こんにちは、田舎センセイです!
私は農業も園芸もやっていますが、農業などで厄介だなと感じる雑草は「スギナ」や「カヤツリグサ」などが思い浮かびます。
一方で、園芸をしていて鉢の中にいつの間にか混入している厄介な雑草と言えば「カタバミ」をあげる方が多いのではないでしょうか?
当然カタバミは芝生や畑にも生えますが、小さなプレステラなどのプラ鉢の中にいつの間にか入りこんでるのが不思議でなりません。
クローバーによく似た形は、古くから日本の家紋などに使われていて馴染み深いものなのですが、植物や作物を扱う私にとってはかなりの厄介者です。
本記事では、いつの間にか繁殖している厄介な雑草「カタバミ」の特徴と効果的な駆除方法についてご紹介します。
Contents
カタバミ(片喰)とはどんな雑草!?
※我が家のユーフォルビアオベサの鉢に生えだしたカタバミ
和名/別名 | カタバミ/すいば・ねこあし・かがみぐさ |
学名 | Oxalis corniculata |
階級 | カタバミ科カタバミ属 |
分類 | 多年草 |
分布 | 日本全土 |
形態 | ハート型の葉を3対つける。種を飛ばし繁殖力が旺盛。 |
開花時期 | 5ー10月 |
カタバミは漢字で「酢漿草」や「片喰」と書くことがありますが、特に前者は食べると酸っぱいことから来ています。
カタバミにはクエン酸やシュウ酸が含まれているためで、別名の「すいば」などはカタバミの酸っぱい味からきていることが分かりますね。
また、シュウ酸が鏡などをピカピカにしてくれることから、昔にカタバミをすりつぶして鏡を磨いていたとも言われているので「かがみぐさ」という呼び名もあります。
とにかく繁殖力が強くてどこにでも生えます。
熟した種は触れるとはじけ飛んで1ⅿ以上も遠くに飛ばすので、気が付けばあちこちで繁殖していることもしばしば。種以外にも土中の根茎が分裂することでも増えるので、スギナ同様に中途半端に引きちぎって土中に根が残るとそこからまた生えてきます。
とても似ているクローバー(シロツメクサ)とカタバミの違い
上の画像はクローバー(シロツメクサ)ですが、カタバミと似ているのでよく混同されます。
というか、ほとんどの方がカタバミをクローバーだと思って紹介していたりします。きっとカタバミの事を知らずに、3枚葉がついているものを全てクローバーだと勘違いしているようですね。
3対の葉が付いているのは一緒なのですが、実はよく見るとかなり違います。
名前 | カタバミ | クローバー |
葉の形 | ハート型 | 丸い |
葉の模様 | なし | 白い模様あり |
葉の閉じ方 | 夜になると笠を折りたたむように外側に閉じる | 葉は閉じない |
結構両者を混同しているようなイラストや写真も多くて、こちらの会社の様な雑草駆除の会社でもクローバーの除草剤と称して使っているのはカタバミの写真です。
カタバミ | クローバー |
---|---|
画像検索で「クローバー」と入れて調べた時に、半分以上がカタバミの写真で思った以上に両者の違いを分かっていない人が多いんだなぁという印象です。
特に無料の画像サイトにクローバーとタグ付けされたカタバミの写真が多いのも原因のひとつ。
違いを分からずにカタバミをクローバーと思い込んで使っている人が多いせいで、カタバミの画像がクローバーとして拡散されている様子。
カタバミの葉は傘をたたむように外側に折れ曲がりますが、クローバーはこうはなりません。この写真は花も明らかに違うのでクローバーで無いことは明らかですが、葉の特徴だけでもクローバーと見分けることは容易です。
カタバミとヤマトシジミチョウ
※画像引用:wikimedia commons
ヤマトシジミという小さな蝶をカタバミの近くで見かけることが多いのですが、この蝶の幼虫が好んでカタバミを食べることが知られています。
北海道以南に生息し、東京ではモンシロチョウやアゲハ蝶よりも多くみられる蝶と言われているので見たことがある方も多いと思います。
人家の近くなどでも多くいますし、日当たりが良い所に生えているカタバミの周囲では高頻度で見かけます。
ヤマトシジミは卵をカタバミに産卵し、幼虫は葉を食べ、カタバミと共に成長します。カタバミの葉に丸い卵がついていたら、大抵はこのヤマトシジミの卵です。
カタバミの花言葉
カタバミと家紋の関係|5大家紋のひとつ「片喰紋」
※丸に剣片喰紋
カタバミはやっかいな雑草というイメージがとても強いのですが「5大家紋」の1つとして数えられています。
五大家紋(五大紋)は数ある家紋の中でも特に人気があって多く使われているもので、「鷹の羽」「片喰」「木瓜」「藤」「桐」の5つを指します。
その中でも片喰紋は、「日常的に見かける身近な植物」で「繁殖力旺盛」で「生命力が強い」という特徴から、家柄が絶えずに長く続くという願いを込めて武士の家系で良く用いられていたと言います。
カタバミの駆除方法と除草剤
前述の通りカタバミは「難防除雑草」のひとつに数えられていてとても防除が難しいです。
カタバミがなぜ防除しにくいかというと、
・匍匐茎(ほふくけい・ランナー)を伸ばして地表に広がる
・根が深く、根茎が千切れることでも増える
などの理由が挙げられます。
根が深いのと根茎部分もしっかりと枯死させる必要があるので、周囲に別の植物が無い場合はラウンドアップの様な浸透移行性のグリホサート系薬剤が最も効果的です。
もし、ラウンドアップが使えないような状況の場合は「根元から深く掘って根茎ごと取り除く」以外に方法がありません。
カタバミが芝生に生えてしまったら「芝生用除草剤 MCPP液剤」
系統 | フェノキシ系 | |
有効成分 | MCPP | |
殺草作用 | 植物体内を移行し、生長点などに作用して奇形を生じたり、ホルモンバランスを崩して枯らす | |
適用草種 | 一年生雑草(イネ科) | × |
一年生雑草(広葉) | 〇 | |
多年生雑草(イネ科) | × | |
多年生雑草(広葉) | 〇 | |
処理方法 | 茎葉処理剤 | |
接触型 or 移行型 | 移行型 | |
効果発現の速さ | 速~中 | |
効果の持続性 | 中~長 | |
土壌中の移動性/残留性 | 大 / 小 | |
選択性の有無 | 選択性 | |
人畜毒性 | 普通物 | |
特記事項 | 選択性薬剤なので、クローバーなどの広葉雑草に選択的に効く。 |
イネ科の草には影響を与えず、カタバミを除去することができるのがMCPP液剤です。
使用方法と適用などの注意点については、MCPPの商品ページや説明欄、販売元の注意書きをよく読んでご利用ください。
まとめ
カタバミは昔は家紋に使われていたことからもイメージとしてはポジティブだったのかもしれませんが、現在ではポジティブなイメージは「クローバー」にもっていかれ、カタバミは厄介者扱いされている雑草になってしまっています。
かく言う私もその一人でしたが、色々と調べていく中でカタバミの持つポジティブな側面にも目を向けられるような気がしてきましたよ。
当時の家紋のように、クローバーではなくカタバミを縁起のいい植物として、デザインされたものを持ち歩いてみるのもいいかもしれませんね!