こんにちは、田舎センセイです。
我が家のある場所からほど近く、家族以外ほぼ知る人のいない場所に昔から準絶滅危惧種のクロサンショウウオが毎年産卵をしています。
私は自分の息子たちにもクロサンショウウオの生態を知ってもらい、環境保全に関する感覚を養ってもらうべく、実際に卵塊を少数採取して自宅で孵化~幼生の飼育を行っています。
※クロサンショウウオの生態や分布についてはこちら↓
卵塊の採取から生息地については上記の記事でご紹介しましたが、今後のために我が家での飼育環境やクロサンショウウオの成長過程についても書き残しておきたいと思います。
Contents
クロサンショウウオの卵塊を採取~孵化
クロサンショウウオの卵塊の採取
クロサンショウウオの卵塊はアケビの果実の様な見た目で白いゼリー状の粘液に覆われているので、その外見的な特徴からそのほかのサンショウウオとの鑑別は容易です。
卵塊を二つほど拝借し、残りは元々あった沼へ。
水槽ではなくDaisoで200円で売ってるプラスチックのシューズケースにカルキ抜きした水をはって投入しました。
クロサンショウウオの孵化
3月3日に卵塊を採取し、3月18日の夜中にケースを除くと孵化が始まっていた。
卵塊の粘液をつきやぶって出ようとしている個体が見えるけど、どうやら途中でつっかえて出られないようなので割りばしでゆすって出してあげました。
本来クロサンショウウオの卵塊は池や沼の中の枝などに括りつけられて浮いているのですが、もし卵塊が地面に接していると卵塊の下側から出られずに死んでしまう個体がでてしまうそうです。
たしかにこの粘液がかなり強固なので、孵化し終わった個体も透明な粘液の部分に引っかかって身動きが取れなくなっているのを見かけました。
そのため、既に孵化し終わった幼生が卵塊に引っかからないように、ケースを別途用意して孵化後の個体を随時卵塊のあるケースから移すようにしました。
※孵化後1日目のクロサンショウウオの幼生
孵化直後の幼生の餌やりに一苦労
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上記の動画は孵化後半日くらいが経過した幼生ですが、ほとんど動かずじっとしていました。
それぞれの個体が動いた時に別の個体にぶつかり、ピンポン玉がはじけるようにピョンと泳ぎはするもののいたって静か。
どの段階で餌をしっかり食べてくれるのか、何なら食べるのかをネットを中心に調べながら色々試してみました。
クロサンショウウオの幼生が食べた餌、食べなかった餌
餌の種類 | 結果 |
ゾウリムシ | 〇 |
メダカの餌 | × |
赤虫(乾燥) | ××× |
ブラインシュリンプ | ◎ |
冷凍イトメ | ×→〇 |
孵化後1日目から7日目までの間に、上から順番にクロサンショウウオの幼生に餌を与えてみました。
結果は上記の通りで、わかったこととしては
・ゾウリムシは孵化直後ならOKだけど、量的に物足りない
・乾燥赤虫の様な水面に浮かぶものは食べない
・冷凍イトメは孵化後10日目位から、解凍したものを目の前で揺らせば食いつくが放置は×
・ブラインシュリンプが一番食べる。踊るように食べる。
結論から言えば「ブラインシュリンプ最高!」ってこと。
ブラインシュリンプ孵化!ウジャウジャ pic.twitter.com/UO7YK33qsp
— 田舎センセイ (@inakasensei) March 22, 2020
※孵化したブラインシュリンプ
特に孵化直後は動物プランクトン的な物しか食べられないので、ミジンコやブラインシュリンプがあればほとんど残さず食べてくれます。
※ブラインシュリンプをたらふく食べた幼生。腹がブラインシュリンプで満たされてオレンジ色
ゾウリムシは目の前で動くので食いついてくれますが、ブラインシュリンプに比べると食いつきは良くありません。動きを捕捉できないのかな?
メダカ用に用意していたキョーリンの乾燥赤虫を与えてみましたが、水面に浮いてしまい基本沈んでいるクロサンショウウオの幼生には見向きもされませんでした。
冷凍イトメはある程度の大きさになっても、筆などで目の前で揺らしたり、舞い上がった細かいものが目の前に落ちた時に食べますが、長すぎるとうまく食べられないうえに放置するとすぐに水質悪化につながるので与えにくかったです。
もう少し大きくなって食欲が増せばいいのかもしれませんが、孵化後10日やそこらではまだまだ上手く食べてくれませんでした。
最初はブラインシュリンプをある程度の大きさになるまで与えて、成長とともに冷凍イトメや他の餌と混用して成長を促すのが良いのかなと思います。
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私が与えたブラインシュリンプはコレ
ブラインシュリンプは塩水とエアレーションで孵化させる方法の他にも、エアレーションを行わない皿式という方法があるので、上記の記事をあわせてご覧ください。
クロサンショウウオの宿命?共食いが発生
クロサンショウウオは成長するにつれて、自然界でもかなりの確率で共食いが発生すると言われていますが、実際に我が家でも共食いを確認しました。
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共食いは仕方ないにしろ、目の前で動くものに反応的に食いつく習性があるので、過密度合いが高いと給餌はしっかり行っていても共食いは起こりえます。
共食いまで至らなくても、尾の先が噛み切られているのを2~3割の個体に見受けられるので、結構見ていないところで噛みついたり噛みつかれたりしているんでしょうね。
極力共食いを指せないようにしたい場合は、ケースを個別に区切ったり過密度合いを減らすしか方法はなさそうです。
まとめ
本記事ではクロサンショウウオの幼生の飼育をするにあたって、餌のやり方や共食いに苦労した点をまとめました。
餌は基本的に「動いている生餌」を用意する必要があり、ブラインシュリンプがあれば幼生の間は問題なく栄養源を補給させてあげられそうです。
共食いは、飼育の段階で共食いをありきで育てるのか一切共食いをさせないように育てるのかで飼育方法が変わってきそうですね。