こんにちは、田舎センセイです。
冬になると我が家の周囲の木々も葉が落ちはじめ、なんだか寂しい雰囲気になりますが、ふと目をやると何やら緑色の面白い形をした繭を見つけました。
繭がついていたのは毎年春になると収穫する「梅の木」です。
この繭はこの辺ではよくみることができる「ウスタビガ」という蛾の一種のもので、すごくきれいな緑色と特徴のある形から容易に判別できます。
本記事では、ウスタビガの繭と成虫・幼虫の画像とともに、特徴などについて解説いたします。
ウスタビガとはどんな虫?【成虫】
・学名 :Rhodinia fugax
・階級 :チョウ目ヤママユガ科
・分布 :北海道・本州・四国・九州
・時期 :成虫を見るのは秋(10月~11月)、卵で越冬し6月頃に繭を作る
・餌 :幼虫はカエデ科、カバノキ科、バラ科、ブナ科の植物の葉を食べる
・見た目 :全ての羽に一つずつ目玉の様な模様がある。メスの方が黄色っぽく、オスはやや暗い色合い
・大きさ :成虫になると9cm~11cmになる
ウスタビガを含むヤママユガ科の蛾は、口吻が退化しているので成虫になってからは餌を食べないので、寿命は短い。
上の写真はメスで、オスの成虫はより褐色に近い色合いになる。
ウスタビガの幼虫
上の画像はウスタビガの終齢幼虫で、1齢幼虫~3齢幼虫までは体に突起物が目立ちますが、終齢幼虫になると見た目はかなりスッキリします。
ウスタビガの幼虫は体を触ると「キューキュー」という鳴き声を出すことで知られていて、鳴き声を上げる姿は犬のオモチャのようにも見えます。
ウスタビガの幼虫は寄生バチによる寄生率が高いため、さなぎになっても羽化しないものも多いと言われています。
実際私が見つけた繭の中には羽化できなかったサナギが残ったままでした。
ウスタビガの緑色の繭
ウスタビガの繭は冬になって葉が落ちた木の枝にしっかりとついているので、鮮やかな緑色が映えるので見つけやすいです。
葉が全て落ちてしまっても繭はビクともしないくらい木の枝にしっかりと括りつけられていて、繭自体も硬いです。
繭の上部には羽化する時に出るための穴がうっすらと開いていて、底の方には雨水を排出するための小さな穴も開いていて機能的。
※繭の底の穴
蚕の近縁でもあるウスタビガの繭からは糸がとれなくもないようなのですが、飼育技術が確立されていないことや、飼料樹となるクヌギやコナラなどの葉が発芽するタイミングでの孵化となるために餌不足で大量飼育がしにくいことなどが糸利用が難しい理由として考えられています。(※ヤナギの一種によるウスタビガの生葉育と全齢人工飼料育 1998 三田村)
まとめ
今回は庭の梅の木についたウスタビガの繭から、幼虫や成虫の画像とともに特徴をまとめました。
東京ではウスタビガの数もかなり減少していて、絶滅危惧I類に指定されているようです。
幸い我が家の周囲では毎年ウスタビガを見かけるので余り珍しさはありませんが、成虫や幼虫を見かけた時には静かに見守ってあげたいと思います。