こんにちは!田舎センセイです。
コーデックスの中でもお洒落な和名が付いていることが多い「チレコドン(Tylecodon)」は、ベンケイソウ科のコーデックスで奇怪な見た目の品種が多い印象です。
成長が遅く栽培難易度も高めなのかあまり市場に出回っていないので、今回は種子を輸入して実生株の育成にチャレンジしつつ経過を紹介していきたいと思います。
Contents
実生育成にチャレンジしたチレコドンの種類【4品種】
チレコドンの実生チャレンジは初めてなので、ひとまず有名どころの品種を4つ購入してみました。
今回購入したのは下の4品種
・【万物想】チレコドン・レティキュラータス/Tylecodon reticulatus
・【奇峰錦】チレコドン・ワリチー/Tylecodon wallichii
・【砂夜叉姫】チレコドン・グランディフローラス/Tylecodon grandiflorus
・【阿房宮】チレコドン・パニクラツス/Tylecodon paniculatus
購入したのはいつも通りドイツの多肉・サボテン種子販売専門サイト「ケーレス(Koehres)」
チレコドンの種子は「微細種子」とされるめちゃくちゃ小さくてクシャミでもしようものならすぐに飛んで行ってしまいそうな極小サイズ。
視認しにくいので数粒単位で購入するのは勇気が必要だったので、安かったこともあり100粒単位で購入しました。
私が購入した時の各品種ごとの価格(2019年3月17日時点)は以下の通りです。
・【万物想】 → 3.9ユーロ(約492円)
・【奇峰錦】 → 3.3ユーロ(約417円)
・【砂夜叉姫】→ 3.6ユーロ(約455円)
・【阿房宮】 → 3.3ユーロ(約417円)
チレコドン・レティキュラータス/Tylecodon reticulatus:万物想
チレコドン・レティキュラータスは、チレコドンの中でも代表的な品種で、和名を「万物想」といいます。めっちゃくちゃオシャレな名前ですよね。
原産地は南アフリカ~ナミビアで、秋~春が成長期の冬型コーデックスです。
大きくなると枯れた花柄が残る幻想的な姿が、コーデックス好きの心をくすぐる何とも不思議な外観になります。
種はご覧のように極小。
今回購入した4品種の中でも最も小さい種がこの万物想でした。
チレコドン・ワリチー/Tylecodon wallichii:奇峰錦
チレコドン・ワリチーは、ワサビのようにごつごつした幹が特徴的で、時間をかけて成長した古株の迫力が魅力的な人気種です。和名は「奇峰錦」
種子は万物想よりは若干大きいですが、これも極小。
チレコドン・グランディフローラス/Tylecodon grandiflorus:砂夜叉姫
チレコドン・グランディフローラスは、和名「砂夜叉姫」というレディースの総長のような名前が付けられています。
チレコドンの中では中型サイズですが、種子のサイズをみると明らかにワリチーやレティキュラーツスよりもふたまわり位大きく、目視でも容易に確認できますね。
ピンセットでもつまめるサイズです。
チレコドン・パニクラツス/Tylecodon paniculatus:阿房宮
チレコドン・パニクラツスは、和名を「阿房宮」といい、生長するとどっしりとした塊根を持つ姿になります。
チレコドンの中では最大級の品種のようで、自生地では高さ2ⅿにもなるそう。
この塵のような種子からは想像ができませんが、上手く育てば自生地のサイズとまではいかなくても大株にすることも夢ではないのかもしれません。
チレコドンの栽培スケジュール
チレコドンは冬型のコーデックスなので、生育期は9月~12月頃で春に向けて徐々に成長が緩慢になります。4月頭くらいから秋に入るまでは休眠期になり、断水か細根を枯れさせない程度の頻度のわずかな水やり位で過ごさせます。
種まきの適期は7月~10月ころです。
チレコドンの種をまく時の方法と注意点
チレコドンは微細種子のため上から水をかけると種子が流れてしまいますので、必ず「腰水」による鉢底から吸水を行うようにしましょう。
私がチレコドンの種まき~発芽をさせた時の環境は下記の関連記事を参考にしてください。
・ダイソーのプラケースで蓋をして加湿環境をキープ(蓋に穴はナシ)
・腰水内にはダコニール希釈液も追加
・温室内温度は20℃前後
私は種まきの適期を完全に無視して3月中旬に播種を行いました。
本来はだんだん涼しくなって成長が促進される秋にまく方が、これから暑くなって蒸されて溶けてしまいやすい春まきよりいいですが、室内で涼しさが確保できるなら問題ないでしょう。
ただ、やはり適期以外の播種は徒長や発芽不良が起きやすいので、できることなら適期の範囲で種まきをするのが望ましいです。
微細種子はカビが生えやすいという情報を見たので、私はダコニール1000の希釈液に半日浸水させましたが、水を含んだ塵のように細かいチレコドンの種子を土の表面に撒くのは一苦労でした。
カビ対策をするのであれば、乾いた種子を表土にパラパラと蒔いて、あとからオーソサイドなどの殺菌剤を霧吹きする方がベターです。
チレコドンの種子に限らず、微細種子は好光性種子であることが多いので、土の中に深く潜ってしまうと光が届かず発芽しにくくなってしまいますので、できるだけ奥深くに入りこまないように注意して撒くようにしましょう。
チレコドンの実生株育成経過
播種翌日、チレコドン・グランディフローラス(砂夜叉姫)の種子が発芽祭り。
種子のサイズが他の品種に比べて大きいので視認しやすいという事もあって、真っ先に砂夜叉姫のケースが目に入りました。
ダイソーで購入した100円のマクロレンズをつけてiPhoneで撮影してみると、しっかりと種子から出た根が菌糸のような細かい糸が出ているのが見えますね。
一瞬カビているのかと焦りましたが、表面のバーミキュライトの隙間に潜り込もうと必死な姿だと分かると応援したくなりました。
ただ、実際に播種をしてみるとバーミキュライトは無菌&保水性があるというのは良いのですが、粒の大きさにバラつきがあり若干宙に浮いている状態の種子もあったので、次に撒く機会があれば川砂などの粒子が細かい用土を表層に持ってこようかな。
こちらは播種翌日のチレコドン・ワリチー(奇峰錦)。砂夜叉姫に比べると発芽数はわずかで、種も小さいので発芽している個体を見つけるのに苦労しましたが、何とか発芽してくれている様子。
唯一、レティキュラータス(万物想)だけが播種後翌日でも発芽しているものが見つけられませんでしたが、それ以外はいくつか発芽していたので播種適期以外でも何とか発芽自体はしてくれるようです(※種の鮮度や地域差があるのであくまでも個人的な意見ですが)
まとめ
チレコドンの種子を購入し、自分なりの方法で播種~発芽と実生株の育成経過をご紹介しましたが、今後順調に生長するようであれば追記しながらチレコドンの実生株育成経過をお伝えしていけると思います。
種が極小であることによる注意点がいくつかありましたが、発芽には光が必要な「好光性種子であること」「腰水管理が適していること」などに注意すれば、発芽率も良かったので比較的発芽まではさほど難しくないように思います。
もしこれからチレコドンの実生栽培をしようと思っている方は、実生難易度が結構品種によって違うので、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。