宮城県の栗原市と登米市にまたがる伊豆沼・内沼はラムサール条約に登録されている有名な湿地です。
冬には、なんと日本に飛来するガンの8~9割が伊豆沼・内沼に飛来します。
とくにマガンの朝の飛び立ちと夕方のねぐら入りは壮観で、一度は見てみたい風景です。
今回はマガンの観察の徹底ガイドと意外と知らないマガンの生態についてご紹介します。
マガンの飛び立ち&ねぐら入り観察の時間
マガンは夜はねぐらである沼で休み、早朝に一斉に飛び立って餌場の水田へと向かいます。数万羽のマガンが一斉に飛び立つ時の羽音と鳴き声は素晴らしく、環境省の「日本の音風景100選」にも選ばれているほどなんです。
一度は見てみたい風景ですが、一日の中で何度も観察できるチャンスがあるわけではないので、見逃さないためにも「飛び立ち」と「ねぐら入り」それぞれの時間を知りたいですよね!?
登米市伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターに、季節ごとのマガンの飛び立ちとねぐら入りの時間を問い合わせてみたところ下のような返答でした。
マガンの飛び立ちの時間
飛び立ちは日の出の20~30分前に始まります。
- 11月初め >> 5:30頃
- 12月初め >> 6:00頃
- 1月初め >> 6:30頃
マガンのねぐら入りの時間
ねぐら入りは日の入りの20~30分後に始まります。日が沈み、真っ暗になる前にはねぐらに戻ってきます。日の入りの時間も季節によって変わりますが、冬の期間であれば
16:30~17:00頃
日の出と日の入りの時間を調べる方法
マガンの飛び立ち&ねぐら入りのおすすめの撮影場所MAP
伊豆沼と内沼のマガン観察スポットと、近隣のパーキングやトイレを記載した地図を作成しました。
マガンのねぐらは、伊豆沼に3か所、内沼に1か所あり、破線の赤矢印の方向に飛び立ちます。オレンジ色で書かれた場所がマガンの飛び立ち観察スポットで、地図右下の小さめのマガンの飛び立ち観察スポットは野鳥観察館です。
マガンの飛び立ち方向などを含めて、撮影や観察のベストポジションを見つけてくださいね。
マガンの飛び立ち&ねぐら入り観察時の服装と注意点
マガンの飛び立ち&ねぐら入り観察の服装
マガンはいつも同じ時間に飛び立つ訳ではなく、その日の天候などによって変わります。マガンの飛び立ちを待つ間はかなり体が冷え込みます。
冬の伊豆沼は氷点下まで気温が下がったり、冷たい風が吹くとかなり寒いので、帽子、コート、マフラー、手袋、ホッカイロなど十分に防寒対策をしていきましょう。もし持っていれば、スキーやスノボのウエアなどがおすすめです。
マガンの飛び立ち&ねぐら入り観察の注意点
マガンの飛び立ちやねぐら入りを観察する時の注意点です。
- 観察前にトイレを済ませてから行きましょう。
- マガンの飛び立ちの時刻は周囲は真っ暗なので、運転や歩行は十分注意しましょう。
- ねぐら入りは日没20分後ぐらいになります。完全に真っ暗になる前に車に戻れるように観察場所を出発しましょう。
- 早朝、沼では鳥たちが眠っていますので、車のライトやカメラのフラッシュで沼を照らし鳥たちを驚かせないようにしましょう。
- 駐車後はエンジンを切りましょう。
- 沼に入ったり、鳥に近づきすぎたり、鳥を驚かせるような行為は止めましょう。
マガンの特徴と生態【Q&A】
マガンが観察できる時期はいつ?
マガンが飛来してくる10中旬~2月上旬ころです。
なぜ、マガンはV字型の隊列を作って飛ぶの?
マガンは飛ぶときにV字型の隊列を組んで飛びますが、これは「かぎ型」と呼ばれるガンの特徴的な飛び方です。
斜め後ろの鳥は前の鳥の羽ばたきで出来た気流を利用して、楽に飛ぶことが出来ます。
先頭がリーダーかな?と思いますよね。しかし、リーダーという訳ではなく、たまたまそこに来た鳥で、その時の気象条件などで交代で決まります。
ただし、渡りのような長距離を飛行する場合は、経験豊富なお父さんガンが先頭になります。
群れで飛んでいるマガンたちはどんな関係?
マガンは基本的に家族単位で行動をします。
マガンは家族の絆が強く、家族を中心とした親族で群れを作っています。
群れで生活することで、エサを食べているときも見張りをしている鳥がいて、天敵から身を守ることが出来るという利点があります。
マガンの飛ぶ速度は時速何キロ?
およそ時速60㎞ですが、渡りの時はなんと時速100㎞ほどにもなります!
マガンは水田で何を食べているの?
落ち籾(もみ)、落ち大豆、水草、葉などを食べています。
マガンは沼から毎日飛び立つの?
毎日飛び立ちますが、天気が悪い時は少し遅れることもあります。
マガンは朝、沼を飛び立ったら夕方のねぐら入りまで一度も沼に帰ってこないの?
秋の昼間、気温の高い時は沼に戻ってくることもあります。
まとめ
マガンは伊豆沼・内沼を代表する鳥と言ってもいいでしょう。
越冬のために飛来してくるマガンには安全なねぐらと豊富な餌のある水田が必須ですが、伊豆沼・内沼はその条件が整っているため、年々マガンの数が増えているそうです。
数万羽のマガンの飛び立つ姿はぜひ一度はご覧になっていただきたい風景です。
伊豆沼・内沼では冬だけでなく年中たくさんの野鳥を見ることが出来ますので、季節を問わず楽しめる場所なのでぜひ一度足を運んでみてくださいね。
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※参照
:伊豆沼・内沼ハンドブック/環境省 東北地方環境事務局
:みやぎ ラムサールトライアングルマップ/宮城県環境生活部自然保護課
:伊豆沼・内沼/公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団