2014年くらいから徐々に認知され始めた「ミニマリスト」という生活スタイルをご存知の方は多いでしょう。
一般的には「最小限主義者」といわれていますが明確な定義は無いようで、不要なものを持たずにシンプルに暮らすことをテーマにしている人のことを指していることが多いです。
私が都会に住んでいたころは、周囲にミニマリストの人もいましたし、そのような情報や話を聞くことも多かったですが、田舎に移住してからはミニマリストの”ミ”の字も聞かなくなりました。
果たして田舎でミニマリストをやっている人ってどれくらいいるのでしょう。
そして田舎でのミニマリスト的生活は可能なのでしょうか。
ミニマリストはいつ頃生まれた?
最初に、そもそもミニマリストっていつ頃の話なの?という事をおさらいしておきます。
上のGoogle Trendの動向を見ると、前述した通り2014年から徐々に検索が増え、2015年に入ったら爆発的に認知されるようになっています。
天井を打ってからは横ばいで、2017年に入っても変わらず多くの人がミニマリスト検索されていることが分かりますね。
日本では「断捨離」という言葉が2010年頃に一足早くトレンドになり、それと合わせてミニマリストを解釈する人が増えたのか、ミニマリストがトレンド入りしてからの動向がシンクロしているように見えます。(※下図:「断捨離」と「ミニマリスト」のgoogleトレンドの比較)
ミニマリストの意味は変わってきてる?
ミニマリストの定義はありませんでしたが、調べてみるとミニマリストの目的と原則は見つけることが出来ました。
【ミニマリストの8つの目的】
- 仕事の量を減らし、質を向上させる
- 外からの情報をへらして、内から自分を知る
- あなたのしたいことのできる自由をふやす
- あなたの心を満足してくれる時間をふやす
- 大事なことのために、「余白」を用意しておく
- 心配をへらして、「楽しめる心」になる
- ガラクタをへらして、植物やアートを楽しむ
- 害をへらして、回復力をたかめる
【ミニマリストの5つの原則】
- 不必要なものを捨てさる
- 大事なことを見きわめる
- 選んだものは、すべて大事にする
- スペースを喜びで満たす
- 変化させつづける
引用:不況でも、楽に自由に生きるには?「ミニマリストライフのすすめ」:earth in us.
2010年に書かれたこの記事では、下記のようにも書かれており、
あなたに必要のないものを捨てて、あなたが楽しめる時間や空間、そして心の余裕を生み出すことを大事にする。それがミニマリスト(最小限主義者)の生活です。
物質的な断捨離に限定せず「仕事量」「情報」「心配事」なども捨てることで、心に余裕を生み出すことが大事だとまとめられています。
ミニマリストは分類しようとすると、
- エコロジータイプ(物を持たないことが環境にとっても良いと考えるタイプ)
- 合理性タイプ(物が少ない方が掃除、移動などの面において合理的で良いと考えるタイプ)
- 富裕層タイプ(良いものを1つ2つ持って、長く大事に使うタイプ)
などのように分類することが出来るとされています。
ミニマリストのタイプによっては、田舎暮らしが向いているものもあるかもしれませんが、今回は「最小限しかモノを持たない生活をする人」をミニマリストとして統一してお話を進めたいと思います。
田舎暮らしはミニマリストには向かないのか?
前項の「ミニマリストの8つの目的」を見てみると、田舎暮らし自体は目的を達成するのには向いていそうに思います。
田舎は土地も広く自然も豊かで環境面でのストレスも減りますし、外的情報も都会に比べるとほとんど入ってきません。
実際に田舎に暮らしている身として、この8つの目的は都会に住んでいたころに比べて全て達成できていると思います。(注:私自身はミニマリストではありません)
しかし、ミニマリストの「モノを減らす」という物質的な削減の点からは、田舎暮らしがミニマリストにとって良いかと聞かれると「向いていない」と言わざるを得ないでしょう。
自称ミニマリストのブログには「身の回りにあるものを活用して自分では物を持たずにミニマリスト生活」などの類が結構ありますが、これは都会だからできることであって、田舎では必需品がどうしても多くなってしまう傾向にあります。
田舎でモノを持たないのは難しい
ミニマリストが田舎で暮らすことの難しさに「田舎でモノを持たないのは難しい」というのがあります。
田舎暮らしでモノが増える理由として下記が挙げられます。
- 移動で”徒歩”は絶望的なので車か自転車が必要
- 近くにコンビニが無いので、冷蔵庫・プリンターが必要
- コインランドリーが無いので洗濯機が必要
- 自然相手になるので、農具(雑草を防除する)や工具が必要
- 虫がやたらと出るので殺虫剤が必要
一番大きいのは「車」でしょう。
移動手段が徒歩しかない場合は田舎での生活は難しいですし、車を持たずに田舎で無理やりミニマリスト生活をしたがる人がいるとは思えません。
また、近くにコンビニやスーパーが無いというのもミニマリストにはつらいところです。
都会ではその都度買いに行くから冷蔵庫が要らないというミニマリストもいますが、コンビニの恩恵を受けることはできず冷蔵庫を買わざるを得ないでしょうし、印刷をする場合も、自宅にプリンターを購入せざるを得なくなります。
あとは周辺環境が都会ほど整備されていないので、雑草や虫対策が必要になります。
特に当サイトでは、田舎暮らしでの悩み解決として農具や殺虫剤をご紹介していることもあり、道具なしでの虫の駆除・除草がいかに大変かはよくわかっています。
素手で虫を駆逐したり雑草を全て抜き取ることが出来ないこともないですが、心にゆとりは無くなりそうですね。
このように、「必要最低限のものだけを残してミニマルな生活をする」という事だけにフォーカスをすると、田舎では周囲に頼るものがない分、必要最低限のもの自体が大幅に増えてしまうのです。
物を持たないというのは、周囲に「コンビニ・コインランドリー・JRや地下鉄などの公用交通機関」などがあって、それらが代用をしてくれているから実現できているのでですよね。
※そもそも論として、徒歩圏内にコンビニがあるところを私は田舎とは認めません。
これらの点からも、田舎にいるとモノが増えますので、モノを減らしてシンプルに暮らしたいだけのミニマリストは田舎での生活は難しいでしょう。
しかし、外部からのストレスや情報量の削減、心のゆとりを持つためのミニマム生活であれば、田舎は実現しやすいでしょう。その中で、車も必要最低限のものと考えればそれもミニマリストとしてOKなのかもしれませんね。
ただ、やっぱり物は増えます。
まとめ
今回は、ミニマリストという言葉の始まりと意味の変遷、そして田舎暮らしでは物が増えるため、モノを減らすことだけが目的のミニマリストには向かないという訳をご紹介しました。
物を持たない事だけがミニマリストではないと考えると、一概に田舎暮らしが向くかどうかは言えないかもしれませんが、田舎暮らしでは物が必然的に増えてしまうので、都会に比べミニマリスト生活がしにくいことは間違いないでしょう。
ただし、物は増えても心のゆとりは増えるので、そちらをお求めの方は田舎に暮らしてみるのもいいかもしれませんよ?
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