トベラは、道路の植え込みや公園樹として植えられることの多い低木で、野生種は海岸線沿いに自生する事が多い植物です。
トベラと言えば「におい」と「赤い実」が特徴的。
トベラの特徴と匂いにまつわる使われ方について詳しくご紹介します。
トベラとはどんな植物?
- 和名:トベラ(扉)
- 英名:Japanese Cheesewood
- 学名:Pittosporum tobira
- 階級:トベラ科トベラ属
- 分類:常緑低木
- 分布:東北地方南部以南の海岸
- 形態:細長い卵型の葉は光沢があり互生。樹高は2~3mだが、大きいものでは5mを超えることもある
- 特徴①:春~初夏(4~6月)に芳香のある白い(クリーム色に近い)花を咲かせる
- 特徴②:潮風に強く海岸線に咲くことが多い
- 特徴③:秋に実が3つに割れ、粘着質の赤い種を出す
乾燥や潮風に強く、光沢のある濃い緑色の葉をつけることから、街路樹などに使われる事が多い植物です。細長い卵型の葉は、裏側に少し湾曲するのが特徴。
クリーム色の花はいい香りがするので、庭木としても楽しめます。
トベラの実は食べられる?
トベラの実は秋になると、三つに裂けて真っ赤な種を露出させます。
トベラの実の中には粘着質の赤い種子が詰まっていて、無味無臭で美味しくありません。
トベラの赤い種子はヒヨドリなどが食べることがありますが、無味無臭のためにあまり好んで食べられることはないので、鳥の餌となって運ばれることよりも、その粘着性を活かして鳥の体にくっつき、種子を遠方に運んでもらう事の方が多いようです。
トベラの名前の由来は?
トベラの名前は「扉(とびら)」に由来します。
トベラの枝葉は、やや臭い独特なにおいをしており、節分の時にオニ除けとして扉に挟む風習があった事からこの名前が付きました。
節分の風習は地域によって異なりますが、一般的なのは「柊鰯」ですよね。
柊が用いられるのは、とげとげとした葉っぱを嫌がるからという理由だそうですが、このトベラもオニが嫌がるものとして使われていました。
オニが嫌うのは、トベラの独特な臭いという説もありますし、トベラを火にくべた時になる「パチパチ」という音を嫌うという説もあります。
トベラの花はいい香りがするのですが、英名の「Japanese Cheesewood(チーズの木)」に表されているように、枝葉を折るとチーズのような何とも言えないクサイ臭いがします。
隠語としての「トベラ」の意味とは?
実は「トベラ」とは、女性の陰部の臭いを指す隠語でもあります。
正式名称は「外陰部臭症」や「腋臭症」などと言い、別名「すそわきが」とも呼ばれます。
前述した通り、植物としてのトベラの枝葉がチーズのような独特な臭いを発することから、すそわきがの女性の事をトベラという蔑称で呼ぶことがあるようです。
植物のトベラ自体に罪はありませんが、人(特に女性)に向けて言うと相手を蔑む意味合いがあるという事は知っておくと良いかもしれません。
まとめ
トベラの特徴と臭い、名前の由来などについてご説明いたしました。
果実と赤い種子は独特な見た目をしていますが、特に食用でもなく毒もありません。トベラは常緑の可愛い形の葉と、いい香りがするクリーム色の花を楽しみ、節分には昔の風習にならって扉に挟んでみると良いでしょう。
トベラ以外にも、庭木や街路樹としてよく使われる赤い実のなる木が沢山あります。
興味のある方は、是非こちらの「赤い実のなる木|食べられる&有毒な赤い果実17種まとめ」の記事もあわせてご覧ください。