家の中で繁殖する不快害虫には様々な種類がいますが、「茶色い小2mm程度の、雌のカブトムシをうんと小さくしたような形」の虫を家の中で見たことはありますでしょうか?
もしかしたら、それは「シバンムシ」かもしれません。
乾麺などの貯蔵食品などに大量発生することもあるシバンムシは、家の中で繁殖する不快害虫の一つで、日本中に生息する厄介な虫です。
この記事では、シバンムシの生態、及び対策と駆除方法についてご紹介します。
日本の食品害虫しぶとすぎでしょ
Contents
家の中で繁殖する茶色く小さい不快害虫「シバンムシ」とは?
シバンムシとは世界で2000種類以上いるといわれる虫で、日本では現在62種類が確認されています(実際はその倍以上いるという説もあります)。
シバンムシは漢字で書くと「死番虫」、英語では「Death Watch Beetle(死の時計の甲虫)」と表記されます。
これは、家の建材を食べる種類のシバンムシが鳴らす「カチカチ」という音が、原因が分からないどこからともなく聞こえてくる「死を予報する音」という事で名づけられたといわれています。
そんな不吉な名前の付いた「シバンムシ」ですが、日本で特に問題になるのは貯蔵食品を食べる「タバコシバンムシ」と「ジンサンシバンムシ」の2種類です。
まずは、この2種類の生態についてご紹介します。
1.タバコシバンムシ
- 和名:タバコシバンムシ(煙草死番虫)
- 学名:Lasioderma serricorne
- 英名:cigarette beetle
- 階級:コウチュウ目シバンムシ科
- 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
- 家の中の生息場所:台所、畳、貯蔵庫
- 活動時期:年中(特に5月~11月)
- 体長:2.0mm~3.0mm
- 寿命:約1か月(成虫)
- 特徴①:赤茶色で、カブトムシのメスを小さくしたような形
- 特徴②:成虫は食害しないで、交尾と産卵のみを繰り返す
- 好物:パン、ペットフード、コーヒー、小麦粉、乾麺、畳、乾燥植物由来の物ほぼ全て
- 弱点:フェロモントラップとライトトラップが有効
- 厄介な点①:畳に発生すると半永久的に増える
- 厄介な点②:幼虫がシバンムシアリガタバチの宿主となる
※貯蔵たばこを食害することからタバコシバンムシの名前がついています。既知の通り、タバコには「ニコチン」が含まれており、ニコチンはアルカロイドという殺虫剤にも使われる毒素の一つにもかかわらず、このタバコシバンムシはタバコの葉を食害してしまうことから、解毒能力が高くとても強い虫なのです。
もう一つの殺虫成分であるピレスロイドを含む防虫菊ですら、タバコシバンムシは食害を与えるというからビックリですよね。
2.ジンサンシバンムシ
- 和名:ジンサンシバンムシ(人参死番虫)別名:クスリヤナカセ(薬屋泣かせ)
- 学名:tegobium paniceum
- 英名:Drugstore Beetle
- 階級:コウチュウ目シバンムシ科
- 生息範囲:日本全国(世界中にいる害虫)
- 家の中の生息場所:台所、貯蔵庫、本棚、建材(木材)
- 活動時期:年中(特に4月~11月)
- 体長:2.0mm~3.0mm
- 寿命:約3週間~4週間(成虫)
- 特徴①:赤茶色でカブトムシのメスを小さくしたような形、タバコシバンムシより細長い
- 特徴②:成虫は食害しないで、交尾と産卵のみを繰り返す
- 好物:タバコシバンムシとほぼ同じで、乾燥植物由来の物ほぼ全て
- 弱点:フェロモントラップとライトトラップが有効
- 厄介な点①:本や建材を加害する
- 厄介な点②:幼虫がシバンムシアリガタバチの宿主となる
名前の由来は、高価な朝鮮人参を食害したことからつけられたとされています。
タバコシバンムシとジンサンシバンムシの比較
違いって何かあるの?
タバコシバンムシ | ジンサンシバンムシ | |
共通点 |
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相違点 |
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「タバコシバンムシ」と「ジンサンシバンムシ」のどちらも、ほぼ同じ見た目で食害する食品は「乾燥した植物由来のもの」と共通しています。
大きな違いは「タバコシバンムシは畳を食害する」のに対し、「ジンサンシバンムシは畳を食害しない」点です。
この点において、タバコシバンムシが一度畳で発生したら、駆除がかなり大変になるという点で、タバコシバンムシの方がジンサンシバンムシよりも駆除が大変という風に考えられています。
一方で、「ジンサンシバンムシは本や建材を加害する」のに対し、「タバコシバンムシは加害しない」とされています。
畳で発見したら「タバコシバンムシ」、本棚や柱などの建材で発見したら「ジンサンシバンムシ」の可能性があるかもしれません。
しかし、防除方法は2つともほぼ共通なので、見分けることが出来なくても特に問題はありません。
シバンムシアリガタバチとは!?
この家で繁殖する2つのシバンムシですが、要注意なのが幼虫に寄生する「シバンムシアリガタバチ」の存在です。
シバンムシアリガタバチは、シバンムシの天敵で、幼虫に卵を産み付け寄生するのですが、シバンムシアリガタバチは「人を刺します」
刺されたら痛みや腫れを引き起こすので、シバンムシ同様、家の中に発生する害虫として知られています。
シバンムシアリガタバチに刺された時の症状の特徴と対策については、別記事でご紹介しています。
シバンムシが家の中で繁殖してしまうと、人を刺すことがあるシバンムシアリガタバチも繁殖してしまう可能性が高いので、注意が必要なのです。
シバンムシの駆除方法と対策
1.発生源を特定し、廃棄する
シバンムシを家の中で見かけたら、発生源を特定して廃棄することが一番初めにすべき対策です。
一匹いれば、幼虫や卵が既に沢山あることを想定して、食材を廃棄した後も、周囲の清掃と除菌を徹底しましょう。発見した食材の周囲にある食材カスにも産卵することがあるので、原因食材の廃棄だけではなく、その周辺も綺麗に清掃することが大切です。
2.保存食は容器に保管する
これはどの食品害虫にも共通して言えることですが、乾麺(パスタやソバ)や小麦粉などの粉ものなど、植物由来の感想保存食の保管方法を気を付けるというのが2つ目の対策です。
シバンムシは、ビニール袋程度であれば食い破って中に侵入します。
しっかりとした密閉容器に保管することで、次第にシバンムシは減っていくでしょう。
3.駆除剤を使う
すでに家の中に大量発生したシバンムシが飛び交っている場合は、駆除剤を使って駆逐しましょう。
その他の食品害虫で使用する殺虫剤と共通しているものが多いので、駆除剤の詳細については「おすすめの殺虫剤・防虫剤・忌避剤」のページにまとめてありますのでそちらを参照してください。
業務用 ファーストキルN 評価:
マイクロアトミック 200ml 評価:
バルサン いや~な虫 不快害虫用 6~10畳用 20g
評価:
いずれの薬剤も、効果のある虫としてシバンムシの名前が記載されておりますので、用途やシバンムシの発生状況に合わせてご使用ください。
4.フェロモントラップを使う
シバンムシの発生源の特定や、既に成虫になってしまった雄のシバンムシの捕獲には「フェロモントラップ」が有効です。
注意が必要な点は「オスの成虫しか捕獲できない事」と「幼虫・サナギ・卵には効果がない事」と「シバンムシの全個体の駆除はできない」という点です。
フェロモントラップはとても有効なのですが、すでにエアゾールや燻煙剤での駆除対策を行ったあとに、シバンムシが再発生しているかどうかをいち早く確認するためなどに用いられることが多いです。
一度シバンムシが大量発生して、再発を極力初期段階で防ぎたい方は、フェロモントラップを用意しておくと良いかもしれません。
ココでは、シバンムシ専用のフェロモントラップを4つご紹介します。
※ただし、ジンサンシバンムシ以外にも「ヒラタキクイムシ」など家の建材などの木材を加害する害虫がいますので、害虫がシバンムシであることを特定しないとフェロモントラップは効果がないので注意をしてください。
フェロモントラップ シンライン(タバコシバンムシ用)
ノシメマダラメイガ専用のフェロモントラップと同じシンラインの商品。1箱5枚セットなので、値段はやや高め。
タバコシバンムシ誘引捕獲セット ニューセリコ
1枚入りなので、他の商品に比べると比較的安価に購入できます。
設置位置を床から1.5mの高さにするという指定があり、発生源の周囲で設置に適切な場所があることが必要。
ドームトラップ タバコシバンムシ調査用トラップ
こちらのドームトラップは、床面へ設置するタイプのフェロモントラップです。
粘着テープの商品とは異なり、ドーム内にフェロモンをしみこませて、一度ドーム内に入ったら出られなくなるように設計されているトラップです。
通常のフェロモントラップはオスしか誘引できませんが、この商品はメスのシバンムシも誘引できるように食物性のカイロモンオイルを使用しており、間違って入ったメスのシバンムシも捕獲します。
捕獲後は、ドーム内でカイロモンオイルが付着してシバンムシは死にます。
フジトラップ ハイレシス
前述のニューセリコと同様に、1枚入りで比較的安価な商品。
粘着タイプで床から1.5mの高さに設置が必要。
5.ライトトラップを使う
シバンムシの特徴として、光で捕獲するライトトラップが有効であるというのも一つの特徴です。
業務用であったり比較的高価な商品が多いため、フェロモントラップの効果が不十分であったり、殺虫剤をどうしても使いたくないご家庭には良いかもしれません。
ただ、フェロモントラップと同様に、成虫しか捕獲することが出来ないので根本的な対策にはならないことに注意しなくてはなりません。
6.シバンムシ駆除専門業者にお願いする
タバコシバンムシが畳で繁殖してしまっている場合や、なかなか発生源が特定できない場合などは、専門の駆除業者に対応してもらうと確実でしょう。
特に畳での繁殖は、業者による加熱乾燥などをしないと根絶するのが難しいといわれており、市販の殺虫剤や燻煙剤では根絶するのは望みが薄いと思われます。
日本全国どこでも対応しているシバンムシ専門業者があるので、どうしてもシバンムシの駆除がうまくいかない場合は、最終手段としてそちらにお願いしてしまうと良いかもしれません。
シバンムシ専門の駆除業者はこちら
また、シバンムシかどうかわからない、他の害虫も併せて駆除をしたいという方はこちらの業者さんがおすすめです。
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まとめ
日本で食害をもたらすシバンムシは2種類いて、そのどちらも厄介な虫であることが分かりました。
特にタバコシバンムシは、殺虫成分でニコチンを含むタバコの葉や、防虫菊まで食べてしまうという「解毒力」のある虫なので、根絶はかなり大変な作業になります。
1匹でも見つけたら、
- 家の中にある食材や貯蔵食を確認して、発生源は廃棄する
- 発生源周辺の清掃と貯常食を密閉容器に移し替える
- 室内に燻煙剤やエアゾール剤で成虫を除去する
- 幼虫や卵が孵化しないように、環境を虫が生きられないようにする
- それでもシバンムシが減らないようなら業者に駆除の依頼をする
というのが自分たちでできることの全てでしょう。
一番はシバンムシを発生させない事ですので、「食材の長期保存をしない」、「普段から密閉容器で保存する」、「食品カスは害虫の温床になるのでキレイに掃除をする」というのが基本になってきます。
シバンムシアリガタバチまでが発生してしまったらさらに大変なので、手遅れになる前にしっかりと駆除してしまいましょう。
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