ギンネムの木の駆除に効果的な除草剤|沖縄に生える侵略的外来種

ギンナム

こんにちは、田舎センセイです!

当サイトの特性上、様々な植物の除草・駆除方法のお問い合わせを多くいただきます。

先日、海外から人為的に持ち込まれ、近年では沖縄で帰化し分布を拡大させている「ギンネム」という植物の駆除方法についてお問い合わせをいただきました。


世界の侵略的外来種のひとつに数えられているほど繁殖力が強くて問題になってるみたいだね!

ワシ自身は沖縄に入ったことが無いんじゃが、お問い合わせがあったのでギンネムの駆除方法について調べてみたぞい!

本記事では、ギンネムの木の駆除方法について文献などを調べた内容についてまとめます。

調べた内容に関しては、より詳しい方法や別の駆除方法などをご存知の方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せいただけますと幸いです。

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ギンネム(ギンゴウカン)とはどんな木・植物?

ギンネム
※画像:wikimedia commons

ギンネムはマメ科ネムノキ亜科の落葉低木で、園芸品種として流通しているものは「ギンゴウカン」とも呼ばれています。

元々は中南米原産の植物で、亜熱帯気候の沖縄などの地域では年間を通して成長し、栄養の少ない土壌でも繁殖していくので、緑肥・飼料・土壌の流出防止・緑化などの目的で人為的に持ち込まれました。

毒性のあるアミノ酸(ミモシン)を持ち、アレロパシー効果も有する

樹高は10m近くにもなり高さが出るうえに、ミモシンと呼ばれるアレロパシー(他感作用)を持つ有毒アミノ酸を持つので他の植物が繁茂するのを防いでギンネムだけで群生することが多いのも問題になっています。


アレロパシーって「セイタカアワダチソウ」も持つ、他の植物の成長を阻害する効果などのことだよね!

外来種がアレロパシーを持つことで、その土地固有の植物などが駆逐されてしまって問題になることが多いんじゃな
ギンネムの特徴まとめ

・樹高10m近くにもなる
・温暖な沖縄では年中成長し、その成長スピードは速い
・葉に含まれるミモシンという有毒アミノ酸がアレロパシー効果をもつ
・世界の侵略的外来種ワースト100のひとつ

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ギンネムの問題点と駆除の難しさ

ギンネム
※画像:wikipedia

ギンネムが持つミモシンという有毒アミノ酸については、近年は加工段階での除去が可能であることが分かってきたため、沖縄ではギンネムを利用したお茶などが土産物として販売されています。

しかし有効活用できているのはごく一部で、駆除に手を焼いている人が数多くいるようです。

繁茂スピードを上回る有効活用は難しく、ミモシンがあるので家畜の餌にもできないので、現状は土壌流出防止や緑化くらいしか役立っていません。


さらに言うと、実は土壌流出防止の効果も危ぶまれているんじゃ

ギンネムの天敵である「ギンネムキジラミ(外来種)」という虫がギンネムを食害することで、ギンネムが枯れて倒木して農業の邪魔になったり、そもそもの目的だった土壌流出防止の効果すら期待できなくなってきていると言われています。

倒木して道路や畑を塞いでしまったり、ハブの住みかになってしまったり、ギンネムが増えることで様々な支障が顕在化してきているんですね。

かといって草刈りで対応しようにも成長力がすさまじく、中村らの調査(*1)によると年2回程度の草刈りでは草刈り後2~3か月ですぐに再生してしまうそうです。

ギンネムの厄介な点

・ミモシンのせいで家畜のえさにできない
・ギンネムキジラミによって土壌流出防止効果が薄まってる
・道路や田畑への侵入や倒木の危険性がある
・ハブの住みかになってしまう
・有効活用できる範囲が少ないのに繁殖力が強い
・草刈りだけでは駆除し切れない・除草費用が膨大になる

*1:沖縄自動車道の植栽管理について「ギンネム駆除に向けた取り組み」

ギンネムの駆除に効果的な除草剤・薬剤

ギンネムの駆除に効果的な除草剤については、私が実際に試したわけではありませんが上記脚注でご紹介した「ギンネム駆除に向けた取り組み」の文献の中で、

トリクロピルメトスルフロンメチルの混合散布によって、ギンネムの枯死が確認できたとありました。

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散布の薬量(㎡当たり)は「トリクロピル液剤0.5ccメトスルフロンメチル液剤0.005g」で、㎡当たりの水量は200ccでギンネムは全て落葉しています。

どちらか一方のみの場合の試験結果もありますが、ギンネムの先端の実落葉するにとどまるなど効果は限定的だったそうです。

トリクロピル液剤(ザイトロンアミン液剤)は、マメ科やキク科雑草、広葉雑草に幅広く効果のある薬剤で、メトスルフロンメチル(サーベルDF)は各種広葉雑草に低用量でも幅広く効果のある薬剤です。※使用方法は各薬剤のページをご覧ください。

両剤の混合散布によりギンネムの枯死が確認されていますが、根株の大きいギンネムは完全には枯れずに根株の脇から新芽が出ているのも多数確認できていたようなので、一度の散布だけでは完全に駆除するのは難しそうです。

しかし、駆除しにくいギンネムに一定以上の効果があったというのは、今後のギンネム駆除方法として一般的になっていくという期待が持てますね。

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まとめ

本記事では、世界の侵略的外来種の1つである「ギンネム」という植物の特徴と駆除方法についてまとめました。

かつては有効利用目的で持ち込み、長年かけて帰化した植物が元々あった固有種を駆逐してしまうという話をよく聞きますが、ギンネムは今現在も沖縄や九州の一部で問題になっています。

今回お問い合わせをしてくださった企業様のおかげでギンネムを知り、調べることで私自身かなり勉強になりました。

ギンネムの駆除方法自体はまだまだ標準化されたものが無いと思うので、今回ご紹介した方法以外にも効果的な除草方法や薬剤があるかもしれません。

もしより効果的な方法をご存知の方がいらっしゃいましたら、是非お知らせ頂けますと幸いです。

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