ダニはほぼ全ての家庭に潜んでいて、悩んだことが無い人はいないと言えるほど日本では一般的な害虫です。
ダニ退治の方法を調べてみると、駆除方法を紹介したサイトやダニ退治用の商品が数多くありますが、本当に効果のある方法がどれなのかわかりにくいと感じませんか?
この記事ではできるだけわかりやすく、ダニの効果的な駆除方法についてまとめます。
効果のあるダニ退治の方法と効果のないダニ退治の方法
10の内容をお伝えする前に、一番重要な「どの方法がダニ退治に効果があって、どの方法が効果が無いのか」を明確にしておきましょう!
【ダニ退治に効果が無い/不十分な方法】
- 天日干し
- 洗濯機での水洗い
- 掃除機・布団クリーナーでの吸引
- ダニスプレー・燻煙剤・エアゾール剤
- スチームアイロン
- 忌避タイプのダニシート
【ダニ退治に効果がある方法】
- コインランドリーの乾燥機 + (洗濯機での水洗い or 掃除機での吸引)
- 家庭用布団乾燥機 + (洗濯機での水洗い or 掃除機での吸引)
- ダニシート(粘着タイプ or 特殊タイプ)
- 専門業者による家財(畳・家具)の高温乾燥
- 防ダニ寝具の利用
ダニは「熱」か「乾燥」でしか死なない
まずはっきりさせておくべきなのは、ダニはどうすれば死ぬのかという点です。
ダニをしっかりと死滅させるには「熱」か「乾燥」の2択です。
ダニに刺されたりアレルギーの原因を排除するという点では、「生け捕りにして捨てる」という方法も選択肢に入ります。
後述しますが、生きたまま吸い取ったり、洗い流すことは不可能ですし、中途半端な熱処理は時間や手間だけがかかって、効果が不十分なのでおすすめできません。
ダニ退治の方法に悩んでいる人に伝えたい10の事
1.ダニは死骸や糞がアレルギーの原因になるため、殺しただけでは不十分
ダニは刺されることで存在を認識しますが、ダニの恐ろしいのは「アレルギーの原因になる」という点です。
ダニアレルギーの原因となるのは「チリダニ」というダニで、家で発生するダニの約9割がこのチリダニ科のダニです。
このチリダニの死骸や糞がアレルギー源になることがわかっているので、ただ殺すだけでは不十分で、しっかりと死骸や糞も除去する必要があります。
また、チリダニは人を刺すことはないので、ダニに刺された場合は「ツメダニ」か「イエダニ」の可能性が高く、特にツメダニはチリダニを餌とするので、ダニに刺された時点でチリダニが大量に生息していることが予想できます。
ダニに刺された場合は、分かりやすい「痒み」に意識が向きがちですが、ダニの死骸や糞にも意識を向けて対策を取る必要があることを覚えておく必要があるでしょう。
我が家にはダニアレルギー陽性の息子がおりますが、ダニアレルギー対策として普段使っている寝具を防ダニ加工されたものにするとかなり症状が軽減するのでおすすめです。
2.ダニ退治に布団の天日干しは効果が無い
ダニ退治の方法としてよくある間違いが「天日干し」です。
ダニは確かに熱で死ぬのですが、50度以上(出来れば60度以上)の高温で1時間以上さらす必要があり、どんなに天気の良い日に天日干しをしてもダニが死滅するほどの温度にはなりません。
また、熱を察知したダニは布団の内部や日光の当たらない方に移動するので、表面だけぽかぽかに温められても布団がふかふかになるだけでダニは死にません。(スチームアイロンの効果が乏しいのも同様の理由で、熱が十分に行き渡らないところまでダニが逃げてしまうという理由です。)
日光の紫外線がダニの死滅に効果があると考える人もいますが、ダニは紫外線では死にません。
また、布団を叩くという行為も、布団の内部のダニの死骸や糞が粉々になって飛散するだけなので、ダニを殺す効果はなく、かえって空気中に広げてしまい逆効果になることもあります。
天日干しにはダニ退治効果はないという事は覚えておきましょう。
3.布団のダニ退治に掃除機がけでは効果が不十分
これもよくある間違いの1つで、掃除機掛けによるダニの除去効果は表面にいる死骸のみで、布団内部の生きたダニには全く効果が無いことが証明されています。
最近では、ダニ駆除効果をうたった布団クリーナーも販売されていますが、ダニを除去しきるほどの効果は無いのでハッキリ言ってお金の無駄ですし、毎日のように布団やマットレスや毛布に丁寧に掃除機がけをする時間や手間を考えても非効率的です。
お金をかけるなら、ダニ駆除効果はもちろん駆除の手間が極力かからない方法に使う方が賢いですよね。
ただし、掃除機がけは布団や毛布の表層にいるダニの死骸や糞を除去する効果はあるので、別の方法でダニを死滅させた後に取る方法としては効果が見込めます。
その場合は、「紫外線を照射しながら吸引する」等の効果は不要(そもそも前述のように紫外線ではダニは死なない)なので、単純に吸引力の強い掃除機を使うと良いでしょう。
4.洗濯機で生きたダニは殺せない
ダニに刺された時にやりがちな方法が「洗濯」ですが、生きたダニは洗濯機で洗っても流されてくれません。
掃除機同様に表面の死骸や糞を除去する効果はあるのですが、布団内部の生きたダニはカギ爪のような足の先端で繊維にしがみ付き、流されないことがわかっています。
衣類程度の薄い素材であれば洗濯でもある程度ダニの除去は可能ですが、布団や毛布、ぬいぐるみなどの厚みのある物では難しいでしょう。
洗濯をする順番は、ダニを死滅させた後にやれば効果があるので、順番を間違えないことが大切です。
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5.スプレータイプや燻煙剤系の殺虫剤でダニの駆除効果は不十分
ダニの駆除において「殺虫剤」を使うという方法もあります。
例えばこちらの「ダニアース 防ダニスプレー」
殺虫成分は人体に影響の少ないピレスロイド系のフェノトリンを使っていますが、販売元のアース製薬の商品ページに下記のような注意書きがあります。
- 皮膚、飲食物、食器、子供のおもちゃ、観賞魚・小鳥などのペット類、飼料、観賞植物にかからないようにすること。
- 薬剤が皮膚についたときは、石けんを用いてよく洗うこと。
- 処理後は乳幼児が薬剤をなめないように注意し、薬剤が乾くまで這わないように注意すること。また、ふとん、まくら、ぬいぐるみ、クッションについても、処理面がじゅうぶん乾いてから使用すること。
- アレルギーやかぶれなどを起こしやすい体質の人は、薬剤に触れたり、吸い込んだりしないようにすること。
スプレータイプのダニ用殺虫剤は即効性が期待できますが、上記の注意書きを見るとペットや赤ちゃんがいる環境では安全性の点から使用をためらう人も多く、全ての人が取れる対策ではないでしょう。
我が家もダニアレルギーによるアトピー持ちの息子の布団やマットレスに、このスプレータイプのダニ駆除剤を使う気持ちにはなれませんでした。
またダニ用の燻煙剤やエアゾール剤などの駆除剤も、布団や畳の奥深くに潜むダニには効果が薄いので、完全に駆除したい場合は他の方法をとる方が良いでしょう。
ダニは暗く快適な環境を求めて移動するため、表面に薬剤が付着する程度のものではそこまでの駆除効果は見込めないと考えた方が良いでしょう。
6.刺し痕から見るダニの種類の見分け方と駆除方法の違い
家に出るダニで刺す可能性があるのは「ツメダニ」か「イエダニ」です。
しかしこの2種類のダニでは駆除方法が全く違います。
「ツメダニ」は人を”偶然”刺しますが吸血行動はせず、フケやホコリ、皮脂、チリダニなどの小型のダニを餌としてるので、小型のダニなどと同様に熱処理などで駆除することができます。
一方で「イエダニ」は、屋外ダニと言って普段は家の中にはいない種類のダニなのですが、ネズミや鳥に寄生して室内に侵入してくることのある血を吸うダニです。
イエダニの餌は「血」なので、天井裏などで宿主であるネズミが死ぬと新たな寄生先を探して移動し、人間の血管付近を狙って刺してきます。
イエダニを駆除するためには、家に棲み付いたネズミや鳥(ハトやツバメなど)を駆除することが先決になるので、いくら家の中でダニの殺虫剤を撒いても効果がありません。
刺し痕による見分け方の違いは、イエダニは血管付近に刺し、刺し痕の中央部分に水膨れとしこりができるのが特徴です。
ツメダニとイエダニの刺し痕の画像とその他の特徴は下記の関連記事をご覧ください。
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7.布団や衣類のダニ退治はコインランドリーの乾燥機が最も効果的
ダニ退治で最も効果的な方法は「コインランドリーの乾燥機」を使う事です。
コインランドリーの大型の乾燥機は、家庭用の乾燥機では出せない70℃以上の温風を長時間あてることができるので、厚めの布団の内部まで熱が行き渡り、全てのダニが死滅します。
効果は最も確実なのですが、デメリットとしては
- 近くにコインランドリーが無いと使えない
- 乾燥機の使用料金がかかる
- 乾燥機に入れられるサイズのものしかダニの駆除ができない
という物が挙げられます。
特に、ダニの発生場所は布団のみならず、カーペットや畳、ソファなども多いので、これらの家財や寝具のダニの駆除方法としては使うことができません。
近くにコインランドリーがない場合や小さい子供がいてコインランドリーに行く時間がない方には、「宅配で完結する布団クリーニング専門サービス」の利用が便利です。
当サイトがおすすめするのが「ふとんLenet 」です。
ダニ対策としては最もおすすめの布団のクリーニングサービスなので、ダニにお悩みの方はぜひお試しください。
8.高温になった車内を使ったダニ駆除は非現実的
テレビで以前取り上げられた「真夏の高温になった車内でダニを駆除する方法」は、
- 真夏の晴れた日に、
- 車を持っている人が、
- 車を使用しない時間を使って
- わざわざ布団などを黒いビニール袋で覆って放置する
という、条件が整っていないと実現できない方法です。
ダニは梅雨の時期から9月ごろが多いのですが、室内が温暖な日本では冬でもダニは発生しますし、夏でも気温がさほど上がらない北国や、車自体を持っていない人・炎天下に車を放置するスペースが無い人はできない方法です。
すべての条件が揃えば、コインランドリーの乾燥機同様にすべてのダニを死滅させることは可能ですが、現実的な方法ではないと言えるでしょう。
9.ダニ退治に効果的な家庭用布団乾燥機は三菱「AD-X80」
コインランドリーが近くに無い場合は、ダニ駆除に効果的な家庭用布団乾燥機を購入するのもいいでしょう。
最近では、布団全体を高温に保つことができるダニ退治に特化した布団乾燥機が発売されています。
特におすすめなのは三菱電機の「AD-X80」です。
このAD-X80の特徴は、流行と逆行した「マットでくるむタイプの布団乾燥機」である点です。
近年では、ノズルタイプで布団の中に温風の放出口を挟み込む簡易的な物が多い中、布団全体を包まなくてはいけない若干面倒くさい「マットタイプ」の乾燥機なのですが、このマットタイプであることが熱を満遍なく布団全体に行き渡らせるので、ダニ退治に効果的なのです。
ノズルタイプの布団乾燥機との効果の比較は、こちらのサイトがとても詳しく解説しています。
この商品のデメリットは、見た目がちょっとイマイチな点と価格が高い点です。
加えてダニの死骸は布団の中に残ったままになるので、布団専用掃除機などで吸い取ったりする必要があり、ダニアレルギー対策にはもう一つという感想です。
しかし、ダニの駆除以外にも布団をふかふかにするという本来の目的にも使えることを考えると、ダニ駆除グッズにお金を払うよりも良いと考えることができるかもしれません。
10.乾燥機に入れられない大型の家具にはダニシートがおすすめ
近くにコインランドリーがあっても、カーペットやソファーなどは乾燥機に入れることができないので熱乾燥によるダニ退治をすることができません。
そんな場合は、【ダニ捕りロボ】
を使う事でダニを捕獲退治することができます。
ダニシートを使う事のメリットは下記の通りです。
- 殺虫成分を使用していない物が多いので、子供やペットがいる家庭でも安全
- ソファーやカーペット、ベッドのダニ退治ができる
- 置くだけでダニを捕獲できるので簡単である
- ダニを捕殺するので、ダニの死骸が布団の中に残らない
一方で、ダニシートのデメリットはこちら。
- 即効性が無い(効果が出るまで2~3日はかかる場合が多い)
- 使用期限があるので3か月程度で交換する必要がある
- 継続使用をするとトータルコストがかかる
- 安価な粗悪品をつかむと、かえってダニの温床になる可能性もある
- ツメダニには効果があってもイエダニには効果が無い(商品によってはツメダニにも効果が無いものもある)
布団は熱乾燥ができてもベッドマットレスは難しいので、薬剤を使用せずにダニの駆除を行いたいのならダニシートが最も効果的でしょう。
当サイトがおすすめする比較的高価なダニシートで、1枚当たり18円/日のコストがかかる計算になります。ダニシート1枚で駆除できるダニの範囲は、畳1畳半程度なので、シングルベッドであれば1日18円でダニの駆除が継続的にできる計算になります。
低評価の口コミで多いのが「置いた翌日に刺された」という類ですが、誘引剤でダニをおびき寄せて捕獲するので、そもそも即効性が無いことを認識しておく必要があります。
強力な殺虫成分を使わないことによる安全性がメリットの商品なので、即効性を期待する人には向いていませんので注意しましょう。
また、安価な粘着式のダニシートを購入すると、ダニを捕獲できずにかえって繁殖させてしまうという研究結果も出ているので、中途半端な商品に手を出さないのも大切です。
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【追記:2020/10】冬の間もダニ対策は必要
寒くて乾燥に弱いダニは冬の間に活動を減少させるので刺咬被害は夏に比べると減ります。
そのことから「冬はダニがいない、死滅した」と勘違いする方がいますが、ダニは布団の中に潜み続けています。それどころか、とある条件を満たしたダニは翌年の5月頃に再度孵化すべく休眠モードに入って越冬する種類もいることが分かっています。
そのとある条件というのは「ダニの数が増えることによって過密状態になること」で、常時ダニ対策を行っていないと寝具などの中でダニが増え、その中の一部が「越冬する休眠モード」になるのです。
冬はダニ刺されがないからダニ対策しなくてOK♪ とか思っていると、翌年の5月頃にひどい目に合うかもしれませんよ。
【結論】ダニ退治に効果的な方法
既に発生してしまっているダニ退治に効果的な方法は、
コインランドリーの乾燥機に入れられるサイズのもの(布団、毛布、ぬいぐるみ等)の場合
→ コインランドリーの乾燥機で高温乾燥(1時間)
コインランドリーの乾燥機に入らないサイズのもの(ソファー、ベッド、畳等)の場合
→ ダニシートで捕獲駆除
の2択になります。
ダニの発生が広範囲の場合や、畳に大量発生してしまっている場合は専門の駆除業者への依頼も選択肢に入ってくるでしょう。
また、ダニの刺咬被害だけでなくアレルギー予防の観点からも対策をとりたい場合は、防ダニ寝具を利用することでさらに効果を発揮しますので、あわせて検討されると良いと思います。
まとめ
ダニ退治の方法でよく言われるものの効果について解説しましたが、比較的誰にでもできるダニ駆除方法は「ランドリーの乾燥機」「防ダニ寝具」「ダニシート」の3つでしょう。
それ以外だと、安全面に問題があったり、生きたダニの除去ができない(掃除機・洗濯機)などで効果が不十分であることがわかります。
一覧にまとめます。
効果 | 理由 | |
天日干し | ダニ死滅に十分な温度に達しない | |
掃除機 | 生きたダニは吸い取れないが、死骸や糞は吸い取れる | |
洗濯機 | 生きたダニは流されないが、表層の死骸や糞は吸い取れる | |
ダニスプレー | 即効性があるが、安全面が不安 | |
燻煙剤・ エアゾール | ダニの潜む奥深くまで届かない | |
スチームアイロン | 内部の温度がダニ死滅に十分な温度に達しない | |
炎天下の車内 | 駆除したいタイミングで実施できない | |
コインランドリー | ダニが100%死滅する | |
布団乾燥機 (ノズル式) | ノズルから遠い場所は効果が少ない | |
布団乾燥機 (マット式) | 布団全体が高温になりダニが死滅する。機器がやや高価 | |
ダニシート (忌避タイプ) | 追い払うだけで殺せない | |
ダニシート (粘着タイプ) | 簡便で安価だが、商品を選ばないと効果に乏しいものもある | |
ダニシート (※特殊タイプ) | 効果は高いが、即効性が無い | |
ダニ専門業者 | 効果は高いが、価格も高い | |
防ダニ寝具 | 高価も価格も高いが、就寝中の刺咬被害を激減させられる |
ダニシートや家庭用布団乾燥機などは比較的コストがかかるため、ほとんどの人が天日干しや洗濯などで駆除をしようとしますが、なかなかダニは死んでくれないことがわかっています。
ダニ刺されやアレルギーに悩む時間や、安価に済ませようとして何度も寝具一式に掃除機をかけたり洗濯をしたりする時間は想像以上に長くかかり勿体ないと感じます。
近くにコインランドリーがある場合は定期的に布団を乾燥機にかけ、ベッドやマットレスはダニシートで継続的にダニ退治を行うと良いでしょう。
私のおすすめのダニシートは【ダニ捕りロボ】
です。
私が一年以上使い続けた感想と効果について、下記の記事でまとめていますので是非ご覧ください。