こんにちは、田舎センセイです。
我が家ではメダカやクロサンショウウオの飼育を行っているのですが、メダカの稚魚にはゾウリムシ、クロサンショウウオの孵化直後の幼生にはブラインシュリンプを与えています。
メダカの稚魚は口が小さいため市販の粉末状の餌では食べ残しも多く、水質悪化や上手く食べられないことによる餓死が発生するのですが、ゾウリムシを使う事で脱落する個体を減らすことに成功しました。
その後、クロサンショウウオの飼育を始めたら、メダカとは勝手が違い幼生がくいつく餌をしばらく見つけられずにいたのですが、ブラインシュリンプを与えることで解決しました。
熱帯魚やメダカの稚魚、コリドラスやウーパールーパー、ヤモリの幼生、生餌にしか反応しないような生体などの餌としてブラインシュリンプはとてもおすすめです。
本記事では、通称「皿式」と呼ばれるブラインシュリンプの簡単な沸かし方とそのコツについてまとめたいと思います。
Contents
ブラインシュリンプとは?
※画像:wikipedia
ブラインシュリンプとは塩水湖に生息する小型の甲殻類で「アルテミア/Artemia」とも呼ばれています。
乾季などで環境が悪化すると乾燥に強い耐久卵を産み、保存がきき1時間ほどで動物プランクトンとして利用できる幼生が生まれるので、観賞魚などの餌に用いられることが多いです。
※ブラインシュリンプの乾燥卵
私が使っているブラインシュリンプは上記の商品ですが、おそらく最も安価で一般的な商品ではないでしょうか。
これから初めてブラインシュリンプを孵化させる方には一番おすすめです。
ブラインシュリンプの沸かし方|孵化器を使う方法と皿式
ブラインシュリンプは卵を一定の濃度で作られた塩水に入れることによって孵化させて使用する「生餌」と「冷凍」のものがあります。
ここでは「卵を孵化させて生餌として与える方法」についてご紹介しますが、その方法は「孵化器を使う方法」と「使わない方法」の2パターンに分かれます。
孵化器を使ってブラインシュリンプを沸かす方法
一番よく見かけるのが上の「ニチドウ ハッチャー」というブラインシュリンプ専用の孵化器です。
ブラインシュリンプの孵化条件として「温度」と「塩分濃度」と「酸素」の3つが重要になのですが、このような孵化器はエアレーションによって小さな容器でも効率よく孵化させるための構造になっています。
ペットボトル型のケースをヒーティングしている水槽に浮かべることによって、孵化に必要な温度(27~28℃前後)をキープできるのが狙いです。
ただし、この孵化器を使う方法にはいくつかデメリットもあります。
孵化器のメリット | ・水槽の水温で孵化に必要な温度をキープしやすい ・エアレーションで酸素を供給しやすい ・深さがあるので卵の殻や孵化しなかった卵と分離して採取しやすい |
孵化器のデメリット | ・水槽内に場所をとる ・エアレーション(ポンプ)が必要になる ・孵化器自体を購入するコストがかかる |
孵化器を使わずに孵化させる「皿式」という方法
私が実際に行っているブラインシュリンプの簡単な孵化方法というのが「皿式」とよばれるもの。
エアレーションを行わずに孵化させることができるので、「水槽内のスペースをとらない」「ポンプの購入も不要、かつエアレーションの騒音もない」という便利な方法です。
用意するのは「平たい皿の様な容器」です。
私のおすすめは「100均などで購入できるスタッキングできるタイプの透明な容器」
私はDaisoで購入しましたが、透明で重ねられて平らであれば何でもいいです。
孵化の方法は単純で、手順は以下の通り。
1.指定の濃度になるように塩水を作る
2.水温が28度程度になるようにする
3.トレーにブラインシュリンプの卵を入れる
4.塩水をトレーに約1~2cm程度の厚さになるように入れる
5.水温をキープできるような場所に置く
6.約24時間で孵化が完了
1.塩水を作る
塩水の濃度は使うブラインシュリンプの産地によって差があるようで、購入したブラインシュリンプの商品パッケージをよく読んでその濃度で作るようにします。
私が使っているTetraのブラインシュリンプの場合は、水1ℓに対して塩20g。
500㎖のペットボトル容器を使ったので、半分の10gを測って食塩水を作りました。
2.水温を28℃前後にする
私がブラインシュリンプの孵化を行った場所は、夏型植物育成用の室内ガラス温室内です。
そこは大体27~29℃にしてあるので、使用したペットボトルをしばらくそこにおいて置いて孵化に適した温度になるまで温めました。
4番目の工程にも関連するのですが、皿式で一番手を焼きそうなのが水温を孵化しやすい28度前後に保つことだと思います。どこにでもガラス温室があるわけじゃないですしね。
温度は孵化率には影響があると思いますがある程度は誤差の範囲ですのできっかり28℃じゃなくても大丈夫。
水温が下がれば不可にかかる時間が長くなり、逆に30℃以上の高温になると孵化率自体が下がります。
ライトがあたって暖かい場所などにおいておけばいいですが、できればサーモスタットなどがある場所でヒーティングして温度を一定に保っておくことができれば完璧ですね。
3.トレーにブラインシュリンプの卵を入れて、塩水を1㎝位の厚さに注ぐ
ブラインシュリンプの卵を用意したトレーに入れます。
先にブラインシュリンプの卵を入れた方が、先に塩水を入れるよりもトレーの縁に卵が付きにくいのでおすすめです。
黒い灰の様な粒、これ全部卵です。
厚さ1㎝位になるように塩水を注いで温室にセット!
塩水を注いでからトレーをもって移動すると水面が揺れてトレーの縁に卵が引っ付いてしまいやすいので、できれば設置場所にトレーを置いてから卵と塩水を入れた方がGOODです。
また、後述しますが私が用意したのが「スタッキングできる透明な容器」なのは、蓋の役目も果たすからです。
1㎝程度の厚さで28℃の温室は水分が飛びやすく、気が付いたらカラカラに乾いてしまう可能性もあるので蓋は必須。
4.約20時間程度で孵化が始まる
ブラインシュリンプ孵化!ウジャウジャ pic.twitter.com/UO7YK33qsp
— 田舎センセイ (@inakasensei) March 22, 2020
皿式のブラインシュリンプ孵化Q&A
皿式だとなぜエアレーションが不要なのか
まず、なぜエアレーションをしなくてもいいかというと、平たい皿の様な容器に塩水を薄く(高さ1㎝程度に)広げて入れることで空気に触れる面積が大きくなるので、エアレーションが無くても水に溶けだす酸素量が増えるためです。
透明な容器を選んだ方がいい理由
※温室内のブラインシュリンプ孵化装置。右上隅が一番光が強くそこに沢山孵化した幼生が集まっている
次に、なぜ透明だと便利かというと、ブラインシュリンプの孵化後の幼生は「走光性」といって光に集まる習性があるので、容器が透明だと孵化後にライトを照らして集めたところをスポイトで吸い取ることができるので便利なんですね。
※使ってるスポイトもDaisoで8個入り100円の文具用スポイト
ブラインシュリンプは全てが孵化するわけではなく、「孵化できなかった卵」「孵化後の卵の殻」「孵化したブラインシュリンプ」の3つが容器内に存在することになります。
孵化できなかった卵は容器の底に沈み、逆に卵の殻は水面に浮かびます。
卵の殻などが水槽に入ると水質悪化を引き起こす可能性があるため本来は孵化したブラインシュリンプのみを吸い取りたいのですが、不透明の容器だと幼体だけ吸い取るのが少し難しくなってしまうんですね。
スタッキングできる容器だと便利な理由
※写真は3段スタッキングしているところ。一番上はただの蓋として使用。2段目は孵化後1日目、3段目はセットしたばかり
最後にスタッキング(積み重ね)ができる容器を選ぶのは、塩水を薄く広げるために蒸発しやすいという欠点があるので単純に「ふたが必要」だからというのが1点。
もう一点は、ブラインシュリンプは孵化するまで20~24時間程度必要なため、重ねておいておけると時間差でブラインシュリンプを孵化させてロスなく与えることができるようになります。
「一段目のトレーが孵化したら、二段目のトレーに卵をセットする」というようにすれば、餌を切らしてしまう心配がなくなりますのでおすすめです。そしてスタッキングすることで蓋をも兼ねるので場所をとらないですみます。
ブラインシュリンプの塩水はろ過した方がいい?
※クロサンショウウオの幼生とブラインシュリンプ
ブラインシュリンプは指定の割合で薄めた塩水につけて孵化させるので、給餌する時に塩水事スポイトで吸い取って与えると、水槽に塩水が入ってしまう事を心配する人が結構います。
私が使っている「Terra Brine Shrimmp Eggs」は水1リットルに食塩20gなので、塩分濃度としては2%弱の塩水を使う事になっています。
メダカや金魚の塩水浴は0.5%位が推奨されていますが、元々の水槽の水がかなりの量なので、2%弱の食塩水が多少入っても問題はありません。
もし気になる方がいればコーヒーなどのフィルターを使って塩水をろ過し、真水でフィルターから洗い流して与えればいいでしょう。
ブラインシュリンプのあげ過ぎによる水質の悪化に注意
孵化する時に塩水を使う事からもわかる通り、ブラインシュリンプは淡水では長く生きられません。
そのため一度に大量に水槽に入れると死んだブラインシュリンプが水質を悪化させてしまう可能性があるので、与える個体の量などを踏まえて給餌するようにしましょう。
また、前述の「ブラインシュリンプの孵化後の殻」は”キチン質”というもので出来ていて、水質悪化の原因にもなりますので水槽内にできるだけはいらないようにした方がいいでしょう。
まとめ
本記事では孵化器を使わないブラインシュリンプの沸かし方である「皿式」についてまとめました。
一番のネックである孵化水の温度を28度前後に保つ方法ですが、加温装置が無い場合は記事内で紹介した孵化器を購入し、ヒーティングしてある水槽に浮かべるのが一番確実です。
もし加温設備がある場合は、是非皿式を試してみてくださいね。