こんにちは、田舎センセイです。
私は園芸を趣味としていますが、同居している義理の母は元々理科の教員で森林インストラクターの資格を持っていることもあり、珍しい植物があると色々と教えてくれます。
我が家の敷地内にはそんな義母が友人から種をいただいたという「翁草/オキナグサ」という山野草が花を咲かせました。
元々は広く自生していたこの種ですが、現在では絶滅の危険が増大している山野草として知られています。
本記事では、我が家で花を咲かせた「オキナグサ」について、特徴や育て方などの基本情報についてまとめます。
Contents
オキナグサ(翁草)の特徴と画像
和名 | オキナグサ |
漢字名 | 翁草 |
別名 | ネコグサ/白頭草 |
学名 | Pulsatilla cernua |
分類 | キンポウゲ科オキナグサ属 |
原産地 | 日本 |
分布 | 本州、四国、九州 |
オキナグサは本州以南の日当たりの良い草むらや河川敷などに生える多年草です。
上の画像は3月末に撮影したものですが9割は蕾でした。一般的には(場所に寄りますが)花期は4月~5月頃です。
花が終わった後に細い綿毛が果実について伸びている様子が、おじいさんの白髪のように見えることからこの名前が付いたと言われています。
伸びた花芽は白い毛でおおわれていてフサフサと毛深い。
この花弁に見えるものは花ではなく「萼片(がくへん)」で、開花時には下を向いていますが徐々に上向きになり、完全に上を向くようになれば花の寿命はもうすぐ尽きる目安になります。
株の耐寒性は高く、地中で根茎が冬を越す
我が家のある東北北部(宮城県の岩手寄り)は、冬には―5℃から-10℃位になることもあります。
オキナグサの耐寒性は比較的高く、地中部分に埋まっている根茎部分が寒い東北の冬でも耐えきって、冬の終わりの暖かい日に芽を出し動き出します。
多年草ですが寿命は5~6年と言われています。
ただ、我が家は毎年特に手入れをしなくても種が飛んで周囲で勝手に発芽し、花壇の広範囲で群生するようになりました。
※こぼれ種で今年新たに花芽をのばした株
元々は山野草で日本の各地で自生していたので、地植えする場合はそこまで手をかけなくても丈夫で毎年花を咲かせてくれます。
オキナグサはレッドデータブックで「絶滅危惧Ⅱ類」
かつては日本各地で自生していたオキナグサですが、自生地の維持管理がされなくなったことや土地開発などによって徐々に数が減り、希少性が高まってレッドリストに載ったこともあって乱獲されたことも数を減らす一因となっているようです。
現在は環境省のレッドリストでは「絶滅危惧Ⅱ類(VU):絶滅の危険が増大している種」に分類されています。
日本オキナグサと西洋オキナグサ
今回私がご紹介しているのは、もともと日本に自生している「日本オキナグサ」ですが、園芸品種として丈夫で育てやすい「西洋オキナグサ」も数種類あります。
園芸店やホームセンターで見かけるものは西洋オキナグサであることが多く、ネットでも各種流通しているので日本オキナグサとの鑑別は必要です。
基本的には日本原産のものでなければ「西洋オキナグサ」と書かれているはずなので、購入する際には注意しましょう。
また、日本原産のオキナグサはネットでもそこまで高価な価格ではなく流通しているので、ポット苗で購入可能です。
自生地へ採取しに行くくらいなら、園芸用に栽培し増やされたものを購入しましょうね。
オキナグサは全草有毒:プロトアネモニンを含む
このオキナグサは別名「ネコグサ」などとも呼ばれることから、猫が食べる草だと勘違いをして与えようとする人が少なからずいるようですが全草有毒なので注意が必要です。
プロトアネモニンという毒性のある刺激性精油成分が含まれていて、発泡剤(はっぽうざい)として民間療法で使うことがあるようですが、皮膚に触れると皮膚炎となる水疱(すいほう)を引き起こします。
根を乾燥させたものを内服薬として使うこともあるようですが、未乾燥のオキナグサに含まれるプロトアネモニンは刺激性が強く、食べてしまった場合は胃腸炎や嘔吐を引き起こし、最悪の場合は心停止に至る可能性もあるので個人の判断での服用はすべきではありません。
プロトアネモニンは不安定で、加熱などにより直ちに二分子重合してアネモニン(anemonin)(無色板状晶、融点157-158)になる。 アネモニンには揮発性や刺激性はない。 このため、乾燥したキンポウゲ科の植物では皮膚炎は起こさない。
オキナグサの花言葉
この花言葉の並びをみると、純粋な人が恋をして、その気持ちを伝えられず、どんどんおかしな方向に向かって行って、最後は悟りを開くみたいな流れになっててちょっと笑ってしまいました。
なんだか報われない感じとちょっとイケナイ雰囲気の漂う花言葉が多いですね。
オキナグサの育て方
あくまで我が家の方法と経験からになりますが、基本的に「山野草」であるオキナグサは、日当たりや周囲の環境さえ整えば土は選びませんし、さほど栽培は難しくありません。
根茎(ゴボウ根)で冬を越して成長するために移植を嫌う性質があるので、あまり植え替えをしない方がいいと言われています。
我が家は日当たりのいい花壇に完全に放置していても毎年花を咲かせて種を飛ばし増え続けています。(※基本的な雑草取りは丁寧に行っていますがそれくらい)
地植えにするかプランターで栽培するかにもよりますが、子供たちが走り回る(※4歳と2歳の息子たちが頻繁に花壇に入る)花壇に植えていても全く問題なく増えているので、地植えでも丈夫な印象がありますね。
種まきの時期
種を入手して撒く場合は冬の終わりごろか、花が種子を飛ばす時期である初夏(6~7月)に蒔くと良いでしょう。
種子の鮮度が良い方が発芽率が高いようなので、種子を購入する際は注意が必要で、ポット苗を購入した方が栽培の開始自体はスムーズにいくかもしれません。
我が家は前述の通り花が飛ばした種がそこいらで発芽して増えているので、鮮度が良い種であれば手をかけなくても発芽しやすいというのは納得がいきます。
植え付けの時期
ポット苗を入手した場合は、あまり極端な気温にならない春か秋に植えつけると良いでしょう。
栽培するエリアによっては冬の気温が氷点下になることもあると思いますが、野外の地植えでも根茎部が生きていれば冬の終わりに芽を伸ばしてくるので寒さの心配はあまりいりません。
ただプランター栽培などで用土が凍結しやすいような場合は注意が必要ですので、春植えをして株や根茎部分を充実させておくか、冬の時期の置き場所はあまり寒さが厳しくない場所にしておいた方がいいかもしれません。
栽培環境・日当たり・用土について
日光を好むので日当たりのいい場所に植えます。
我が家の場合は日中(朝の日の出~夕方5時頃まで)常に日が当たる花壇に植えていて、周囲には直射日光を遮る松などの庭木もあり、それらの周囲(株元)に沢山咲いています。
乾燥が続く場合には水やりをすることもありますが、地植えの場合は地中から水分を補給するので放置していても問題ありません。鉢植えの場合は乾燥しすぎないように適宜水やりを行います。
用土に関しても特に選びませんが、園芸初心者の方は市販の培養土(山野草用)を使えばまず大丈夫。
注意すべき点は根茎部分が成長できるように深さのあるプランターや鉢を選ぶことです。
まとめ
本記事ではオキナグサの基本情報と栽培方法についてまとめました。
オキナグサは絶滅の危機に瀕していることから希少性が高い山野草ですが、栽培自体は難しくなくポット苗も流通しています。
自生地から盗掘せずとも手に入りますので、絶対にそのような行為はやめましょうね!
一度栽培に成功すれば多年草なので数年間はその姿を楽しませてくれますし、種子を採取して栽培すれば増やすことも難しくありません。(※我が家では勝手に増えてますけど・・)
興味がある方は是非ご家庭での栽培にチャレンジしてみてくださいね!