こんにちは、田舎センセイです!
我が家は自給的農家として様々な作物を栽培していますが、最近ではようやく育ってきたジャガイモ畑がとある害虫に荒らされてしまいました。
オレンジ色の体に黒の斑点が沢山あり、まるで一回り大きいテントウムシのような見た目の虫「テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウ)」です。
本記事では、テントウムシダマシの食害の特徴と対策について、画像を交えて解説いたします。
Contents
テントウムシダマシとはどんな害虫?
日本に広く生息している草食のテントウムシである「ニジュウヤホシテントウ」や「オオニジュウヤホシテントウ」をまとめて「テントウムシダマシ」と呼ぶことが多いです。
上の画像は「オオニジュウヤホシテントウ」で、我が家のある宮城県県北のような気温の低い地域(関東以北)で多くみられ、「ニジュウヤホシテントウ」は関東以西などの気温の高い地域で見られます。見分けるのは難しいですが、生態は大体同じです。
名前の由来は体に28の黒い斑点があるからで、ナナホシテントウなどと同じ理由ですね。
一般的なテントウムシは肉食性でアブラムシを捕食することから益虫と考えられていますが、このテントウムシダマシは「草食性」で作物を食い散らかすので害虫扱いされることが多いです。
テントウムシダマシの発生のサイクル
テントウムシダマシが食害する作物と被害状況
ナス科の植物全般(ジャガイモ、ナス、ピーマン、トマト、唐辛子、ホオズキ等)
テントウムシダマシは「ナス科」の作物を食害する害虫として知られていて、その多くがジャガイモで発生し、近隣に植えている他のナス科の作物にも食害を及ぼすと言われています。
上の写真は我が家のジャガイモの葉ですが、見事に食い散らかされていますね。
テントウムシダマシによる食害痕は特徴的なのですぐに存在に気づくことができます。
テントウムシダマシの成虫の食害痕
テントウムシダマシの成虫に食害されると、葉や作物の表面が波状・網目模様に削り取られてしまいます。
こっちはジャガイモのそばに植えてあるナスの食害痕。葉でも作物でも同じような模様が出るのでわかりやすいですね。
それにしても綺麗に食べるなぁ。
テントウムシダマシの幼虫の画像と食害痕
我が家のジャガイモ畑をくまなく探してみると、テントウムシダマシの幼虫も発見することができました。
上の写真は幼虫の中でもやや成長した成熟幼虫ですが、生まれてさほど日がたっていない幼虫は下の写真のように黒い突起が小さくてトゲトゲしていません。
幼虫による食害痕は成虫のものほど規則正しくはないですね。
テントウムシダマシによる作物別の被害状況
上の写真は我が家の畑ですが、実はテントウムシダマシを防除するには「とっても悪い例」なんですね。
手前にジャガイモがあり、奥の黒マルチの左側から順に「ナス」「トマト」「キュウリ」と並んでいます。
なぜこの植え方が悪い例かというと、ウリ科のキュウリを含め、いずれもテントウムシダマシの大好物の作物ばかりが近接して植えられていて、手前のジャガイモで発生したテントウムシダマシが他の作物にも容易に被害を及ぼしかねない配置なんですね。
テントウムシダマシのことだけを言えば、これらの作物はお互いの距離がもう少し距離が離れていた方が被害は少なくて済むはずです。
ジャガイモの被害状況
見事に葉が穴だらけです。
ふらっと歩いて確認すると、1株に1~2匹のテントウムシダマシがついていたので、かなりの数がいることが容易に想像できます。
ナスの被害状況
ジャガイモの被害状況を100とすると、ナスは5くらいとあまり目立った被害はありませんが、中には上の写真のように食害を受けたものがいくつかありました。
ただ、明らかにジャガイモ畑から移ってきているのがわかるのが、ナスには1匹もテントウムシダマシの幼虫を見かけず、成虫も数分じっくり探して2匹見つけただけにとどまりました。
もしナスの近くにジャガイモを植えていなければ、そこまで被害が拡大することはないのだろうと推察します。
ナス科の植物が好物と言っても、ナス自体が発生源になることはあまり多くないのでしょう。
トマトやキュウリの被害状況
ナスの並びに植えられているトマトやキュウリに関しては、テントウムシダマシが好む作物と言われていますがほぼ食害は受けていないようでした。
ジャガイモの食害被害が100とすると、1あるかないかくらいでしょうか。成虫の姿は1匹も見つけることはありませんでした。
テントウムシダマシの予防と対策・駆除方法について
テントウムシダマシの被害を抑える予防策としては、下記のパターンが考えられます。
2.葉の裏の卵を見つけ次第手で摘み取る
3.幼虫・成虫も見つけ次第捕獲する
4.ワルナスビやイヌホオズキなどの雑草も繁殖源になるので刈り取る
一番確実な予防法は、発生数が少ないうちに卵や幼虫を捕殺してしまう事です。
テントウムシダマシはジャガイモの葉の裏に黄色い卵をまとめて産み付けるので、見つけ次第取り除くと効果的で、もし卵が孵って幼虫になっていても産み付けられた株周辺で集団行動をすることが多いので見つけ次第これも一網打尽にしてしまうと良いでしょう。
また、先ほども触れましたが我が家のようにジャガイモのそばに、ナスなどテントウムシダマシが好きな他の作物を植えてしまわないというのも大切です。
ジャガイモ以外にも、ワルナスビやイヌホオズキのようなナス科の雑草にもよく産卵・繁殖をするので、それらの雑草をしっかりと防除しておくというのも発生源を減らす上で大切になってきます。
そもそもテントウムシダマシは飛来害虫なので、近くの敷地に雑草が茂っていたり、近隣でジャガイモ栽培を行っていると避けるのは難しい害虫です。
自宅の圃場内で大量発生させないためには、せめてジャガイモ畑とそのほかの作物の距離をとるなり、トマトを防虫ネットや雨よけネットで覆うなどして飛来を防ぐ工夫をすると被害を少なくできると思います。
テントウムシダマシに米ぬかは効果があるのか?
テントウムシダマシの防除法として、ジャガイモの葉に米ぬかを振りかけるという方法がありますが、これは一定以上の効果がある方法と言われています。
ただ、懸念点としては米ぬかは「ネキリムシ」の好物でもあるので、別の害虫を引き寄せてしまう可能性も捨てきれません。
我が家ではネキリムシも確認しているので使えない方法ですが、無農薬で対策を講じたい方には一つの選択肢となりえると思います。
テントウムシダマシの駆除に効果的な薬剤
テントウムシダマシの駆除に効果的な薬剤としては「パイベニカVスプレー」や「スミチオン」が挙げられます。
パイベニカVスプレーは、ピレトリンを有効成分とする原液タイプのスプレー剤で、薄めることなく散布することができ、速効性があるので使いやすい薬剤です。
殺虫剤なのでテントウムシダマシが発生した場所に散布します。
適用害虫にテントウムシダマシ類があるのですが、適用作物に関しては「なす」のみでジャガイモはありません。ジャガイモのテントウムシダマシに使いたい場合は次のスミチオンを選びましょう。
スミチオンは、農業や園芸をやっている方ならよく目にする薬剤です。
じゃがいものテントウムシダマシ類に適用があるので使用することができます。
注意点としてはアブラナ科の作物、さといもなどには薬害を生じることがあるので、付近にある場合は散布液がかからないように注意しましょう。
テントウムシダマシに対する木酢液の使用について
テントウムシダマシに効果的な駆除方法として、農薬を避けたいと考える方が「木酢液」を使おうと思うと相談されるケースがあるのですが、木酢液自体は登録が失効している農薬なのでかえって使わない方がいいです。
上でご紹介した薬剤を決められた回数と濃度を守って散布した方が、よっぽど安全性も高いと思います。
まとめ
テントウムシダマシは農業や園芸をやっていると比較的よく見かける害虫なのですが、ジャガイモ・ナス・トマトなどに付くことから一般家庭でも目にしやすい虫です。
「オレンジ色のテントウムシのような虫」は、アブラムシを食べてくれる益虫ではなく、育てている作物を食害する害虫であることを知ると、大切な作物が被害を受ける前に対策ができると思います。
大発生してしまう前に、この虫を見つけたら駆除をしてしまいましょう!