本来は温暖な乾燥地帯に自生している多肉植物や塊根植物(コーデックス)等を日本で育てようとすると、「いかに冬を越すか」が悩ましいポイントになります。
そんな時に自宅で使える温室があれば、年中温暖な環境で大切な植物たちを育ててあげることができるのですが、「温室 通販」などで検索をすると、屋外に置くビニールタイプの物や大型のものばかりで、室内用の小型のものはあまり多くありません。
私自身も趣味の塊根植物を育てるための温室を探していたのですが、全く見つからなかったので、「それならば自分で作ってしまおう!」と思い立ってDIYで室内用小型温室を作成しました。
今回は、室内で育てる「サボテン」「多肉植物」「塊根植物(コーデックス)」用の小型温室を、主に100均の材料を使って自作する方法をご紹介します。
今回作り方をご紹介する温室はコレ!
今回作り方をご紹介する自作温室はこちらです。
私が趣味の塊根植物を入れるようにと自作した温室ですので、背丈があまり大きくならない植物用の大きさですが、制作工程を見ながら応用してサイズを変更することも可能だと思います。
〇サイズ:幅57cm X 高さ(奥48cm/手前33cm) X 奥行28cm
〇耐荷重:20kg(4つのキャスターの耐荷重がそれぞれ5kgのため)
〇備考:ヒーターの利用により温度調節が可能
温室の制作で私が重視したのが、
・100均の材料が安っぽく見えないように塗装をすること
・キャスターを付けて移動できるようにすること
・小型ヒーターとサーモを使って温室内の温度をコントロールできるようにすること
の上記3点です。
では、次に用意する材料についてご紹介しましょう!
自作温室の材料
- ウッドフレームシンプル 四つ切写真 × 8枚
- Bronze Home nail 約70P(釘のセット) × 2個
- 蝶番 22mm 6P 古色仕上げ × 1個
- CASTER DIYキャスター30mm(2P) × 1個
- ミニステー 19×24mm 4P 古色仕上げ × 1個
- Therm Hygrometer MINI × 1個
- 板材(B-5) 400×9×150mm × 3枚
- 板材(B-9) 600×6×120mm × 1枚
- MDF材 300×600×6mm × 1枚
※①~⑥はセリアで購入、⑦~⑨はDaisoで購入
※⑨のみ200円商品
まずお伝えしておかなくてはいけないのが、温室の外観の材料となる物は100均で購入していますが、下記については100均以外で購入した物になりますので注意してください。
・オイルステイン
・タッカー
・8mmのタッピンねじ(ホームセンター)
・接着剤
・金槌やノコギリ等の工具
今回の温室DIYでは、セリアとDaisoの2つの100均の商品を使っています。
理由は、単にセリアに行った時に⑦~⑨の板材を購入し忘れたので、近所のDaisoで板を追加購入しただけなので、セリアに同じようなサイズの商品があるならそれでも代用は可能だと思います。(※代用品購入時にはサイズに十分に注意してください)
100均で購入したものについては、19点(1つDaisoのMDF材は200円)で合計2000円です。
100均以外で購入したものの中に、8mmのタッピンネジ(95円)がありますが、セリアで購入したキャスターには付属のネジが無いので別途購入しました。
では、それぞれの材料について簡単に紹介します。
各材料の紹介
ウッドフレームシンプル 四つ切写真
今回の温室のメイン素材がセリアの「ウッドフレームシンプル四切写真」です。
フォトフレームとしては大型のサイズで、木枠も塗装することを考えてシンプルなセリアのこの商品を選びました。
購入時には、商品によっては陳列時のゆがみなどがあってフレームが若干曲がっているものもありますので、できるだけ真っすぐなものを購入するようにしましょう。
透明なカバーはガラスではなくアクリルです。
想像よりも薄かったので心配しましたが、のちに木枠に接着剤で固定するとしっかりと張りが出るので問題ありません。
Bronze Home nail 約70P(釘のセット)
今回はわかりやすく釘なども100均でそろえるためにセリアの「Bronze Home Nail」の釘セットを購入しましたが、使用する釘のサイズは1番小さいもの(17mm)と2番目に小さいもの(25mm)の2種類だけです。
曲がらずに真っすぐ打つことに自信があれば購入するのは1つでも良いかもしれませんが、案の定私は何本か打ち損じて曲げてしまったので2箱購入しておいてよかったです。
もしお近くにホームセンターがある場合は、この2つのサイズのみを購入するのでも良いかもしれません。
蝶番 22mm 6P 古色仕上げ
天板になるフレームを固定するための蝶番もセリアで購入しました。
CASTER DIYキャスター30mm(2P)
キャスターもセリアで購入。
耐荷重がキャスターひとつにつき5kgなので、4つ使えば20kgまで耐えられます。
もし重い鉢を入れたいなど20㎏を超えそうな場合は、6つ取り付けることで対策できるでしょう。(私は4つで十分なので2パック購入)
ミニステー 19×24mm 4P 古色仕上げ
温室の中に中板を1枚渡したかったので、固定するためのミニステーもセリアで購入。
釘だけで固定することも可能ではありますが、耐久性を考えて購入することにしました。
※写真は使用後なので1つしか袋に入っていませんが、ネジも付属して4つで1パックになって販売しています。
Therm Hygrometer MINI
温室内の環境管理に必要なのが「温湿度計」です。
こちらもセリアで購入しましたが、わざわざ温湿度計使わないよって人は別に購入しなくても良いかもしれません。
板材(3種類)
使用前の写真を撮り忘れてしまったので塗装後の画像で申し訳ありませんが、フォトフレームでカバーできない部分と底板に関しては、Daisoの板材を使っています。
最初の写真(写真上・左)の、長い方が⑧番の板材で、温室の中板に使用しています。
もし、温室の中に中板は不要という人は購入しなくていいでしょう。
一方で、短い方の板は⑦番の板材で、斜めに設置する天板周囲の部分に使います。
最後に(写真下・右)は、MDF材(繊維をからませて板状にした合板)は底板に使用しています。
これらの板材についても、できるだけ100均のもので済ませる目的で選んでいますので、温室の壁面として使うためにのこぎりで切断したり、板材同士を貼り合わせたりする作業が発生してしまいます。
もし一枚板で作りたい場合は、ホームセンターなどで購入するようにしましょう。
使用した工具やその他の材料について
メタルタッカー
今回のDIYでとても重宝したのがこのメタルタッカーです。
取っ手を握ると大きなホチキスの針が発射される工具で、木枠などを固定するのに使えるのですが、100均のウッドフレームのようにあまり強度が無く、幅が狭くて釘を打ちにくい木材の固定に向いています。
使わなくても接着剤と釘があれば温室の作成には困りませんが、瞬時に固定ができるので作業の効率と温室の強度が一気に上がります。
さほど高くないので、一つあると色々なシーンで使えるのでお勧めです。
ウッドステイン「ウッドランドブラウン」
100均のフレームはそのまま使うと少々安っぽい印象になってしまうのが欠点なので、今回はターナーの水性ウッドステインを使って塗装しました。
色はウッドランドブラウン
塗装する木材の量が中々多いので、小型のボトルであれば2本分あれば十分かと思いますが、今後も他のDIYで使う可能性があるのであれば1リットルを購入してしまっても良いかもしれません。
ウッドランドブラウンは落ち着いたアンティーク調の色合いになるので、しっかり塗装すれば100均のフォトフレームにはとても見えない仕上がりになります。
下で紹介しています「ビンテージ塗装と汚しのテクニック」という本で実例紹介されていたので愛用していますが、他にも様々な塗料やアンティーク加工の方法が載っているのでお勧めの本です。
温室のDIY開始しよう!作成の手順と作り方
1.フォトフレームの金具を全て取り外す
最初に四切りのフォトフレームについている金具と厚紙を取り除いて、フレームとアクリル板に分けます。
アクリル板はあとでフレームに固定させるので、この時点ではとにかくどこかにまとめて置いておきましょう。
2.木材を必要な大きさに切る
塗装をする前に全ての木材のパーツを用意してしまった方が効率が良いので、Daisoで購入した⑦と⑧の板材を切断します。(※最初に切断してしまうと微妙なずれが心配な方は、最初にすべて塗装をしてしまって組み立てながら切断をしても良いでしょう。今回の場合で言えば、工程6の前に切断すると良いかもしれません)
切断した板材は上記のイラストの個所に使います。
基本的には四つ切のフレームを組んだ上に乗せるので、しっかりと一片の長さを測って切断すれば大きくずれることはないと思います。
注意点としては、板には厚みがあるので板を重ね合わせる方向を間違えると、いざフレームと組み合わせようとしたときに間違いに気づくことがあるので、その点さえ注意すれば最初に切断して大丈夫でしょう。
3.木材を全て塗装する
購入したままの色は割りばしのような安っぽい色なので、私はウッドランドブラウンという色のウッドステインで塗装をしました。
※この工程は、100均の素材のままの色で良い方は不要です。
4.フォトフレームに接着剤を使ってアクリル板を固定する
塗装が乾いたら、外しておいたアクリル板を接着剤でフレームに固定します。
木材とプラの接着が可能な接着剤を使って剥がれ落ちないように気を付けましょう。
5.フォトフレームを固定していく
アクリル板の接着が終わったらいよいよフレームを固定していきます。
次の工程で中板を取り付けるので、4面全て釘で打ち付けてしまうのではなく、正面にあたる1面を固定せずにおけば次の作業がやりやすくなります。
まずは両サイドと背面にあたるフレームを固定していきましょう!
6.中板を渡してミニステーと釘で固定する
上の画像は、フォトフレームの上下を逆さまにして中板の裏を見ているような状態です。
このミニステーを固定して上下をひっくり返すと、下の画像のようになります。
ミニステーのみでは耐荷重が不安なので、フレームの外側からくぎを打って固定してしまえば安心でしょう。
また、上の画像の中板の一部に穴があけてあるのは、サーモのコードを通すためのものなので、温室でヒーターを使う事を考えている方はプラグが通るサイズの穴を予め空けておくようにしましょう。
7.背板と横の直角三角形の板を固定する
工程2で切断した板材を釘で打ち付けて固定していきます。
予め切断しておけば組み立てるだけで良いですが、フレームに合わせて確認しながら組み立てる場合は、この段階で板材を切断して組み立てましょう。
7.背板と天板を蝶番で留める
ひとつ前の項目で組み立てた背板を土台のフレームに固定したら、天板を付けるための蝶番を付けます。
今回の温室では、天板が二枚並んでいる形にしていますので、それぞれの天板につき2つの蝶番を付けるようにします。
8.フレームと底板を固定する
底板とフレームの土台は、まず瞬間接着剤などで固定してからひっくり返し、裏面から釘を打って固定していきます。
中板にもサーモのプラグを通す穴を一部あけていましたが、プラグを外に出したいので底板にも穴をあけています。
左側の大きめの穴はサーモのプラグを通すための穴で、右の小さめの穴はパネルヒーターのプラグを通すための穴です。
サーモとヒーターで別々のプラグがあるので、それに合わせて2つ穴をあけるようにしましょう。
9.キャスターを付ける
組み立ての最終工程はキャスターの取り付けです。
キャスターひとつにつき耐荷重が5㎏なので、沢山鉢を入れる予定の方はキャスターを6つ付けても良いかもしれません。
10.パネルヒーター、サーモ、温湿度計を設置して完成
組み立て終わったらヒーターとグリーンサーモ、温湿度計を設置して完了です。
ヒーターとサーモの位置関係は、直接熱がサーモにあたらないように対角線上に置くようにしましょう。
追加で工夫するとすれば、天窓に取っ手を付けたり、天窓を空けたままにできるようにストッパーを設置するなどをしても良いかもしれません。
温室で使える小型ヒーターのおすすめ
パネルヒーター NS-100
私が今回この温室づくりを行ったのは、塊根植物(コーデックス)の発芽と越冬が目的だったので、寒い東北に居ても冬が越せるように温室内に設置するパネルヒーターを購入しました。
このシリーズのパネルヒーターの中では最も出力の弱い100Wで、保温できるサイズの温室は「69cm×49cm×92cm」とされています。
今回ご紹介している温室はこれよりも一回り小さいサイズなので、この100Wのタイプで十分でしょう。
2.異常高温時にヒューズが停止する設計
3.動作音が全くしないので静か
園芸用ヒーターの選び方とおすすめ園芸用ヒーター|温室の大きさ別におすすめのヒーターを紹介します!
グリーンサーモ ZY-6A
グリーンサーモZY-6Aは園芸用のサーモスタットです。
パネルヒーターと併用することで温室内の温度を感知して希望の温度を保つようヒーターの温度をコントロールすることができます。
サーモスタットを使わずに温室内でヒーターを使うと、高温になり過ぎて植物が枯れてしまったり、アクリルパネルが変形してしまう可能性もあるので、必ず併用するようにしましょう。
安全性については、私が利用している限りでは、パネルヒーターの真上が最も温度が高くなっていたのと、ヒーターに直接触れていなければ一番近い距離にあったアクリルがほんのり温まる程度のパワーなので溶けるなどの心配はなさそうです(※グリーンサーモを利用して、30度設定の場合)
まとめ
今回ご紹介した「手作り温室」は、セリアやDaisoで材料を購入することで、2000円程度で温室を作ることが可能です。
ただ、ヒーターやサーモスタットの購入や、塗料や工具を全てゼロから集めるとなると、かなり高価な温室になってしまいます。
しかし、手作りした温室の中で大切な植物を育てるというのは、かなり贅沢だなと感じます。
冬越しのために温室を自作してみたい方は、是非参考にしてみてください。