宮城県の伊豆沼で見られる鳥の種類|おすすめの野鳥撮影スポット

伊豆沼

私の住む宮城県栗原市はとても自然豊かで、野鳥の観測や写真撮影が趣味の方にお勧めしたい「伊豆沼・内沼」というスポットがあります。

一年を通して観察できる野鳥や、越冬のために飛来する特定の季節にのみ観測できる渡り鳥など様々な種類な野鳥がやってきます。

夏の時期には「蓮(ハス)」の花で満開になる「ハス祭り」でも有名な伊豆沼・内沼ですが、今回は各季節ごとに飛来する野鳥の種類と特徴についてご紹介します。


田舎センセイ、なんで野鳥にも詳しいの?

実は妻の両親が栗原市の認定ジオガイドの資格を持っていて、伊豆沼など栗原市の観光スポットの案内を仕事としているんじゃよ

ってことは情報は信頼できるとして、「義両親に聞いた話」ってことだね?

しゅ、、取材をしたと言ってくれい!

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています

宮城県の伊豆沼・内沼ってどんなところ?

伊豆沼の地図

伊豆沼・内沼は宮城県栗原市と登米市にまたがる大小二つの沼です。

1985年には北海道の釧路湿原に続いて日本で2番目に【ラムサール条約の登録湿原地】に指定されました。

ラムサール条約

※ラムサール条約とは

ラムサール条約の正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971年にイランのラムサールで採択されたことから、「ラムサール条約」と呼ばれています。日本には現在50か所のラムサール条約湿地があります。

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伊豆沼が野鳥の観察や写真撮影におすすめな理由

伊豆沼

これまでに伊豆沼・内沼で確認された鳥類はなんと235種にもなります!

特に伊豆沼・内沼は「ロシアから距離が近く、冬でも水面が凍らず、周りに田んぼがたくさんあり餌が豊富」という、飛来地としての条件がそろっているために冬の渡り鳥がたくさん飛来します。

なんと、マガンは日本に渡ってくる総数の約9割がこの沼に来るそうです!


9割も!とてつもない数が飛来するんだね!

では、特に越冬するガンの種類が多いのですが、季節ごとに見ることが出来る鳥をご紹介していきましょう。

伊豆沼・内沼で「1年中」見られる鳥の種類

オオバン「モノトーンのおしゃれさん」

オオバン
  1. 階級:ツル目クイナ科オオバン属
  2. 体長:39㎝
  3. 色:体は灰黒色、ヒタイとくちばしは白色
  4. 鳴き声:「キュキュキュ」
  5. 観測時期:1年中

カラスのように全体は灰黒色ですが、額とくちばしは白色というおしゃれなモノクロの色合いをしています。

主に水草を食べますが、他にも昆虫や貝なども食べる雑食性。

オシャレな顔に似合わず意外にも喧嘩っぱやく、縄張り争いなどでオオバン同士喧嘩をします。運が良ければ伊豆沼でオオバンの激しい喧嘩の様子がみられるかもしれません。

「キュキュキュ」というような甲高い声で鳴きます。

アオサギ「鶴に間違えられる?いやいやサギです。」

アオサギ
  1. 階級:ペリカン目サギ科アオサギ属
  2. 体長:95㎝、翼を広げると2m近い
  3. 色:体は灰色、ヒタイとくちばしは白色
  4. 観測時期:1年中

アオサギと言われますが、実際の色は青みがかった灰色をしています。翼を広げると175~195cmとかなり大きいです。

アオサギは、水深の浅い水辺で主に魚を捕食しますが、魚だけではなく、昆虫や両生類、鳥類のヒナ、小型哺乳類なども食べます。

あの大きなくちばしで挟まれたら逃げられそうにありませんね。

一見、ツルのようにも見えますが、ツルは首を伸ばして飛び、サギは首S字型に折り曲げて飛びます。この飛び方はサギ特有のものです。

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伊豆沼・内沼で「夏」に見られる鳥の種類

カイツブリ「水に潜るのが大好き!」

カイツブリ
  1. 階級:カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属
  2. 体長:25cm
  3. 色:体は焦げ茶色、くちばしは黒い
  4. 観測時期:伊豆沼では夏に飛来する夏鳥、本州南部以南では留鳥

漢字名は「鳰(にお)」と言い、「鳰=水に入る鳥」という意味があるほどで、よく潜水します

あまり深いところには潜らず水底で餌を探すので、水深が1m前後の伊豆沼は彼らにとって最適な餌場なのでしょう。

カモに間違えられることもありますが、カモよりも小さくカモとは全く別の種類の鳥です。

4~7月が繁殖期で水面の上に浮島のような巣を作ります。

小さなヒナはオオクチバスなどの餌食になってしまう事も多く、肉食性の外来魚などが生息する沼などでは数が減ってしまったという調査結果もあります。

生まれたヒナは自力で泳げるのですが、疲れたりすると親の背中に乗ります。

親がヒナをおんぶして泳いでいる姿はとっても可愛く、運がよければ親子の微笑ましい姿を見ることが出来るかもしれません。

オオヨシキリ「頭頂部の羽毛がまるでパンクヘア!」

オオヨシキリ
  1. 階級:スズメ目ヨシキリ科ヨシキリ属
  2. 体長:18㎝
  3. 色:薄茶色
  4. 鳴き声:「ギョギョシ、ギョギョシ、ギョギョギョ」
  5. 観測時期:5~8月

5月上旬から8月にかけて「ギョギョシ、ギョギョシ、ギョギョギョ」と大きな口を開けて大声で一日中繰り返して鳴きます。

伊豆沼でこの独特な鳴き声が聞こえてきたら彼らだと思って間違いないでしょう。複数でさえずっていたら、かなりうるさそうです。

オオヨシキリのオスはハーレム状態で複数のメスと一緒になる一夫多妻。

しかも子育てはメスだけが行います。オスは自由ですね~。

オオヨシキリという名前の由来は、ヨシを切り裂いて中にいる獲物を捕食することから来ています。また、巣作りにもヨシを使用するので水辺にたくさんヨシが生えている伊豆沼は彼らにとって最適な住処なのでしょう。

伊豆沼・内沼で「冬」に見られる鳥の種類

オオハクチョウ「真っ白な雪景色の中でみたい優雅な鳥」

オオハクチョウ
  1. 階級:カモ目カモ科ハクチョウ属
  2. 体長:150㎝
  3. 色:白
  4. 観測時期:10月上旬~3月中旬

遠く3000㎞離れたシベリアから10月上旬にやってきます。

毎年彼らがやってくると冬の訪れを感じます。

冬の鳥にふさわしく全身真っ白でくちばしだけが黄色と黒色をしています。

オオハクチョウは親子の絆が強くいつも親子一緒に行動をします。夫婦仲も良く、どちらかが死んでしまうまでずっと一緒だそうです。一説によると、白鳥は家族が死んだときに悲しみから入水自殺をすることがあるとも言われています。

家族のきずなが強いんですね。

2羽が向き合い、胸とくちばしをくっ付けて、ハートのような形を作り、
交互に首を上下させながら鳴き合う愛情表現をします。とてもロマンチックな光景なので、一度は見て頂きたいです。

宮城県は白鳥の飛来がとても多く、伊豆沼・内沼の周辺には1月になると、なんと約4千羽のハクチョウ類が集まるので、見られる確率は高いかもしれません。

冬の伊豆沼で白鳥を観察したい場合は「1月がおすすめ」ですよ!

コハクチョウ「オオハクチョウよりちょっと小柄」

コハクチョウ
  1. 階級:カモ目カモ科ハクチョウ属
  2. 体長:120㎝
  3. 色:白
  4. 観測時期:10月上旬~3月中旬

名前の通り、オオハクチョウよりも一回り小さい白鳥です。

オオハクチョウとコハクチョウはくちばしの黄色と黒の割合が異なり、黄色が多いのがオオハクチョウで、黒色が多いのがコハクチョウになります。

オオハクチョウのくちばし

オオハクチョウ嘴

コハクチョウのくちばし

コハクチョウ嘴

と言われてもなかなか見分けるのは難しそうですね。

コハクチョウはオオハクチョウよりも遠い、4000キロも遠く離れたシベリアから渡ってきます。

コハクチョウもオオハクチョウ同様に家族の絆が強く家族で行動を共にしています。

時々、コハクチョウと同じくらいの大きさでくちばしのほとんどが黒い白鳥がいたら、迷い込んだアメリカコハクチョウかもしれません。

ヒシクイ「ヒシの実が大好物!」

ヒシクイ
  1. 階級:カモ目カモ科マガン属
  2. 体長:90㎝、羽を広げると約160cm
  3. 色:くちばしはオレンジ、体はグレー
  4. 観測時期:冬季(10月~3月)

ヒシの実を食べることからこう呼ばれています。

菱の実

↑内沼の湖畔にヒシの実がたくさん落ちていました。

昔、忍者が乾燥させてマキビシに使ったというのが納得できるほど固い棘に覆われていて、これを食べるなんてよほど丈夫なくちばしの持ち主なのでしょう。

近くでくちばしで実を割る音が聞こえてくることもあるそうです。

ガンの仲間の中で一番大きな鳥で、羽を広げるとなんと160cmほどになります。

マガン「宮城の県鳥」

マガン
  1. 階級:カモ目カモ科マガン属
  2. 体長:70㎝
  3. 色:濃いグレー
  4. 観測時期:10月上旬~3月中旬

冬の時期に伊豆沼に行けば100%確実に見られる鳥です。

宮城県は日本最多の飛来地として、国内の飛来数の約9割が宮城県北部に飛来します。

そのため、ガンは宮城県の「県鳥」にもなっているんです。

このガンたちが一斉に飛び立つ朝の飛び立ち夕方のねぐら入りはとても壮観で、野鳥を撮るカメラマンであれば、一度は撮影したい風景です。

マガンの飛び立ちやねぐら入りのおすすめの撮影スポットと服装・注意点などについては、こちらの「マガンの飛び立ちとねぐら入りの観察完全ガイド【宮城県|伊豆沼・内沼】」をご覧ください。

オナガガモ「オスは尻尾が長いんです!」

オナガガモ
  1. 階級:カモ目カモ科カモ亜科マガモ属
  2. 体長:70㎝
  3. 色:オスは頭が茶色で背面は灰色、胸が白色。メスは褐色で地味
  4. 観測時期:冬季(10月~3月)

オスは頭が茶色で背面は灰色、胸が白色というきれいなコントラストをしています。メスは全体に褐色で地味な色合いをしています。

冬は求愛の時期なので、オスは尻尾を高々と上げる動作を繰り返したり、甲高い声を出して、メスにアピールします。

1、2月がもっとも求愛行動が盛んになるので、運が良ければみられるかもしれませんね。

他のカモよりも首が長いため、首を水面下につっこみ、まっすぐに伸びた長い尾だけが水面に出ている姿をよく見ます。英語名は「ピン・テール」といいますが、この姿から来ているのでしょう。

ミコアイサ「愛称パンダガモ!」

ミコアイサ

  1. 階級:カモ目カモ科アイサ属
  2. 体長:35㎝
  3. 色:オスは全身が白く、目の周りが黒
  4. 観測時期:冬季(10月~3月)

オスは全身が白く、目の周りが黒く、まるでパンダのような顔をしたカモです。

パンダガモなんて可愛い愛称ですね!

ミコアイサという名前の由来もこのきれいな白と黒の色からきており、オスの全身が白く、神子(ミコ)の白装束にみえるところから来ています。

ミコアイサは集団で狩りをしますが、採った食物は早い者勝ちです。集団で潜り、食物を取って浮かび上がったミコアイサは他のミコアイサに奪われないように集団から一目散に離れます。

オジロワシ「野鳥観察者のあこがれの的」

オジロワシ
  1. 階級:タカ目タカ科オジロワシ属
  2. 体長:90㎝
  3. 色:全体は褐色で尾が白い
  4. 観測時期:冬季(10月~3月)

名前の通り尾の白いワシです。

翼を広げると180㎝ほどにもなる大きなワシ。

猛禽類はオスよりメスの方が大きいのですが、オジロワシもメスの方がオスよりも大きいんです。

雑食で主に魚を食べます。オジロワシのような猛禽類を観測できる場所は多くはなく、ここ伊豆沼でも他の野鳥に比べると観測できる確率はあまり高くありませんが、一度は水面で魚を捉えるダイナミックな狩りをみてみたいですね。

伊豆沼・内沼で季節別に見れる野鳥一覧

今回ご紹介した以外にも、季節ごとに見ることが出来る野鳥を一覧にすると下記のようになります。

1年中
 オオバン
 アオサギ 〇
 カイツブリ 〇
 オオヨシキリ 〇
 オオハクチョウ 〇
 コハクチョウ 〇
 ヒシクイ 〇
 マガン 〇
 オナガガモ 〇
ミコアイサ 〇
オジロワシ 〇
ウグイス 〇
エナガ 〇
カルガモ 〇
カワセミ 〇
アカゲラ 〇
ホオジロ 〇
モズ 〇
ツバメ 〇
ゴイサギ 〇
ヨシゴイ 〇
アオジ 〇
ウソ 
シジュウカラガン 〇
キンクロハジロ 〇
ジュウビタキ 〇
ツグミ 〇
ベニマシコ 〇
ホシハジロ 〇
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伊豆沼・内沼へのアクセス

伊豆沼の「県サンクチュアリセンター」までのアクセス

  • JR東北新幹線「くりこま高原駅」から車で10分
  • JR東北本線「新田駅」から車で10分
  • 東北自動車道・築館ICから車で15分
  • 東北自動車道・若柳金成ICから車で20分
  • 宮城県北高速幹線道路「伊豆沼IC」から車で3分

まとめ

今回は宮城県栗原市と登米市にまたがる「伊豆沼・内沼」で観察できる野鳥を、季節ごとに分類してご紹介しました。

伊豆沼・内沼は年中野鳥が観測できるうえに、夏にはハスが満開になりとてもフォトジェニックな観光スポットです。写真撮影が好きな方は、ぜひ一度いらしてみてください。

※参照 「伊豆沼・内沼ハンドブック」発行/環境省 東北地方環境事務所