都会のストレスや人の多さから、都市部に住む人が「地方の田舎」での暮らしにあこがれを持つ人が増えてきています。
国土交通省の調査によると、「いずれ農山漁村に移住してみたいか」という問いに対して、2005年度の調査に比べ、2014年度では各世代で農山漁村に移住したいという回答が増えていることが分かります(下図:参考)
グラフを見ると、30~49歳での田舎への移住希望割合が増え、最も高いのが20代という驚きの結果となっています。
「いずれ田舎に住みたいか?」の質問では、3割以上の人が移住してみたいと回答していますが、「今すぐ移住したいか?」と聞かれると住みたい人は1割にも満たないのです。
田舎暮らしにあこがれるのは大いに結構ですが、ただ憧れで田舎に移住する人は長続きしない傾向にあります。
私は、田舎暮らしには向き不向きがあると思っています。
移住失敗談から見る「田舎暮らしが向いていない人」
「田舎暮らし」や「移住」で調べると、失敗談ばかりが目につきます。
田舎への移住の失敗談は、下記のような理由が多いです。
- 思ったより不便だった
- いつも同じ風景で変化がない生活に飽きた
- 都会の遊びが恋しくなった
- どこにでも出る虫や爬虫類が耐えられなかった
- 地元の人に溶け込めなかった
- 仕事が無かった
- 仕事が途中でなくなってしまった
- 思った以上にお金がかかった
1.田舎の不便さを許容できるか
田舎への移住失敗談で挙げられた上記の項目のうち、「思ったより不便」「いつも同じ風景で変化がない」「都会のような遊びが無い」という理由は、正直実態からかけ離れているように思います。
少なくとも、田舎暮らしが継続できなかった直接の理由ではないのではないでしょうか。
そもそも田舎に移住したい人は、不便であることもわかっているはずですし、都会のような遊びもないことくらい100も承知で移住するはずなので、移住後にこの理由を挙げて「田舎暮らし無理でした」というのは、よっぽど田舎を舐めているかリサーチ不足と言わざるを得ません。
国土交通省の調査では、下のようなデータがあります。
※Iターン、U/Jターンで移住をした人の、移住前後のギャップについてのグラフ
青の折れ線が、縦軸の0よりも上に行くと「思っていた以上に良かった」「どちらかというと良かった」と、移住前後のギャップが良い方に感じられ、逆に0よりも下に行くと、「思ったよりも悪かった」「がっかりした/悪い方に感じるようになった」というグラフです。
交通インフラ(40~59歳)や、移住後の支援体制(サービス)が、思ったよりも悪かったという結果であるのに対し、「日用品の買い物環境」「病院の近接性」「教育環境」「居住環境」「医療・福祉サービス充実度」はいずれも「思っていたよりも良かった」という結果になっています。
実際に移住した人は、「不便さ」の面では想定の範囲内、もしくは思ったよりもマシととらえている人が多いという結果になっています。
一方で、田舎に対して「都会同様の便利さ」を求めて移住してくるような人は、当然田舎暮らしには向いていないと言えるでしょう。
一方で、「遊び場が少ない・交通手段が車・都会より不便」でも平気というような人は、田舎暮らしに向いている人と言えるでしょう。
2.田舎の人間関係・人付き合いがうまくできるかどうか
田舎は、田舎特有の近所づきあいや地域でのかかわりがあり、都会のような希薄な近所づきあいとは大きく違うことがしばしば田舎暮らしが難しくなる理由として挙げられます。
地域とのかかわりをもっと増やしたいと考えて移住する人は、田舎特有の人付き合いも上手くいくでしょうが、あまり周囲とかかわりを持ちたくないと考える人は田舎暮らしは向いていないかもしれません。
東京も田舎もどっちも住んだ経験のある私の感覚では、都会の良さは「どんな人でも受け入れてくれる懐の広さ」だと思っています。
奇抜なファッションが趣味であろうが、海外からの移住者であろうが、同じような境遇の人は沢山いるし、もっともっと変わった人もいます。それらの多種多様な人がいても普通に日常が回っていくのが都会です。
しかし、田舎は話題のネタを放っておいてはくれません。
何か目立つことがあればすぐに知れ渡りますので、そのような距離感が窮屈に感じるのであれば、都会の方が向いているでしょう。
3.仕事の有無・経済面に問題はないか
移住の障壁となるうえで最も大きいのが「仕事が少ない」という点でしょう。
普通に考えて、田舎から都会に出稼ぎに出ている人が多いので田舎に仕事が少ないことはわかりきっているはずです。
にもかかわらず「仕事が無くて移住失敗した」という人もいるようで、仕事を見つける前に移住をしてしまった時点で、計画性が無く田舎暮らしに向いていないことが分かりますね。
そもそも田舎で安定した仕事は「役場」位しか見当たらないことも多く、就農をするなどでなければ多くの場合仕事を探すのにとても苦労します。
近年では、地域おこし協力隊のような仕事も増えてきていますので、田舎での働き口も増えつつありますが、下調べもせず無計画に田舎に行ってしまうと仕事はほぼ見つからないでしょう。
しかし、起業が目的の人やフリーランスの人、リモートワークが可能な人は、都会に比べて田舎はチャンスが沢山あります。
起業であれば都会ほど競争相手がいませんし、自宅で仕事ができる人は自然豊かな環境の方が集中できるという人も多いので、「自ら仕事を作り出せる人」は田舎暮らしが向いている人と言えるでしょう。
先ほどと同じようなグラフですが、項目は主に「仕事・お金」に関してです。
経済面でのギャップは、その多くが「思ったよりも悪かった」と感じる人が多かったという結果になっています。
特に「収入面(移住により収入が減った)」「支出額(支出が増えた)」「継続的な経費(経費が増えた)」の項目で、思ったよりも悪かったと感じる人が多いのです。
実際に田舎に住んでみて感じるのは、車移動がメインになるのでガソリン代がかかること、町内会費や地元組合の活動費などの諸経費がかかる場合や、土地や敷地が広いことも多いので灯油代・電気代・水道代等が都会に比べてかかることが多いでしょう。
思った以上の出費がかかるので、ある程度の貯金がある人、もしくは仕事がしっかりある人でないと田舎暮らし向いていないかもしれません。
まとめ
今回は、ここまでデータをもとに田舎暮らしに向く人・向かない人を分析してきました。
簡単に表して比較をしてみます。
田舎暮らしに向く人 | 田舎暮らしに向かない人 |
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私が思う田舎暮らしに向いている人の特徴を一つ上げるとすれば、
「自分で仕事も楽しみも人間関係も作り出せる人」です。
目的をもって移住し、自分でしっかりと下調べをして、わからないことがあれば地元の人に声をかけて聞く。常に受け身なのではなく、自分で考えて動ける人は田舎に向いている人だと思います。
しかし、仕事が現段階でなくても、前述した通り「地方創生プロジェクト」の一環として「地域おこし協力隊」という制度があるので、こちらを利用することで移住先での仕事が見つかるかもしれません。
田舎暮らしの一番のネックになりやすい「田舎の仕事」に関する情報を、しっかりとリサーチすることは田舎暮らしをスタートさせる第一歩となります。
「田舎への移住に興味はあるけど仕事面で不安がある」「地域おこし協力隊の仕事に興味がある」という方は、「地方創生プロジェクト」と検索いただいて、無料の会員登録を行って移住希望地での仕事の情報などを取得するところから始めてみるのがいいかもしれません。
また、虫が苦手な人に関しては、当サイトで様々な虫の防除方法をご紹介していますので、「家の中の虫はこいつかも?あまり知られていない室内の害虫10選」をご覧ください。