日本には数多くの種類のアリが生息していますが、その中でも特に大型なのが「ムネアカオオアリ」という蟻です。
家の中に侵入する事の多い種類の1つで、体の一部が赤く毒々しく大型であるために問題になりやすく、存在を不安に感じる方も多くいらっしゃるようです。
春になり暖かくなってから我が家にも侵入してくるようになり、すでに何匹か捕獲しました。
※私が室内で捕獲したムネアカオオアリ
ヒアリ(火蟻)が国内で発見されてから体が赤い蟻について気になる人も多いと思いますので、今回は具体的にムネアカオオアリの駆除方法や生態的特徴について解説したいと思います。
※ムネアカオオアリ以外のクロアリの種類や駆除方法についての総まとめは下記の記事で詳しく書いています。
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【画像あり】胴体が赤い大きいアリは「ムネアカオオアリ」の可能性
※画像:OpenCage
- 和名:ムネアカオオアリ 漢字:胸赤大蟻
- 学名:Camponotus obscuripes
- 階級:ハチ目アリ科オオアリ属
- 生息範囲:北海道・本州・四国・九州
- 活動時期:5~10月
- 体長:働き蟻は1cm前後、女王蟻は1.5~1.7cm程度
- 特徴①:群れでは行動せず、単独で餌を求めて移動する
- 特徴②:胴体と腹部の一部が赤い
- 特徴③:湿った枯れ木に営巣する
ムネアカオオアリは、クロオオアリと並んで日本で最大のアリのひとつに数えられます。
胴体の赤みは野外ではあまり見かけることの無い色のためとても目立ち、毒々しさを際立たせています。
基本的には、野外の朽ちた木材などが置いている場所や、枯れ木の隙間などに巣を作って繁殖しますが、ごくまれに家の建材に営巣することがあり問題となります。
単独で行動することが多いので、どこから侵入してきたのか見つけることが難しく、室内に巣を作っている場合でも見逃してしまう事が多いのが厄介なポイントです。
【害と毒性の有無】ムネアカオオアリは刺したり噛んだりする?
※画像:wikimedia
ムネアカオオアリは、その赤い体の色や大きさから毒を持っているのではないかと考える人が多いのですが、お尻に毒針は無いので刺される心配はありません。
ただし、大きく発達した顎で噛まれることがあり、かなり痛いので素手で触るのはやめておいた方が良いかもしれません。
特徴から見るムネアカオオアリ駆除のポイント
ムネアカオオアリの特性を知ることで効率的に駆除することができます。
・単独行動をするので巣の場所がわかりにくい
・枯れ木に営巣するが、室内の建材に巣を作ることもある
室内でムネアカオオアリを見かけた場合は、外部の巣から室内に入ってきているのか、室内に営巣されてしまっているのかを見極める必要があります。
列を作って群れで行動する種であれば巣の場所がわかりやすいのですが、単独で行動するムネアカオオアリは巣の場所を見つけにくいのが難点です。
また、食性が「糖類」でアブラムシの甘露を吸おうと植物に群がるため、アリの巣コロリのような粒状の毒餌は効きにくい傾向にあります。
アブラムシの蜜のような液状orジェル状のタイプの殺虫剤の方が、ムネアカオオアリの食性に合っているので効果が高いのです。
ムネアカオオアリに効果的な殺虫剤
アリメツ
主成分は「水・糖蜜・ホウ酸」で、ジェル状の殺虫剤のタイプです。
アリメツの特徴は「即効性がないこと」
餌を求めて侵入してきた蟻がアリメツを発見し、巣に持ち帰り仲間の蟻を呼んで来るようになります。
アリメツは即効性がなく、効果が出るまで4~10時間かかるので、何も知らずに巣に持ち帰って仲間の蟻が食べた後24時間以内に完全に死滅します。
蟻がアリメツを吸食すると、蟻体内の蟻酸を固めることで駆除することができます。
ムネアカオオアリを見かけた場所の周囲に、トレイなどにアリメツを入れて置いておくと、勝手に素に持ち帰って死滅してくれるので、巣の場所を見つけにくいこの蟻でも効果的に駆除することができるのでお勧めです。
シャットアウトSE
シャットアウトSEは、散布しても舞い散りにくい特性を持った「重質粉剤」と呼ばれる比重の重い粉でできた殺虫剤です。
殺虫成分は「エトフェンプロックス」と「カルバリル」で、人畜への安全性の高い薬剤とされています(※ただし、使用には手袋やマスクは必須で吸い込まないように注意が必要)
ムネアカオオアリの巣が室外にあることがわかっていて、どこからか侵入してくるという場合にはシャットアウトSEが効果的でしょう。
また、ムネアカオオアリ以外にも、ダンゴムシ、ヤスデ、ゲジゲジ、フナムシ、ダンゴムシなどへの駆除効果があり、這って室内へ侵入してくる虫に広い効果を持ちます。
効果の持続時間は晴れの日が続けば約2か月ほど、雨が続くと効果が減弱してしまうので、長雨が上がったらすぐご自宅の周囲に散布すると良いでしょう。
3kg入りで150mの距離に散布できます。
※使用時には必ず注意書きをよく読んでからご利用ください。
まとめ
・家の中に巣を作ることもあるが、場所を見つけにくい
・粒剤タイプの殺虫剤(アリの巣コロリ)の効き目は薄いので、アリメツがおすすめ
ムネアカオオアリはその見た目からヒアリと間違われたり、毒があるのではないかと思われがちですが、顎が強く噛まれたら痛いこと以外は底まで害のない蟻です。
しかし、室内に侵入されるのはあまり気持ちが良いものではないので、アリメツなどのジェル状の駆除剤でお引き取り願いましょう。
また、数いる蟻の種類の中でも特に育てやすく飼育に向いているので、女王蟻を見かけたら蟻の飼育ケースなどで育ててみると面白いかもしれませんよ!