道を歩いていて街路樹や庭木になる「赤い果実」を見かけて、
「何の果実だろう?」
「これって食べられるのかな?」
なんて思ったことはありませんか?
ブルーベリーやイチゴのような、一般的によく知られた果実ではなくても、実はおいしく食べられる野生の木の実もたくさんあります。
一方で、美味しそうに見えても実は毒があって、間違って食べてしまったら命に関わるような木の実もあります。
今回は、普段よく見かける「赤い実のなる木」を全部で17種類ご紹介します。
特に、小さなお子さんやペットを飼っている方は、誤食によって危険な目に遭わないように、どの木の実は有毒なのかをしっかり覚えるようにしましょう。
Contents
赤い実のなる木にはどんな種類がある?
1.ナワシロイチゴ
- 和名:ナワシロイチゴ 別名:アシクダシ、ウシイチゴ、サツキイチゴ
- 英名:Japanese raspberry
- 学名:Rubus parvifolius
- 階級:バラ科キイチゴ属
- 分類:落葉小低木
- 分布:日本中に分布し、道路わきなどに見かける
- 形態:茎には棘がある、集合果
- 果実熟期:6~7月
- 特徴①:生食可能、甘酸っぱい
キイチゴの仲間で、初夏に道路脇など日当たりのよい傾斜地に生えていることが多く、苗代の時期に実をつけるので、この名前がついています。
果実は甘酸っぱいので、生食も可能ですがジャムなどにするとより美味しいです。
ナワシロイチゴ以外にも、道路沿いで見かけることのある野イチゴの種類を下記の別記事でまとめていますので、是非あわせてご覧ください。
2.グミ
- 和名:グミ
- 英名:Silverberry Oleaster
- 学名:Elaeagnus
- 階級:グミ科グミ属
- 分類:落葉中低木(種類によっては常緑中低木)
- 分布:日本全国
- 形態:幹には鋭い棘がある、果実は細長いサクランボの様な形状
- 果実熟期:6~7月
- 特徴①:寒さに強く育てやすい、やせた土地でも育つ
日本には十数種類のグミがあり、庭などで栽培されていることが多いです。
果実は細長いサクランボのような形で、熟すと甘酸っぱくておいしく、生食可能。
果実は日持ちがしないため、市場に出回ることはあまりありません。
種によってはタンニンを多く含むので、完熟していない果実を食べると渋くてとても食べられません。
抗酸化作用を持ち老化防止に良いといわれている「リコピン」を多く含みます。
ジャムやグミ酒にしても美味しいです。
3.ヤマボウシ
- 和名:ヤマボウシ 別名:ヤマグワ
- 英名:Kousa Dogwood
- 学名:Cornus kousa/Benthamidia japonia
- 階級:ミズキ科ミズキ属
- 分類:落葉高木
- 分布:北海道以外の本州以南
- 形態:高さ5~10mほどになる。剪定しなくても自然樹形でまとまりが良い
- 果実熟期:9~10月
- 特徴①:果実は熟すると甘く、マンゴーのような味がして美味しい
比較的育てやすく、そこまで背丈が高くならないヤマボウシは、街路樹や庭木として用いられることが多い植物です。
山地の谷あいに自生していることが多く、果実はサルやクマがよく食べます。
果実は赤く熟すると甘く、マンゴーのような味がして美味しいのですが、口の中にじゃりじゃりとした食感が残るのが特徴で、生食や果実酒に向いています。
後半で紹介するハナミズキの近縁で、見分け方は、樹皮がひび割れてごつごつしているのが「ハナミズキ」、樹皮がつるつるしているのが「ヤマボウシ」と覚えておきましょう。
関連記事>>>「ヤマボウシってどんな植物?実を食べてみたよ!」
4.イチイ(オンコ)
- 和名:イチイ(一位) 別名:アララギ、オンコ アイヌ語:クネニ
- 英名:japanese Yew
- 学名:Taxus cuspidata
- 階級:イチイ科イチイ属
- 分類:常緑針葉樹
- 分布:北海道~九州
- 形態:最大で高さ20mほどになる。葉は尖っているがさほど痛くない。
- 果実熟期:9月頃(初秋)
- 特徴①:秋(9~10月)に真っ赤な実をつける
イチイは、北海道や東北などの寒冷地での生育が良く、生け垣に使用されることが多い植物です。
真っ赤に熟した果実はほんのり甘く、果実酒などに使われることがあります。
一方で、熟した果実以外の、種子、葉、枝のすべての部位は有毒で、最悪の場合は死亡することもあるので注意が必要です。
イチイについてのより詳しい内容は、別記事「イチイの木は有毒?オンコの実は丸ごと食べると危険!」をご覧ください。
5.ガマズミ
- 和名:ガマズミ 別名:ヨツヅミ
- 英名:Japanese bush cranberry
- 学名:Viburnum dilatayum
- 階級:スイカズラ科ガマズミ属
- 分類:落葉低木
- 分布:北海道~九州
- 形態:樹高は2~3mで低い。
- 果実熟期:10~12月
- 特徴①:果実は生食が出来、栄養価が高い。
ガマズミの果実は、酸味がありそこまで甘くなく、食感はシャリシャリしていてリンゴに似ています。
赤ワインと同じくらいのポリフェノール含有量があり、ビタミンCはレモンの4倍あるとされている栄養価の高い果実です。
生食の他に、果実酒や漬物の染色、衣類の染料としても使われるとても利用用途の多い植物です。
最近では、青森県三戸地域の特産品として「ジョミ」というガマズミ100%果汁の飲み物が販売されています。
6.クワ
- 和名:クワ(桑) 別名:ドドメ
- 英名:Mulberry
- 学名:Morus
- 階級:クワ科クワ属
- 分類:落葉高木
- 分布:北海道~九州
- 形態:最高で15mほどの高さになる。
- 果実熟期:6月
- 特徴①:養蚕に使われていた、ケムシが付きやすい、果実が美味
クワは養蚕が盛んだったころに、カイコ蛾の飼育のためにたくさん植えられました。
樹皮や枝などは漢方としての利用価値も高く、桑の葉は「お茶」としても良く使われます。
果実は栄養価が高く、ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンE、カリウムが豊富に含まれており、味も美味しいので5月下旬~6月頃に黒っぽく熟した実を取って食べた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
一方で、桑の木を食害する蛾が多く、ケムシの被害が多いのも特徴です。
桑の木を見つけた場合は、ケムシに注意をしつつ、果実もケムシの毛が残っている場合があるので洗ってから食べるようにしましょう。
7.カマツカ
- 和名:カマツカ 別名:ウシコロシ
- 英名:Japanese photinia
- 学名:Pourthiaea villosa var. laevis
- 階級:バラ科カマツカ属
- 分類:落葉低木(小高木)
- 分布:本州以南
- 形態:高さは5~7mほどになる
- 果実熟期:10~11月
- 特徴①:材木としてとても硬い
カマツカは、材木が固く丈夫で「鎌の柄」に使われたことからこの名前がついています。ウシコロシという別名も、昔、農作業で牛を使うときに鼻に穴をあけてこの木を刺したことから由来しているといわれています。
完熟した果実の味は、さっぱりとしていてほんのり甘いリンゴのような味です。
生食よりも果実酒などでの利用が多いです。
8.ヤマモモ
- 和名:ヤマモモ 別名:ヤンメ、ヤンモ
- 英名:red bayberry
- 学名:Morella rubra
- 階級:ヤマモモ科ヤマモモ属
- 分類:常緑高木
- 分布:関東以南
- 形態:自然に自生しているのは高さ15~20mになる物もある。
- 果実熟期:6~7月
- 特徴①:中央部分に大きな種があって、果実の実を食べるのが難しい
果実は、水分量が多く柔らかく傷みやすいので、摘み取ったらすぐに処理をしなくてはいけない繊細な果物です。
近年では作り手の減少により、店頭で見かけることが少なくなりました。
独特の酸味と甘さがあり、生食や果実酒、ジャムなどに使われることが多い植物です。
9.コケモモ
- 和名:コケモモ 別名:アカモモ、ハマナシ
- 英名:cowberry / Lingonberry
- 学名:Vaccinium vitis-idaea L
- 階級:ツツジ科スノキ属
- 分類:常緑草伏低木
- 分布:北半球の寒冷地高山に多く分布。北海道~九州の高山地帯。
- 形態:高さは10~15cm、地下茎がある。
- 果実熟期:9~10月
- 特徴①:寒さに強く-40℃でも耐えられる。一方で暑さには弱い
寒さに強い特性から、北欧ではポピュラーな食材です。
肉料理に合わせるコンポートやソースに使われることも多く、日本にもあるIKEAではリンゴンベリージャムとして人気となり一躍脚光を浴びました。
果実は酸味が強いので、生食よりも、ジャム、果実酒、コンポート、シロップ、塩漬けなどで食べられることが多いです。
10.ピラカンサ
- 和名:ピラカンサ
- 英名:Firethorn
- 学名:Pyracantha
- 階級:バラ科トキワサンザシ属
- 分類:常緑低木
- 分布:関東以西の本州、四国、九州
- 形態:幹にはとげがある、
- 特徴①:有毒(アミグダリン:青酸配糖体)、
日本では、タチバナモドキ、トキワサンザシ、カザンデマリなどをまとめてピラカンサと呼ぶことが多く、実はこのピラカンサは「生態系に影響を及ぼす外来種リスト」に載っている外来植物です。(原産はヨーロッパ南部~西アジア)
果実の美しさと手入れがほとんど必要が無いという簡便性から広く普及しましたが、果実、種子、葉などが有毒で、誤って食した場合は下記の症状が出ます。
嘔吐、呼吸促進、口腔内の痒み・灼熱感、ふらつき歩行、痙攣、麻痺、死亡
11.ナナカマド
- 和名:ナナカマド 別名:ヤマナンテン
- 英名:Japanese rowan
- 学名:Sorbus commixta
- 階級:バラ科ナナカマド属
- 分類:落葉高木
- 分布:北海道~九州
- 形態:高さは7~10mほど
- 果実熟期:9~10月
- 特徴①:果実にはソルビン酸という物質が含まれ、冬でも腐らない
花言葉は「慎重」「安全」という事で、北海道や東北では街路樹としてよく使われています。
食料保存料としても使われる「ソルビン酸」が含まれるため、冬の北海道でも上の画像のように葉は全て落ちてしまっても実は落ちずに残っていることが多く、雪とのコントラストがキレイです。
果実は、とても苦く不味いため、野鳥もあまり食べないようです。完熟した実は果実酒として使われることはありますが、生食はあまりお勧めできません。
ナナカマドについての詳しい解説は、下の関連記事をご覧ください。
【関連記事】>>>ナナカマド(七竈)ってどんな木?花言葉・毒の有無・開花や紅葉の時期
12.クロガネモチ
- 和名:クロガネモチ 別名:フクラモチ
- 英名:Round Leaf Holly
- 学名:Ilex rotunda
- 階級:モチノキ科モチノキ属
- 分類:常緑高木
- 分布:関東以西
- 形態:葉は卵型で、硬い
- 特徴①:春に落葉する
クロガネモチは「金持ち」という言葉につながることから、縁起を担いで庭木に選ばれることが多い植物です。
モチノキの一種なので、樹液からトリモチを作ることが可能です。
熟した実は、とても苦くて食べられたものではありません。
13.ヨウシュヤマゴボウ
- 和名:ヨウシュヤマゴボウ 別名:アメリカヤマゴボウ
- 英名:Pokeweed / Inkweed
- 学名:Phytolacca americana
- 階級:ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
- 分類:多年草
- 分布:日本全国(北アメリカ原産の帰化植物)
- 形態:茎は高さ1~2m。果実は紫色で肌や衣服につくとなかなか取れない。
- 特徴①:全株有毒
道端で見かけることが多く、鮮やかでおいしそうな果実を実らせるヨウシュヤマゴボウですが、ブルーベリーと間違えて誤食してしまう例が多い全株が有毒の植物です。
特に、根と種子で有毒の度合いが強く、葉や果実も毒です。
毒の成分は、アルカロイド、サポニン、アグリコンで、いずれも煮沸によって分解されますが、危険なので口に入れないようにしてください。
皮膚につくだけでも刺激作用があり、Inkweedの名の通り肌や衣服につくと落ちにくいので注意が必要です。
誤って食べてしまった場合に、下記の症状が現れます。
嘔吐、下痢、中神経麻痺、痙攣、呼吸障害、心臓麻痺、昏睡、死亡
数粒程度なら異常反応が起きないといわれていますが、幼児が誤って食べて死亡した例もあるため注意が必要です。
果実同様に、根を「ヤマゴボウ」と間違えて食べてしまった例もあるので注意しましょう。
14.ハナミズキ
- 和名:ハナミズキ(花水木) 別名:アメリカヤマボウシ
- 英名:flowering dogwood
- 学名:Cornus florida
- 階級:ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属
- 分類:落葉高木
- 分布:南北海道から沖縄(北アメリカ原産)
- 形態:大きいものでは10mを越す。ヤマボウシの近縁で似ている
- 特徴①:庭木や街路樹によく使われる。うどんこ病やハナミズキ炭疽病に注意が必要
ハナミズキは、1912年に東京がアメリカにソメイヨシノを贈った返礼として、1915年に日本に贈られたのが始まりとされています。
花が鮮やかで観賞用として街路樹や庭木に使われますが、果実が有毒で食用にはできず、葉の表面の毛も刺激性物質があるため触ると皮膚炎を起こしてしまうので注意が必要です。
前述のヤマボウシとは近縁で、ハナミズキは樹皮がひび割れているので見分けがつきます。
15.カンボク
- 和名:カンボク(肝木)
- 学名:Viburnum opulus var. calvescens
- 階級:レンプクソウ科ガマズミ属
- 分類:落葉小高木
- 分布:北海道~本州の中部以北
- 形態:高さは2~10m
- 果実熟期:9~10月
- 特徴①:葉の形が3つに割れている
寒さに強く、本州の中部以北で自生し、実をつけたまま越冬するので小動物の貴重な食糧減になっています。
しかし、果実は、毒ではありませんがとても不味いので、食用には適さないでしょう。
16.ヒョウタンボク
- 和名:ヒョウタンボク 別名:金銀木
- 学名:Lonicera tschonoskii Maxim
- 階級:スイカズラ科スイカズラ属
- 分類:落葉低木
- 分布:日本の固有種で、関東北部などに自生
- 形態:高さは1~2mと低木、2つくっついたような赤い実が特徴
- 特徴①:山梨県ではレッドリストの絶滅危惧種IB類(EN)に指定されている
全株に毒があり、特に果実は猛毒です。
トリカブトと並ぶ毒性があるといわれており、さらにその毒の成分は「不明」というなんとも謎の多い植物です。
誤って食べると下記の症状が出るとされています。
嘔吐、下痢、昏睡、最悪の場合死亡
17.ヒヨドリジョウゴ
- 和名:ヒヨドリジョウゴ 別名:ツヅラゴ、チャラコ
- 学名:Solanum lyratum
- 階級:ナス科ナス属
- 分類:つる性多年草
- 分布:日本全国
- 形態:つる性の草、葉の形はアサガオに似ている
- 特徴①:有毒(ソラニン、アトロピン)
ヒヨドリジョウゴの果実には、ジャガイモの芽に含まれるのと同じ「ソラニン」が含まれており、多量に摂取すると最悪の場合は死亡することもあります。
誤って接種した場合の症状は、下記の通り。
嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛、溶血作用、呼吸中枢麻痺、呼吸困難、死亡
【追記】その他の赤い実のなる木
18.サンシュユ
- 和名:サンシュユ(山茱萸) 別名:ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ
- 学名: Cornus officinalis Siebold et Zucc
- 階級:ミズキ科ミズキ属
- 分類:落葉小高木
- 分布:日本全土。中国、朝鮮半島原産
- 形態:高さ4、5メートルほどになる落葉する小高木
- 特徴①:秋にグミのような楕円形の赤い実を付ける。やや渋みがあるが熟せば甘 酸っぱく生食できる。この実を乾燥させたものは生薬になる
- 特徴②:春先、葉が出る前に黄色の小さい花を咲かせる
- 特徴③:サンシュユの枝でヨーグルトが作れる??
生薬としても使われる「サンシュユ」の赤い実は、若いと酸味がとても強く渋くて食べられませんが、完熟すると程よい酸味となり生食が出来ます。
乾燥させたサンシュユの実をお湯で戻してお茶にしたり、ジャムや果実酒などにも使われる果実で、とても利用価値の高い植物なので、庭木などにも人気です。
サンシュユの詳細はこちら>>>「サンシュユの木ってどんな木?生薬になりヨーグルトも作れちゃう?」
19.ナンテン(南天)
- 和名:ナンテン(南天)別名:ナンテンショク
- 英名:heavenly bamboo nandina
- 学名:Nandina domestica
- 階級:メギ科ナンテン属
- 分類:常緑低木
- 分布:本州、四国、九州
- 形態:高さ1~3m 幹の先端にだけ葉が集まって付く
- 特徴①:冬(11月~2月)に真っ赤な実をつける
- 特徴②:ナンテンは「難転=難を転ずる」ことにも通じるため、縁起の良い木として古くから庭木として親しまれている
- 特徴③:果実、葉、茎、根が生薬となり、果実を乾燥させたものは咳止めの効果がある
縁起物として使われる事の多い「ナンテン」も、赤い実をつける植物です。
南天のど飴でも知られているように、ナンテンの成分は生薬となり咳止めの効果を持つことから、古くから薬効のある植物としても重宝されてきました。
しかし、葉や実には有毒成分であるアルカロイドのドメスチンとナンジニンが微量ながら含まれており、大量に食すと知覚や運動神経の麻痺などを起こす危険性があります。
誤って接種した場合の症状は、下記の通り。
果実(ドメスチン):知覚・運動神経の麻痺
葉(ナンジニン) :大脳・呼吸中枢の興奮、のちに麻痺
よほど大量に摂取しない限り中毒の心配はありませんが、生薬になるからと言って個人の判断で生食すると危険ですのでやめましょう。
ナンテンの詳細はこちら>>>ナンテン(南天)はどんな木?種類・花言葉・赤い実の薬効と毒性まとめ
20.トベラ
- 和名:トベラ(扉)
- 英名:Japanese Cheesewood
- 学名:Pittosporum tobira
- 階級:トベラ科トベラ属
- 分類:常緑低木
- 分布:東北地方南部以南の海岸
- 形態:細長い卵型の葉は光沢があり互生。樹高は2~3mだが、大きいものでは5mを超えることもある
- 特徴①:春~初夏(4~6月)に芳香のある白い(クリーム色に近い)花を咲かせる
- 特徴②:潮風に強く海岸線に咲くことが多い
- 特徴③:秋に実が3つに割れ、粘着質の赤い種を出す
トベラの場合は、実というよりも「種」が赤く、ねばねばと粘着性のある分泌液をまとっています。食べても害はありませんが、基本的に「無味無臭」で美味しくはありません。
クリーム色の花は芳香がありますが、枝葉は独特のクサイ匂いを発するので、英名は「Japanese cheesewood」と名付けられています。
節分にオニ除けとしてトベラの枝葉を扉に挟んでいた風習から、そのまま「扉(トベラ)」という名前が付きました。
こちらの「トベラとはどんな花?特徴的な匂いにまつわる風習と隠語」でもご紹介していますが、トベラとは女性の陰部の臭いを指す隠語として使われることもあり、女性に対して使うと蔑視の意味合いを持つことがあるので気をつけましょう。
21.イイギリ
- 和名:イイギリ(飯桐)別名:ナンテンギリ(南天桐)
- 学名:Idesia polycarpa
- 階級:ヤナギ科イイギリ属
- 分類:落葉高木
- 分布:本州~沖縄
- 形態:高さ15m前後 幹は直径50㎝ 葉は大きなハートの形で、樹皮は灰白色
- 特徴①:秋(10月~11月)にブドウ房状の赤い果実をぶら下げる
- 特徴②:名前の由来は葉がキリに似ていて、昔はこれでおにぎり(飯:メシ)を包んだため
- 特徴③:春(4月~5月)花が咲く。花は小さく黄緑色で、香気があり、ブドウの房状に垂れ下がった円錐の形をしている
イイギリは、別名ナンテンギリとも呼ばれ、19番で紹介した「南天」に赤い実がよく似ていることからそう呼ばれています。
南天の実は有毒ですが、このイイギリの実は無毒で生食可能です。ただし、小さい種が多く苦みがあるため美味しくありません。
背丈が高くなるので街路樹として用いられることが多く、寒さにはあまり強くないため北海道で見かける機会はあまりありません。
イイギリについてのより詳しい説明は「イイギリの実は食べられる?特徴や花言葉まとめ」の記事をご覧ください。
22.ツルウメモドキ
- 和名:ツルウメモドキ 別名:ツルモドキ(蔓擬)
- 英名:Oriental staff vine
- 学名:Celastrus orbiculatus
- 階級:ニシキギ科ツルウメモドキ属
- 分類:落葉性つる植物
- 分布:北海道~沖縄の日本全土
- 果実の鑑賞時期:10~12月
- 特徴:花は雌雄異株
ツルウメモドキは、耐寒性が強く北海道を含む日本全土で自生しています。
葉や若芽の形がウメに似ていることから、ツルウメモドキの名前が付けられています。
ツル性で成長が早く、枝や実の美しさから観賞価値が高いため、フラワーアレンジメントや庭木などで使われる事が多いのが特徴です。
赤い果実は食用可能ですが、熟する前の実は無味で美味しくありません。
冬(1~2月)に入っても枝から落ちずに残っている果実は、少し甘みがあるようです。
ツルウメモドキについての詳しい情報は「ツルウメモドキ(蔓梅擬)の育て方|花言葉・盆栽の育て方・実は食べられる?」をご覧ください。
赤い実のなる木のまとめ
食べられる | 食べられない | |||
美味しい | まあまあ | まずい | 毒 | |
ナワシロイチゴ | ✔ | |||
グミ | ✔ | |||
ヤマボウシ | ✔ | |||
イチイ(オンコ) | ✔ | ✔ | ||
ガマズミ | ✔ | |||
クワ | ✔ | |||
カマツカ | ✔ | |||
ヤマモモ | ✔ | |||
コケモモ | ✔ | |||
ピラカンサ | ✔ | |||
ナナカマド | ✔ | |||
クロガネモチ | ✔ | |||
ヨウシュヤマゴボウ | ✔ | |||
ハナミズキ | ✔ | |||
カンボク | ✔ | |||
ヒョウタンボク | ✔ | |||
ヒヨドリジョウゴ | ✔ | |||
サンシュユ | ✔ | |||
ナンテン | ✔ | |||
トベラ | ✔ | |||
イイギリ | ✔ | |||
ツルウメモドキ | ✔ |
今回ご紹介した17種類の木の実について、上に一覧でまとめました。
ヤマボウシとハナミズキのように、近縁であるにもかかわらず一方は食べられて、もう一方は有毒だったり、
イチイの様に完熟した果実は無毒で、それ以外の部位が有毒だったりと、同じ仲間だから毒性が同じであるとは限りませんし、実が食べられるから種も食べられるとは限らないのが難しいところです。
1センチにも満たないような小さな果実でも、誤って食べると時には重篤な症状を引き起こすことがあるので、安易に口に入れては危険であるという事もわかっていただけたと思います。
我が家も、1歳の息子が道端に生えているヨウシュヤマゴボウを見て「ブルーベリー」と言っていたので、知らないうちに口に入れてしまわないように注意しなくてはいけないと感じています。
また、口に入れなくても触れるだけでかぶれてしまう「草木かぶれ」を起こしてしまう植物等も多数自生しています。
田舎に暮らしていると、このような危険は都会よりも多くあると思います。お散歩のコースなどに有毒な木の実がなっていないか、是非一度意識をして周囲を見渡してみてはいかがでしょうか。
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