こんにちは、田舎センセイです。
アウトドアが好きな方やボルダリングにハマっている方は、自宅にプライベートウォールがあればいいなと思うのではないでしょうか?
私の数少ない趣味もボルダリングで、田舎に移住してからはボルダリングジムが遠いのでいっそのこと自宅に作ってしまおうと思いたち、実際に数日かけて自作してしまいました。
自宅にあれば雨の日でも息子と遊ぶことができますし、ジムに通う費用も抑えて指の保持力もキープできますからね!
本記事では、私が実際に作ったクライミングウォールを参考に、自宅にウォールを自作する際の方法や必要な資材、注意点、施工にかかった費用などについてご紹介します。
Contents
最初に考えるべきはクライミングホールドの種類
クライミングホールドにはホールドの固定方法によって「ボルト止めタイプ」と「スクリュー止めタイプ(ビス止め)」の2種類があります。英語では「ボルトオン」とか「スクリューオン」なんて呼んだりもしますね。
ただ、基本的にクライミングウォールを自作する場合は、大抵のご家庭で直接壁にビスでホールドを打ち付けられないと思うので、まず「ボルト止めタイプ」のホールドを使う事になると思います。
ボルトオンとスクリューオンのホールドの特徴比較
ボルト止め | ビス止め | |
ホールドの強度 | 緩みにくく耐久性に優れる | 時間が経つと緩みやすい |
壁材 | 既存の家の壁には難しい | 既存壁でも下地にベニヤなどがあれば設置可能 |
ホールドの種類 | サイズ・形状共に豊富 | あまりバリエーションが無い |
設置の簡便さ | 穴を開ける作業と爪付きナットを取り付ける作業が必要 | ネジ止めするだけなので簡単 |
付け替え | 付け替えがとても簡単 | 基本的に設置後は動かさない |
その他 | クライミングホールドの主流 | ジムなどではあまり使われない |
クライミングウォールの作り方は2パターンから選ぼう
壁に直接ホールドを打ち付ける場合以外は、基本的に木材か単管パイプでコンパネを固定するための下地(骨組み)を作る必要があります。
その理由は、ボルト止めタイプのホールドだと、必ずコンパネと壁との間にボルトが突き出る分の隙間が必要だからです。
木材を使って下地(骨組み)を作る方法とメリット&デメリット
木材で骨組みを作る場合は、壁に垂木となる木材を直接打ち付けるか、床と天井にずれないように柱となる木材を固定する方法があります。
私はどれだけビスを打ってもOKな納屋の壁だったので、直接2×4材と2×2材を打ち付けて垂壁の下地を作りました。
調べてみるとディアウォールなどの床と天井で突っ張って柱を固定する器具を使ってウォールを作ってる人がいましたが、安全面でお勧めできません。
木材を使って骨組みを作るメリット
・壁に直接打ち付ければ簡単でスペースも広く活用できる
木材を使って骨組みを作るデメリット
・壁や床に穴を開けて固定する必要がある
単管パイプで骨組みを作る方法とメリット&デメリット
あまり一般家庭では使う事の少ない単管パイプですが、クライミングウォールの骨組みを作るのにはとても優れた資材です。
単管パイプをつなぐための締結金具である「単管クランプ」には数多くの種類があり、単管同士の交差角度をしっかり90度に保ってくれたり、角度をつけた壁面の作成も木材に比べて容易です。
箱を作るように骨組みを組めば、ある程度スペースを使いますが壁に穴を開けることもなく壁面を作ることもできるので、賃貸でも可能といえば可能です。
上の画像は我が家の前傾壁の骨組みの一部ですが、もろい壁に打ち付けるよりもはるかに強度のある壁を作ることができました。
単管パイプを使って骨組みを作るメリット
・壁に直接穴を開けなくて済む
・設置後の増設や解体が簡単
単管パイプを使って骨組みを作るデメリット
・骨組みに多くのスペースを使う
・各種クランプ(締結金具)やラチェットレンチなどの道具・材料費がかかる
クライミングウォールの制作過程と材料
前置きが長くなりましたが、ここまででどのようなウォールを作りたいかがある程度整理できたと思います。ここからは私が実際に作ったクライミングウォールを例に材料や制作手順を紹介していきます。
私は木材と単管パイプの両方を使って、垂壁と前傾壁を作ったので、ここでは比較的解説が必要そうな単管パイプを使ったクライミングウォールの作り方をベースに解説していきます。
私が自作したクライミングウォールが上の写真です。
手前の垂直な壁が木材を壁に直接打ち付けて作っていて、奥の前傾壁が単管パイプを使って作った壁です。
クライミングウォールの材料を準備(高さ2.5m × 幅2m の110°前傾壁)
・単管パイプ :3m(2本)、2ⅿ(6本)、50cm(7本)
・垂木 :45×55×1800 → 6本
・直交クランプ :9個
・自在クランプ :8個
・垂木クランプ(直交) :18個
・ネジ(コーススレッド45mm):約100本
・爪付きナット(10M) :約70個
今回の壁を作るのに使った純粋な資材のみに限れば上記の通りです。
材料費はこの段階で2~2.5万円位です。
この先の解説の中で各種クランプの名前が出てきますが、下記関連記事で詳しく解説していますのでそちらもあわせてご覧ください。
手順①:骨組みを準備しよう!
まず最初にコンパネを打ち付けるための骨組みを準備します。
その理由は、コンパネを打ち付ける垂木の位置に合わせて穴を開ける必要があるので、骨組みを組む前にコンパネを準備するとあとで取り返しがつかないことになる可能性があるからです。(綿密な設計図を最初に用意する場合は多分大丈夫)
私の場合は、納屋の梁を利用して単管パイプを固定しました。
床にはこの「土台ベース」を打ち付けて固定し、上部は梁に固定具を打ち付けて安定させました。土台ベースは普通にホームセンターで安く購入できます。
用意した2ⅿの単管パイプが短かったので、50cmの単管を自在クランプで縦につないで長さを足しています。木材だとこういうことができないのですが、単管パイプなら簡単!
前傾壁にするために、2ⅿのパイプを下の方で自在型クランプで角度をつけて固定。
寄ってみるとこんな感じです。このような微妙な角度を簡単につけられるのも単管パイプならではです。木材だと固定する時に角度をしっかり測っておかないと、垂木をつけるときにわずかなズレが命取りになりかねません。
単管で組んだ骨組みに、垂木を垂木止めクランプで固定していきます。
※画像:垂木止めクランプ
直交型の垂木止めクランプを使えば、斜めにセットした骨組みの単管に忠実に90度の角度で垂木を固定できるので便利です。
最終的にはコンパネ2枚に対して垂木を5本使いました。
これについては後述しますが、コンパネの厚さが推奨されている物よりも薄い12mmしか用意できなかったので垂木の本数を多めにしています。
手順②:壁面になるコンパネを準備!穴を開ける位置に印をつけよう!
使用するコンパネの厚さはできれば15mm、18mmなら尚可!でも12mmでもできないことは無い!
クライミングウォールの中で最も負荷がかかるのが、この「コンパネ」です。
一般的にクライミングウォールに使うコンパネの厚さは「15mm以上が推奨、18mmならなお良い」とされています。
我が家の周囲のホームセンターを3件ほど(パワーコメリ、ビバホーム、ホーマック)電話をしたり、直接行って確認しましたが12mmの厚さのコンパネしか扱っておらず、12mmでもできないか知り合いの大工さん、工務店さん、クライミングホールド販売業者さんに確認してみたところ以下の回答をいただきました。
②工務店さん:垂木をいっぱい使えば12mmでも大丈夫
③ホールド業者さん:できれば15mm以上欲しい、12mmでも垂木を沢山使えば可能
12mmのコンパネ(90cm×180㎝)は、ホームセンターで1500円くらいで売ってますが、15mmになると4000円以上はします。
値段のこともありますが、そもそも我が家の周囲では15mm以上のコンパネを購入できなかったので、垂木を沢山使って強度を保つようにして12mmのコンパネを使って作ることにしました。
12mmだとコンパネ自体は安く済みますが、強度を保つために多めの垂木とクランプが必要になるので、安い12mmのコンパネを選んでも最終的にはそこまで安上がりにはなりません。
垂木の位置を避けて20cm~30cm間隔で穴を開ける目安をつける
ボルト止めのホールドをつける場合は、コンパネの後ろにある程度隙間が無くてはいけないので、垂木の位置がコンパネのどのあたりに来るのか目星をつけておき、その場所を避けて穴を開ける場所の印をつけます。
穴を開ける間隔はプライベートで使うウォールの場合は厳密でなくても良いですが、穴を開けすぎると強度も落ちるので、20~30㎝間隔で互い違いになるように開けるとよいでしょう。
穴を開ける位置のイメージは、上のイラストのような感じ。
ちょっとわかりにくいですが、後ろに来る垂木と穴がかぶらないように気をつけなくてはなりません。
互い違いになっている方が、近くのホールドに干渉しにくいので効果的に配置することができます。
手順③:印の場所に穴を開けて、爪付きナットを裏から打ち付けよう
爪付きナットのサイズは10M、ドリルタップは12mmを使おう!
一般的に売られているホールドのボルトのサイズは10M(※稀に9Mもあるので注意)なので、爪付きナットも10Mを用意する必要があります。
爪付きナットは意外とホームセンターで取り扱っていないことが多いので、ホールドを購入する時に一緒に同じ会社から購入するか、Amazonなどのネットであらかじめ購入しておいた方がいいです。
コンパネを骨組みに打ち付けてしまった後に爪付きナットを後から打ち付けるのはかなり手間ですので、購入する数は必ず穴の数よりも多く購入するようにしましょう!
そして、爪付きナットが10Mなので、コンパネに開ける穴はそれよりもやや大きい12Mのドリルタップで開ける必要があります。
私もM12のドリルビットは持っていなかったので、上の商品を追加で購入しました。
全て穴を開け終わったら、穴の表面の木片を紙やすりでキレイに落とします。結構細かい木の棘が刺さるので、念入りにヤスリがけしておきましょう。
次にコンパネを裏返して爪付きナットをハンマーで打ち込んでいきます。
これが思いのほか重労働&騒音がスゴイので、住宅街で爪付きナットを打ち付ける作業は時間と場所を考える必要がありますね。
どうしても音を出せない場合は、爪付きナットは表面からホールドをはさんでボルトを締めると自動的に刃が食い込んでいく仕組みになっているので、時間がかかっても良ければ軽く打ち付けた後に一つ一つボルトを締めていくという方法もあります。
全て打ち付け終わりましたら、コンパネの準備は完了です。
私は20㎝間隔で爪付きナットをつけて、大体1枚のコンパネに32~40個のナットを使いました。
手順④:コンパネを骨組みに付ける
ここまで来たらあとはコンパネを骨組みの垂木に付けていけば完成です。
コンパネは頑丈ですが、端の方は割れやすいので予め小さい穴を開けてからビスを打つなどの注意が必要です。
私はコンパネを留めるのに「コーススレッド」という種類のビスを使いました。
コンパネが12mm、垂木が45mm、合わせて57mmの厚さになるので、45mmの長さのコーススレッドを選びましたが、各自コンパネの厚さと垂木の厚さをちゃんと考えて、適切な長さのビスを選ぶようにしましょう。
設置後のコンパネの裏はこのような感じです。
ホールドを設置した後は、この爪付きナットの穴からボルトがすこし出てきます。
手順⑤:ホールドを取り付ける
ホールドが既に準備してあれば取り付けましょう!
もう完成ですね!
弊息子も楽しそうに登っております。
クライミングホールドを安く購入できる場所は?
クライミングホールドって、どこで買ってもかなり高額になりますし、ヤフオクとかで中古のホールドを落としてもいいのですが、なかなか大きめのガバなどは安く見つけるのは至難の業です。
下の関連記事で私が購入したホールド屋さんを紹介しているのですが、そこは私が知る中でも最も安く品質のいいホールドを扱っていると思います。
実際、ガバを中心に60個以上のホールドを購入して40,000円強と破格の安さでした。
これから安くホールドを購入したいと考えている方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
クラッシュパッド(衝撃吸収マット)を用意しよう!
クライミングで忘れてはいけないのが、衝撃吸収用のマット「クラッシュパッド」を準備すること!
でも、外岩用のクラッシュパッドはサイズもそこまで大きくなく、自宅などのプライベートウォールに使うには、サイズの割に値段が高くついてしまいます。
そこで私は工場直送の割引価格でボルダリング用のウレタンマットを加工販売している会社「ストライダー社」から、自宅のウォールに合わせたマットをオーダーしています。
ストライダー社のウレタンマットの商品レビューや価格については、下記別記事にてまとめていますのでそちらをご覧ください。
自宅のクライミングウォールの施工費用は?
今回ご紹介したプライベートウォールを作るのにかかった費用は「約13万円」でした。
ただし、自宅といっても納屋の広いスペースにコンパネ5枚分の垂壁と前傾壁を作り、クライミングホールドも壁面に比べてもやや多い60個ほど購入しています。
資材も今後拡張してもいいように多めに購入しているので、正直予定していたよりも予算をオーバーしての施工になってしまいました。
今回ご紹介した壁のうち、単管パイプで骨組みを作ったウォールに限って言えば、おそらく6万円もあれば同じものが作れると思います。
費用を抑えるためのコツは「予めしっかりと設計をして必要な資材を無駄なく購入すること」です。
ホールドやマットは、本記事でご紹介したところがかなりお安いのでそこで購入しつつ、それ以外の所で資材をいかに無駄なく購入するかに頭を使えば安く済ますことができると思います。
ただし、建築と同じで骨組みや板材をケチると強度不足になってケガの恐れもありますので、必ず安全面には十分注意して作るようにしてくださいね!