こんにちは、田舎センセイです!
私の趣味は園芸で、中でも塊根植物というアフリカやマダガスカル原産の植物を種から育てるのが一番楽しい瞬間なのですが、先日ちょっと困ったことが起きました。
腰水管理(*¹)をしていたプラ鉢の中の土表面に「藻」のようなものがびっしりと生えてしまい、芽吹いたばかりの植物の株元を覆いつくす勢いでした。(*¹:容器に水をはって鉢を沈めて底面吸水で管理する方法。特に幼苗期の水切れを防ぐために行う)
幼い頃、熱帯魚を飼っていた経験があったので見慣れたその正体は「藍藻(らんそう)」なのではないかと目星をつけ、何故表土にびっしりと発生してしまったのかを調べてみました。
本記事では、鉢植えやプランターの表土に緑色の藻のようなものが生えてしまった時の原因や対処法について、あくまで私の実体験ベースになりますが詳しく解説していきます。
Contents
鉢植えの中の土についた緑色の藻の正体は「藍藻(らんそう)」?
画像を見てみると、プラ鉢の中の土表面が濃い緑色になっていて、まるで青のりをびっしりと振りかけたかのようになっています。
ちょっとドロッとした感じで、見た目もあまり良くないうえに古くなった水槽の水の臭いがします。
色々と調べてみると、これは藻の仲間である「藍藻(らんそう)」と呼ばれるもので、酸素発生型光合成細菌という光で光合成をする細菌の一種だそうです。シアノバクテリアと呼ぶこともあります。
藍藻(シアノバクテリア)の問題点とは?
※腰水をしていたプラケースの中にも藍藻類の痕跡がたくさん!
1.見た目が悪い
まず第一に見た目が悪い!
苔などとは違い、水分の多い所にベトっとした濃い緑色が埋め尽くしていて美観を損ねます。
私は、藍藻の状態を観察するために比較的長めに放置したのですが、最終的には植物にも付着してしまっていました。
もうそこまで来ると「見た目を損なう」以上の問題が発生しそうですので、流石に植替えましたが、見ていて気持ちのいいものではありませんでしたね。
2.異臭が発生し、クロバネキノコバエを呼び寄せる
藍藻は見た目が悪くなるだけでなく、生臭い異臭を発するようになります。
この異臭は室内に発生することで知られる「クロバネキノコバエ」というコバエをおびき寄せるので、やはり放置するのは得策ではありません。
3.太陽光を遮ってしまう
藍藻(シアノバクテリア)は光合成をおこなう細菌ですので、積極的に光を取り込もうとどんどん勢力を拡大させていきます。
藍藻の過剰繁殖によって問題になりやすいのが、富栄養化によって湖面に大発生してしまった場合の水中へ与える日照不足です。藍藻が水中への日光を遮ることによって水中の酸素が減り、そこに棲む動植物を死滅させてしまいます。
これは土の中の状態を悪化させてしまうので、鉢植えでも同じことが言えますね。
4.土中の栄養が失われる
藍藻は土中から積極的に「カリウム」を吸収しようとするため、植物に行き渡る栄養素が減ってしまいます。
育てている植物以外に栄養を吸収しようとする存在なわけですので、早いうちに除去してしまうのが好ましいですね。
土の表面に藍藻が発生してしまった理由を考える
今回、1つのプラケースに6つのプラ鉢を入れて腰水管理をしていたわけですが、実際に藍藻が発生したのはそのうちの3つでした。
残りは同じ環境で育てていたにもかかわらず藍藻は発生しておらず、その違いは見た目にも明らかだったので、そこを対処すれば今後の藍藻発生を抑制することができそうです。
1.藍藻が発生したのは表土に「鹿沼土」を使っていた鉢のみだった
上の写真で言う所の赤枠で囲んだ鉢が「鹿沼土」が多く表土にある鉢で、その3鉢のみに藍藻が発生しているのがわかります。
この6つのプラ鉢の中でこの3鉢だけ鹿沼土を表土にしているのには、考えがあってのことだったのですがそれがどうやら失敗だったようです。
そもそもなんで鹿沼土には藍藻が発生しやすいのかを調べてみると、以下の2つのポイントが大きいようです。
1.保水性が特に高い
2.AEC(陰イオン交換容量)が特に大きい
AEC(陰イオン交換容量)と藍藻の関係性
※ちょっと専門的な話になるので、興味ない方はココをすっ飛ばしてOKです!
土壌の栄養分は、土壌粒子にくっついたり離れたりを繰り返し、水によって土壌内を移動しているのですが、その肥料の吸着を語る時に欠かせないのがイオン交換容量と呼ばれるもので、特に保肥力を示す時に使うのが「CEC(陽イオン交換容量)」です。
一般的に土壌はマイナスに荷電していることが多い(場合によってはプラス帯電もある)ので、そこにMg2+(マグネシウムイオン)やK+(カリウムイオン)などとイオン交換を行い栄養分を吸着するので大切な指標になります。
一方で、AEC(陰イオン交換容量)は硝酸イオンやリン酸イオン等を吸着するのですが、土壌の持つAECは小さいのであまり評価の対象になりにくいようです。
ところが、藍藻が生えやすい条件として「硝酸やリン酸が多い」というものがあり、様々な園芸用土の中でも特にAECが高いのが鹿沼土なんですね。
pHが低いほどAECの値も大きくなるようで、酸性の鹿沼土はまさに藍藻が生えやすい条件をそろえた用土なんでしょう。
鹿沼土のような火山灰土には「アロフェン」と呼ばれる粘土準鉱物が多く含まれているのもAECが高い理由のようで、正直そこまで詳しくは理解していませんが、鹿沼土を普通に無菌で使いやすい園芸用土と認識していては不十分だなぁと思った次第です。
2.植物育成ライトを使ってのライティングの時間が長すぎた
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我が家では発芽促進用に植物育成ライトを使用していますが、長時間の日光照射(またはそれに準ずるライティング)は、植物だけではなく藍藻類も育ってしまいやすいようです。
発芽促進のための腰水での高湿度条件と、室内で育てていたことによる通気性の悪さ、それにあいまって長時間のライティングは藍藻類が育つ条件を満たしていたようですね。
因みに、人工的にライトを照らす場合の時間の目安は8~10時間のようですが、私は14時間は照らしていたので長すぎ。明らかにやり過ぎでした。そりゃ藻も育ちますよね。反省。
まとめ
我が家のコーデックスの鉢の表土に緑色の藻が大発生してしまった原因は、「鹿沼土を表土に使ったこと」と「LEDでのライティングの時間が長すぎたこと」と結論付けました。
このことからできる藍藻対策としては「表土に鹿沼土を使わない」「ライティングの時間を長くても10時間程度にする」という所でしょうか。
当然、多湿環境だったことや通気性が悪かったことも挙げられますが、同じ環境でも鹿沼土を表土に使っていない鉢では藍藻が発生していなかったので、表土の問題(鹿沼土)が一番の原因と言えるかもしれません。
鹿沼土は酸性だったりAECの値だったりと、使い方を誤ると色々なトラブルが起きやすい気がするので今後はもう少し注意深く使っていきたい用土のNO1に躍り出た感じです。
当ブログでももう少し鹿沼土について掘り下げて調べてみたいと思います。
とりあえず、安易に鹿沼土主体の用土にしない方がいいことは間違いなし!!!
【参考】
・土の化学性(2) CEC
・新しい「農」のかたち:土とイオン吸着
・シアノバクテリア