こんにちは、田舎センセイです!
我が家では改良メダカを飼っていて、産卵~孵化のサイクルをしばらく繰り返していたのですが稚魚の生育状態が思うようにいかない時期がありました。
何度やっても7~8割が孵化から1週間以内に死んでしまっていたんですね。
メダカの稚魚が育たずに死んでしまうという現象はメダカの飼育初心者ではありがちで、その原因のほとんどが餌が上手く食べられず「餓死していることが多い」というのは耳にしていました。
そこでメダカの稚魚に与える餌を「ゾウリムシ」にしたところ一気に生存率が上がって、死んでしまう個体がほとんどいなくなったんです。
今ではゾウリムシを自宅で培養して数を保ち続けながら、メダカの稚魚の餌に使っています。
そこで本記事では、私が実際に行っているゾウリムシの簡単な培養方法についてご紹介したいと思います。
Contents
ゾウリムシの培養に必要な物を用意しよう!
ゾウリムシ培養に必要な物
ゾウリムシは基本的には「培養元になるゾウリムシ」と「増殖に必要な餌」さえあれば簡単に増やすことができます。
1.培養元になるゾウリムシ
2.餌(ビール酵母・米のとぎ汁・豆乳など)
3.カルキ抜きした水
4.空のペットボトル or 未開封のミネラルウォーター
培養元になるゾウリムシの入手方法
培養元になるゾウリムシは、落ち葉がたまった流れの無い側溝の水たまりなどをすくえば採取可能ですが、一番不純物が無く安心して使えるのは売っているゾウリムシを購入するという方法です。
メダカ販売を行っているネットショップで取り扱ってることが多く、楽天なんかで検索すると結構な数のゾウリムシがあちこちで売られています。
ゾウリムシを増やすのに必要な餌
ゾウリムシの餌というよりは、水に混ぜることでバクテリアが増え、そのバクテリアをゾウリムシが食べるので、正確には直接的にゾウリムシが食べる餌を与えるわけではないといった方が良いかもしれません。
- ビール酵母(強力わかもと・エビオス錠)
- 米のとぎ汁
- 豆乳
- 生茶
培養液に加える餌になる物で一般的なのは上記の4種類です。
カルキ抜きした水
ゾウリムシの培養に使う水がどの程度ゾウリムシの増加に影響を与えるかについては、そこまで大きな差がないという調査結果があります(※参考:和洋国府台女子高等学校の学生による研究論文:ゾウリムシの環境適応)ので、ミネラルウォーターでも汲み置きの水でも一度ゾウリムシが死滅したあとの水でも問題ありません。
私はカルキを抜いたものと抜いていないもので増殖度合いの比較をしてみたところ、カルキを抜いていない方の水では全くゾウリムシが増えてくれませんでした。
使うのは水道水でも全く問題はありませんが、1~2日汲み置きしておくかカルキ抜きを使って必ず塩素を取り除くようにしてください。
空のペットボトル or 未開封のミネラルウォーター
空のペットボトルは培養液を作るために必要になるのですが、使用済みのペットボトルは雑菌が入っている場合が多いのでキッチンハイターなどで軽く消毒してから使用した方が良いでしょう。
消毒がめんどくさい場合は、未開封のミネラルウォーターを購入してつかう(ほぼ無菌)という一番手っ取り早い方法があります。
また、ゾウリムシを購入する場合にペットボトルではなく袋で来る場合は、空のペットボトルがもう1本余計に必要になるので注意しましょう。
ゾウリムシを増やすための餌になるもの
ビール酵母(強力わかもと&エビオス錠)
費用は掛かるけど一番使いやすいのが「強力わかもと」や「エビオス錠」などの胃腸薬(ビール酵母)です。私が使ってるのもこれ(強力わかもと)。
錠剤なので常に濃度が一定で、ゾウリムシが増えやすく、日持ちがしやすい。
ただ、培養液の臭いは他のものよりも臭いです。
強力わかもととエビオス錠の違いはゾウリムシ培養に関してはほぼ無いのでどっちを選んでもOKです。
米のとぎ汁
普段から自炊している人であればあえて購入することもなく手に入るのが「米のとぎ汁」です。
これも培養液に加える餌としては優秀で、ゾウリムシめっちゃ増えますし(増殖スピードの初速はビール酵母よりも上)、何よりもお金がかからないのがGood。
ただ欲しい時にすぐ使えるわけではなく、食事を作る時の副産物なので「ゾウリムシに与えたいから米でも研ぐか」とはならない。濃度もその時によって濃かったり薄かったりと安定しないのもデメリットでしょう。
その辺がめんどくさいので私は強力わかもとを購入しました。(※米農家だし毎日ご飯炊いてるんですけどね)
とぎ汁自体もあまり日持ちしないのでその辺が難しい所。コスト重視の人はおすすめ。
豆乳
豆乳もよく使われていて、メダカの餌用に使うゾウリムシ培養というよりは、純粋にゾウリムシの研究を行っている方が培養液に使われているのを多く見かける気がします。
量は1ℓのミネラルウォーターに1ml程度の豆乳(できれば無調整のもの)を入れて、培養液がうっすら色づくくらいで十分。
生茶
なぜか生茶でゾウリムシを培養している人が結構いて、調べてみると生物教師が良く生茶を使っていると学生さんのゾウリムシ研究記事の中で見かけました。
中には生茶以外のお茶で培養をしてみたという実験もあり、結果としては麦茶やウーロン茶でも培養は可能で、紅茶ではあまり上手くいかなかったとのことでしたので、必ずしも生茶じゃなきゃいけないわけではなさそうです。
ゾウリムシの培養手順
1.空のペットボトル容器に8割ほど水を入れる(ミネラルウォーターの場合は8割ほど残して減らす)
空のペットボトル容器を使う場合は、殺菌消毒した容器にカルキ抜きをした水を満タンに入れずに8割ほどに留めてゾウリムシを入れるスペースを開けます。
またゾウリムシを入れた後も空気をシェイクするためのスペースを開ける必要があるので、最終的には「カルキ抜きした水(8):種ゾウリムシ(1):空気(1)」となるようにしましょう。
2.強力わかもと(またはエビオス錠)を入れる
水を入れた容器に餌になる物(※後述)を投入します。
私の場合は強力わかもとを使っていますが、できるだけ自分の指では触らないように蓋にのせいれます。
500mlのペットボトルなら1錠、1.5ℓのペットボトルなら2~3錠でいいでしょう。
3.種となるゾウリムシを1割ほど入れる
水と餌が入った容器に、準備しておいた種ゾウリムシを投入します。(※餌と種ゾウリムシを入れる順序は入れ替わってもOKです)
投入直後のゾウリムシの密度は上の画像くらいですが、これくらい入っていれば4~7日後には結構な数に増えるので十分です。
種ゾウリムシを投入した後にもペットボトルの上部には空きスペースが1割くらい残っているようにしましょう。これでゾウリムシを培養する溶液は完成です。
4.ペットボトルの蓋を締めてシェイクする(1日1~2回)
ゾウリムシ培養液の管理方法として、ゾウリムシは水溶液の上部に溜まるので一日に数回ペットボトルの蓋を閉めてシェイクします。
ゾウリムシの餌となるものが底に沈殿したり、培養液内に空気を送り込む目的があります。
5.ゾウリムシが増殖
ゾウリムシは培養液を作成後、1日数回のシェイクをしていれば4~7日でかなりの数に増えます。
上の画像は培養液作成から5日目のものですが、肉眼でもはっきりわかるくらいミドリムシで真っ白になっています。
増殖スピードは気温(室温)に左右されるので、冬の寒い時期なら2週間ほど、暖かい場所で保管しているなら4~5日で500mlのペットボトル一杯のゾウリムシを見ることができますよ!
ゾウリムシ培養液の保存・管理方法|温度や置き場所など
せっかく完成したゾウリムシ培養液ですが、適当なところに置いておくとゾウリムシが死滅してしまう可能性もあるので管理場所には注意が必要です。
気をつけるポイントは以下の3つ
②できれば日の当たらない薄暗い場所をえらぶ
③ゾウリムシの呼吸のためにペットボトルの蓋はきっちり締めずにのせるだけにする
極端に暑かったり寒い場所では死滅する可能性があり、直射日光があたるとゾウリムシよりもバクテリアの増殖スピードが上回ってしまうことがあります。
直射日光照射の実験として、常時植物育成用のLEDライトをつけているガラス温室内(26~30℃)で培養液を保管してみると、培養開始から10日目くらいから培養液が緑色になってきました。
図らずもグリーンウォーター化してしまい、これだと純粋のゾウリムシの培養を行いたい場合は失敗になってしまいます。日光は極力当てない方が良いですね。
ペットボトルの蓋もきっちり締めるのではなくのせるだけにするか、上の写真のようにアルミホイルなどを被せるなどして空気の通り道を作っておきましょう。
当然ですが密封していないので倒れると悲惨な目に合います。倒れてしまわないような工夫をしましょう!
まとめ
本記事では基本的なゾウリムシの培養方法についてご紹介しました。
工程自体はとてもシンプルで、種ゾウリムシを用意して餌を投入すればOKなのですが、余計な菌が入りこまない工夫だったり、しっかりとゾウリムシが増殖するための小さなコツなどがいくつかありました。
その辺を徹底すればさほど難しくないので、失敗することなくゾウリムシは増えてくれると思います。
初めてゾウリムシ培養を行う場合は、念のため2~3本ペットボトルを用意して同時に培養を進めた方が失敗した時のやり直しがしやすいです。
育てているとゾウリムシにも愛着がわいてくるので、是非試してみてくださいね!