ワラビやゼンマイなどと並んで美味しく食べられるシダ植物に「こごみ(クサソテツ)」があります。
こごみはワラビやゼンマイに比べてアクが少ないので、下処理も簡単で美味しく食べられると人気のある山菜ですが、ソテツに似た翼状の葉を広げた姿が美しいため、観賞用としても栽培されることが多い植物でもあります。
今回はそんな「こごみ(クサソテツ)」について解説いたします!
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青こごみ(クサソテツ)と赤こごみ(イッポンコゴミ)の違いとは?
一般的に「こごみ」と言うとクサソテツの若芽である「青こごみ」を指しますが、元々はクサソテツではなく、イッポンコゴミと呼ばれるキヨタキシダの若芽である「赤こごみ」を、こごみと呼んで食べていたのが始まりだったそうです。
ここ山形県庄内地方では、「こごみ」のことを「かくま」と呼び、あまり人気がありませんでした。庄内地方では、以前から「赤こごみ」が人気があり「こごめ」の名で親しまれ食べられてきたのですが、採取するのが大変で収穫量が少ないのが難点でした。そこで、大量に収穫できる「かくま」に目を付け「こごみ」と言う名で流通させたのが当店の先代です。 - こごみ 山菜屋.com
両者の違いは、見た目が「青っぽい」のと「赤みがかっている」という点以外にも、赤こごみが「イッポンコゴミ」と呼ばれているように、群生せず一本ずつ生えていることが多く、一度に沢山収穫しにくいという点が大きな違いと言えるでしょう。
また、味に関しても青こごみに比べて赤こごみの方が、クセが少なく柔らかいので美味しいと感じる人が多いようです。
青こごみ(クサソテツ)の特徴
- 和名:クサソテツ 別名:青こごみ、コゴメ、カクマ、ガンソウ、ガンソク(雁足)
- 学名:Matteuccia struthiopteris
- 英名:Ostrich fern
- 階級:イワデンタ科クサソテツ属
- 分類:多年草
- 分布:日本全土
- 形態:真っすぐ直立して、成長すると1mほどになる。
- 特徴①:若芽は山菜として好んで食べられる。アクやクセが少なく食べやすい
- 特徴②:成長する速度がすごく早い
赤こごみ(イッポンコゴミ)の特徴
- 和名:キヨタキシダ 別名:赤こごみ、イッポンコゴミ、清滝羊歯
- 学名:Diplaziumsqamigerum
- 階級:イワデンタ科ヘラシダ属
- 分類:多年草
- 分布:日本全土
- 形態:真っすぐ直立して、成長すると1mほどになる
- 特徴①:青こごみよりもアクやクセが無く美味しい
- 特徴②:一本ずつ独立して生えるので数が少ない
こごみ(クサソテツ)の花言葉
健常
こごみの旬の時期はいつ?
こごみは成長がとてつもなく早いことで知られていて、山菜採りに向かったタイミングで運よく新芽が出ていればラッキーですが、通常は念入りに下見をするなどして若芽が出てくるタイミングを計っていないとすでに成長しきったこごみを目にすることになるでしょう。
青こごみは、5月上旬~6月中旬
赤こごみは、4月下旬~6月初旬
が旬の時期とされています。
こごみの生えている場所は?
こごみは日当たりの良い斜面や水源が近くにある湿った場所を好みます。
林の中に生えていることは少ないので、崖下や道路沿いなど比較的ひらけていて、尚且つ湿った場所があればこごみが見つかる可能性が高いでしょう。
渓流釣りなどをする人が、一緒にこごみも収穫していたりすることもあり、沢の周辺を探してみるのも一つの方法かもしれません。
赤こごみは、青こごみのように群生はしませんが、同じ環境で生えることが多いので、青こごみの群生地を見つけたらその周辺を探してみると良いでしょう。
こごみの採り方の注意点
こごみは約15cm位に伸びたものが取り頃で、根元部分をナイフで刈り取るように収穫をすると簡単に採ることができます。
※こんな山菜鎌があると便利ですよ!
また、こごみを採取する場合は必ず2番芽は残すようにしましょう。
全て採りつくしてしまうと来年以降生えてこなくなってしまいますので、通常の山菜採りのマナーと同様に配慮するようにしましょう。
こごみの下処理・下ごしらえの方法
こごみが山菜採りで人気があるのは「下ごしらえが簡単」というのも理由の一つです。
新鮮な若芽であれば、しっかり洗えば生で食することも可能です(※大量に食べるとお腹を壊すのでほどほどに)。
アク抜きの必要がほとんどないため、しっかりと洗ってゴミや虫を落とせばさっと茹でるだけで調理することができるので、大量に採っても下処理にてこずることなく戴くことができるでしょう。
こごみの美味しい食べ方
アク抜きの必要が無いので、洗って生のまま天ぷらにするのも美味しいですし、軽くゆでたものを和え物、お浸し、炒め物、サラダなんかにしても美味しいです。
どのように食べても美味しいこごみですが、アクの無さと独特のヌメリをたのしめる、和え物やお浸し、サラダが私のおすすめです。
こごみの見分け方
こごみのようなシダ植物は、同じような環境下で生えやすいため、一見こごみのようでも他のシダ植物である可能性もあるので、本当にその植物がこごみかどうか自信が持てないかもしれません。
しかし、こごみ(クサソテツ)かどうかを見分けるポイントがあるので、代表的なものをいくつかご紹介します。
1.こごみを葉の形で見分けるポイント
こごみが大きく育った時のクサソテツの葉を見ることができれば、こごみ(クサソテツ)かどうかがすぐに分かります。
こごみの葉の特徴は、
- 大きな枝分かれが無い(分岐は1度だけ)
- 交互に葉がついている
- 茎の下の方までしっかり葉がついている
- 葉の先端の方に行くにつれて広がっている
- 葉の裏に褐色のぼつぼつ(胞子嚢)がない
です。
2.新芽でこごみ(クサソテツ)を見分けるポイント
こごみの新芽で見分ける特徴は下記の4つです。
- 頭部は細かい葉がしっかりと巻いている
- 茎の部分に毛や鱗片は無い
- 茎の断面はしっかりとした凹型(ハート型)
- 必ず株から生えている
上の写真の通り、若芽の先端はしっかりとした緑色で鱗片や毛がなく、細かい葉がくるっと巻かれているのがわかると思います。
必ず株としてまとまって生えているので、1本だけバラバラと生えているのはこごみではありません。
また、茎の断面を見ると下記の画像のような形をしています。
まとめ
今回は、比較的初心者でも見つけやすく調理もしやすい「こごみ(クサソテツ)」について解説いたしました。
食べやすさ、見つけやすさ、美味しさのすべての面で人気のあるこごみですが、唯一他のシダ植物との見分け方が難しいので、葉の特徴や若芽の特徴を把握しておくと安心でしょう。
山菜採りは虫や有害植物などの危険もあるので、準備を万端にして安全に気を付けて楽しむようにしましょう。
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