樹形がキレイなため庭木や街路樹として人気のある「ヤマボウシ」ですが、花や葉の美しさだけでなく、実が美味しく食べられることを知らない人も多いようです。
ヤマボウシには様々な種類があり、葉の形や花の色などにもそれぞれ特徴があります。
今回はそんなヤマボウシの、種類や特徴、果実の味などについてご紹介します。
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ヤマボウシってどんな植物?
- 和名:ヤマボウシ 別名:ヤマグワ
- 英名:Kousa Dogwood
- 学名:Cornus kousa/Benthamidia japonia
- 階級:ミズキ科ミズキ属
- 分類:落葉高木
- 分布:北海道以外の本州以南
- 形態:高さ5~10mほどになる。剪定しなくても自然樹形でまとまりが良い
- 果実熟期:9~10月
- 特徴①:果実は熟すると甘く、マンゴーのような味がして美味しい
ヤマボウシの花は、花びらのように見える白い4枚の総苞(そうほう)が美しく、その凛々しくも素朴な姿が人気です。(※種類によっては総苞が6枚の種類もあります)
材は堅いので、農具の柄などに使われていたことから、昔から親しまれていた植物でもあります。
このヤマボウシは、私が住んでいる宮城県栗原市の「市の木」でもあります。
そのためか街路樹としてあちこちで見かけ、花が見ごろになる5~7月にはあちこちでキレイな白い花が咲いています。
ヤマボウシを育てる場合
日当たりのよい場所を好みますが、夏場の乾燥が苦手なので、水はけが良く肥沃な湿った土壌に植えてあげましょう。午前中にしっかり日が差し込む場所であれば大丈夫です。
植え付けは2~3月、もしくは厳寒期に入る前の10~12月が良いでしょう。
剪定・剪枝は、鉢植えであれば必要ですが、地植えする場合は自然樹形がキレイなので、そこまで手を加えなくても大丈夫です。植え付ける場所が狭い場合は、上に細く伸びる種類のヤマボウシもあるので成長した時の樹形がどのようになるかもあわせて調べると良いでしょう。
ヤマボウシの花言葉
ヤマボウシの花言葉は「友情」です。
中央に集まる頭状の小さい花が、秋に団結して一つの実になる様子からも、この花言葉はとてもぴったりですね。
ヤマボウシの名前の由来は?
ヤマボウシの総苞と中央の花の集合体が、上の写真のような頭巾をかぶった僧侶(比叡山延暦寺の山法師)に似ていたことから、この名前が付けられました。
白い頭巾が肩にかかって広がっているところが、ヤマボウシの総苞に似ていると思った人がいるんですね。
ハナミズキとヤマボウシの違い
※この画像は「ハナミズキ」です。ヤマボウシとソックリですね!
「ヤマボウシ」と「ハナミズキ」は近縁という事もありとても似ています。
ヤマボウシは日本原産ですが、ハナミズキは外来種。
明治45年に時の東京市長がワシントンに桜の木を贈ったお返しとして、送られてきたのがハナミズキの樹なのですが、このハナミズキの花言葉が「返礼」とのこと。
ハナミズキの別名は「アメリカヤマボウシ」ですので、友情と返礼の花言葉はなんともうまくできているなぁと感心させられます。
ハナミズキとヤマボウシの見分け方
白い花びらのように見える総苞(そうほう)が、ハナミズキは先端が内側に入り込むようにして丸くなっているのに対し、ヤマボウシは先端がとがっているのが特徴です。
また、ハナミズキは花が出てから葉が出るのに対し、ヤマボウシは葉が出てから花が出ます。4~5月に葉が出る前にハナミズキの花が咲きますが、ヤマボウシは葉が茂ってから花が咲き始めるので、ハナミズキよりも少し花の見ごろは遅く5~7月に咲きはじめます。
また、樹皮も違い、ハナミズキはざらざらとひび割れているのに対し、ヤマボウシの樹皮はつるつるしています。
ヤマボウシの種類にはどんなものがある?
ヤマボウシには数多くの種類があります。以下に簡単にご紹介します。
ウルフアイ | 斑入りの葉や花が特徴。成長は他種に比べて遅め |
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ホワイトミヌマ | 通常4枚の白い花(総苞)を6枚つける。成長は遅め |
ホワイトミソノ | 直立した樹形で花も大きくてキレイ |
ミルキーウェイ | クリーム色→白に変色する過程がキレイ。1年置きに花をつける |
紅富士(ベニバナヤマボウシ) | 最も赤い色の花をつける種類 |
ミスサトミ | 濃いピンク色の花をつける。病害虫に強いのが特徴 |
ステラ―ピンク | ヤマボウシとハナミズキの混合種。若木の時は花が付きにくい |
ロングデイズ | 名前の通り花期が最も長く、花を長く見たい人におすすめ |
ビッグアップル | 自然樹形が美しく、剪定しない方が楽しめる。実が大きいので食用に適している |
ファスティハード | 初夏と秋の2期咲き。花期はやや長い。樹形はY字で上に伸びる |
ゴールドスター | ゴールドの斑が、葉の中央に入る「黄中斑葉」。花は白い |
ホンコンエンシス | 常緑ヤマボウシの品種。寒さに弱いので北海道では育たない |
様々な種類があり、特徴も様々ですね。
選ぶポイントとしては
- 「常緑種」か「紅葉も楽しめるのか」
- 花をつける期間が長いのか短いのか
- 花をつけるタイミング(1年置き・2期咲きなど)
- 成長の速さ
- 樹形(背が高くなるのか横に広がるのか)
- 実の大きさ
- 病気への耐性
等があるでしょう。
実を楽しみたいのか、花を長く楽しみたいのか、葉の模様(斑入り)や紅葉を楽しみたいのか、樹形を楽しみたいのか
それぞれの目的に合わせてお好みの種類を選ぶと良いでしょう。
また、ヤマボウシは「うどんこ病」などにもなりやすいため、病気に強い種類を選ぶというのも大切なポイントですね。
ヤマボウシの実を食べてみた感想
以前「赤い実のなる木|食べられる&有毒な赤い果実17種まとめ」の記事でもご紹介しましたが、ヤマボウシの果実は赤く熟すると食べることが出来ます。
しかも結構おいしいのです。
実を割ってみるとこんな感じ↓
この中の黄色っぽい部分を食べます。
味 :まったりとした甘さでマンゴーのような感じ
食感:果肉の中に少しじゃりじゃりと砂糖の粒のような食感がある
食べた感想としては、
自然にある木の実の中では美味しい方です。
味がまったりした甘さなので、ブルーベリーやイチゴのように摘んでその場で沢山食べるというよりは、年に1度まとめて収穫してジャムや果実酒に利用するという形が合っているような気がします。
ブツブツした見た目の割に美味しくいただきました。
まとめ
今回はヤマボウシの特徴と種類、果実の味についてご紹介しました。
比較的育てやすく、樹形も綺麗なヤマボウシは「花」「葉」「果実」のいずれも楽しめるとても庭木に向いている植物です。
ヤマボウシの実は収穫してジャムにしたり果実酒にもできるので、庭木に何を植えるか迷っている方は、見た目も綺麗で果実も食べられるヤマボウシは様々な楽しみ方ができておすすめですよ。