家や家具に穴をあけるヒラタキクイムシの対策と駆除方法まとめ

木目

ふと家の柱や家具に目をやると「1~2ミリの小さな穴が開いていて、その下には木くずが散らばっている」、そんな経験はありますでしょうか?

もしかしたら「ヒラタキクイムシ」の仕業かもしれません。

その名の通り「木を食べる」ので、家の木材に穴が開いていたら真っ先に疑われる不快害虫の代表です。

人間に直接害を及ぼすことはありませんが、一度家の中で発生してしまうとなかなか駆除するのが難しい虫なので、家の中に小さな穴を見つけたらすぐに対策を取りましょう。

この記事では「ヒラタキクイムシの対策と駆除方法」をご紹介します。


家の柱とか壁に穴をあけて生息するんでしょ?
駆除が難しそうだなぁ

うむ、放っておくと手遅れになるから、しっかり対策方法を覚えるんじゃよ

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています

木材を食べるヒラタキクイムシの生態と特徴とは?

ヒラタキクイムシ
  1. 和名:ヒラタキクイムシ
  2. 学名Lyctus brunnus (Stephens)
  3. 英名:Powder-post Beetle (Bark Beetle)
  4. 階級:コウチュウ目キクイムシ科
  5. 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
  6. 家の中の生息場所:柱、壁、木製家具、フローリング、屋根裏
  7. 活動時期:年中(成虫は特に5月~6月)
  8. 体長:3.0mm~7.0mm
  9. 寿命:約1.5ヶ月(成虫)
  10. 特徴①:赤~黒褐色で細長い、顎が強い
  11. 特徴②:広葉樹の導管に卵を産み付ける。
  12. 好物:ラワン材、ナラ、ケヤキ、竹など
  13. 弱点:エアゾール、燻煙剤、ライトトラップが有効。熱にも弱い。
  14. 厄介な点①:駆逐するのが難しい
  15. 厄介な点②:住宅建材での発生は、裁判などトラブルになることが多い

建材害虫として有名なキクイムシですが、家の中で発生するキクイムシのほとんどが「ヒラタキクイムシ科」のキクイムシです。※ここではまとめて「ヒラタキクイムシ」として対策をご紹介していきます。

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キクイムシが食害する木材とは

穴のあいた木

キクイムシが食害する木材は「ラワン合板」「ナラ」「ケヤキ」「カシ」「キリ」などの広葉樹、そして木材ではありませんが「竹」などです。

一方で、キクイムシは、(一般的には)針葉樹は食害しないといわれています。
※注:キクイムシの種類によっては針葉樹を食害する種類もわずかではありますが存在します

その主な理由としては、キクイムシの特性から以下の2点が考えられます

  • でんぷん質含有量が3%以上の木材を特に好むが、針葉樹にはでんぷん質が少ない
  • 直径0.18mm以上の導管に産卵する習性をもつが、針葉樹は導管が小さく産卵できない

それでは、ちょっと下の画像を見てくれ

広葉樹と針葉樹の違い

下の2枚の画像は、広葉樹の「ミズナラ」針葉樹の「スギ」の走行電顕像です。

ミズナラ(広葉樹)スギ(針葉樹)
ミズナラの走行電顕像画像 導管スギの走行電顕像 導管

※画像引用:森林総合研究所 日本産木材データベース 


ミズナラは大きな穴が開いて見えるけど、スギは小さい穴がびっしりで高密度だね

キクイムシは、ミズナラのような広葉樹の大きい導管(水を通す穴)に産卵をするんじゃよ

上の画像のように、広葉樹と針葉樹を見比べると、広葉樹の方がキクイムシにとって産卵しやすい木材であることが分かりますよね。

キクイムシはどこから来るのか?

広葉樹

多くの場合、キクイムシは家の外から飛んできて木材に穴をあけるのではなく、家具を購入した時点、もしくは家具を作る前の木材の時点で産卵されている可能性が高いです。

一度室内に入り込むと、家の建材やフローリングに穴をあけて繁殖してしまう危険性があります。

そのため、家具やラワン材などの合板を購入するときは、小さな穴が開いていないかどうかを確認するようにしましょう。


平成5年の「シックハウス対策」に関わる建築基準法の改正で、ホルムアルデヒドの使用が制限されたことによって、人にとっても虫に取っても安全な建材が増えてきたんじゃ。

確かに、食品害虫の時も「お米も虫が付くほど良いお米」って言われてたし、ある意味しかたがない事なのかもね

もちろん見た目が不快じゃし、自分の家が虫に食べられるのは嫌じゃから、しっかりと駆除をしてしまおう

キクイムシの対策と駆除方法

キクイムシの駆除方法としては、通常の室内不快害虫の対策同様「燻煙剤」「エアゾール」が有効であるとともに、キクイムシによって開けられた穴に噴射するキクイムシ専用のスプレー剤も効果的です。

ではおすすめの薬剤をご紹介していきましょう。

1.キクイムシコロリ

この「キクイムシコロリ」は、キクイムシが開けた穴に直接噴射するタイプの駆除剤です。(木材自体にも噴射できます)

キクイムシの穴専用の交換ノズルがついているので、穴の中に噴射することで効果を発揮します。

駆除剤の臭いが少ないことと、防虫剤としてピレスロイド系の薬剤を使用しているため、人体への安全性が高いのがおすすめのポイントです。

キクイムシ以外にも、白アリやシバンムシにも効果があるので、自宅の家具や柱に穴を見つけたがどの虫の仕業かわからない場合は、このキクイムシコロリで対応ができるでしょう。

【効果のある害虫】

  • 黒蟻
  • 白アリ
  • シバンムシ
  • アリカタ蜂
  • ヤスデ
  • クモ
  • キクイムシ
  • ムカデ
  • ゲジゲジ

2.エバーウッド

こちらの「エバーウッド」も、キクイムシコロリ同様に木材に空いた穴に直接噴射して駆除するスプレー剤です。

殺虫剤の残効性があるので、薬剤使用後にも長時間にわたって虫の繁殖を防いでくれるため、キクイムシを繁殖させたくない場所への予防効果もあります。

※注意点としては、薬剤がアルカリ成分や太陽光によって分解されると、スプレーした部分が黄色っぽくなってしまうことがあるので、白い色の家具には使用は注意が必要です。

【効果のある害虫】

  • 黒蟻
  • 白アリ(羽アリ)
  • キクイムシ

3.マイクロアトミック 200ml

室内充満型のエアゾール系殺虫剤なら「マイクロアトミック」が有効です。

安全性の高いピレスロイド系殺虫剤で、室内に充満するように噴霧するため、既に室内に出てきているキクイムシの成虫や次世代の発生予防に効果的です。

しかし、木材内にいるキクイムシには効果があまりないので、木材の穴に噴射するタイプの薬剤と合わせて使うと効果的でしょう。

4.バルサン いや~な虫 不快害虫用 6~10畳用 20g

次は、燻煙型の殺虫剤「バルサン」です。

こちらは「煙でいぶすタイプの殺虫剤」で、薬局などでも手に入る比較的安価な殺虫剤です。

室内充満型エアゾール剤と同様、木材の内部に潜むキクイムシには効果が薄いので注意が必要です。次世代の発生防除に効果的なので、キクイムシが発生している室内に使用しておくと安心でしょう。

5.ムシポンポケット

ヒラタキクイムシの成虫の特徴として、ライトトラップが有効であるというのも一つの特徴です。

ある時期のヒラタキクイムシは光に向かう習性に変化するため、発生源のそば(飛行能力があまり高くないため、できれば床面)に設置すると、成虫を捕獲して繁殖を予防する効果があります。

天井裏や壁の裏などで発生している場合は、ヒラタキクイムシが歩いても入れるように床面に設置すると良いでしょう。

しかし、成虫のみに効果があるので、木材内部の幼虫や卵には効果が見込めない点に注意です。


駆除方法は「シバンムシ」と似ているね

シバンムシに関しては別記事で生態と駆除方法について説明したものがあるから、そちらを参照してくだされ!
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キクイムシの熱処理は可能なのか?

燃える木

安全面への配慮から、薬剤を用いずに駆除を行いたいという方も多く、ヒラタキクイムシは熱に弱いという特性から、熱処理によって殺虫駆除を行うという方法をよく見かけます。

しかし、ご家庭でできる木材の熱処理が、どの程度ヒラタキクイムシの駆除に効果的であるかは「ヒラタキクイムシの発生状況による」と考えられます。

ヒラタキクイムシは熱に弱く、材の温度を50~60°Cにあげると,短時間で材中の卵,幼虫,蛹を死滅さすことが出来る。但し、材中の温度がその温度に達するまでに要する時間は材厚に関係するので、これに応じた適当な温度・時間を必要とする。 - ヒラタキクイムシの生態と防除(2) ; 布村昭夫

上記のように、木材の中に潜むヒラタキクイムシの熱処理には、木材の温度を50~60℃にまで上げる必要があります。

家庭にあるドライヤーやスチームアイロンでは、木材表面の温度はすぐに目標値まで上昇するかもしれませんが、キクイムシが潜む内部の温度を高めるには「木材の厚さ」によって条件が変わってくるようです。

例えば、60℃の熱で湿度100%のスチームを当て続けるとした場合、

木材の厚さが2.5cm以下の場合 : 所要時間3時間
木材の厚さが5.0cmの場合   : 所要時間5時間
木材の厚さが7.5cmの場合   : 所要時間7時間

目標温度に達するまでには、上記のような時間が必要であるとされています。
( 参考 – Fir. Prod. Res . Leafl. NO.13 (1962))

もし、キクイムシの発生場所が、厚さ12mm以上あるフローリングなどの床材に発生している場合は、木材内部温度を50~60℃まで上げるには相当な時間がかかり、処理する面積も広いため現実的ではないでしょう。

もし、キクイムシの発生源がすごく狭い範囲に限定される場合においてのみ、高性能スチーマーなどで熱処理を施すことで内部の幼虫や卵を駆除することが可能だといえるでしょう。


ドライヤーの温風を当て続けても、木材内部のキクイムシは死ななそうだね

うむ。熱処理をするにしても、強力なスチーマーを持っている一般家庭はそうそうないじゃろうし、スチーマーを購入するくらいなら業者に依頼した方が確実じゃな

まとめ

家の中の大事な家財や柱を食害する「ヒラタキクイムシ」の駆除方法と対策についてご紹介いたしました。

人に直接の害を与えないキクイムシですが、厄介なのは木材内部で成長するので、燻煙剤やエアゾール剤が幼虫や卵の駆除にまで至らないという点です。

一つ一つのキクイムシの穴に薬剤を注入する方法も、被害範囲が比較的狭い場合に有効ですが、柱や壁一面に繁殖してしまった場合は、業者による駆除をお願いするか、木材自体をキクイムシの被害の及ばない針葉樹のものに交換するしかないでしょう。

もし、まだ家の中のキクイムシの被害が限定的なのであれば、記事内でご紹介した駆除剤などを試してみると良いでしょう。

もし被害が広範囲にわたるようなら、害虫駆除の専門業者に依頼するのが最も確実な方法と言えるでしょう。

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