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  • ガガンボ(カトンボ)|大きい蚊のような虫は刺すの?

    ガガンボ(カトンボ)|大きい蚊のような虫は刺すの?

    室内に入ってくることのある昆虫で、大きな蚊のような形をしていれば、それは「ガガンボ」(別名:カトンボ)かもしれません。

    見た目も大きく迫力があるので、虫が嫌いな人にとっては恐怖の虫です。

    農業をやっている人にとってはガガンボは害虫にもなりうるので注意が必要です。

    今回は、そんな大きな蚊に似た昆虫「ガガンボ」についてご紹介します。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]ガガンボって覚えやすい名前だね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]蚊に似ているけど大きいから、”蚊の母”という事でガガンボと名がついたと言われておるぞい[/chat]

    ガガンボ(別名:カトンボ)とは?

    ガガンボ

    1. 和名:ガガンボ ※別名:カトンボ
    2. 学名:Tipulidae
    3. 階級:双翅目長角亜群ガガンボ科 の総称
    4. 生息範囲:日本全域(世界中)
    5. 活動時期:3~11月(越冬は幼虫かサナギ)
    6. 体長:成虫20~25mm
    7. 特徴:蚊に似ているが吸血行動はしない、走光性がある
    8. 好物:成虫は花の蜜、幼虫は植物の根など
    9. 弱点:基本的に強い昆虫ではない
    10. 厄介な点①:幼虫は植物や作物の根を食害する

    ガガンボは刺すの?

    ガガンボは人を刺したり、吸血行動をすることはありません!

    ガガンボの生態(成虫・幼虫)

    幼虫のイラスト

    ガガンボの成虫は足が長く大きいため怖い印象がありますが、家の中に入ってきて飛び回る以外は特に害のない昆虫です。

    走光性があるため、夜になると光におびき寄せられちょっとした隙間から入り込んでくるので、結構頻繁に家の中で見かけるのが困りどころですよね。

    動きもさほど早くないので、網で捕まえるピレスロイド系の殺虫スプレーで駆除することが出来ます。

    実はガガンボ類の昆虫は世界中に沢山の種類がいることで知られていて、世界15,000種以上、日本でも700種以上が確認されています。

    ガガンボ類には、ガガンボ科、ガガンボダマシ科、コシボソガガンボ科、ニセヒメガガンボ科などが含まれています。

    その中でも、ガガンボ科のキリウジガガンボの幼虫は、イネや麦の若葉や根を食べることから農業害虫とされています。

    ボウフラのように完全に水で幼虫期を過ごす蚊とは違い、このキリウジガガンボの幼虫は土の中で成長します。また、ガガンボ類の幼虫には、完全水生や半水生の種類もあり様々です。

    調査によると、ガガンボの幼虫には、イネの根だけでなくキャベツやホウレン草、プラタナスの葉なども摂食するものがいることが分かっており、畑の周囲でガガンボを目撃した場合は注意が必要です。

    ※参考:ヤブカ調査用オビトラップに産卵するガガンボ科の1種  中野 2009

    ガガンボの駆除・防除方法

    1.光トラップを使う

     

    ガガンボなど、走光性のある昆虫に対してはライトトラップも有効です。

    光に集まる習性を利用して、自動的に虫を捕獲してくれますので、網や殺虫剤をもって追いかける必要はありません。

    デメリットは、比較的高価であることと、幼虫の駆除まではできないので、室内に侵入してくる直前で捕殺する(完全にすべての個体を捕まえられるわけではない)という点でしょう。

    2.ガラスや網戸に忌避剤を使用する

    PGガードは、窓ガラスに吹きかけることで効果を発揮する忌避剤です。

    ガガンボの場合は、夜間に電気をつけやすいリビングなどの窓ガラスに吹きかけると、約1か月ほど効果が持続します。

    注意点としては、塗布直後に大雨が降ると再塗布する必要がある点と、ガラスに吹きかける量を間違えると窓ガラスが曇ってしまう恐れがあることです。

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • ユスリカ
    • 羽アリ
    • カメムシ
    • チョウバエ
    • ショウジョウバエ
    • カゲロウ
    • コバエ
    • ヨコバイ
    • ガガンボ

    3.虫網を使う

    やたらと室内に侵入してくる場合は、網目の小さいコンパクトな虫網を常備しておくと良いでしょう。

    ガガンボは室内を飛び回りますが、速度もさほど早くないので簡単に捕獲することが出来ますし、その他の室内害虫の捕獲に役立ちます。

    小さなお子さんがいたりペットを飼っているご家庭は、室内での殺虫剤散布に抵抗がある方も多いと思いますので、捕獲したうえで外に放すか、外で殺虫剤を散布するなどして駆除しましょう。

    まとめ

    今回は、大きな蚊のような昆虫「ガガンボ」について、生態と駆除方法をご紹介しました。

    室内に入り込んで恐怖心を与える以外は、実は弱くて吸血行動などはしない害のほとんどない虫です。移動速度もさほど早くないですし、慣れてしまえば素手でも捕獲できるので、むやみに殺虫剤を室内に撒くほどの虫ではないでしょう。

    ただ、農家の場合は幼虫がイネや麦の根、または葉物野菜を食害することがあるので注意が必要です。

    今回ご紹介したPGガードやライトトラップなどの害虫駆除剤(機器)については、「おすすめの殺虫剤・防虫剤・忌避剤」のページでもご紹介していますので、併せてご覧くださいね。

    関連記事>>>家の中の虫はこいつかも?あまり知られていない室内の害虫10選

  • コナガの生態と無農薬で防除する方法をご紹介します!

    コナガの生態と無農薬で防除する方法をご紹介します!

    アブラナ科の植物を好んで食害することで知られている「コナガ」という小さい蛾をご存知でしょうか?

    キャベツやブロッコリーなどの天敵として世界中で重要害虫とされていて、最も薬剤抵抗性のある害虫として知られています。

    今回は、このとてつもなく厄介な害虫「コナガ」の生態と防除法をご紹介します!

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]コナガは現在あるほとんどの薬剤に抵抗性を持っている個体が見つかっているんじゃ![/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]じゃぁ防除できないじゃん!弱点はあるの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]世界中のキャベツ農家が防除法を求めて試行錯誤しているんじゃよ。
    でも弱点もあるから、今回は生態を含めて学んでいくぞい![/chat]

    コナガとはどんな害虫?

    コナガ

    1. 和名:コナガ (小菜蛾)
    2. 学名Plutella xylostella
    3. 階級:チョウ目コナガ科コナガ属
    4. 生息範囲:日本全国(西アジア原産)
    5. 生息場所:アブラナ科の野菜を好んで食害
    6. 活動時期:春~秋の発生が多いが、冬でも緩やかに成長する
    7. 体長:成虫は6mm(翅を広げると12mm程度)、幼虫は10mm
    8. 寿命:羽化した成虫の寿命は1~2週間
    9. 特徴①:年に5回~10回発生する(暖かい土地だと発生回数が多い)
    10. 特徴②:雄成虫は黒褐色系。背中に菱形の模様があり「Diamondback moth」の由来になっている
    11. 特徴③:農薬のBT剤に一番最初に抵抗性を示した昆虫
    12. 好物:アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カブ、カリフラワー、クレソン等)
    13. 弱点:性フェロモン剤が有効
    14. 厄介な点①:極めて薬剤抵抗性が高く、同一薬剤を続けて使用できない
    15. 厄介な点②:繁殖力が旺盛

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]てっきり「粉蛾」でコナガだと思った!小さい菜花につくからコナガなのね![/chat]

    コナガの特徴とは?

    コナガの世界分布

    ※コナガの生物学的分布図

    1.気流に乗って長距離移動する

    コナガは、地中海(西アジア)原産の外来害虫と言われており、ヨーロッパでは昔からコナガが大移動をすることが知られていました。

    気流に乗って1000キロ以上も大移動をするというコナガは、その行動範囲の広さから世界中で猛威を振るうようになったといわれています。

    上の地図を見ると、赤く塗りつぶされているのがコナガが生息する範囲です。これだけの範囲にまで生息域を拡大しているのは、まさに大害虫であるといえるでしょう。

    2.寒さに弱い

    コナガは寒さに弱いため北海道と東北では越冬できないといわれています。

    その癖、北海道や東北に向けて大移動をして飛来するため、春先の比較的早い段階でも北海道でコナガを確認することが出来ます。

    寒さに弱いコナガですが、短時間であればー15℃程度までは耐えられるとされており、0℃前後の気温が長期間続くと生きていけないことが分かっています。

    そのため、冬の期間が長く、積雪が多い地方(根雪期間が2か月程度ある地方)では、越冬できず死んでしまいます

    3.ほとんどの薬剤に抵抗性を持っている

    コナガが最も恐れられている、厄介な特性が「薬剤抵抗性の高さ」です。

    現状でよく使われる薬剤成分である「有機リン」「カーバメート」「合成ピレスロイド」「ネライストキシン」「BT]「IGR」「混合剤」のすべてに対して、コナガは抵抗性を持っているとされています。

    そのため、同一系統の薬剤を連用しないようにすることがとても大切になってきます。

    他の幼虫とコナガの幼虫の見分け方

    コナガの幼虫

    アブラナ科のキャベツなどを食害する虫(幼虫)には、コナガ以外にも「モンシロチョウ(青虫)」や「ヨトウガ(ヨトウムシ)」「ハスモンヨトウ」「カブラハバチ」などいくつかの種類がいます。

    素人目には、作物に付いているイモムシがどの虫の幼虫なのか見分けるのが難しいですよね。

    それぞれの昆虫によって防除方法も異なるため、しっかりと原因害虫の特定をしたいところですが、どのようにしてコナガの幼虫かどうかを見分ければよいのでしょうか?

    コナガの幼虫には下記のような特徴があります。

    1. コナガの幼虫は、他の幼虫に比べ小さく10mm程度しかない
    2. シャクトリムシのようには歩かない
    3. 触ると驚いて素早く後ずさりをする
    4. 葉から簡単に落ち、その時に白い糸を吐く

    上記のような特徴があれば、コナガの幼虫であると推測できます。

    ①の大きさに関しては、その他の昆虫の若齢幼虫であることもあるので確定はできませんが、触った後に素早く後ずさりをしたり、糸を吐いて抵抗するのはコナガ特有の特徴です。

    コナガが食害する作物の種類とは?

    キャベツ

    コナガはアブラナ科の作物や植物が大好物で、それ以外の作物には見向きもしません。

    それは、アブラナ科の植物に含まれる「からし油成分」がコナガの産卵に必要で、コナガの成虫はこの成分のある作物にしか産卵しません。

    コナガの食害を受けやすいアブラナ科の作物は以下の通りです。

    カブ・カリフラワー・キャベツ・コマツナ・ダイコン・チンゲンサイ・ハクサイ・ブロッコリー・ミズナ・メキャベツ・ルッコラ・クレソン・高菜・菜花 

    アブラナ科の作物の中でも好みがあるようで、畑に大根しかない場合は大根の葉を食害しますが、隣にキャベツがあると大根にはほとんど寄りつかずにキャベツを食害します。

    コナガの食害を受けるとどうなる?

    結球してないキャベツ

    コナガの食害が進行すると、作物には多大な影響を与えてしまいます。

    特に、コナガの幼虫は柔らかい新芽部分を食害するので、新芽部分をやられたキャベツなどの結球作物は結球できなくなり、商品価値がなくなってしまいます。

    また、光合成が阻害され作物の成長がとまってしまうだけでなく、食害部分が次の成虫の産卵場所になりやすいために、さらなる被害を呼び込んでしまう可能性があります。

    コナガの防除方法(農薬以外)

    水まき画像

    1.作物周囲の雑草を駆除する

    コナガの防除で忘れてはならないのが、作物周囲(圃場内)の雑草の駆除です。

    雑草にも「ナズナ」「タネツケバナ」「イヌガラシ」などのアブラナ科の植物があり、たとえ作物自体に防除法を施しても、周囲の雑草でコナガが発生してしまっては本末転倒です。

    しっかりと周囲の雑草も駆除をしてしまいましょう。

    除草に関しては「雑草を生えなくする9つの方法」の記事をご覧ください。

    2.シルバーマルチを使う

    コナガは、アブラムシやアザミウマ同様に、シルバーマルチによる忌避が効果的という報告があります(島根県農試 1989)

    シルバーマルチを使用したウネでの、コナガの産卵数が顕著に低かったことから、シルバーマルチで作物の株元を覆うというのは一つ効果的な方法でしょう。

    ただし、キャベツなど成長するにつれて株が大きくなる作物の場合は、作物に隠れて反射面が次第に小さくなってしまい、効果が薄れてしまうという欠点があります。

    シルバーマルチをつかった忌避は、作物の種類によって向き不向きがあるといえるでしょう。

    3.作物をネットで覆って飛来を防ぐ

    コナガの発生は、どこからか自然に湧いて起きるのではなく、必ずどこからか飛来して作物に付くために起こります。

    そのため、外部からの飛来自体を防ぐことで被害を食い止めるという方法もあります。

    アザミウマに対する防除方法でもご紹介した「防虫ネット」がその一つです。

    作物を防虫ネットでしっかり覆う事で、コナガの食害を顕著に減らすことが出来るでしょう。

    コナガに関しては、アザミウマの防除法で効果的だった赤色防虫ネットが、白色防虫ネットに比べて防除の度合いが優れているかはわかっていませんが、

    コナガの成虫の体長が6mm程度であることから、通常の白色防虫ネット(0.4mm)などであれば、網の目の間を通り抜けることは無いでしょう。

    4.散水する

    実はコナガは、水滴でも溺死するほど水に弱いという弱点があります。

    雨が降るとその衝撃で葉から落ちて、水たまりに入ると死んでしまうのです。

    定期的にスプリンクラーや手動で夜2回(各15分)散水することで、約8割の幼虫を駆除できたという報告もあるほどで(土生、1993)、散水はかなり効果的であるといえるでしょう。

    水耕栽培などの作物の栽培方法によっては、散水による駆除が適さない場合もありますので、注意しましょう。

    5.フェロモントラップを使う

    コナガの雄は、雌の放つ性フェロモンにおびき寄せられる習性があるので、フェロモントラップが有効です。

    フェロモントラップを使用するメリットは、

    • 処理が簡単ですぐできる
    • 効果が長く続く(3か月程度)
    • 作物に影響がない
    • 抵抗性が発達しにくい
    • 殺虫剤の散布回数が減る
    • 殺虫剤の散布回数が減るので、薬剤抵抗性が発達しにくい

    一方で、デメリットは

    • 広い土地の一区画だけ使っても意味がない(広範囲を一度に行う方が良い)
    • オスしか捕まえられない

    等の点があげられるでしょう。

    コナガのフェロモンの有効範囲は比較的狭く、風下側でもせいぜい5メートルと言われています。

    コナガの体長が1cmに満たない事を考えると、5mの臭いを嗅ぎつけるというのは凄い事ですが、圃場が広い場合は、ほんの1区画だけフェロモントラップを利用しても駆除効果はさほど見込めないでしょう。

    圃場の広さに合わせて、使用するフェロモントラップの量を調整することが大切ですね。

    フェロモントラップの購入は、下記のサイトで購入できます。

    日本植物防疫協会HP

    6.天敵を使う

    アブラムシやアザミウマ同様に、天敵による生物学的防除方法が効果的です。

    <関連記事>

    基本的には上記の2種同様に、寄生バチでの防除を行う場合が多いのですが、コナガの幼虫の場合は「ゴミムシ」や「クモ」などの、作物をよじ登って幼虫を捕食する肉食性の昆虫が天敵として存在します。

    下記の研究によると「ウヅキコモリグモ・オオアトボシアオゴミムシ・キボシアオゴミムシ」などが捕食数の多い天敵として紹介されています。

    農研機構:キャベツ害虫コナガの有用な捕食天敵3種

    コナガを捕食する寄生バチには「コナガサムライコマユバチ」や「メアカタマゴバチ」がいます。

    作物が害虫に食害されたときに作物自身が発する独特なにおい「植食者誘導性植物揮発性物質(Herbivore induced plant volatiles:HIPV)」を発するのですが、このHIPVが害虫の天敵をおびき寄せる「野菜のSOS」の働きを持つことが分かっています。

    現在はこのHIPVを「天敵誘引剤」として研究・開発されているようですが、まだ市販にまでは至っていません(2017年)。

    現状でできることとしては、殺菌と称した無計画な消毒や、やみくもな農薬の散布を行わず、必要最低限の対策で効果を得るように心がけるというのが、せめてもの対策でしょう。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]野菜自身が害虫の天敵に訴えかける匂いを発するって凄いね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]どんな匂いなのか気になるのう。[/chat]

    7.バキュームで吸い取る

    バキューム

    私が特におすすめしたいのは「バキュームで吸い取る」という方法です。

    1992年に発表された論文で、コナガの吸引除去に関する効果を検討したデータが発表されていて、どの程度コナガの成虫の密集度を減らすことが出来るか示されています。

    害虫の吸引除去による防除法:大阪府農林技術センター 高浦ら

    この研究は、ツケナ類などの軟弱野菜の害虫防除法として、使用可能な防除法の開発を目的としてクレソン畑での「バキュームを利用した吸引除去法」を試したとされています。

    効果の程は、予想外に高く一回の吸引除去で成虫が半減することが分かったとされており、5~6回の掃除で成虫数を我慢できるレベルまで減少させることが出来るという事が分かりました。

    しかし、問題点としては一番効果的だった型の重量が20kgオーバーとあまりに重く、長時間の利用が難しかったこと、またハンディータイプに変更すると吸引力が落ちてしまう事が難点として挙げられていました。

    当時の研究から25年余り経過した現在では、ハンディータイプの軽量バキュームでも吸引力の強いものが販売されているので、ハウス内でのコナガの成虫が増殖した際に効果的に使用することが可能です。

    おすすめのバキュームは、「HG-HB30BV」です。

    落ち葉を集めるブロアーとバキュームの両方として使えるので、ハウス内に発生したコナガの成虫をパワフルに吸引することが可能です。

    肩掛けストラップ付で、5キロ弱の重量なので長時間の利用も可能です。

    また、エンジン式なので電源不要で延長コードが足に絡まる心配もないので、狭いハウス内でも使いやすいのが特徴です。

    落葉の時期の落ち葉にももちろん使えますし、農作業以外にも活躍してくれるので、1台あれば作業効率も大幅にUPします。

    全てのコナガの成虫を吸引駆除するのは難しいので、その他の防除法との併用が必要ですが、1時間のハウス内吸引で成虫数が半減することを考えるとあって損は無いのではないでしょうか。

    まとめ

    今回は、コナガの生態と農薬を使わない防除方法をご紹介しました。

    あえて農薬の情報をご紹介しなかった理由としては、コナガが特に薬物抵抗性の獲得が早い害虫であること、そしてアブラナ科の作物全般を食害するという加害範囲の広さから、農薬の散布方法が多岐に渡るという理由からです。

    実際には、旺盛な繁殖力と広範囲への移動をするコナガの対策としては、農薬を使った防除が必要であることは否めません。

    しかし、農薬散布以前に、今回ご紹介した様々な防除方法を行う事で、農薬の散布量を減らすことにつながり、最終的にコナガの薬剤抵抗性の発達を抑制することにつながります。

    これらの農薬以外の対策を遂行してから、粒剤などでのコナガの全体数を減らし、その後に選択性のある薬剤で駆除をすれば、ある程度の防除は可能になるでしょう。

    農薬の散布回数を減らすのは食物の安全性の面のみならず、長期的に見たコナガ防除の方針からしても大切な視点であると思います。

    是非参考にしてみてください。

    参考)
    「コナガ」おもしろ生態とかしこい防ぎ方
    害虫の吸引除去による防除法
    農研機構HP

  • 草刈り道具|雑草駆除には三角ホーがおすすめ!

    草刈り道具|雑草駆除には三角ホーがおすすめ!

    春から秋にかけて毎日のように伸びる雑草。

    田舎に住むと毎日の草刈りが日課になり、しかも想像以上に体力を使いますよね。

    あちこち転々と生える雑草は、移動しながらザクザク。

    密集しているときはその場にかがんでしばらく草を取ってもなかなか終わらない。

    そんな毎日の草刈りが、ほんの少しでも楽になればいいなと思いませんか?

    今回は、草刈りにおすすめの「三角ホー」という草刈り道具をご紹介します!

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]かがんで草刈りしてると腰が痛くなるんだよね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]三角ホーを使えば腰痛解消にもなるぞい![/chat]

    草刈りに三角ホーがおすすめの理由とは?

    三角ホー

    これまで当サイトでは、おすすめの除草剤一般家庭でも使いやすい電動刈払機防草シートで完全に雑草を防除する方法など様々な雑草の防除方法をお伝えしてきましたが、下記のような理由でそれらの防除法を取ることが出来ない人もいるでしょう。

    • 雑草の生えている範囲が限定的で、除草剤を使う程でもない
    • 幼い子供やペットがいるために除草剤をなるべく使いたくない
    • 作物を育てている畑にある雑草で、使用できる選択性の薬剤が無い場合
    • とにかく普通に草刈りをする道具で便利なものが欲しい

    しかし、実際に草刈りをするとなると、

    • 基本中腰
    • 手で引き抜くのが辛い
    • 地面からの照り返しが熱い

    など、手で引っこ抜いたり小さい鎌や熊手では大変なことも多いですよね。

    三角ホーは、何ともコミカルな名前ですが、ホー(hoe)は鍬のことです。金具の部分が従来の四角ではなく三角形になっていることから三角ホーです。

    ポイントは、下記の3通りの使い方がある点です。

    1. 尖った面でサクッと簡単に根元から刈り取ることが出来る
    2. 側面で密集した雑草を削り取ることが出来る
    3. 後ろの平らな面で、掘り起こした後の土をならすことが出来る

    また、三角ホーは立ったまま草刈りができるというのも大きな利点です。

    三角ホー 全体

    中腰での草刈りは、腰を痛めやすいだけでなく、しゃがんで作業をすることで視界が狭くなりますし、立ったりしゃがんだりするのは作業をするうえで効率も悪くなりがちです。

    立ったまま草刈りができるのは、作業効率の面でもとても大切なのですよね。

    身長から見る購入すべき三角ホーの長さの目安は?

    三角ホーのメリットは立ったまま除草ができる点です。

    しかし、三角ホーを購入しても、長さが中途半端に短いと中腰になってしまう事もあるので、商品を選ぶ時は「十分な長さがあるか」をしっかり確認して購入するようにしましょう。

    販売されている三角ホーには、

    • 約1m
    • 1m30cm~1m40cm
    • 2m強
    • 伸縮可能タイプ

    などがあります。

    1m前後の三角ホー

    この中でも、約1mのものは女性向けの軽量タイプのものが多いのですが、身長155cmの女性でも少し短いと感じる長さです。

    身長150cmよりやや小さめの女性や、ご年配で非力な女性にはお勧めですが、三角ホーは振り上げて使うものではないので、そこそこの重さと長さがあっても問題は無いと思います。

    1m30cm~40cmの三角ホー

    一般的には、1m30cm~40cmの三角ホーが使いやすいサイズでしょう。
    比較的軽量のものも多く、値段も手ごろなものがあります。

    高身長な男性にとってはやや短いかもしれません。

    2m以上の三角ホー

    長いものでは240cmの三角ホーもあり、こちらは完全に男性向けのサイズです。
    (※210cmのサイズなら女性でも扱えます)

    このサイズの三角ホーのメリットは、作りが丈夫で作業効率がとても高い点にあります。

    重さがある分振りかぶる必要もなく、刃先の重さで十分雑草を刈り取ることが出来るので、軽い三角ホーを少し振り上げて使うのと比べると、2m以上の三角ホーの方が実は使いやすいのです。

    刃先の切れ味が鋭いものも多く、1mくらいの軽い三角ホーでは刈り取れない頑固な雑草も、このサイズならサクサク刈り取れるでしょう。

    しかし、その分値段も高価な物が多いので、そこはお財布と相談です♪

    伸縮可能タイプの三角ホー

    最後に、伸縮可能な商品もあり、身長にバラつきのある家族みんなで使いたい自分にとってどのサイズがちょうどよいかわからない、といった人におすすめです。

    メリットは、そのまま「様々なサイズに伸縮可能なので都度調節できる」という点ですが、デメリットとしては「使用しているうちに接合部分が緩んで抜けてしまったり、刃先が回転してしまったりすることがある」という点です。

    購入時の長さが合わないことによる失敗は防げる反面、使用中に動いてしまって使いにくさを感じてしまう可能性もあるので、注意が必要でしょう。

    おすすめの三角ホーはコレ!

    1.作業効率ピカイチ!野口式万能両刃鎌

     

    まずは「野口鍛冶店」の三角ホーです。

    こちらがおすすめなのは、

    • 作りがしっかりしていること
    • 刃先が鋭く草刈りがかなり楽になる
    • 作業効率がとても良い

    という点です。

    長さも210cm240cmの2種類があります。

    やや高価ですが、「草刈りの作業を短時間で終わらせたい」「サクサク雑草を刈り取りたい」という方には一番おすすめです。

    女性にとっては240cmは少々重くて扱いづらいので、210cmを選ぶようにしましょう。

    2.ステンレス製の軽量の三角ホー:ゴールデンスター

    2つ目は「安価・軽量・錆びにくい」の3拍子揃った三角ホー「ゴールデンスター」です。

    ポイントは千円台で購入できる安さと、軽さ、ステンレス製なのでさびにくいという点です。

    長さが1m強しかないので、背の低い女性でないとやや中腰姿勢になってしまうかもしれませんので、男性向けではないでしょう。

    また、軽いので刈り取る力が弱く、柔らかい土に生える雑草なら問題ありませんが、根張りの強い雑草ではかなり苦戦するかもしれません。

    比較的柔らかい畑の雑草の刈り取りや、力の弱い小柄な女性におすすめの商品です。

    3.伸縮する三角ホー:伸縮式ミニ三角ホー

    3つ目は、伸縮式のミニ三角ホーです。

    全長は880~1470mmで、コンパクトになるため収納しやすく、最大限伸ばせば扱いやすいサイズになり、一般的な体格の男性であれば中腰になることなく使用できるでしょう。

    柄にアルミパイプを使用しているのでとても軽くて女性にも扱いやすいのが特徴です。

    刃の部分も、鋼を合わせた作りになっており切れ味鋭く草を刈り取ることが出来ます。

    扱いやすさと、軽さ、切れ味、長さの調節ができる点など、多くの点のおすすめポイントのある商品ですので、どれを買ったらいいか迷っている人は、この商品を選べば間違いないでしょう。

    まとめ

    三角ホー

    今回は、おすすめの草刈り道具の一つ「三角ホー」についてご紹介いたしました。

    我が家でも草刈りの時に三角ホーを使用していますが、男性である私にとっては、ある程度の重さと頑丈さのある物の方が、ザクザクと雑草を刈り取れるので使いやすいと感じています。

    軽さも大切ですが、やはり頑丈な雑草も多いので、しっかりした作りのものを購入することをおすすめします。

    いずれにせよ、中腰になってかがんでやっていた草取りに比べると数百倍ラクなのは間違いありません。雑草駆除にお悩みの方は、是非「三角ホー」をお試しください。

  • IGR剤がチョウバエ・ボウフラ・ユスリカ駆除におすすめの理由

    IGR剤がチョウバエ・ボウフラ・ユスリカ駆除におすすめの理由

    殺虫剤を選ぶ時に、皆さんが願うのは「もう虫は見たくない!」という事ですよね。

    お風呂やトイレなど、水回りで見かけることの多い「チョウバエ」なんかは、視界に数匹いれば、その幼虫や卵が見えないところに成虫の何倍もの数がいることを想定しなくてはいけません。

    以前、チョウバエの生態をご紹介しましたが、目に見えている成虫をいくら駆除しても、次から次へと卵がかえり、幼虫が羽化するので、残念ながら「あなたの悩みは一向に解決しない」のです。

    そのことを知っていると、成虫を数匹でも見つけると「そいつらを駆除してもまだどこかに潜んでいるのではないか?」と考えてしまって、夜眠れないこともあるでしょう。

    このIGR剤をおすすめする一番の理由は、安全性でも即効性でもありません。(即効性はむしろ無い)

    通常の殺虫剤は効果が成虫限定であることが多いのですが、このIGR剤は見えないところに潜んでいる「幼虫や卵にも効果がある」というのが私がおすすめする一番の理由なのです。

    当サイトで「ノシメマダラメイガ」や「チョウバエ」の駆除剤として何度もおすすめをしているIGR剤ですが、では具体的にいったいどのような薬なのでしょうか?

    • IGR剤は普通の殺虫剤と何が違うのか?
    • 安全と言われるけど、なぜ安全と言えるのか?
    • どのような点が害虫駆除に効果的なのか?

    多くの疑問があると思いますので、ここで少し詳しくIGR剤についてご説明したいと思います。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]僕は虫が嫌いだから、一度使ったらもう二度と虫を見なくなる薬があると良いなぁ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それではワシがIGR剤を勧める理由を説明するぞい![/chat]

    IGR剤とはどんな薬剤?

    IGR剤 スプレー

    IGR剤とは、Insect Growth Regulator (昆虫成長抑制剤)の頭文字を取ったもので、昆虫に特有の性質を抑制することで害虫を駆除する製剤です。

    IGR剤には、大きく分けて2パターンの作用機構があります。

    1. 昆虫の表皮(キチン)の形成を妨げる:キチン合成阻害剤
    2. 脱皮や変態などを行う昆虫ホルモンを乱す:昆虫ホルモン剤

    1.キチン合成阻害剤

    昆虫の皮膚は、たんぱく質と「キチン」という成分が主成分として成り立っています。

    キチン合成阻害効果のあるIGR剤は、この「キチン」が作られないようにしてしまうのです。

    昆虫は、卵>幼虫>成虫と変態をしていくうえで、何度も脱皮などを繰り返しますが、キチンが作られないと、表皮が柔らかいままなので、脱皮の途中で皮膚が破れて体液が漏れるなどして死んでしまいます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]確かにちゃんとした皮膚が作られないと、生きていけないよね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]もしすでに卵や幼虫があったとしても、この成分が効くために成虫になれずに死んでしまうのじゃよ[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]という事は、卵や幼虫にも効果がある薬剤なんだね![/chat]

    当然のことながら、この「キチン」という成分は人間や動物は持っていないので、この薬剤が人畜に対して安全であるという事はお分かりいただけると思います。

    ※口から直接体内に入ると有毒ですので飲んだりしないでくださいね。

    2.昆虫ホルモン剤

    ホルモンに関する製剤は、昆虫が脱皮や変態をする際に必要とする「脱皮ホルモン」「幼若ホルモン」を乱して殺虫効果を発揮する薬剤です。

    この薬剤でホルモンを乱された虫は、サナギから羽化する段階が上手くいかず死んでしまったり、過剰に脱皮を繰り返して成虫になれずに死んでしまったりします。

    この製剤の効果は長く効くので、次世代の産卵率・孵化率の低下にも効果があります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]もちろん人間は脱皮しないので、この薬剤の安全性も高いってことだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″](君はブタだけどね・・・。)[/chat]

    IGR剤がおすすめの理由

    1.安全性が高い

    従来の殺虫剤は、合成ピレスロイド剤や有機リン剤など「昆虫の神経系」に作用して殺虫効果を発揮しますが、このIGR剤は昆虫に特有の性質に働きかけるタイプの薬剤なのです。

    合成ピレスロイド剤などは、人畜に対する毒性はとても弱く、人体に入っても途中で分解・代謝されるので安全性はとても優れているのですが、このIGR剤はそもそも人体にはない虫特有の仕組みに効果を発揮するという点で安全なのです。

    前述した通り、「キチン」という昆虫の皮膚を形成する成分にのみ働きかけるものと、昆虫の「脱皮や変態に関わるホルモン」に作用するものがあり、どちらも人間には無い働きなので安全性が高いのです。

    2.幼虫や卵にも効果がある

    従来の殺虫剤では、卵や幼虫には効果が無いものが多かったため、目の前にいる成虫を駆除しても、排水溝内などで卵が孵化し、また数日後には成虫が現れるという繰り返しでした。

    しかし、IGR剤は幼虫や卵にも効果があるため、幼虫や卵のある場所(害虫の発生源)が特定できていれば、駆除することが可能です。

    3.効果が長く、次世代の発生抑制ができる

    IGR剤の特徴として、「長く効く」という利点があります。

    IGR剤によってホルモン異常をきたした成虫は、産卵数に減少がみられ、その卵の孵化率も減少します。

    そのため、日に日に見かける成虫の数が減っていき、知らないうちに見えないところにいた卵がかえって大発生!などという事が起きる心配はなくなります。

    ただ、キチン合成阻害剤は「脱皮時に死ぬ」という特性のため、即効性はありません

    予防的に使用することで、成虫を見かけなくなりますので、発生源を特定しておく必要性があるでしょう。

    私がおすすめするチョウバエ・ユスリカ・ボウフラ駆除に最適なIGR剤はコレだ!

    お風呂やトイレのチョウバエには「コバエ用ムース BIG」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • ショウジョウバエ
    • ニセケバエ
    • ハヤトビバエ
    • クロコバエ
    • トビムシ
    • ハネカクシ

    お風呂やトイレなど水回りでよく見かける「チョウバエ」(別名:便所バエ)は、薬剤の散布しにくい配管の中、排水溝、下水溝、浴槽下のスペースなどで発生することが多い虫です。

    このコバエ用ムースBIGは、即効性の無いIGR剤に加えてピレスロイド系殺虫剤も混合してあるため、成虫を見かけたら通常のスプレー剤と同様に使用することが可能です。

    また、薬剤の届きにくい配管や排水溝の中には、ムース状の薬剤を充満させることで気化した薬剤が奥まで浸透して幼虫や卵に行き渡ります

    注意点としては、可燃性のガスを使用しているので、使用中は窓を開けるなどして換気に十分注意する必要があります。3時間もすれば、充満させた薬剤が全ていきわたるでしょう。

    チョウバエの発生しやすい時期に定期的に使用することで、お風呂場などで見かけることは無くなるでしょう。

    【高評価のポイント】

    これ一本で、家庭内のチョウバエ・コバエの駆除・予防の全てに対応できる!!

    貯水槽や浄化槽、側溝のチョウバエやユスリカには「デミリン発泡錠」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • ショウジョウバエ
    • ノミバエ
    • ユスリカ
    • ニセケバエ

    貯水槽や側溝などの、水が沢山溜まっている場所には「デミリン発泡錠」がおすすめです。

    紹介しているものは低毒性の脱皮抑制に効果を発揮するIGR剤なので、水が溜まっていて流れの少ない場所に錠剤を入れるだけで効果を発揮します。

    目安としては、水量が30~60Lの場所で1錠投入します。

    水が少ない場所には、同量の水に溶かして使用することもできます。

    河川のボウフラやユスリカには「スミラブ粒剤「SES」」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • 蚊(ボウフラ)
    • ユスリカ
    • ウジ(ハエ)

    スミラブ発泡錠剤SESは、ウジやボウフラの羽化を防止するIGR剤です。

    哺乳動物や魚類に対する毒性が極めて低いため、沼や池、河川へも使用可能で、ユスリカなどが大量に発生している場所に有効です。

    水量1トンに対して10グラムの使用でよく、臭いや色も無いので浄化槽にも使いやすいです。

    徐放性粒剤のため1~3カ月の残効性があり、長く効くという特徴があります。

    ゴミ溜めのウジ虫や、雨水升のボウフラは「スミラブS粒剤「SES」」

    【効果のある虫(の幼虫)】

    • チョウバエ
    • 蚊(ボウフラ)
    • ユスリカ
    • ウジ(ハエ)

    ひとつ前のスミラブ粒剤「SES」とは成分は全く同じですが、溶け方が違います。

    このスミラブS粒剤は水に溶けやすいため、スミラブS粒剤を水に溶かした溶剤を、噴霧器などで蚊の発生源に噴霧することでも防除効果が発揮できるのが特徴です。

    ※別記事で「家庭でも使えるおすすめの噴霧器」をご紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

    ゴミ溜めや堆肥にわいたウジ虫や、雨水升のボウフラ駆除なども簡単に行えますし、噴霧器に希釈液を入れて、蚊の発生源となる藪に散布することで蚊の発生も抑えることが出来ます。

    スミラブ(S)粒剤「SES」は、成虫のハエや蚊には効果が無い点に注意が必要です。

    まとめ

    水ガメ

    今回は、IGR剤がチョウバエやユスリカ、ボウフラの駆除におすすめな理由をまとめました。

    IGR剤は、チョウバエやユスリカのみならず、家の中で発生し、お米につくノシメマダラメイガという害虫にも効果があります。

    昆虫特有の性質を利用した殺虫作用機構による安全面はもとより、幼虫や卵にまで効く点や次世代の虫の発生を予防する点などがおすすめの理由としてご紹介しました。

    目に見える範囲での殺虫効果だけでは、毎回嫌な虫を見なくてはいけませんが、IGR剤なら、予防的に使用することで見えないところで成虫になれずに駆除されていきます。

    これは虫嫌いな人にとっては、とても大きなメリットではないでしょうか。

    コバエや蚊などを見ずに済むように駆除したいという人は、IGR剤を試してみることをおすすめします。

    関連記事>>>家の中の虫はこいつかも?あまり知られていない室内の害虫10選

  • アザミウマの生態を知って駆除に生かそう!

    アザミウマの生態を知って駆除に生かそう!

    アザミウマは、園芸をしたり畑で作物を作っている人にとってはおなじみの昆虫ですが、一般の方にはあまり知られていないかもしれません。

    花や作物に付く害虫として世界中で猛威を振るっている「アザミウマ」ですが、いったいどのような虫なのでしょうか。

    アザミウマの生態を知って、効果的な防除を行えるように準備をしましょう!

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]世界的大害虫って、駆除が難しいってこと?[/chat]

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]うむ、アブラムシと並んで農業害虫として悪名名高いのがこのアザミウマじゃ。まずは生態を知れば何故厄介なのかが分かるぞい[/chat]

    アザミウマとはどんな虫?

    アザミウマ

    1. 和名:アザミウマ(薊馬)
    2. 学名:Thysanoptera
    3. 英名:Thrips
    4. 階級:アザミウマ目
    5. 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
    6. 活動時期:4月~10月(夏の高温、乾燥期に大発生)
    7. 体長:約1~2mm
    8. 特徴:細長い胴体と頭部をもつ。翅のある種と無い種がいる
    9. 好物:花や作物の、茎、葉、花、果実を吸汁加害する
    10. 弱点:キラキラ反射するもの
    11. 厄介な点①:ウイルス病の媒介者になる
    12. 厄介な点②:作物や花を吸汁加害してダメにしてしまう
    13. 厄介な点③:生態的特徴から薬剤防除しにくい

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]厄介な点がいかにも面倒くさそう![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それでは詳しく見ていこう![/chat]

    アザミウマの種類は?

    日本に生息するアザミウマは、確認されているだけでも200種類以上いて、それらの中でも特定の作物に寄生する種や、薬剤耐性の強い種など様々なアザミウマがいます。

    それらをまとめて「アザミウマ類」としたときに、アザミウマ類には下記のような種類がいます。

    【畑でよく見かけるアザミウマ】

    クリバネアザミウマ/チャノキイロアザミウマ/ネギアザミウマ/ヒラズハナアザミウマ/ミカンキイロアザミウマ/ミナミキイロアザミウマ/モトジロアザミウマ/クロゲハナアザミウマ

    この中でも、最近よく問題になるのが「ミナミキイロアザミウマ」モトジロアザミウマ」などでしょう。

    一般的には、アザミウマにはオルトラン水和剤などの薬剤が効果的なのですが、ミナミキイロアザミウマには効果が薄く、別の薬剤にした方がよいとされています。

    このことからも、畑でアザミウマを発見した場合は、まずアザミウマの種の特定をするというのも大切な防除ポイントとなります。

    オルトランについては、様々な剤形があり使い方がわかりにくいという声も多く聞かれます。

    そのため、各オルトランの特徴や使用上の注意点について、下記の関連記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

    アザミウマが発生しやすい作物・植物

    ネギ畑

    アザミウマは、花につく害虫としてとてもよく知られていますが、作物や果樹なども加害します。

    まずは、アザミウマが良く発生する作物や植物にはどのようなものがあるのかまとめてみます。

    アザミウマが加害しやすい花・植物

    アジサイ/サザンカ/ツバキ/カーネーション/バラ/マリーゴールド/シクラメン/イヌマキ

    アザミウマが加害しやすい野菜

    ネギ/アスパラ/キュウリ/ゴーヤ/イチゴ/スイカ/メロン/シュンギク/トウガラシ/ピーマン/ニラ/ナス/トマト

    アザミウマが加害しやすい果樹

    ブドウ/柿/柑橘類

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]めちゃくちゃいろんな種類の作物に加害するんだね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]これもアザミウマの厄介な特徴の一つじゃな[/chat]

    アザミウマの特徴とは?

    アザミウマ

    世界的大害虫として恐れられている「アザミウマ」は、いったいどのような特徴をもった虫なのでしょうか。

    アザミウマ特有の生態もあるのですが、実はアブラムシと共通している点がいくつかあります。 以下の7点は、アザミウマとアブラムシに共通の特徴です。

    1. キラキラしたものが苦手
    2. 黄色い物に寄ってくる性質がある
    3. 同一薬剤を使い続けると薬剤耐性を持つ種が増える可能性がある
    4. ウイルス病の媒介者となる
    5. 天敵による防除方法が有効
    6. 硝酸態チッソが多い土壌を好む
    7. 繁殖力が旺盛

    アザミウマに対する防除法として、アブラムシの防除法が使えるものも多いので、アブラムシの防除法に対する記事も併せてご覧いただけると良いでしょう。

    アザミウマが発生する場所には、アブラムシも同様に発生していることも多く、共に防除できる方法を使うというのは効果的であると思います。

    また、アザミウマ特有の生態的特徴としては以下のような点が挙げられます。

    1. 年10回ほど発生し、短期間で世代交代を繰り返す
    2. 完全変態(卵→幼虫→蛹→成虫)を行う
    3. 土の中で蛹(サナギ)になる
    4. 10度以下で生育がストップする

    アザミウマが厄介な害虫である理由

    巻き葉

    ※写真はアザミウマによる巻き葉

    アザミウマは、数ある害虫の中でも防除しにくい害虫の一つとされています。

    その理由として、

    • 休眠せず、気温などの条件が揃えばどんどん増殖する
    • 巻き葉を作り群生して吸汁する
    • 花に潜り込んで吸汁するため、農薬が届きにくい
    • 葉の内部に産卵するため、寄生されていることに気づきにくく、対処が遅れる
    • サナギになるときに土に潜るため、農薬が届きにくい(天敵がサナギを襲えない)
    • サナギから成虫になると、地面から茎をつたって這い上がるが、地面近くにいることも多いため天敵に出会いにくく、天敵による捕食がアブラムシほど効果的ではない
    • 薬剤耐性を持つ種が増えてきている
    • 様々な植物に寄生するので、周辺の雑草を含めて防除しないと、どこからともなくやってくる
    • 咲き終わった花殻が発生源になるので、こまめに摘み取らないとすぐに増える

    などの特徴が挙げられます。

    アザミウマの繁殖力もさることながら、

    「土中で蛹になる」「花の中に潜り込んで吸汁する」「巻き葉を作る」「作物の下の方にいる」など、「隠れていることが多く防除方法が効きにくい」という特徴が厄介であることが分かります。

    農薬を散布してもすべての成虫にまで届きにくく、天敵による防除も天敵に出会いにくい場所に潜んでいるのです。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]厄介極まりないね[/chat]

    アザミウマに被害を受けたらどうなる?

    アザミウマ加害例

    アザミウマは、春先から夏の暑い時期に大発生をして、群生して吸汁加害をします。

    アザミウマの成虫は、針のような形状の器官で作物の葉の表面や果実などを切り裂いて、そこに別の口吻を差し込んで吸汁します。また、成虫は葉の内部に産卵するため、幼虫も同様に吸汁します。

    被害の多くは、新葉・花・果実などで、新葉は被害を受けると色が抜けてしまい、さらに被害が進むと白い斑点が沢山ついて落葉します。

    花の場合は、開き始めたつぼみを好んで加害し、もぐり込んで吸汁しては被害を受けたつぼみは開かず落ちてしまいます。被害の初期段階では、茶色いシミのようなものが見え、次第に全体に広がって枯れてしまいます。

    果実や野菜が加害を受けると、表皮に小さな斑点ができたり、かさぶた状になります。

    アブラムシと違って、吸管が無いので「かじりながら」吸汁するため、作物への被害はアブラムシ以上に大きなものになることが多いです。

    【アザミウマの吸汁被害の特徴】

    1. 花びらに茶色いシミ、全体に広がって変色したり、咲かずに枯れる
    2. 新葉に加害を受けると、色が褪せ、白い斑点が付いたり、湾曲・奇形葉を生じる
    3. 果実は、がくの部分に被害を受けやすく表皮が褐色のかさぶた状になる
    4. かじりながら吸汁するため、作物に傷がつき被害が大きい
    5. ウリ科の植物は「黄化えそウイルス病」などのウイルス病にかかりやすい

    まとめ

    この記事では、アザミウマの生態と特徴、アザミウマの種類、被害の特徴などについてご紹介しました。

    アザミウマは、アブラムシ同様作物などを吸汁して、ウイルスを運んだり食害したりする厄介な害虫で、その生態的特徴から防除しにくいことが分かりました。

    また、種類も豊富で、種によっては薬剤を変えなくてはいけないこともあるので、発見した際には種類の見極めも大切な要素となるでしょう。

    アザミウマの効果的な防除法については「アザミウマを無農薬で駆除する効果的な7つの方法とは?」の記事で詳しく紹介していますので、是非あわせてお読みいただければと思います。

    今回ご紹介したような、アザミウマの生態的特徴をしっかりと把握して、発生した場合の防除方法に活かしていきましょう。

  • アブラムシはどんな害虫!?農家の敵アブラムシの生態まとめ

    アブラムシはどんな害虫!?農家の敵アブラムシの生態まとめ

    家庭菜園やガーデニングをしていると、いつの間にやら葉の裏や茎にびっしりとくっついている害虫「アブラムシ」

    世界に4700種類、日本にも700種類いるといわれているアブラムシは、全世界の農家の敵として君臨している、とても厄介な害虫です。

    世界的に深刻な経済被害をもたらす作物の病気の上位3つは、全てアブラムシの媒介によってもたらされるウイルスが原因と言われています。

    道端の雑草でも見かけるアブラムシが、それほどまでに農作物にとって有害な虫であるという事は、農作物を育てた経験がある人でなければあまり知られていないかもしれません。

    この記事では、まずアブラムシの生態についてまとめたいと思います。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]アブラムシって小さいけどいつも大量にくっついていて気持ち悪いよね~、僕苦手だ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]すごく生態が変わっていて、それゆえに世界中の農家さんを困らせているんじゃよ。[/chat]

    アブラムシとは?

    アブラムシ

    画像元:Flicker

    1. 和名:アブラムシ(油虫)通称:アリマキ
    2. 学名: Aphidoidea(アブラムシ上科の総称)
    3. 階級:カメムシ目アブラムシ上科
    4. 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
    5. 生息場所:作物の生長点(若く柔らかい葉)、もしくは古くなった下葉
    6. 活動時期:春(4~6月)と秋(9~10月)
    7. 体長:2.0mm~4.0mm
    8. 寿命:約30日~40日
    9. 好物:硝酸態窒素が豊富な土、アブラナ科の植物
    10. 弱点:キラキラ反射するもの、気門がふさがると窒息死する
    11. 厄介な点①:暖かい地域ではメスの単一生殖で繁殖し、子供だけでなくひ孫も同時に産む
    12. 厄介な点②:同一成分の農薬ばかり使うと耐性を持つアブラムシが増える
    13. 厄介な点③:カビやウイルスの媒介者となり、作物を病気にしてしまう

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それでは、アブラムシの変わった生態について詳しく説明するぞい![/chat]

    アブラムシの変わった生態と習性

    1.繁殖力がめちゃくちゃすごい

    アブラムシ

    アブラムシの生態の一番の特徴としては「繁殖力の凄さ」があげられます。

    冬でも暖かい地域(九州地方など)は、メスはオス無しの単一生殖で繁殖します。

    「幹母」と呼ばれる第1世代のメスは、生まれて僅か10日で成虫となり、毎日数頭ずつ出産します。

    しかも、特に不思議な生態が「生まれてくるメスは既に子をお腹に宿した状態で生まれてくる」という点です。

    そのため、短期間での爆発的な増加が可能となり、ほんの1匹のメスが寿命を終えるまでに約1万倍に増殖してしまう計算になります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]生まれた時すでにお腹に子供がいて、生後10日で出産開始、その後死ぬまで約30日間毎日出産、、1匹が1万匹になるわけだ。[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]繁殖方法についてアブラムシの変わった生態は繁殖能力の高さだけでは無いぞい[/chat]

    2.世代交代が進んだら、翅(ハネ)のある子を産むようになる

    有翅 アブラムシ

    アブラムシは基本はほとんど植物の上で移動しない虫です。しかし、驚異の繁殖力ゆえに、ある程度繁殖を繰り返すと植物の表面が仲間で埋まってしまうため、吸い取る養分が足りなくなってしまいます。

    そのため、第3世代以降にはこれまでの無翅型のずんぐりむっくりした子供から一転、有翅型の飛翔能力のある子を産むようになります。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]えっ?食べ物が足りなくなることを見越して、生まれる子供の形(ハネの有無)を変えるの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]環境に合わせて産む個体の形を変えてしまうというのは、アブラムシ特有の珍しい生態なんじゃ[/chat]

    3.アリを従えて天敵から身を守る

    アリとアブラムシ

    アブラムシ自体は、移動能力も低くとても弱い虫です。

    しかも、体も柔らかく栄養満点なので、テントウムシなどの肉食系昆虫の天敵が多いのですが、アブラムシは甘露と呼ばれる甘い排泄物を出し、それをなめにくるアリを味方につけます

    全てのアブラムシがアリと共生関係にあるわけではないのですが、自分の弱さをアリを味方につけることによって補うという賢い一面もあるのです。

    このような側面を知って、農家の人間は「天敵を味方につけてアブラムシを退治しよう!」と考えました。

    近年では、アブラムシの天敵を用いた生物農薬の開発と、その天敵の効果を最大限発揮する「バンカー法」という生物学的防除法を用いてアブラムシを防除する動きが盛んになってきています。

    人間側がうまくアブラムシの天敵を操れるようになれば、アブラムシの被害を減らすことが出来るようになってくるかもしれません。

    4.黄色が好き

    黄色いバケツ

    アブラムシの特徴として、「黄色いものに寄ってくる」という習性があります。

    おそらく、好物のキュウリなどの花が黄色だからだと考えられていますが、この習性を利用してアブラムシを捕獲する罠を仕掛けることもできます。

    黄色い粘着テープを仕掛けたり、黄色いバケツにアブラムシ捕獲用の液体を入れて捕まえて駆除するという方法もあります。

    アブラムシの駆除方法については、こちらで詳しくご紹介しています。

    5.体内に「ブフネラ」という共生微生物をすまわせている

    アブラムシは、天敵から身を守ってくれるアリだけでなく、体内にも自らが合成できない必須アミノ酸を産生してくれる「ブフネラ」という微生物と共生しています。

    ブフネラは、アブラムシが植物から吸う師管液をもらう代わりに、アブラムシにとって必要な必須アミノ酸を作ります。

    ブフネラはアブラムシの体内でなくては生きられず、アブラムシもブフネラがいないと生きられません。

    6.葉っぱを丸めたり、虫こぶを作って隠れる

    テントウムシとアブラムシ

    上の写真のように、くるっと葉っぱを丸めたり、植物の葉に寄生して虫こぶの中で暮らしたりする習性があります。

    葉の裏にびっしり張り付いて、葉を丸めることによって雨風を防いだり、天敵に見つかりにくくする目的があるといわれています。

    アブラムシの不思議な生態まとめ

    • 繁殖能力がすさまじく、1匹が約1万倍に増える
    • 孫をお腹に宿した子供を産む
    • 餌が無くなりそうと感じたら、ハネのある子を産んで遠くに飛ばす
    • 外敵からはアリ、体内ではブフネラと共生関係にある
    • 黄色が好き

    アブラムシの厄介な生態と特徴

    1.ウイルスを運んでくる

    モザイク病

    ※画像はイメージです(アブラムシの媒介するウイルスによるものではありません)

    記事の冒頭でも書きましたが、アブラムシの厄介な点は「ウイルスの媒介者になる」という点です。

    特に有名なのが「モザイク病」です。

    世界的に経済損失を与える作物のウイルスランキング(Tomlinson 1987)の上位3つは下記の通りです。

    1. キュウリモザイクウイルス:CMV
    2. カブモザイクウイルス:TuMV
    3. ジャガイモYウイルス:PVY

    世界中で農作物に被害を与えている、これらのいずれもアブラムシによってもたらされる病気なのです。

    ウイルスの厄介な点は、薬で治療ができる細菌感染による病気と違い、一度感染すると治療することが出来ないところ

    ウイルスを保毒した有翅形のアブラムシによって伝播されるのですが、たった一匹のアブラムシからでもウイルスは感染させられてしまうのです。

    ウイルスに感染した作物で育ったアブラムシが、有翅形となり他の作物に移動することで感染は拡大してしまいます。

    有翅形のアブラムシが増える前に手を打つことが大切になります。

    アブラムシが媒介するウイルス病についての詳細は、別記事「アブラムシが運ぶウイルスによって感染するモザイク病とは?」の記事をご覧ください。

    2.カビを運び、作物を「すす病」にしてしまう

    すす病

    大量のアブラムシが作物につくと、アブラムシの分泌物が葉や茎についてテカテカしてきます。

    その分泌物によってすす病菌というカビ(糸状菌)が繁殖して、黒いすす状に葉が変色していきます。

    すす病になってしまうと、光合成が妨げられてどんどん作物が弱っていきます

    カビが繁殖するだけでなく、作物に甘露(分泌物)が付くことでベトベトになってしまい、作物が出荷できない状態になってしまうことがあるので、アブラムシの繁殖は農家さんにとってとても頭の痛い問題なのです。

    すす病は「トップジンMゾル」や「ベンレート水和剤」などの殺菌剤が有効ですが、アブラムシが原因である場合は、アブラムシの駆除が先決になります。

    すす病についてのより詳しい情報と対処法、薬剤の説明については下記関連記事をご覧ください。

    3.同じ農薬ばかり使うと、抵抗性を持つ個体が増える

    農薬散布

    アブラムシの駆除の歴史の中で、様々な殺虫剤(農薬)が使われてきましたが、近年では「有機リン剤」「カーバメート剤」「合成ピレスロイド剤」「ネオニコチノイド剤」などに対して抵抗性を持つアブラムシが発見されてきました。

    同一成分の農薬ばかりを使うと、遺伝的にその薬剤に抵抗性をもった種が生き残り、その種が世代交代を繰り返して大繁殖してしまうと駆除の手立てはなくなってしまいます。

    アブラムシの駆除においては、農薬ばかりに頼るという方法はあまり得策だとは言えないでしょう。

    以前こちらの記事「アブラムシの駆除を無農薬で行う6つの方法」でご紹介したように、多くの農家が無農薬でのアブラムシ防除法を求めて試行錯誤をしています。

    完全に無農薬で防除できなくとも、これらの無農薬防除法を併用することで農薬の散布量を減らすことが出来たら、アブラムシの薬剤抵抗性の発達を抑制することが出来るかもしれません。

    まとめ

    アブラムシの不思議な特性と生態についてご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか。

    アブラムシの驚異的な繁殖能力と、ウイルスの媒介者になるという点が世界中の農家さんを悩ませているという事がお分かりいただけたと思います。

    アブラムシにつきましては、生態の他にも「アブラムシが運んでくるウイルス病」や「アブラムシの天敵」などについては、記事中で紹介しました別記事でまとめてありますので、是非ともそちらをご参照ください。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]アブラムシって本当に変わった生態をしているんだね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]アブラムシの防除法には様々なものがあるので、関連記事も併せて読んでしっかりと対策をするのじゃよ[/chat]

  • ソルゴーの種類とバンカー法のアブラムシ防除効果について

    ソルゴーの種類とバンカー法のアブラムシ防除効果について

    作物や花に厄介なウイルス病を伝搬(*1)してくる「アブラムシ」の防除法として、最近注目を浴びているのが「バンカー法」という天敵を用いた方法です。

    「バンカー」とは、「銀行家(Banker)」の意味で、天敵を貯蔵して害虫のアブラムシがやってきたときにそこから自在に天敵を引き出して、駆除をするという方法から名がつきました。

    天敵を用いたアブラムシ防除法は、作物を扱う農家さんにとって様々なメリットがあります。

    この記事では「天敵を用いたバンカー法のメリットと注意点」、及び「バンカー法に用いることの多いソルゴーの種類と特徴」についてご紹介いたします。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]ソルゴーって初めて聞く名前だなぁ[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]「ソルガム」とも呼ばれることがある植物で、防風用の背丈の高いものや、バンカー法に適した益虫の付きやすいものなどがあるぞい[/chat]

    (*1)別記事「アブラムシが運ぶウイルスによって感染するモザイク病とは」をご参照ください。

    バンカー法とは?

    バンカー法 イラスト

    バンカー法についてですが、上記のイラストをご覧いただければわかりやすいでしょう。

    従来の方法では、アブラムシなどの害虫が発生したのを見つけてから、生物農薬として市販されている天敵などを作物に放していました。

    一方で、バンカー法は「バンカークロップ」という、テントウムシやアブラバチなどのアブラムシの天敵を常に蓄えておくための植物を用意して、そこに天敵を待機させ、作物にアブラムシなどの害虫が付いた時に適宜捕食してもらうという方法です。

    バンカークロップには、(のちに紹介します)ソルゴーなどのイネ科の植物が使われることが多く、そこには「ヒエノアブラムシ」や「ムギクビレアブラムシ」など、メインの作物(この場合はナス)を食害しない種類のアブラムシが沢山つくので、普段はそこに天敵のテントウムシなどを蓄えておけるのです。

    このように、バンカークロップをアブラムシ防除をしたい作物のそばに植え、銀行に預けるお金のように天敵を蓄えて行う方法がバンカー法です。

    天敵を用いたバンカー法のメリットとは?

    バンカープランツ

    春先(4~6月)や秋(9~10月初旬)に発生するアブラムシは、そのすさまじい繁殖力で大切な作物に加害をしてきます。

    以前、別記事で「アブラムシの天敵を用いた生物学的防除方法」について書きましたが、現在は農薬耐性を持つアブラムシが増えてきているという理由から、農薬を使わないアブラムシの駆除方法が求められています。

    アブラムシの天敵は「生物農薬」として販売されており、ネットで簡単に購入することが可能です。

    しかし、ただ購入してアブラムシのいる株に放すだけでは、効果が十分に得られない可能性があるのです。

    その一番の理由として「アブラムシの発生状況から、天敵を放すタイミングを判断するのが難しく、失敗しやすい」という点があります。

    天敵を放すタイミングが早すぎれば、餌となるアブラムシが足りず天敵が数を減らしてしまいますし、逆に、遅すぎれば作物からアブラムシを駆除するのが遅れ、作物をダメにしてしまいます。

    この「天敵を供給するタイミング」という問題点を「バンカー法」は解決してくれるのです。

    具体的にバンカー法のメリットを挙げてみると、

    • 常に天敵が待ち構えている状態なので、タイミングを見極める必要が無い
    • 確立できれば農薬散布の回数が減り、安全面、コスト面、作業時間面の削減ができる

    上記のようなポイントが挙げられます。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]農薬散布量が減るのは経済的にも安全面でもとても嬉しいね![/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]アブラムシが増えだしたら、天敵が作物に移動して捕食してくれるから、人間の作業時間も減るぞい![/chat]

    バンカー法の注意点・デメリットは?

    一方で、バンカー法のデメリットにはどのようなものがあるのかというと、

    • バンカープランツを植える分、作物の栽培面積が減る
    • 露地栽培の場合、出穂したら実を食べに鳥が着て糞害を受ける可能性がある
    • バンカープランツの花粉が作物に付く可能性があり、出穂したら穂を刈る必要がある

    などが挙げられるでしょう。

    よくやりがちな失敗例としては、

    • バンカープランツについたアブラムシに農薬をかけて駆除してしまう
    • 天敵の見極めが出来ておらず、害虫だと思って駆除してしまう
    • 作物に付いたアブラムシを天敵が食べに来る前に農薬をかけてしまう

    等です。

    バンカープランツにいる天敵の量や、バンカープランツに集まる(メインの作物には害のない種類の)アブラムシの量をしっかり確認し、圃場に発生しているアブラムシのコロニーの大きさを見極めていく「観察力」と「判断力」そして、焦って農薬をすぐに散布してしまわない「忍耐力」が必要になるでしょう。

    また、誤って天敵を駆除しないために、しっかりとアブラムシの天敵の種類を把握しておくことが大切です。

    ソルゴー(ソルガム)とはどんな植物!?

    ソルガム

    ソルゴーは、熱帯アフリカ原産のイネ科の1年草で、「モロコシ」とも呼ばれます。

    乾燥した地域でもよく育ち、稲や小麦が育たない場所でも問題なく育ちます。

    日本では、防風用や緑肥用に改良されたものが多いのですが、有益な虫が多くつくことから、バンカートラップ用の植物として多く用いられるようになりました。

    大きいものでは背丈が3mを越すこともありますが、背丈の低いものでは1.2~1.5mほどの種もあるので、ハウス内でのバンカークロップとして活躍します。

    播種時期は、暖かい地方で5月~8月寒冷地では6~7月。日中の平均気温が15℃以上になれば可能です。

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]それではどんな種類があるのか見てみよう![/chat]

    ソルゴーの種類

    1.やわらか矮性ソルゴー

    【特徴】

    • 背丈が1.2m~1.5mで、ハウス内で栽培しても天井に届かず扱いやすい
    • 茎が太く倒れにくい
    • 茎葉が柔らかいため、すき込みやすく、また土中で分解されやすい
    • バンカークロップに使用した場合に、有益な虫が付きやすい
    • 出穂が遅いので、作物に花粉が付きにくい
    ハウス内利用(背丈)[star5.0]
    倒れにくさ(防風)[star3.0]
    緑肥使用[star3.0]
    バンカークロップ[star5.0]

    2.メートルソルゴー

    【特徴】

    • 背丈が1.2m~1.3mで、ハウス内で栽培しても天井に届かず扱いやすい
    • 倒伏にとても強い
    • 実が熟するとタンニンを含んで茶色くなり、鳥が食べに寄ってこないため糞害が減る
    ハウス内利用(背丈)[star5.0]
    倒れにくさ(防風)[star4.0]
    緑肥使用[star3.0]
    バンカークロップ[star4.0]

    3.ラッキーソルゴー

    【特徴】

    • 背丈は2m~2.8mと高め
    • 初期生育が早く、播種から約60日で出穂する
    • 根張りが良く、耐倒伏性が高い
    • 吸肥力が強く、圃場の塩分濃度を下げてくれる。緑肥に最適
    • サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウの密度を抑制する
    ハウス内利用(背丈)[star2.0]
    倒れにくさ(防風)[star3.0]
    緑肥使用[star5.0]
    バンカークロップ[star3.0]

    4.ソルガム・ウインドブレイク

    【特徴】

    • 背丈は、2m~2.4mとやや高い
    • 倒伏にとても強い
    • 出穂がとても遅い、超極晩生
    • 葉数がとても多い
    • 圃場の風よけや、ナスの障壁栽培などに最適
    ハウス内利用(背丈)[star3.0]
    倒れにくさ(防風)[star5.0]
    緑肥使用[star4.0]
    バンカークロップ[star4.0]

    バンカー法に適したソルゴーの種類は?

    ソルゴー

    ソルゴー(ソルガム)には、

    • 緑肥に適したもの
    • バンカークロップに適したもの
    • 茎が強く倒伏に優れて防風に適したもの
    • 土壌の塩分濃度や有機物の調整に適したもの

    など様々な種類があります。

    いずれのソルゴーも有益な虫が付きやすいのでバンカー法に使えるのですが、ハウス内で使用する場合は「背丈の高さ」に注意しましょう。

    ハウス内での利用は、背丈が1m強にしかならない「やわらか矮性ソルゴー」「メートルソルゴー」が良いでしょう。

    露地栽培の場合は、「ラッキーソルゴー」「ウインドブレイク」などでも良いですね。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]背丈の違いは、ハウス内で栽培できるかどうかにかかってくるから大事な要素だね[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]場所にあったタイプのソルゴーを使って、バンカー法をやってみるのじゃ[/chat]

    まとめ

    今回は、作物に発生したアブラムシを効率よく駆除するための「バンカー法」と、それに適した作物「ソルゴー(ソルガム)」についてご紹介いたしました。

    バンカー法の実施には、ある程度の知識や判断基準になる経験が必要になるかもしれませんが、実施することが出来れば得られるメリットはかなり大きいものになるでしょう。

    バンカー法を活用している畑では、農薬代や散布にかかる作業時間が4分の1程度まで減少できたところもあり、アブラムシに悩まされている農家さんは是非実施を検討してみてはいかがでしょうか。

    [chat face=”buta.jpg” name=”” align=”left” style=”type1″]どの作物にもバンカー法は使えるの?[/chat]

    [chat face=”mu.jpg” name=”” align=”right” style=”type1″]現在は、全国的には「ナス」での利用が多いが、オクラやピーマン、イチゴなど他の作物でも導入が進んできているぞい[/chat]

    ※注:防除する作物によって使用すべきバンカープランツと餌となるアブラムシが異なるので注意しましょう

    アブラムシに関する詳しい生態は「アブラムシはどんな害虫?農家の敵アブラムシの生態まとめ」の記事をご覧ください。