こんにちは、田舎センセイです。
暖かくなると意外と多いのが「クロアリ」による室内侵入被害。
ゴキブリやダニなどの衛生害虫などに比べて「たかがアリ」と侮っていると意外と駆除に苦労してしまうので注意が必要なのですが、何を隠そう我が家も田舎に自宅があるので毎年のようにアリの侵入に頭を悩ませています。
特に畑もあり周囲を山に囲まれている我が家の周辺に生息するアリの種類は都会に比べて多く、それぞれのアリに適した駆除方法を用いないとうまく効果を発揮してくれないので、色々と調べているうちにアリの駆除に詳しくなりました。
本記事では、室内に侵入することの多いアリについて、蟻の生態や特長を元に効果的に駆除するための方法とおすすめのアリ用殺虫剤をご紹介します!
Contents
我が家の室内に侵入してきたクロアリを発見!
先日、洗面所で歯を磨こうとしたところ、かなり小さめ2~3mmのクロアリが大量に室内に侵入してきているのを発見しました。
アリの侵入か所は洗面台横の隙間や窓のサッシの隙間からで、壁の間に営巣されているのか外部から侵入してきているのかの区別がつきにくく、少なくとも100匹以上が入りこんでいました。
※おそらく「ルリアリ」と思われる
毎年春になると同じ場所から侵入を許していたので、もうこんな季節かと思いながら対策を講じることにしました。
我が家同様にクロアリの侵入に悩んでいる場合でも、蟻の種類が違う場合は対策も異なるので、クロアリを退治する時に考えるべきポイントを簡単にご紹介します。
室内に侵入してくるクロアリを退治する方法と手順
クロアリを発見したら・・・
アリの種類(巣の場所・食性)を同定しよう!!!!
アリを駆除する時のポイントは「アリ自身に巣穴にまで毒餌(ベイト)を運んでもらって、連鎖反応で巣の中のアリを一網打尽にする」ということ。
既に室内に大量に入りこんできていたり、営巣場所が明確に分かっている場合はスプレータイプのエアゾール剤で良いですが、多くの場合が外部からの侵入や見えない場所に巣を作っていてどこで増えているのかわからないので、アリ自身に殺虫剤を運んでもらうのが効果的です。
そのためにも、蟻の食性や特徴を見極めて、適切な場所に殺虫剤をセットすることが大切になってきます。
巣の場所を見分ける重要性
まず「屋内に営巣するタイプ」か「屋外に営巣するタイプ」かを見分けましょう。
家の壁面や隙間などに営巣するタイプのアリは、目の前のアリに対してスプレー剤などで対処しても根本的な解決にはならず、伝播性のある毒餌(ベイト)を巣まで運ばせて根絶する必要があります。
一方で、屋外に営巣していてたまたま室内に侵入してきた蟻に対しては、侵入してきた蟻を排除した後に、屋外の巣がありそうな場所に薬剤散布を行って根絶します。この際、散布する場所によって液体や粉剤などの剤形を用途によって選ぶことができます。また、再度侵入されないように侵入か所をパテなどで埋める作業も必要になります。
食性を見分ける重要性
アリと聞けば「甘いものが好き」と思いがちですが、蟻には「糖分を好む吸蜜性のアリ」と、「動物性たんぱく質を好むアリ」、「糖質も動物性たんぱく質も両方食べる雑食性のアリ」の3種類がいます。
アリの食性を見分ける重要性としては、ベイトと呼ばれる毒餌を用意する時に、吸蜜性のアリに対して顆粒状の毒餌を用意しても効果が薄く、逆に雑食性のアリにゼリー状の薬剤を用意しても効果が薄いという注意点があります。
自宅に出入りしているアリが「吸蜜性」なのか「動物性たんぱく質食性」なのかは、毒餌を仕掛けるうえで重要なポイントになるわけですね。
サイズによる見分け方はあくまでも目安であって絶対そうというわけではありません。
元々は屋外に営巣する種類で、室内に餌を求めて侵入してくるタイプには雑食性のアリが多いと言われています。
最近では、雑食性にも吸蜜性にも効果のある殺虫剤も販売されているので、そこまで確実に見分けられなくても対処はしやすくなっていますので安心してくださいね。
室内侵入被害の多いアリの種類と特徴一覧
室内に侵入してくるアリの中で、多くを占めるのが以下のアリたちです。
・ルリアリ
・サクラアリ
・イエヒメアリ
・クロオオアリ
・ムネアカオオアリ
・アルゼンチンアリ
アリの種類 | 食性 | 営巣 |
トビイロケアリ | 糖類 | 両方 |
ルリアリ | 動蛋 | 両方 |
サクラアリ | 雑食 | 屋外 |
イエヒメアリ | 雑食 | 屋内 |
クロオオアリ | 雑食 | 屋外 |
ムネアカオオアリ | 糖類 | 両方 |
アルゼンチンアリ | 雑食 | 両方 |
上記の中でも、室内で大量発生して問題になりやすいのが「トビイロケアリ」と「イエヒメアリ」です。
それぞれの性質と特徴を簡単にご紹介します。
イエヒメアリ
※画像:wikimedia
イエヒメアリは、室内の壁紙の裏や家具の隙間などに営巣することが多く、繁殖力も旺盛で問題に上がるアリの代表的なヤツです。
色が少し黄色っぽいのと体長が2~2.5mmと小さいので見分けがつきやすいですが、巣の場所を見つけるのが難しく駆除がしにくいアリです。
雑食性、攻撃的なので素手で触ると噛まれることもあるので注意が必要です。
トビイロケアリ
※画像:wikmedia
室内で黒くてやや大きめ(3mm程度)のアリを見かけたら「トビイロケアリ」の可能性をまず疑いましょう。
どちらかというと屋外の地面や枯れ木の中にいることが多いのですが、家の建材なんかにも営巣することがあり、繁殖力が高いので大発生してしまうことがあります。
植物につくアブラムシの甘露をすする吸蜜性のアリなので、ベイトは吸蜜性のアリに効果的なジェル状の商品を選ぶと良いでしょう。
ルリアリ
我が家でも大量発生したこの「ルリアリ」は、2mm程度と小さいのですがかなり肉食性が強く、動物性たんぱく質を好んで食べる種類のアリです。
機械のグリス(潤滑油)なども好んで食べるので、機械類に群がってたらこいつの可能性がかなり高いです。
屋外にいることが多いのですが、長雨の時期に雨を避けて室内に入ってくることがあるのでしばしば問題になります。
クロオオアリ
日本に生息していて見かけることの多いアリの中でも最も大型(7mm~12mm)なのが「クロオオアリ」です。
この写真は我が家の外で捕獲した個体ですが、基本的には野外の乾燥した土壌に穴を掘って営巣し、表面にアリが運び出した土が盛り上がるので容易に巣の場所を見つけることができます。
室内でこの蟻を見かけた場合は迷い込んだだけである可能性が高く、侵入される頻度が多い場合は毒餌や侵入経路のコーキング(隙間埋め)で対処すれば駆除はさほど難しくないと思います。
我が家の庭にはかなり多くのクロオオアリの巣を見かけますが、侵入してくるのは稀です。
ムネアカオオアリ
過去に我が家にも侵入被害があったのが「ムネアカオオアリ」という、クロオオアリに匹敵する大型種で、胴体と腹部にかけて赤いのが特徴なので見分けるのは容易なアリです。
家の周囲に放置して朽ちた木材や湿った建材などに穴を開けて営巣するので、比較的室内でも見かけることが多い大型のアリの代表格。
吸蜜性なのですが、我が家で駆除した時は雑食用のベイトでも効果あったので、雑食性でもあるのかもしれません。
アルゼンチンアリ
※画像:wikipedia
アルゼンチンアリは世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されているアリで、攻撃性と繁殖力が強く、日本の在来種のアリも駆逐してしまうほど凶暴なアリです。
サイズは2.5mmほどとさほど大きくはありません。
現在では日本の本州南部で生息が確認されていますが、その生息範囲も徐々に広がっているので、まだ発見されていない地域にもいる可能性はゼロではないと思います。
他の虫を捕食するだけでなく、アブラムシの甘露を啜ってテントウムシなどの外敵から守る雑食性のアリでもあるので、農業害虫としても脅威になっています。
室内にも営巣することがあり、お菓子などに群がったりもします。
クロアリの駆除剤の種類と特徴|殺虫剤の選び方
クロアリの殺虫剤の剤形には大きく分けて下記の4種類があります。
2.液剤 :噴霧器で目の前のアリに遅効性&伝播性の薬剤を吹きかけ根絶させる
3.エアゾール剤 :速効性のある薬剤を噴霧して目の前のアリを駆除する
4.粉剤・粒剤 :屋外のアリの通り道に散布して侵入防止、または接触させて効果を発揮
食毒剤(ベイト)の特徴/メリット&デメリット
クロアリ駆除の最も基本になる駆除剤が「食毒剤(ベイト)」を使った方法です。
クロアリの根絶には巣の中にいる女王蟻を含むアリたちを元から断たなくてはいけないのですが、ベイトは遅効性薬剤で薬剤をくわえたアリはすぐには死なず、アリ自身が餌と勘違いして巣に運んでくれるため巣の場所を把握していなくても駆除することができるのがメリットです。
デメリットは、前述のようにアリの食性やアリの通り道を知っていないと効果的な駆除が行えないという点や、子供・ペットの誤飲事故のリスクです。
食毒剤には様々な商品がありますが、「蟻の食性などとマッチしておらず、設置しても効果があまり出なかった」などのケースも起こりえます。
様々な種類のアリに効果がある業務用の高価な食毒剤もありますが、ドラッグストアなどにある商品で駆除する場合は、できるだけアリの種類を同定していた方が駆除効率も高くなると思います。
液剤の特徴/メリット&デメリット
液剤は噴霧器やスプレーボトルなどで希釈液をアリに吹きかけるタイプの薬剤です。
このタイプの商品は、アリの「仲間同士で体をなめ合う習性」を利用しています。吹きかけた遅効性の薬剤が巣の中でお互いをなめ合ったアリに薬効が伝播することで効果を発揮します。
エアゾール剤とは違い速効性が無く、吹きかけてもその場でアリを殺すことは出来ないのですが、蟻の種類を同定できずなかなか食毒剤(ベイト)を運んでくれないときに、アリ自身を薬剤まみれにして巣内に戻ってもらうことが可能です。
デメリットは、希釈液を作る手間がかかるのと、室内で噴霧しにくいという点です。
また、商品自体も少量の物がなく、一個人が使う分量としては多すぎ&高価な商品しかない事もデメリットと言えるでしょう。
エアゾール剤の特徴/メリット&デメリット
エアゾール剤は、いわゆるスプレー缶タイプの殺虫剤です。
一番のメリットは即効性があって、目の前にいるアリをその場ですぐに駆除できる点と、蟻の種類に関わらず駆除効果が高いという点。
一方で、デメリットは「伝播性が無く、巣の中のアリに対する駆除効果はない」という点で、偶然室内に迷い込んだ少数のアリの駆除には良いですが、大元を根絶するにはエアゾール剤だけでは不十分です。
侵入してきた蟻をとりあえず一網打尽にしたい場合には一番効果的な方法ですね。
粉剤・粒剤の特徴/メリット&デメリット
粉剤・粒剤は、家の周囲のアリの通り道や侵入経路になりそうなところに散布することで効果を発揮する薬剤です。
粉剤等のメリットは「侵入防止」と「粉剤や粒剤に接触することで、お互いをなめ合う蟻の習性を利用して駆除する」ということが可能な点です。
粉剤は遅効性の薬剤がほとんどで、粉に触れたアリが体に薬剤をつけたまま巣内に戻ることで巣内の他のアリにも効果を発揮します。
デメリットは、雨や風などで粉剤が濡れてしまうと効果が減弱してしまい再度散布する必要がある点と室内に営巣するタイプのアリには使いにくいという点です。
アリの特性に合わせたおすすめの駆除剤&殺虫剤
クロアリ駆除におすすめの「食毒剤(ベイト)」
アリメツ|吸蜜性のアリにおすすめ
アリメツは吸蜜性のアリに効果があるジェル状のベイトです。
主成分は糖分とホウ酸で、専用容器が同封されているのでそこにアリメツを垂らして、蟻の巣や通り道においておけばOKです。
我が家では吸蜜性のムネアカオオアリを駆除する時に使いましたがしっかりと駆除できました。
アリメツに関しては我が家でも小さいタイプのアリが大量発生したときによく使いますが、実際に使用した様子を下の記事でレビューしていますので併せてご覧ください。
スーパーアリの巣コロリ|安価で多様な種類のアリに適応
スーパーアリの巣コロリは、粒状ベイトとゼリー状ベイトがセットになったタイプで、黒みつベイトもセットになっているので、吸蜜性のアリから雑食性のアリまで幅広く効果を発揮します。
ドラッグストアなどでも売っているので手に入れやすいですし、さほどアリの発生量が多くない段階で、アリの通り道がわかっている場合はこの商品でも十分駆除できると思います。
我が家に発生した「ルリアリ」は動物性たんぱく質を好んで食べるアリですが、このアリの巣コロリをせっせと運んでいましたし、設置から3日後にはアリの姿は全く見かけなくなりました。
アリキックベイト|業者が扱う業務用のアリ用ベイト
アリキックベイトはアリ駆除業者が使う業務用のベイトです。
ネオニコチノイド系の殺虫成分がメインで、アリの致死性は高いのですが人毒性や水生動物への毒性は低いのが特徴です。
イエヒメアリや駆除しにくいアルゼンチンアリなどにも効果があるので、上でご紹介したアリメツやアリの巣コロリをすでに試したけど、どれも効果が薄かったという人にオススメの薬剤です。
ベイト剤の最終手段的に業者が使う高価な駆除剤を選ぶとなれば、これがおすすめです。
クロアリ駆除におすすめの「液剤」
Hohtoトラスト
Hohtoトラストは、アリだけではなくムカデやダンゴムシなどにも効果を発揮する殺虫剤です。
噴霧器などに希釈液を入れて、アリ本体や通路に散布することで、薬剤に触れたアリが巣穴に帰った後に、伝播性の効果を発揮して一網打尽にします。
薬剤自体は高価ですが、希釈して使う事を考えれば使い捨ての商品などに比べて実は割安だったりします。
安全性は普通物。人毒性、動物毒性、水生生物毒性のいずれも低いのが特徴で、においもほとんどせず無着色なのでシミにもなり難いのでおすすめです。
クロアリ駆除におすすめの「粉剤・粒剤」
シャットアウトSE
シャットアウトSEは、散布しても舞い散りにくい特性を持った「重質粉剤」と呼ばれる比重の重い粉でできた殺虫剤です。
殺虫成分は「エトフェンプロックス」と「カルバリル」で、人畜への安全性の高い薬剤とされています(※ただし、使用には手袋やマスクは必須で吸い込まないように注意が必要)
アリ以外にも、ダンゴムシ、ヤスデ、ゲジゲジ、フナムシ、ダンゴムシ、ムカデなどへの駆除効果があり、這って室内へ侵入してくる虫に広い効果を持ちます。
効果の持続時間は晴れの日が続けば約2か月ほど、雨が続くと効果が減弱してしまうので、長雨が上がったらすぐご自宅の周囲に散布すると良いでしょう。(※3kg入りで150mの距離に散布できます。)
まとめ
室内にクロアリが侵入してきたときの対処法について順を追って解説してきましたが、長くなったので最後にもう一度簡単にまとめたいと思います。
1.アリの種類(営巣場所・食性)を同定する
2.食性に合わせたベイトを用いて巣の中のアリごと一網打尽にする
3.ベイトを食べない(持ち運ばない)場合は、液剤や粉剤も検討する
4.目の前のアリを駆除したい場合はエアゾール剤を使う
上記のような流れになると思います。
駆除を安価に済ませたい場合は、できるだけアリの種類を見極めて食性を判断し、ドラッグストアなどで売っている「食毒剤(ベイト)」の中から、侵入してきた蟻の食性に合わせた商品を選ぶようにしましょう。
アリ以外にも、ゲジゲジやムカデなどの侵入にも悩んでいる方は、最初からシャットアウトSEなどの粉剤を使っても良いかもしれません。ただし、家の周囲を囲むように散布するので、持ち家でない場合は使用が難しいことがあるので注意しましょう。