秋になると河原に広がる「ススキ」は日本の昔ながらの景色ですよね。
我が家の周囲にもススキが広がっているのですが、先日「ススキを漢字で書けるか?」という話になった時に、あまりススキについて詳しく知らないことに気が付きました。
本記事ではススキに関する基本情報について色々調べた結果をまとめましたので、是非ご覧ください。
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【画像と生態】ススキとはどんな植物?
- 和名:ススキ 別名:茅、尾花
- 学名:Miscanthus sinensis
- 階級:イネ科ススキ属
- 分類:多年生草本
- 分布:日本全国
- 形態:高さは1~2ⅿまで伸び、種子と地下茎で増える
- 特徴:葉はケイ酸が多く含まれているので硬く、皮膚が切れることもある
十五夜(中秋の名月)にススキを飾る理由
秋の花として古くから日本に咲くススキの季語は当然「秋」です。
中秋の名月である十五夜(旧暦の8月15日)に飾る風習があるススキですが、ススキを稲穂に見立てて豊穣の対象である月に対してお祈りをしたことから始まったとされています。
現代では、旧暦と暦の数え方が違うので十五夜はその年によって違い、大体9月中旬~10月初旬になることが多いです。
ススキが咲く季節|全国各地のススキの開花日を知る方法
ススキが咲く時期・季節は膨大な気象庁のデータベースに記録されていて、過去の開花日を各観測地域ごとに記録されているので、お住まいの地域での大体のススキの開花予想をすることができます。
気象庁が発表するススキの開花宣言は「穂が20%以上開いたかどうか」が基準になります。
そのため、満開のススキが黄金色に揺れる様子を見るには、気象庁の開花宣言よりも1か月程度後になると考えておくと良いでしょう。
過去のススキの開花日のデータ
過去3年分のススキの開花日データを見たところ、大体例年ススキの開花が始まるのが早いのが、下記の地域です(※日付は2018年のススキの開花日)
・仙台管区気象台:7月19日
・函館地方気象台:8月2日
・金沢地方気象台:8月6日
・津地方気象台 :8月7日
一方で、ススキの開花が遅いのが下記の地域です。
・沖縄気象台 :10月22日
・和歌山地方気象台:10月19日
・銚子地方気象台 :10月12日
・神戸地方気象台 :10月10日
・広島地方気象台 :10月9日
東京のススキの開花日はおよそ9月初旬頃と平均的です。
桜とは違いススキの開花前線は北から南に向かって南下していきますが、函館よりも仙台の方がはるかに開花日が早いことに驚きました。
ススキの開花時期は「早い所では7月中旬~下旬、遅い所では10月下旬」という事になりますね。
そして満開のススキの見ごろは、この開花時期の1か月程度後になることに注意しましょう。
ススキの花粉の飛散時期と花粉症&アレルギーの危険性
ススキ(イネ科の植物)の花粉は、スギ花粉のように遠くには飛びませんが、群落をつくっている周辺では花粉症やアレルギーの原因になることがあります。
ススキの花粉の飛散時期は8月中旬~10月中旬がピークと言われています。
イネ科の植物にアレルギーをお持ちの方は、ススキの花粉飛散時期にはあまりススキに近寄らないようにしましょう。
また、同時期に飛散量の多い花粉には「ブタクサ」「ヨモギ」「カナムグラ」がありますので、秋に花粉症の症状が出ている場合はこれらもあわせて注意するようにしましょう。
ススキの「漢字・英語名・花言葉」
ススキは漢字でどう書く?
ススキを漢字で書くと、「薄」や「芒」と書きます。
両者の違いは、
・芒:植物の先端、ぼんやりしてるさま、植物名の「ススキ」
上記のように、すすきについて漢字本来の意味をあてるとすると「芒」の方が正しいようです。
薄の方に関してはススキという意味は無く、もの悲しさやススキの群落で沢山咲いていてぼんやりとしている様子からこの字があてられたのではないかと言われています。
ススキは英語で何と言う?
すすきは英語で「eulalia」と言います。
ただ、海外でeulaliaと言われてもわからない人の方が多いので、 「Japanese pampas grass」もしくは「Japanese silver grass」と言った方が伝わるかもしれません。
pampasというのは「(大きな樹木の無い)大草原」の事を指し、日本の固有種であるススキを英語で伝える場合に形容するものが無いので、「草原に咲く日本の草」と言うような言い回しになります。
私が海外にいた時は、Japanese susuki grass とか Japanese silver grassと言う事が多かったのですが、susuki grassでも通じることが多かったです。
口頭で誰かにすすきの話をする場合は「eulalia」でもいいですが、「Japanese susuki grass」などの方が伝わりやすいかもしれません。
ススキの花言葉と名前の由来
ススキという名前はそもそも「スス:すくすく(と育つ)」と「キ:茎」というところからつけられたという説があり、まさにその名の通り「生命力が強い」ことを表す花言葉が多くついていますね。
日本の秋の風景が変わってきた!「セイタカアワダチソウ」との争い
日本の秋の河川敷の風景と言えばススキが群落をつくって咲き誇るというイメージが強いですが、昨今では外来種の侵略によってそのイメージが崩されつつあります。
その一番の原因になってるのは「セイタカアワダチソウ」
日本の侵略的外来種ワースト100のひとつでもあるセイタカアワダチソウは、根から「アレロパシー作用」という他の植物の成長を阻害する効果を持つ物質を分泌するので、かつてススキが群落をつくっていたところでもセイタカアワダチソウが優勢になっている場所も少なくありません。
しかし、アレロパシー作用はセイタカアワダチソウ自身にも作用するため、長い目で見ればススキの方が生き残るといわれています。
そして、セイタカアワダチソウの原産地である北アメリカでは、同様の経緯でススキが日本から侵入し、現地ではススキが侵略的外来種として猛威を振るっているので、日本よりも北アメリカの方が現状としては悲惨かもしれませんね。
まとめ
日本の秋の風景の代表格である「ススキ」は、日本の古くからの暮らしや文化に深くかかわっていて、呼び名や花言葉にに代表されるように生命力がとても強い植物であることが分かります。
十五夜で飾ることがあるように、豊穣のお祈りなど豊かさの象徴としてみられることが多いススキは日本人にとっては馴染み深く、縁起のいいものと言う印象がありますよね。
セイタカアワダチソウによる生息環境の変化はありますが、その持ち前の生命力で最終的には勝ち残ると言われていますのであまり心配はいらないでしょう。