こんにちは、田舎センセイです!
私は農業の他にも「園芸」を趣味でやっていて、各植物に合った土づくりをするところからこだわっています。
特に多肉植物・サボテン・コーデックスのような乾燥地帯原産の植物を育てることが多いのですが、それらの植物を育てるための土づくりに欠かさず使っているのが「ゼオライト」です。
アクアリウムや水耕栽培を行っている方には「水質を浄化する資材」としてご存知の方も多いと思いますが、園芸で土に混ぜてもとても効果的なんですね。
そこで本記事では「ゼオライトを園芸用途で使った時に期待できる効果」について詳しくまとめたいと思います。
Contents
ゼオライトとはいったい何?
ゼオライト(zeolite)は粘土鉱物の一種で、主成分は「シリカ(二酸化ケイ素)」と「アルミナ(酸化アルミニウム)」です。
大きく分けると火山灰が固定や海底に堆積してできた「天然ゼオライト」と、石灰岩などで人工的に作られた「人工ゼオライト」、化学物質を原料とした「合成ゼオライト」の3種類があります。
ここで間違ってはいけないのが、必ずしも天然ゼオライトの方が構造的に優れているという事はなく、化学的に調整された高性能の人工ゼオライトは天然物よりも優れている点も多くあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
価格 純度 原料 合成ゼオライト ▲ ◎ 化学物質 人工ゼオライト 〇 〇 石灰岩など 天然ゼオライト ◎ ▲ 天然に産出
また天然ゼオライトの場合は産地によっても構造や成分が異なりますし、人工ゼオライトも作り方や構造的な違いも様々で、全て構造データは国際ゼオライト学会のデータベースに記録されています。
後述しますが、吸着能やイオン交換能など様々な特徴があるので学術的研究の対象になっているので人工的に作られたゼオライトの種類も多く、もはや「ゼオライトとは?」の問いにまじめに答えようとすると大変なことになってしまいます。
なので、ここはざっくり「多孔質の構造をした粘土鉱物」という所に留めておきましょう!
ゼオライトの構造と3つの特徴
ゼオライトの構造的特徴
「ゼオライトには無数の穴(1.0nm以下)が空いている」というのが最も特筆すべき特徴です。
想像しやすいもので一番近いのが「活性炭」で、水のろ過や脱臭剤、吸湿剤、ご飯を炊くときにお釜に入れたりと様々な用途がありますよね?
ゼオライトの構造的な特徴はまさにそれです。
活性炭も原料によってミクロ孔の数やサイズも様々なのですが、ゼオライトの方がより平均細孔直径が小さく、かなり細かな分子しか通り抜けることができないという特徴を持っています。
原料 | 平均細孔直径(nm) |
ゼオライト | 0.2~1.0 |
ヤシ殻(活性炭) | 1.2~3.0 |
石炭(活性炭) | 2.0~5.0 |
木粉(活性炭) | 1.5~ |
※参考:日本ゼオライト学会
※参考:貴和化学薬品株式会社:活性炭基礎知識
簡単に言うと、この小さな穴が沢山あいているという構造が、園芸で用土の中にゼオライトを入れることで良い効果が得られるという事なんですね。
では具体的にどんな効果があるのかというと、以下の3つが挙げられます。
- 吸着能:水分を細孔に取り込んで吸着する
- イオン交換能:保肥性の向上に効果的
- 通気性UP:多孔質なので土中の通気性が向上し根張りが良くなる
工業的・化学的には「触媒能」というのも外せないのですが、ここでは園芸に特化したゼオライトの特徴をまとめることにしているので割愛しています。
ゼオライトの吸着能
活性炭同様に吸湿性に優れているので、鉢内(土壌内)の水分が多すぎる時にはゼオライトが吸湿し、逆に乾燥しすぎると水分を放出するという鉢内水分量のバランスをとってくれる効果があります。
過湿しすぎると根腐れを起こしやすく、逆に水切れを起こして枯れさせてしまう事もあるコーデックスやサボテンなどにとって、ゼオライトの持つ吸着能はとても有り難い特徴なんですよね。
ゼオライトのイオン交換能:CECの改善効果による保肥性の向上
土壌の保肥力を示す指標として「CEC(陽イオン交換容量)」というものがあるのですが、この数値が小さいほど保肥力が低いことを示します。
土壌は基本的にマイナスに帯電していて、カルシウム・マグネシウム・カリウム・アンモニウムなどの陽イオンが吸着することで肥料分を保持することができます。
しかし、例えば窒素肥料として硫安などをまくと、アンモニウムイオンが土壌微生物によって硝酸イオンに変化して植物の根に吸収されることで肥料分となりますが、硝酸イオンは陰イオンなので吸着せず雨水や灌水で流亡してしまったり、土壌に固定されて作物に吸収されない形に変化してしまうことがあります。
大体50~80%の肥料分は効率的に作物に行き渡ってないと言われいるんですね。
ここにゼオライトがあると、アンモニウムイオンが交換性アンモニウムイオンという形に変わってゼオライトの結晶構造の中に入って安定します。
この交換性アンモニウムイオンは土壌中の水溶性アンモニウムイオンが減ると、ゼオライトから放出されて、よどみなく硝酸イオンに代わるので効率よく窒素肥料としての効果が持続し、保肥力がアップするという仕組みになっています。
そのため、土壌のCECを改善するための土壌改良資材としてゼオライトがとてもよく使われています。
ゼオライトの効果的な使い方
鉢底石としての利用や用土の上に置くのでも効果あり
私は根腐れしやすい乾燥地帯に自生する植物を良く育てていますが、ゼオライトの通気性と吸湿性の特徴を生かすために鉢底石代わりに使っています。
ゼオライトは用土に混ぜ込んでも効果的ですし、表土に置くだけでも効果があります。
これまで軽石や鉢底石を購入していた方は、その代わりにゼオライトを使ってみるといいかもしれません。
堆肥やぼかし肥などの有機肥料との併用
ゼオライトを堆肥やぼかし肥、油粕などの有機肥料などと混用することで、細菌によって分解された際に出るアンモニアをゼオライトが吸着するので「防臭効果」が得られ、前述のように長期間肥効が続く効率的な用土になる。
有機肥料との相性がいいので、土作りの際にほんの僅か5%程でもゼオライトを加えると肥効率の高い用土を作ることができます。
園芸に使える安くておすすめの天然ゼオライト「仁木ゼオライト」
私が使っているのが北海道産の「仁木ゼオライト」です。
粒のサイズは3~8mmでややバラつきがありますが、20Kgでの価格としてはかなり安価で、土壌改良資材として園芸・家庭菜園に使う場合はこれがおすすめです。
「硬質」と書かれていますが、天然ゼオライトなので若干のもろさもあり、鉢底石に使用して3か月ぐらいした後に鉢をひっくり返すと、プラ鉢の底にやや崩れかけたゼオライトが固まっているのを見ることができます。
鉢底が詰まることはありませんが、通常の鉢底石よりはもろいので、上手く粒の大きい用土と一緒に合わせて使う事で効果的に利用することができると思います。
私は多肉植物やコーデックスを「多水&多肥」で育てるために、軽石をメインにした乾きやすい保肥力の弱い用土にしていますが、ゼオライトを一定量(用土の1割程度)混ぜ込むことによって、根腐れさせることなく植物の肥大化に成功しています。
これは明らかにゼオライトを使用するようになったのが一番の理由かなと実感してます。
まとめ
本記事ではゼオライトの土壌改良資材としての特徴と保肥力を高める仕組み(イオン交換能)について詳しく解説いたしました。
多種多様な用途のあるゼオライトですが、園芸に使うなら「天然ゼオライト」が安価でお得であること、ゼオライトを使う事によって効率的に肥料分を植物にいきわたらせることができることをお分かりいただけたと思います。
園芸をしていて、根腐れさせることなく植物を肥大化させたい方はゼオライトを試してみるのはいかがでしょう。
参考資料・サイト
・Agri Business:ゼオライトの特性と使い方
・JA全農 肥料農薬部:土壌診断なるほどガイド