「シマトネリコ」は、細い幹が何本もまとまって並ぶ株立ちの姿が美しく、庭木として人気の植物です。
庭先の目隠しとしての利用やシンボルツリーとしても利用できるので、エクステリアとして選ばれることが多いのが特徴です。
しっかりと大きく立派な株立ちに育てたいと考える方に向けて、この記事ではシマトネリコの特徴と育て方のポイント、庭木として植栽する時の注意点などについて詳しく解説していきます。
Contents
シマトネリコとはどんな植物?
- 和名:シマトネリコ 別名:タイワンシオジ
- 学名:Fraxinus griffithii
- 階級:モクセイ科トネリコ属
- 分類:(半)常緑高木
- 分布:日本では沖縄に自生。関東以南では越冬が可能
- 耐寒性:やや弱い(-3℃以上)
- 耐暑性:強い
- 耐陰性:あり
- 開花時期:5月下旬~7月上旬
- 特徴:5m~15m程にまで生長する
シマトネリコが庭木として人気の理由とは?
・株立ちの樹形で葉が小さいため、緑がキレイに茂っているように見せやすい
・和風にも洋風にも合う
・病害虫に強い
・剪定にも強いので、バシバシ切っても大丈夫なため好みの樹高を保ちやすい
・生長するのがとても速いので、剪定に失敗してもすぐに伸びてくる
・低温以外に気を付けることがあまりない
・価格が比較的安い。数千円程度で全国どこでも購入できる手軽さがある
シマトネリコは、庭木としての管理のしやすさと価格面での手軽さが特徴で、エクステリアとしての見た目も細身の幹が株立ちでととのっているので、緑がナチュラルに生い茂る庭先を演出するのにとても適しています。
シマトネリコのデメリット&注意点
一方で、そんなシマトネリコにも庭木として植える際のデメリットや注意点が下記の通りいくつかありますのでご紹介します。
・種が落ちたところから発芽してしまう
・根の生長も早く、アスファルトやレンガなどを持ち上げることもある
・花期が終わると、小さな花がらが落ちるので清掃する手間が発生する
・半常緑のため、植える地域の冬の寒さによっては葉もそこそこ落ちる
庭木として人気のシマトネリコですが、病害虫に強く枯れにくいというメリットがある反面、何も手入れをせずに緑の葉が揺れる涼しげな印象を保てるのは2~3年で、放っておくと背が高くなりすぎて自分では届かないほどの背丈になってしまいます。
涼しげな印象を保つためには、定期的に剪定をしてあげる必要があるので注意しましょう!
シマトネリコの剪定方法については、記事の後半で解説いたします。
シマトネリコの花言葉
トネリコ属の植物には、高潔・荘厳などの高貴なイメージの花言葉が多く、トネリコの木が世界樹として神話に出てくることから由来していると言われています。
シマトネリコの育て方
寒さ以外にはあまり手のかからないシマトネリコですが、基本的な管理方法と育て方のポイントをいくつかご紹介します。
シマトネリコを鉢植えで育てるときのポイント
シマトネリコを庭に地植えする以外にも、鉢植えの観葉植物として育てることもあります。
鉢植えで育てる場合のポイントは下記の通りです。
- 最低気温が-3℃を下回るようなら室内で管理をする
- 土は観葉植物用の培養土か、赤玉土ベースで保水性・保肥性の良い土を作る
- 日光を好むが直射日光には弱いので、半日陰や日当たりの良い窓際で管理をする
- 水やりは春~秋は土の表面が乾いたらたっぷりあげ、特に夏は水切れに注意する
- 冬の水やりは控えめに、土が乾いて数日たってから水やりをする程度で良い
- 鉢の植え替えは2年に1回ほど、春(4~5月下旬)に行うのが好ましい
- 肥料は緩効性の化成肥料を、3か月に1度くらいの頻度で土の上に置く
室内で観葉植物として育てる場合の注意点は、大きく分けると「土・水やりの頻度・鉢の置き場所・肥料のあげ方・植え替え」の5つです。
特に失敗が多いのが「土と肥料」なので、観葉植物をあまり育て慣れていない方は、下記の関連記事もあわせてご覧いただけると良いと思います。
シマトネリコを地植えする時のポイント
シマトネリコを地植えする場合に気を付けたいのは「冬の最低気温」です。
元々は東南アジアや沖縄に自生する植物であるため、暑さには強いですが寒さには弱く冬に-3℃を下回る地域では冬越しが難しいとされています。一般的には関東以南での地植えが可能とされていますが、地域によって冬の温度に差があるのでお住まいの地域の年間の最低気温を調べると良いでしょう。
- 土は水はけのよい土の方が好ましく、粘土質であれば腐葉土などをすき込むと良い
- 植え付け後は水を切らさないように注意をする
- 根が張るまで倒れないように添え木をする
- 半日陰程度の日当たりで十分育つ
- 葉や花がらが落ちても掃除しやすい場所に植える
シマトネリコは本当にすぐ大きくなるので、大きくなった時に邪魔にならないかどうか、また葉も花がらも落ちるので、予め清掃しやすい場所を選んで植えるという事も大切になります。
シマトネリコにおすすめの肥料とあげるタイミング
庭に地植えする場合の肥料の与え方には様々な方法がありますが、植え付けの際に牛糞堆肥などを混ぜ込み、その後は株元に緩効性の肥料を撒くという方法が一般的です。
緩効性肥料の置き肥は、3月頃と9月頃の年2回行うか、春先の3月の1回のみを行う場合があり、株の成長を早めたい場合は年2回行うと良いでしょう。
シマトネリコで注意する害虫はカブトムシ?
カブトムシが好む木としてクヌギやコナラが有名ですが、このシマトネリコもカブトムシが樹液を求めてやってくる木として最近認知されてきました。
病害虫に強いシマトネリコですが、カブトムシによって樹皮が削られるという被害の報告が多く、虫好きにとっては嬉しいかもしれませんが、大切に育てた庭木が弱ってしまう原因にもなるので困っている人も多いようです。
従来、カブトムシが自ら樹皮を傷つけて樹液を得るという報告はなかったが、近年シマトネリコの樹皮を傷つけて樹液をなめる例が報告された。
-カブトムシによる樹液獲得のためのトネリコ樹皮の傷つけ(八木橋ら):東北森林科学会誌
カブトムシによって食害を受けた樹皮には「トップジンMペースト」を使う事で被害の拡大を防ぐことができますが、カブトムシ駆除の根本的な解決策にはならないので注意しましょう。
また、カブトムシを捕獲したいがために庭にシマトネリコを植えようと考える人も少なくありませんが、カブトムシが来るかどうかは周辺環境にも大きく依存するため、シマトネリコを植えれば必ずカブトムシが来るという訳ではありませんよ。
シマトネリコは成長速度に要注意!剪定時期と方法
シマトネリコは何と言っても成長速度がとてつもなく早く、適切に剪定しないとどんどん育って手に負えなくなってしまいます。
剪定の方法についてポイントをいくつかご紹介しましょう。
剪定に適した時期はいつ?
適正時期は春~秋だけど、真冬以外であればいつでもOK!
シマトネリコは剪定に強いので、1~2月以外であれば比較的どのタイミングでも剪定が可能です。
もし花を見たい場合であれば開花後に行っても良いですし、夏にしっかりと緑を茂らせたいのであれば、春先に剪定を行うと丁度良いです。
剪定する時の枝の選び方は?
樹高を高くしたくなければ上に伸びる枝を切る!
見た目をスッキリさせたい場合は、枝が分岐しているところで長い方を切る!
剪定をする場合は、「上に伸びる枝を切って樹形をコンパクトにする場合」と「茂り過ぎて日の入りが悪くなったために枝を間引いてスッキリさせたい場合」があります。
特に間引く場合は、枝分かれした箇所の長い方の枝を切るか、若芽が多く出ている方を残すことで、全体的にスッキリとした印象に整えることができるでしょう。
おしゃれなシマトネリコの鉢植えを通販で購入する方法
観葉植物として室内でシマトネリコを育てたい場合は、通販で購入するという方法があります。
成長速度が速く大きく育つシマトネリコを室内で育てる場合は、しっかりとした大きめの鉢や鉢カバーが必要ですが、ホームセンターなどでは中々良いものが見つかりません。
新築祝いなどの贈り物としてシマトネリコを選ぶ方も多いので、しっかりとした商品を選びたい方は「HitoHana」がおすすめです。
まとめ
和風の家にも洋風の家にも合い、病害虫に強く育てやすいシマトネリコは、その生命力をいかにコントロールして好みの樹形を保つかがポイントになってきます。
庭木としての人気は絶大ですので、特徴をしっかりと知ることでいつまでも美しい樹形を楽しむことができるので、今回ご紹介したポイントに気を付けて管理をしてみてください。