観葉植物は、インテリアとして室内を彩ってくれるだけではなく、密閉空間である室内の空気を綺麗にしてくれる効果があることをご存知ですか?
観葉植物の中でも空気の清浄効果がある物を「エコプラント」と呼び、空気の浄化を目的に育てている人も多くいます。
今回はそんなエコプラントについて、おすすめの観葉植物の品種とそれぞれの空気浄化能力の特徴について解説いたします。
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エコプラントが注目されるきっかけはNASA(国際航空宇宙局)の調査
植物が空気を綺麗にするというのは、何か直感的にも納得できそうなものですが、このエコプランツに関しては、とても明確な目的を持ち、化学的なアプローチによる研究がされてきました。
その発端となったのがNASA(国際航空宇宙局)と造園建設業協会(ALCA)が行ったNASA空気清浄研究です。
宇宙飛行士は完全な密閉空間で生活をします。そのため、換気ができない宇宙船内の空気をいかに綺麗にするかということについて研究がされており、その中で1989年9月に発表された「Interior Landscape Plants for Indoor Air Pollution Abatement(屋内大気汚染防止のための屋内観葉植物)」で、空気の清浄効果を持つ観葉植物の種類とその特徴について述べられました。
その中で、いくつかの観葉植物に空気の清浄効果があるという事が話題となり、一般家庭でも空気をキレイにしてくれる植物として人気が出るきっかけとなりました。
現代建築では隙間がほとんどなく作られているため、宇宙空間ほどではないにしろ気密性が高く、換気や空気清浄機を必要とする大きな理由の一つとなっています。
特に、ホルムアルデヒドやトルエン、アンモニア、ベンゼンなどの建材や家具などに使われている物質がシックハウス症候群の原因になることがわかってきており、観葉植物がこれらの化学物質が吸着できるかどうかという事も注目されています。
エコプラントが吸着してくれる汚染物質の種類
NASAの研究以外にも、エコプラントの持つ空気の清浄効果については様々な研究がありますが、主に植物が取り除いてくれるとされている化学物質は下記の5つです。
- ホルムアルデヒド:接着剤、フローリング材、カーテン、ニスなどの建材塗料等
- キシレン/トルエン:接着剤、ペンキ、壁はり材、パソコン等
- トリクロロエチレン:インク等
- ベンゼン:石油製品、たばこの煙、排気ガス
- アンモニア:掃除用洗剤、ペットのトイレ
各種植物によって、上記の5つの物質のうち取り除けるものと取り除けないものに差があります。
どの植物がどの物質を取り除くことができるのかについて、おすすめの順番にご紹介していきます。
空気をキレイにする効果が高い観葉植物ランキングTOP10
1.スパティフィラム
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | 〇 |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | 〇 |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | 〇 |
スパティフィラムは、濃い緑色の葉と真っ白な花をつける観葉植物で、5つのすべての化学物質を除去してくれる数少ない植物のひとつです。
寒さと乾燥に比較的弱いのですが、日が差し込む室内で育てれば年中開花した状況をたのしむことができる育てやすい観葉植物でもあります。
二酸化炭素を除去する効果も高いと言われており、エコプラントとしてまず最初に名前が上がる品種のひとつです。
※犬猫毒性(犬や猫が食べてしまった場合の毒性の有無):有毒
2.サンセベリア
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | 〇 |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | 〇 |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
NASAの試験でも最も空気の浄化能力が高いとされていたのが「サンセベリア」です。
アンモニアを除く4つの化学物質を除去するのに加え、植物は通常日中に光合成をすることで二酸化炭素を酸素に変えて空気中に放出しますが、このサンセベリアは夜間も絶えず酸素を出し続けるという特殊な性質から安眠効果があると言われており、別名「ベッドルームプラント(Bedroom Plant)」とも呼ばれているほどです。
寒さに弱い点を除けば、乾燥にも強く耐陰性もあるので室内でも育てやすいのが特徴です。
観賞用よりも空気の清浄効果を期待して購入する人が特に多い観葉植物でしょう。
※犬猫毒性:有毒
サンセベリアの人気・希少品種と育て方については下記関連記事をご覧ください。
3.セイヨウキヅタ(アイビー)
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | 〇 |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | 〇 |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
数あるエコプラントの中でも「ベンゼン」の除去効果が高いとされているのがこの「セイヨウキヅタ(アイビー)」です。
耐寒性・耐暑性に優れており、最も育てやすい部類の観葉植物なので、空気清浄効果を求めて初めて観葉植物を育てるという人にはおすすめの品種です。
※犬猫毒性:有毒
4.ドラセナ・マルギナータ
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | 〇 |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | 〇 |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
ドラセナマルギナータは、アンモニアを除く4つの化学物質を除去することがわかっており、特に「ホルムアルデヒド」の高い浄化能力をもった観葉植物であると言われています。
幸福の木とも呼ばれるドラセナは、とても縁起が良いので好んでインテリアとして置く人も多く、水やり(根腐れ)にさえ注意をすれば育てやすい観葉植物なので、初心者にもおすすです。
※犬猫毒性:有毒
5.ポトス
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | 〇 |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
100均やホームセンターで必ずと言っていいほど見かける「ポトス」も、実はかなり空気清浄効果が高いことで知られている植物です。
NASAやその他の機関(日本花普及センター)等での調査によると、数ある観葉植物の中でも上位の空気浄化能力があることがわかっています。
安くて手に入れやすく、そして何と言っても育てやすいのが特徴なので、何を育てるか迷っている方はポトスはおすすめできる品種のうちの1つです。
※犬猫毒性:有毒
6.アレカヤシ
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | × |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
アレカヤシは、背丈が大きくなるので葉の表面積も大きくなる分、化学物質の吸着・除去率も高いことで知られています。
猫や犬の食毒性が無いので、室内に置いても安心です。
水分を沢山蒸散させる品種なので、寝室などに置いておくと良いでしょう。
※犬猫毒性:無毒
7.ベンジャミン
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | × |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
ベンジャミンも化学物質の吸着力が高く人気の観葉植物です。
インド原産のイチジクの仲間で、ガジュマルも同種の1つのため、和名は「シダレガジュマル」とも呼ばれています。
背が高くなり、丸く可愛い葉っぱを密生させるので、室内インテリアにしてもシルエットがとても可愛いくお勧めです。
※犬猫毒性:有毒
8.オリヅルラン
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | × |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | × |
オリヅルランは、100均やホームセンターで簡単に購入でき、数ある観葉植物の中でも丈夫なためどんな環境でも育てやすいのが特徴です。
エコプラントの中でも、特に空気中のホルムアルデヒドを吸着する効果が高いことがわかっているので、空気の清浄効果を気にする方には特におすすめの品種です。
また、一酸化炭素や二酸化炭素の除去率も高いことも知られています。
生長がとても速いので根詰まりを起こさないように鉢の植え替えを定期的にしてあげれば、枯らしてしまう事も少ないので初心者向けの観葉植物と言えるでしょう。
※犬猫毒性:無毒
9.インドゴムノキ
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | × |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | × |
アンモニア | × |
インドゴムノキは、前述のベンジャミン同様イチジクの仲間で、名前の通り樹液がゴムの原料になります(※現在は天然ゴムの原料は別の木:パラゴムノキ)
生長が早く背丈が高くなり大きな丸い葉をつけるので、葉の表面積が大きくなる分有害物質「ホルムアルデヒド」の吸着・除去効果が高い植物として人気があります。
※犬猫毒性:有毒
10.アンスリウム
化学物質名 | 除去の可否 |
ベンゼン | × |
ホルムアルデヒド | 〇 |
トリクロロエチレン | × |
キシレン/トルエン | 〇 |
アンモニア | 〇 |
ハート型の花と鮮やかな色が特徴のアンスリウムも、空気を綺麗にする効果のあるエコプラントのひとつです。
ホルムアルデヒドやトルエン以外にも、アンモニアも吸着・除去してくれると言われています。
熱帯原産のため寒さと乾燥に弱く、日光の当たる室内で葉水など空中湿度を一定以上に保つようにする必要があります。
綺麗な花を楽しみつつも空気の浄化作用を求める方にはお勧めの観葉植物です。
※犬猫毒性:有毒
まとめ
室内に飾ってインテリアとして楽しむことができる観葉植物には、空気を綺麗にしてくれる働きを持つ種類があり、その中でも特におすすめな10種類をご紹介しました。
空気清浄効果とランキングについてはNASAの研究結果から判断してご紹介しましたが、いずれの植物においても「鉢内の土壌に生息している微生物による分解の効果」も多少は含まれているとの記載もあったので、ハイドロカルチャーなどの土を使わない育て方をする場合は空気の清浄効果もやや劣るのかもしれません。
【ハイドロカルチャーについてはこちら】
実は、今回の10種類に入れなかった植物で、5つの化学物質全てを除去する効果を持つ、私たち日本人に馴染み深い植物が一つあります。
前述したNASAの空気清浄研究では、スパティフィラムと並んで菊が有害物質の吸着効果がとても高い植物として紹介されていました。
いわゆる観葉植物のそれとは違うため今回はランキングから省きましたが、菊の空気清浄効果はトップクラスに高いことがわかっています。
ただ、長期的にインテリアとして効果を発揮してくれるのは、今回ご紹介した10種類が効果的なので、是非気に入った種類の観葉植物があれば育ててみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した以外にも、ご家庭で簡単に育てられる観葉植物が沢山あります。
特に、こちらの「人気の観葉植物の種類一覧|100均で買えるおすすめの観葉植物30種まとめ」の記事では、100均でも購入できて育てやすい観葉植物をご紹介しているので、あわせてご覧ください。