繁に窓ガラスへの鳥の衝突事故がある場合は、
- ミラーガラスを利用している
- 周囲の風景と一体化しやすい窓ガラスの位置
- 窓ガラスの前に大きな高い木がある
などが原因となることが多いので、ご自宅の状況を照らし合わせてみて原因を探ってみる必要があるでしょう。
鳥が窓ガラスに激突しやすい時期とは?
鳥の窓ガラスへの激突事故を調べた調査によると、観測地(北海道、山梨)によって激突する鳥の種類や時期に多少のズレはあるものの、9月~10月が最も多くなる傾向にあるようです。
また、鳥の種類によっては11月~1月に激突が多かった個体もおり、必ずしも9~10月に事故が集中するわけではないのでしょう。
一方で、鳥が営巣し始める6月などは縄張り意識が働き、決まったエリアでのみ活動する鳥が増えるためか、ぶつかって死んでしまう個体は減少する傾向にあるようです。
鳥が窓ガラスにぶつからないようにするための対策と方法
鳥が窓ガラスにぶつかるのは、鏡面反射や障害物によって窓が認識できない場合、また天敵に追われてパニックになった等様々な理由がありますが、既に建ってしまっている家を建て直すわけにもいきませんし、家の前の高木を切るわけにもいきませんよね。
鳥の事を考えて激突を防止しようとすると、今のところはそこに住む人が周囲の景観や窓からの眺めを犠牲にして対策をするという方法しかないようです。
その中でも、可能な限り景観を損なわずに鳥の衝突を防ぐものをご紹介します。
1.バードセイバーを窓ガラスに貼る
バードセイバーは、鳥が窓ガラスを認識しやすいように、鷹やフクロウなどの猛禽類のシルエットを模したステッカーのようなものです。
バードセイバーを窓ガラスに貼ることによって、鳥に認識してもらおうというものです。
バードセイバーは、猛禽類の絵や写真などを大き目にプリントアウトして自作しても良いですし、景観をできるだけ損ねたくない場合は、下のような「紫外線を反射するタイプ」の、人間には認識しにくく鳥には見やすい商品もあります。
また、大阪府やアメリカでは鷹などの猛禽類の激突事例もあり、「バードセイバーを利用する目的は猛禽類の絵で鳥を驚かせることではない」という事は認識しておくようにしましょう。怖い絵柄にすれば鳥がぶつからないわけではありません。
一番効果的なのは、あくまで「窓ガラスの反射を抑制すること」です。
バードセイバーの貼り方にはコツがあり、
重要なのはどんな絵柄のものを張るかではなく,どういうふうに張るかです。同博士の研究が示すところによれば,張るものの間隔は,横5㌢,縦10㌢以上空けるべきではありません。 – 建物に衝突する鳥たち2009
ステッカーの距離をしっかりと詰めて貼ることがポイントです。
2.レースのカーテンなどをできるだけ閉めておく
お金はかからないが景観を犠牲にする方法が「レースのカーテンを閉める」という方法です。
あまりにも鳥の衝突が頻繁に起こる場合は、バードセイバーでは防ぎきれない可能性もあり、窓への風景の映り込みを防ぐ方法が有効です。鳥の激突事故が多い秋から冬にかけては極力レースのカーテンを閉めることで予防効果があります。
鳥が窓にぶつかってしまった時の注意点
窓に鳥が激突したのを目撃した場合は、下記の注意点を守るようにしましょう。
- ぶつかった直後に、助けようとしてすぐに触りに行かない
- 寄生虫や病原菌を持っている場合があるので、できるだけ素手で触らない
(処理後は手を洗う)
窓に鳥がぶつかった場合、死んでしまうのは約半数で、残りはしばらく気絶したのちに飛び去って行きます。
気絶している鳥を介抱しようとして近づいた時に、目を覚まして攻撃される可能性もあるのでむやみに近づかないようにしましょう。
数時間経過しても起き上がってこない場合は死んでいる可能性が高いですが、寄生虫や病原菌を持っている可能性があるので、素手では触らずに極力手袋をするなどして、触ってしまった場合は必ず手を洗うようにしましょう。
まとめ
鳥が窓ガラスに衝突するのは、「窓ガラスが鏡のように反射し、周囲の風景を写し込むことで鳥が空と間違えてしまう」という事が主な原因であることが分かりました。
偶然ぶつかってくる場合もありますが、もし何度もぶつかってくることがあるようなら、バードセイバーや窓ガラス反射防止の措置を取ることで事故を未然に防ぐこともできます。
野鳥と人間の共存を害のないものにするためにも、できるだけ鳥にも優しい暮らしを心掛けたいですね。